燗 酒       137句

燗酒や岩魚の口の開き様    森るか

熱燗  温め酒  燗酒

作品
作者
掲載誌
掲載年月
食ひしばる歯のなくなりし燗ざまし 亀田虎童子 199804
燗つけば子の呼びにくる雁の夜 鷹羽狩行 199811
よいことのあった日も一人燗の酒 平井奇散人 船団 199902
燗徳利持ち馴れし医師暮靄垂れ 丸山海道 海道全句集 199910
あぶれ蚊に燗徳利の温きかな 菊地恵子 酸漿 200001
波郷忌のほど好き燗となりにけり 水原春郎 馬醉木 200002
燗酒に笑ひだしたる身のどこか 岩田育左右 遠嶺 200003
燗酒やすこし棘ある句の批評 小川匠太郎 200012
初鮭の振舞酒は父の燗 皆川盤水 春耕 200111
燗冷し鍋にひと口つぎにけり 河合笑子 あを 200112
燗はじめ越中氷見の人と酌む 能村研三 200201
湯豆腐のことこと煮えて燗もよし 松田欽吾 雨月 200202
旅の夜の仲間と交はす燗の酒 片山茂子 遠嶺 200203
青竹の燗酒空ける熾明り 森津三郎 京鹿子 200205
燗酒や口に吸ひつく萩茶碗 谷合青洋 酸漿 200205
萩焼のぐい呑み軽し燗の酒 谷合青洋 酸漿 200205
燗を人肌に頼みて夜の秋 太田寛郎 200209
凌霄の日差し燗熟してきたり 斎藤棹歌 200209
久々に一燗処暑の夕べかな 伊沢山ウ瓏 酸漿 200210
神代の欅と交す燗の酒 小宮山勇 遠嶺 200302
手付かずの青饅で飲む燗冷まし 左官治郎 200306
芽独活和へ夕べに早き燗支度 竹内龍 200307
あるだけの言葉とび交ひ燗の酒 大木千鶴子 雲の峰 200401
冬蠅のきて舐めてをり燗冷まし 今瀬剛一 対岸 200402
燗酒や父に似る人見つめをり 鎌倉喜久恵 あを 200403
燗冷まし己戒しむこと多し 鈴木實 百鳥 200404
深川や蕎麦を待つ間の燗の酒 内田稔 遠嶺 200405
絢燗と潮を弾きてさくら鯛 泉田秋硯 200407
こがらしや燗徳利の胴回り 風間史子 200502
蕗味噌に箸も軽やか燗の酒 滝沢伊代次 万象 200502
日本の浮沈語りて燗の酒 馬場三枝子 200503
院長は幼なじみや燗の酒 堀内康男 帆船 200503
燗酒をご苦労さまと言ひ添へて 内田稔 遠嶺 200504
炉辺放談燗徳利は口すぼめ 西川織子 馬醉木 200504
屏風絵のごと絢燗と山桜 服部珠子 雨月 200507
燗の酒不眠症を言い訳に 芝宮須磨子 あを 200601
雪女生まる日屋台の燗微温し 禰寝瓶史 京鹿子 200602
友ありて妻の程よき燗の酒 荻野照 遠嶺 200604
燗酒や独りゐてただ独り酔ふ 糸川草一郎 百鳥 200604
燗に家路せかされをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200608
父子草活けるあの日の燗徳利 山元志津香 八千草 200608
人肌の燗や父恋ふ鯷漬 山田夏子 雨月 200702
武雄忌の燗一合の蕎麦屋酒 能村研三 200801
耕二忌の黒千代香くろじょかで酌む燗焼酎 能村研三 200801
絢燗と紅葉且つ散る浜離宮 中村悦子 200801
良き燗に味一際の雪見酒 牧原佳代子 酸漿 200804
帰国せし子と交しけり燗の酒 難波篤直 200804
ぬる燗の好きなお人よ女正月 ことり 六花 200901
独り住み同士の姉妹燗の酒 能勢栄子 200902
蕩けそうな大間鮪や燗の酒 金井香ル 200903
相槌を打つもほどほど燗の酒 塩路五郎 200903
斑雪山の深くにありし昼の燗 浜口高子 火星 200906
矢切てふ渡しを継ぎて燗の酒 村上克哉 201001
灰掻いてどんどの熾に竹の燗 山田六甲 六花 201002
とんとんと話がすすみ燗の酒 遠藤和彦 遠嶺 201003
筍を心待ちして酒の燗 柴田靖子 201007
花冷に燗付け直す老夫婦 近藤てるよ 酸漿 201007
冷酒の人燗(かん)の人不死男の忌 鷹羽狩行 201008
燗酒の湯の沸く音や居待月 山田春生 万象 201012
相撲甚句を流すちゃんこ屋燗の酒 森下康子 201102
燗酒の旨さ長子と痛飲す 小林一榮 末黒野 201103
ぬる燗や急降下せる春の雪 森理和 あをかき 201104
燗酒やひとりで祝ふ誕生日 難波篤直 201105
絢燗の踊りと言ふに目借どき 佐藤淑子 雨月 201112
木枯やひとりは燗のすぐ冷めて 高島鷄子 馬醉木 201202
薬缶より燗酒注ぐ屋台かな きくちきみえ やぶれ傘 201203
燗酒をまず調のへる妻の留守 米田文彦 かさね 201204
焼きトンの香りよきかな燗の酒 丸山酔宵子 かさね 201301
燗ぬるう仏と酌める風の音 浜口高子 火星 201304
