寒牡丹 3    102句

見てをりぬいのちしづかに寒牡丹   角川春樹   一つ目小僧

作品
作者
掲載誌
掲載年月
たとふなら肩張つてをる寒牡丹 栗栖恵通子 200802
寒牡丹蕪村の空を深くせり 神蔵器 風土 200802
右ひだり覗いて歩く寒牡丹 鎌倉喜久恵 あを 200802
影といふ確かなかたち寒牡丹 藤井彰二 馬醉木 200803
深窓の品位にまみゆ寒牡丹 田嶋洋子 春燈 200803
藁囲ふ気品凛たり寒牡丹 塚本みのる 春燈 200803
ぜいたくな邸宅を持ち寒牡丹 赤松丹山 雨月 200803
前過ぐるときに匂へり寒牡丹 足立武久 酸漿 200803
筆文字の和紙の滲みや寒牡丹 林八重子 馬醉木 200804
藁苞に珠と育てし寒牡丹 中村悦子 200804
枯れかかる悲しみ堪へし寒牡丹 馬場宏一 春燈 200804
寒牡丹薦に何やら動く虫 加藤みき 200804
寒牡丹しんと日射の透きゐたり 岡淑子 雨月 200804
色見せて咲きためらへる寒牡丹 綿谷美那 雨月 200804
朝酒の息の匂へる寒牡丹 小林正史 200804
寒牡丹白には白の誇りあり 梅原幸子 遠嶺 200804
松籟に菰ごもりして寒牡丹 館容子 200805
寒牡丹菰ぬち覗かるる愁ひ 館容子 200805
おのづからなる身丈かな寒牡丹 足立幸信 200805
寒牡丹筬の中なる芭蕉像 川口襄 遠嶺 200805
寒牡丹会ひたき人に夢で会ひ 宮倉浅子 遠嶺 200805
ちちの顔ははの顔なり寒牡丹 天野きく江 200805
神官の木沓過ぎゆく寒牡丹 青山悠 200805
ひらくとき息をほのかに寒牡丹 片田きく 200805
正面は風の入り口寒牡丹 浅田光喜 絵巻物 200806
しんかんとあめつちはあり寒牡丹 安住敦 春燈 200812

