枯 蓮 3      200句

枯蓮に隈おとしたる道化たち    橋閒石    卯

蓮植う  蓮の花  蓮見  蓮池  蓮の浮葉  蓮葉  蓮の露

 蓮の実  蓮の飯  蓮根掘 敗蓮  枯蓮

作品
作者
掲載誌
掲載年月
櫓の稽古受くる人をり枯蓮 府川房江 母の空 200808
あらぬ方向き枯蓮の頭垂る 鈴木しのぶ 200901
人体に関節多し枯蓮 中島昌子 200902
たがために鐘は鳴るなり枯れ蓮 沼田巴字 京鹿子 200902
枯蓮の隙間の水のとろとろと 田中藤穂 あを 200902
オブジェめく池の枯蓮雪化粧 高根照子 200903
枯蓮のかくも哀れを止むとは 堀田こう 雨月 200903
枯蓮の影置く池となりにけり 岩木眞澄 ぐろっけ 200903
枯蓮風おと低く泥に秘む 西村摩耶子 京鹿子 200904
枯蓮の真中を道の貫ける 松本文一郎 六花 200904
枯蓮や干す舟底の真つ平 松本文一郎 六花 200904
金色の仏に近き枯蓮 渡辺数子 火星 200904
枯蓮触れむばかりに夕日落つ 勝見玲子 200906
枯蓮銃を構へし兵のごと 紀川和子 201001
見捨てぬは詩人ばかり枯蓮 北尾章郎 201002
枯蓮の魂晩すでに水の底 大畑善昭 201002
枯蓮を見る逢引の行き帰り 荒井千佐代 201002
枯蓮やいまだ気骨のありにけり 宇都宮敦子 201002
枯蓮怺へどころの水と風 田中一美 ろんど 201002
枯蓮やこゑを聞くまで立ち尽す 安永圭子 風土 201002
さざ波のゆきつく先の枯蓮 大西優九里 京鹿子 201002
オブジェ調崩れ枯蓮どん詰り 北尾章郎 201003
枯蓮の田に来て風の硬くなる 小林百寿 201003
枯蓮の台引き寄す茎に棘 江木紀子 雨月 201003
鷺足場たしかめつつや枯蓮出 江木紀子 雨月 201003
枯蓮の冥き水面に日の光り 小倉正穂 末黒野 201003
小魚のあまた跳ねをり枯蓮 熊切光子 末黒野 201003
枯蓮の折れて沈思の刻となる 小山徳夫 遠嶺 201003
ちちははが近づいて来る枯蓮田 荒木甫 201003
枯蓮をめぐりひとりとなりにけり 荒木甫 201003
枯れ蓮当麻曼荼羅絵巻かな 関根洋子 風土 201003
枯蓮を巡りて蹠ぬくとかり 浜口高子 火星 201003
枯蓮や枯れ極まりて土と化す 佐藤喜仙 201003
枯蓮池の果てのつよき風 吉弘恭子 あを 201003
近くより遠くが騒ぎ枯蓮 安武晨子 201004
枯蓮のつぎなる莟つけてをり 志方章子 六花 201005
新しき枯れ色加へ蓮枯るる 布川直幸 201010
枯れたるは表向きなり大蓮 境幹生 201012
枯蓮に尽きざる力尚ありて 芝尚子 あを 201012
蓮は枯れ亀は甲羅を干しにけり 南うみを 風土 201101