時かけて燗の一合宵えびす 蘭定かず子 火星 201304
聞き流すことも処世や燗の酒 塩路五郎 201402
夫と子の狭間に燗の冷えにけり 奥田順子 火星 201403
風邪に効くとて注がれたる焙り燗 佐藤山人 201404
初夢や燗酒馳走在りし日よ 水谷直子 京鹿子 201405
人肌の燗こそよけれ月今宵 梅村すみを 201411
燗酒や放つて置いてほしい夜 石田きよし 201503
燗酒に食前食後なかりけり 森岡正作 201503
和解への一助燗酒香の物 山口ひろよ 201504
末枯れもほどほどがよし酒は燗 鴨下昭 201504
蕗味噌や厨に夫の燗支度 中村ふく子 201504
鮒鮓を頂く絢燗たる仏間 青木朋子 201510
夜焚火に燗して供すかつぽ酒 田代民子 201603
燗よりも冷がよろしと夜の長き 東野鈴子 雨月 201604
夕されば一句ひねりて燗を待つ 田中信行 201605
鮨詰めを更につめ合ひ燗冷まし 風間史子 201607
ぬる燗のまだあたたかし良夜かな 井上石動 あを 201610
波郷忌や黄瀬戸でぐいと燗の酒 山下健治 春燈 201702
引力や燗酒好きな者同志 濱上こういち 201704
鉄瓶のひと肌の燗花疲れ 足立良雄 201707
徳利の首を越えたる燗の酒 きくちきみえ やぶれ傘 201711
雨まじり雪降る燗はみづから付く 定梶じょう あを 201804
熱燗や夫婦無口の差向ひ 友田悠子 末黒野 201805
熱燗や聞きしに勝るいごつそう 千原叡子 ホトトギス 201805
熱燗や牧水しのぶ一人旅 三羽永治 201811
熱燗や命をかけることもなく 高橋将夫 201902
父と子の胸襟ひらく燗の酒 有松洋子 201902
熱燗や妻への愚痴も一寸だけ 谷口一献 六花 201902
熱燗や歯に衣着せぬ仲間うち 黒滝志麻子 末黒野 201903
河童らと熱燗一本もう一本 竹中一花 201903
夜ふたりみたり来燗の酒となす 田中臥石 末黒野 201904
熱燗や句会の後の置酒款語 懸林喜代次 春燈 201904
熱燗や父子の会話長々と 田部富仁子 201905
熱燗や二軒目のママ姉に似て 小田嶋野笛 末黒野 201905
夫あらば熱燗乞はる寒さかな 杉崎妙子 201905
熱燗や干物あぶっておらが春 澤田蔦惠 船団 201906
花冷や燗を酌み合ふ玻璃の内 伊藤鴉 末黒野 201907
鮟肝と熱燗常陸の旅はじめ 酒井たかお 201907
お互ひに視線合はさず人肌燗 谷口一献 六花 201911
熱燗や静寂の夜を過ごすとす 谷口一献 六花 202001
燗熱く古漬茄子に母想ふ 小張昭一 春燈 202001
熱燗の手酌がすすむ屋台かな 柴崎甲武信 京鹿子 202002
北陸の魚のきときと燗熱し 宮内とし子 202002
熱燗や落ちる涙と冷や汗と 谷口一献 六花 202003
誤嚥して燗酒撒き散らかしてをり 谷口一献 六花 202003
熱燗や自慢話に尾鰭つく 岡田ちた子 雨月 202003
熱燗を注ぐ手に燃ゆるネイルかな 谷口一献 六花 202003
熱燗や渡れぬ鳥に仲間ゐて 田中信行 202003
泣いてゐる横顔のあり燗熱し 高倉和子 202006
熱燗は歯に沁み喉沁み胃に沁む 谷口一献 六花 202012
熱燗や誰に気兼ねをするでなく 高橋将夫 202102
燗酒や養生語録耳に溜め 近藤牧男 春燈 202103
熱燗は手酌構はず納めの座 五十嵐貴子 末黒野 202103
熱燗や人生訓の味な人 山中志津子 京鹿子 202104
燗熱し右に倣へに逆らひて 井尻妙子 京鹿子 202104
燗漫へ梅一輪のプレリュード 飯田久美子 末黒野 202105
噎するほど熱燗の燗熱くして 梅田武 末黒野 202105
熱燗に酔ひマーラーに酔うてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202112
雲見てゐた方がおとうと燗熱し 井上菜摘子 京鹿子 202112
熱燗の鮎のしっぽをふうと吹く 赤座典子 あを 202202
熱燗に旅の姉妹や時止まり 有賀鈴乃 末黒野 202203
島二つ沖に燗酒熱うせよ 水谷はや子 202203
熱燗やつい反対のことを言ふ 高橋将夫 202204
熱燗にのりそこねたる猪口ひとつ 吉田悌子 京鹿子 202204
熱燗や火宅の沙汰を振り払ふ 元橋孝之 京鹿子 202204
熱燗に酔うて愉快や里訛 丹羽武正 京鹿子 202204
熱燗の冷め御開きとまだならず 湯川雅 ホトトギス 202205
 

 

2022年12月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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