 柴崎英子句集『絹の波』上梓

絹波の音してひらく寒牡丹

能村研三 200902
寒牡丹開きためらふ心あり 阿部ひろし 酸漿 200902
蕊見むと寄りて覗けり寒牡丹 阿部ひろし 酸漿 200902
菰ふかく開きはじめし寒牡丹 阿部ひろし 酸漿 200902
何事も八分がよろし寒牡丹 水原春郎 馬醉木 200903
陽を恋うて菰をはみ出す寒牡丹 疋田雪子 炎環 200903
侘寂を心に咲けり寒牡丹 大橋淳一 雨月 200903
手に触るる死者のやすらぎ寒牡丹 和田政子 200904
顔つつむアラブのをんな寒牡丹 近藤喜子 200904
汐入りの池をめぐりて寒牡丹 門伝史会 風土 200904
寒牡丹一人跼めばまたひとり 島田麻衣 炎環 200904
寒牡丹薄陽の影をこぼしけり 阿布里唯 炎環 200904
観音に白凛然と寒牡丹 山本漾子 雨月 200904
寒牡丹花びら外るるとき見たり 渡辺数子 火星 200904
人影に疲れて暮るる寒牡丹 渡辺数子 火星 200904
曇り日の色極めたる寒牡丹 井口初江 酸漿 200904
その中の白のきはまる寒牡丹 谷合青洋 酸漿 200904
寒牡丹暮色を纏ふ重さかな 石原光徳 酸漿 200904
転生のあらば弾まむ寒牡丹 大谷茂 遠嶺 200905
寒牡丹死後も聞ゆる音あらむ 清水晃子 遠嶺 200905
一幹の竹の籬や寒牡丹 和田照海 春燈 200905
雨よりも風を厭ふて寒牡丹 和田照海 春燈 200905
菰もれ日はなさぬやうに寒牡丹 和田照海 春燈 200905
寒牡丹近き真上はハブ空路 和田照海 春燈 200905
筥崎の畏き宮の寒牡丹 和田照海 春燈 200905
薄闇の音閉ぢ込めて寒牡丹 あさなが捷 200905
断りもなく覗かるる寒牡丹 小林朱夏 200905
傘の下色きはやかに寒牡丹 小浦遊月 酸漿 200905
一筋に石畳道寒牡丹 足立幸信 200906
寒牡丹より模様替はじまりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201001
口渇く検査の痛み寒牡丹 鴨下昭 201001
余白にはなに書き足さむ寒牡丹 長田等 201002
命ある限り華あり寒牡丹 日山輝喜 201003
藁被き凛と一輪寒牡丹 藤見佳楠子 201003
寒牡丹剪ればあたりの翳も消え 藤岡紫水 京鹿子 201003
月光に己が身固く寒牡丹 安立公彦 春燈 201003
寒牡丹白には白きこころざし 石田きよし 201004
年々歳々而して寒牡丹 井田実代子 雨月 200804
転生の迷路灯せり寒牡丹 山中志津子 京鹿子 201004
酒蔵の大戸閉ざすや寒牡丹 濱田カノエ 酸漿 201004
逆らへぬ忠言ひとつ寒牡丹 川口襄 遠嶺 201005
寒牡丹気ままな風の腑に落ちる 鈴鹿均 京鹿子 201005
深々と菰の内なる寒牡丹 阿部悦子 酸漿 201005
触れてみて繻子の手ざはり寒牡丹 近藤茂子 201005
寒牡丹一片の詩を彩に吐く 竹下陶子 ホトトギス 201006
厚いめにして藁囲ひ寒牡丹 足立幸信 201006
雪降らぬ年ははじめて寒牡丹 足立幸信 201006
保護なりや幽閉なりや寒牡丹 足立幸信 201006
永遠に続くはずなし寒牡丹 あさなが捷 201006
藁苞の男結びや寒牡丹 松田明子 201006
新しき菰になじめる寒牡丹 矢野百合子 201006
紅白の白のおくるる寒牡丹 島谷征良 風土 201101
はじめての日や寒牡丹ひらきたる 近藤公子 201103
削ぎ落とすもの削ぎ落とし寒牡丹 荒尾茂子 京鹿子 201103
寒牡丹吉祥天女の相を具し 古田考鵬 雨月 201103
寒牡丹女の中の女なり 高橋将夫 201104
東照宮の甚五郎の竜寒牡丹 相澤春江 風土 201104
寒牡丹入園券を巫女が売る 大西八洲雄 万象 201104
一時は無欲になりぬ寒牡丹 四條進 201104
昼の香を夜は包み込み寒牡丹 林美与子 末黒野 201104
控へ目もぎやんもありぬ寒牡丹 有本惠美子 ろんど 201104
江戸鍛冶の丹精尽し寒牡丹 山本喜朗 雨月 201104
二上の日差分ちて寒牡丹 村上悦子 雨月 201104
武の宮の神慮に咲くか寒牡丹 堀田こう 雨月 201104
寒牡丹ちりゆくさまをみせまじく 森理和 あを 201104
昃りて影の消えたる寒牡丹 浅井靑陽子 ホトトギス 201105
寒牡丹いのちいたはるとは敦の句 滝沢幸助 春燈 201105
月光に彩鎮めをり寒牡丹 大橋伊佐子 末黒野 201105
源平の池の濁りや寒牡丹 岡田史女 末黒野 201105
朝もやの一片散らす寒牡丹 北村淳子 ろんど 201105
寒牡丹に葛城の神夜ごと訪ふ 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
寒牡丹大気にゆるびなかりけり 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
耐へてゐる色には見えず寒牡丹 山下美典 ホトトギス 201106
行く先はひとつひらいた寒牡丹 陽山道子 船団 201107
古木とは思へぬ深紅寒牡丹 宮崎正 ホトトギス 201107
白は日を紅は風恋ふ寒牡丹 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
寒牡丹 →4      

 

2021年1月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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