上田明子さん急逝

枯蓮の実の穴大小ありにけり

大橋敦子 雨月 201101
日を経たる枯蓮の実の細りゆく 大橋敦子 雨月 201101
枯蓮の池に古刹の鐘渡る 川崎利子 201102
枯蓮の荒れて風音ばかりなけ 岡野ひろ子 201102
一軍の全滅の様枯蓮 大橋晄 雨月 201102
蓮枯れて水のちからの抜けゐたる 深澤鱶 火星 201102
石のごとく動かざる水蓮枯れて 松本三千夫 末黒野 201102
実を天に捧げて蓮の枯れにけり 伊藤一枝 酸漿 201102
枯れ切って安らひでゐる蓮の池 田中藤穂 あを 201102
枯蓮うしろめたさの風の吹く 篠田純子 あを 201102
枯蓮の池に貼りつく昼の闇 村上絢子 馬醉木 201103
蓮枯れて素直に風を通しけり 吉田政江 201103
冬青き浮草甕の蓮枯る 小川玉泉 末黒野 201103
水静か懺悔のごとく蓮枯れて 松本三千夫 末黒野 201103
お互ひの老いを楽しみ枯蓮 田原陽子 201103
それぞれに銘あり名あり枯れ蓮 中山皓雪 201103
枯蓮の幾何学模様の静止かな 浜口高子 火星 201103
み佛の肌つややかや蓮枯れて 阪本哲弘 201104
枯蓮の修羅場を渡る時の鐘 大橋伊佐子 末黒野 201104
落日のかけらちりばめ枯蓮 梶浦玲良子 六花 201104
枯蓮田甲骨文の犇めける 中島悠美子 京鹿子 201105
枯蓮の濠より暮るる城下町 内藤三男 ぐろっけ 201105
枯蓮になりきつてゐる鷺の脚 原友子 201105
枯蓮へちらちら画家の首動く 丸井巴水 京鹿子 201201
畳まれしブルーシートや枯蓮 永塚尚代 ぐろっけ 201202
月光の突き刺さりをり枯蓮田 大橋伊佐子 末黒野 201202
正体のなきまで蓮の枯れてをり 楠原幹子 201203
枯蓮の影枯蓮を見離さず 原友子 201203
枯蓮の駅を宴会列車過ぐ 高田令子 201203
枯蓮風の動きのそのままに 前川明子 201203
枯蓮を巡りたれにも遭はざりし 杉浦典子 火星 201203
枯蓮になほも枯れゆく時のあり 藤田素子 火星 201203
竹林をぬけ枯蓮の邑一つ 雨村敏子 201203
金泥に枯れし蓮の騒ぎをり 近藤きくえ 201203
直立も伏すも自在や枯蓮田 神田美穂子 万象 201203
枯蓮の百態さらす池面かな 鈴木一三 末黒野 201203
明日といふ日の無きごとし枯蓮 岡崎伸 遠眼鏡 201203
一条の青も残さず枯蓮田 岡崎伸 遠眼鏡 201203
枯蓮の触れ合ふ音に風生まる 久永つう 瀬戸の海 201203
枯蓮の倒れきつたる安堵かな 松田泰子 末黒野 201204
ひと色に膨らんでゐる枯蓮田 林八重子 馬醉木 201205
人影の這ひつくばりし枯蓮田 渡辺安酔 201205
枯れ蓮田鴉飛びたつしづく引き 小林登喜枝 万象 201205
枯蓮のなほも枯れむとしての音 林昭太郎 あまねく 201210
枯蓮に名園の景裏返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
枯蓮に水とんがつてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
幸せはこころが決める枯蓮 塩貝朱千 京鹿子 201302
枯蓮にたぢろぎ一歩退がりけり 長島清山 かさね 201302
水すべて沈んでをりぬ枯蓮 近藤喜子 201302
耳障りの良き言の葉や枯蓮 田禎子 201302
枯蓮の幾何学模様夕日いま 岩月優美子 201302
枯蓮の池面にへの字くの字かな 中本吉信 201303
枯蓮の水に映るを見て飽かず 渡辺数子 火星 201303
年詰まりけり弥陀堂の枯蓮 渡辺数子 火星 201303
枯蓮の斯くかく然かじか日の暮れて 鷺山珀眉 京鹿子 201303
枯蓮の骨が貫く厚氷 高橋将夫 201303
枯蓮かれこれ二時になりにけり 大島英昭 やぶれ傘 201303
人声の遠のいてゆく枯蓮 藤田素子 火星 201304
枯蓮立つも伏するも動かざる 大橋晄 雨月 201304
小鷺来て羽根休めをり枯蓮田 鈴木一三 末黒野 201304
枯蓮を風渡りけり岸に鳩 安藤久美子 やぶれ傘 201304
枯蓮ややがて朱色の闇なりき 水野恒彦 夢寐 201306
枯蓮の泥田に細き流れかな 江見悦子 朴の青空 201307
完璧の枯蓮被爆図見るごとし 柿本麗子 千の祈り 201307
優美な名持ちて枯れゆく蓮かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
朝月の西に貼りつく枯蓮田 山尾玉藻 火星 201312
枯蓮の声聴くために立ち止まる 杉本薬王子 風土 201401
蓮枯るるフランスパンの穴ばかり 篠田純子 あを 201401
水鳥の数多こゑ抱き蓮枯るる 柿沼盟子 風土 201401
枯蓮あを鷺ひとりでに暮るる 篠田純子 あを 201401
枯蓮となりて月光欲しいまま 杉本薬王子 風土 201401
枯蓮のへの字くの字は影曳かず 菅谷たけし 201401
枯蓮の斯くかくしかじか日の暮れて 鷺山珀眉 京鹿子 201401
枯蓮やしがらみほどき立ち尽す 金田けいし ろんど 201401
一水に揺るる灯や枯蓮 工藤はるみ 風土 201402
葉柄を突きたて無惨蓮枯るる 辻香秀 201402
蓮枯れて漢文のごと折れ曲る 小林正史 201402
神が神さそうて来たり枯蓮 城孝子 火星 201402
古代蓮枯れ一色となりにけり 大石よし子 雨月 201402
枯れ切つて蓮のどこかほつとせり 北川英子 201402
枯蓮に静かなる意地ありにけり 宮崎高根 201402
枯蓮に直線の影生まれけり 宮内とし子 201402
枯蓮の一つ一つの命かな 田村すゝむ 風土 201402
古代蓮枯れて埴輪の目の虚ろ 大石よし子 雨月 201403
枯蓮のあはひの水の照り強し 成田美代 201403
枯蓮の背丈いつしか揃ひけり 藤沢秀永 201403
枯蓮を見わたす何か安堵感 村上すみ子 201403
枯蓮宴の跡の虚ろかな 岩田裕江 ろんど 201403
枯蓮の黙考するや影沈思 松本三千夫 末黒野 201403
冬枯の蓮田を渡る風の音 今井弘雄 春燈 201403
当面はぬれ衣を着る枯蓮 鈴鹿けい子 京鹿子 201404
枯蓮池に注がるる水の音 渡邉孝彦 やぶれ傘 201404
からからと風の絡まる枯蓮田 林八重子 馬醉木 201404
枯蓮の映るはすべて折れし影 大橋伊佐子 末黒野 201404
枯蓮の日向を去にし獅子頭 城孝子 火星 201404
枯蓮の穴に薄日の蔭がある 堀内一郎 堀内一郎集 201412
蘇る夢を見るらむ枯蓮 宮原悦子 雨月 201501
枯蓮の常陸の景を電車より 渡辺安酔 201501
糸口といふがどこかに枯蓮田 山尾玉藻 火星 201501
一善として枯蓮の極みなる 鈴鹿仁 京鹿子 201501
枯蓮自由自在に生きてをり 竹内悦子 201502
枯蓮や鯉のあぎとふ濁り池 菅野日出子 末黒野 201502
刀折れ矢尽きて暮るる枯蓮 藤丸誠旨 春燈 201502
枯蓮ぷつぷつ魚の息聞こゆ 升田ヤス子 六花 201502
枯蓮みづから風を立てにけり 升田ヤス子 六花 201502
枯蓮水面に影や宝物館 工藤はるみ 風土 201503
枯蓮の微動だにせず水昏るる 水野恒彦 201503
枯蓮を抱き大池明けにけり 雨村敏子 201503
水漬くもの天突くものも枯蓮 田中道江 万象 201503
ゆるぎなき青空ありし枯蓮 中島悠美子 京鹿子 201503
枯蓮の日矢にきはだち濁り池 森清信子 末黒野 201503
枯蓮の池面を焦がし夕茜 森清信子 末黒野 201503
枯蓮軍靴の音も量られて 鴨下昭 201503
生くる謎沼の底ひに枯蓮 石田きよし 201504
一徹を矜恃としたり枯蓮 田岡千章 201504
枯蓮どこへ行くにもラジオ聴く 鴨下昭 201504
枯蓮や水脈を残して番鳥 吉田きみえ 末黒野 201505
姦しく来て枯蓮に黙しけり 白神知恵子 女坂 201508
枯蓮のつひにきれひに水の底 大畑善昭 201512
規律なき雑兵の如枯蓮 宮井知英 201601
枯蓮の竪笛めきて風の声 三橋玲子 末黒野 201602
枯蓮湖騒めかす戦争法 鴨下昭 201603
天心に日の止まれり枯蓮田 柴崎英子 201603
枯蓮に晩節の沼透き通る 伊藤希眸 京鹿子 201603
枯蓮や水面に映す好奇心 上野紫泉 京鹿子 201603
枯蓮の折れて真つ逆さまの空 近藤喜子 201603
枯蓮の水に夜明けの来てをりぬ 橋本順子 201603
武士の影の漂ふ枯蓮田 中下澄江 201603
枯蓮や抱きてもいだきても寂し 雨宮桂子 風土 201603
枯蓮に水の蒼さの強まりぬ 笹村政子 六花 201603
枯蓮を太鼓橋より見下ろして 渡邊孝彦 やぶれ傘 201604
枯蓮の底ひにちらと芽ぐむもの 田中藤穂 あを 201604
枯蓮みづから風を立てにけり 升田ヤス子 玫瑰 201604
枯蓮や陽のあたりたる白いビル 都築繁子 201611
枯蓮を器用にくぐる番鴨 植木やす子 201611
己が影落として蓮の枯れにけり 小田司 馬醉木 201701
枯蓮の混み合ふ水の底知れず 平田はつみ 馬醉木 201701
枯蓮の無音の刻の風の美(い)し 鈴鹿仁 京鹿子 201701
蓮枯れて弁天堂の窈窕と 中山皓雪 201701
枯蓮のまだ枯れきらぬけもの臭 服部早苗 201701
枯蓮を積みたる舟を風が押す 今井春生 201701
鯉動く時枯蓮の息遣ひ 秋山ユキ子 201701
枯蓮天寿全うしてゐたる 大川ゆかり 201702
沈黙は強き問ひかけ蓮枯るる 内山花葉 201702
枯蓮ざわざわ風の渡り来ぬ 池美佐子 201702
蓮枯るる昨日の音を吸ひ尽し 榎本秀治 201702
枯蓮や源氏平家の相討ちに 秋山ユキ子 201702
枯蓮の骨の強さよ水鏡 雨村敏子 201702
蓮枯れて影に翳添へ真鯉栖む 松本鷹根 京鹿子 201702
枯蓮の再起のちから密やかに 岩月優美子 201703
軋みつつ太陽わたる枯蓮田 林昭太郎 201703
鳥触るる度に沈みぬ枯蓮 甲州千草 201703
枯蓮水漬ける上を石たたき 江見悦子 万象 201703
枯れ蓮に風出て沼のさざれ波 吉田きみえ 末黒野 201703
枯蓮の万策尽きしものばかり 下平しづ子 雨月 201703
蓮枯れてまはりの水の眠りけり 下平しづ子 雨月 201703
折れて枯れ枯れて折れゆく大蓮田 岡淑子 雨月 201703
枯蓮折るることにて仕上がりぬ 大川ゆかり 201704
完膚無きまでの枯蓮日の淡し 楠原幹子 201704
枯蓮の皇居内濠朝日影 東小薗美千律 末黒野 201704
枯蓮折れるしかなき氷室池 橋添やよひ 風土 201705
阿弥陀堂枯蓮も土も黒光り 赤座典子 あを 201703
枯蓮寺領早くも昏るる水 犬塚李里子 201705
枯蓮や茎に瞬く無辺光 平野多聞 201705
枯蓮尽きる尽くすといふ言葉 吉武千束 201705
遺書などはなし澎湃と枯蓮田 田中臥石 末黒野 201705
さきたまの古代を秘めて蓮枯るる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201711
古代蓮枯れて古代へ還りゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201711
法然の松に親しき枯蓮 竹中一花 201801
枯蓮田向うを長い貨車が行く 藤井美晴 やぶれ傘 201711
枯蓮の折れたるままに活けられて 菊池洋子 やぶれ傘 201712
仔細つくせる枯蓮に雨の音 上谷昌憲 201802
枯蓮に風出て沼は日を散らす 吉田きみえ 末黒野 201802
風来ては沼の枯れ蓮賑にぎし 小川玉泉 末黒野 201802
枯蓮田風の意のまま身をさらし 荻野周子 雨月 201802
枯蓮いつとはなしに雨のきて 秋山信行 やぶれ傘 201803
枯れざまの蓮に無常を感じをり 本多正子 雨月 201803
枯蓮→ 4      

 

2020年12月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。