寒 明 5     100句

寒明ける兆し羽毛のやうな月  斧田綾子  獐

  寒明

作品
作者
掲載誌
掲載年月
黒土を潤す雨や寒明ける 齋藤博 やぶれ傘 201504
作付けの段取りのこと寒明くる 水谷靖 雨月 201504
田の神の幣ひらひかと寒明くる 鈴木鳳来 故山 201505
鳥の黙寒明の四方乾きゐて 米尾芳子 馬醉木 201505
幾つもの訣れありけり寒明くる 小林輝子 風土 201505
煮大根味沁みつくし寒明くる 大橋伊佐子 末黒野 201505
寒明けの梢に光り一つ星 吉田きみえ 末黒野 201505
寒明のあさひ新しゆでたまご 服部早苗 201505
物の怪の争ふ気配寒明くる 後藤マツエ 201505
卵とはやさしき形寒明くる 平野みち代 201505
オブラートほどの風なり寒明くる 蒲野哲雄 201505
山上の大きな星に寒明くる 畠山昭司 201505
寒明や残り短き絵蝋燭 佐渡谷秀一 対座 201505
寒明や一番風呂の顔の艶 松原三枝子 万象 201505
寒明けて鞄の少し軽くなり 沢辺たけし 万象 201505
寒明けて夕日に染まる聖橋 大坪あきら 万象 201505
寒明けの空を持ちあげ旅人木 田伏博子 ろんど 201505
寒明けと言へど吹き上ぐ峡の風 中田のぶ子 ろんど 201505
唐門の色鮮やかに寒明くる 竹内喜代子 雨月 201505
寒明や未だまだ遠く野辺白し 水谷直子 京鹿子 201506
寒明けの声らうらうと太郎冠者 久留島規子 万象 201506
寒明や魚鱗明りの魚市場 内山照久 201604
寒明くる玻璃は光の増幅器 峰崎成規 201604
百地蔵百の笑み持て寒明くる 都丸美陽子 春燈 201604
しののめの山鳩鳴くや寒明くる 山崎刀水 春燈 201604
寒明けの能面の眉つと開く 水野恒彦 201604
力抜く筆の穂先や寒明くる 前田美恵子 201604
ひとしきり空を焦して寒明くる 馬屋原純子 馬醉木 201605
豆腐売り寒明け夕日連れてくる 石崎浄 風土 201605
幾度か喪服を着たり寒明けぬ 佐藤三男 万象 201605
寒明や猫なく街の夜明前 藤波松山 京鹿子 201605
丸い皿まるく洗うて寒明くる 澤田美佐子 201605
一幹の風の榛の木寒明くる 小林文良 春燈 201605
思ふことあまたあるなり寒明ける 柴田靖子 201605
寒明けてゐし断固たる暦かな 竹下陶子 ホトトギス 201608
寒明けの声らうらうと太郎冠者 久留島規子 万象 201608
抽出しにぬる蜜蝋や寒明くる 鈴木庸子 風土 201701
寒明の日差と雲の鬩ぎ合ひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
寒明けし心の枷をほどかんと 稲畑汀子 ホトトギス 201702
寒明けしことに心のほどけゆく 稲畑汀子 ホトトギス 201702
寒明や通ひ馴れたる空の旅 稲畑汀子 ホトトギス 201702
寒明けや前略とする誘ひ文 鈴鹿呂仁 京鹿子 201704
厠紙からから引いて寒明くる 林昭太郎 201704
寒明の卓よりのぼる埃かな 佐渡谷秀一 春燈 201704
寒明くを待つ杖の音確かなり 横田初美 春燈 201704
寒明や遠くの星も輝やきて 高橋たか子 馬醉木 201704
何もせぬと言うてゴソゴソ寒明くる 今井充子 201705
胸叩き合点承知寒明ける 久保夢女 201705
寒明くる少し濡れゐて朝の道 森なほ子 あを 201704
寒明やパンパンパンと頬はたく 赤座典子 あを 201704
寒明やベルト着用サイン消ゆ 甕秀麿 201705
箸立てに箸匙フオーク寒明くる きくちきみえ やぶれ傘 201705
ルージュだけのマネキンの顔寒明ける 渡邊孝彦 やぶれ傘 201705
寒明や一気に上がるエレベーター 荒井ハルエ 春燈 201705
寒明やトロンボーンと笑む少女 中島陽華 201706
理髪屋のタオル純白寒明くる 曽根富久恵 201706
寒明や列島白く彩られ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
婚約者連れ来し吾娘や寒明くる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
汲み置きの水きらきらと寒明くる 柴崎富子 春燈 201803
寒明けのなさねばならぬこと多く 下平しづ子 雨月 201803
寒明や心の傷は少しづつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
寒明けてなほも列島白銀に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
寒明けてこの一年に腰据わる 森なほ子 あを 201804
保湿器の水足す居間や寒明忌 小張昭一 春燈 201804
寒明けの凪に白光遠伊吹 松本鷹根 京鹿子 201804
マラソンの砲一発や寒明くる 齊藤陽子 201804
寒明を待つばかりなる月日かな 久保晴子 雨月 201804
寒明くる塩壺の塩底をつき 森なほ子 あを 201804
検診の予約延び延び寒明くる 森なほ子 あを 201804
寒明ける動かぬ鯉に手を打つて 有賀昌子 やぶれ傘 201805
浮く亀を橋の上より寒明くる 根橋宏次 やぶれ傘 201805
寒明や宛名未定の引継書 稗田寿明 201805
音もなく静かな空や寒明ける 水谷直子 京鹿子 201805
パイ菓子のぱりつと焼けて寒明ける 有賀昌子 やぶれ傘 201805
寒明の水の走れる筧かな 佐藤花木 雨月 201806
寒明の今朝より目指す模範主婦 小田嶋野笛 末黒野 201806
寒明くる割りし卵に黄身二つ 上林富子 やぶれ傘 201806
寒明の馬磨かるる遠嶺晴 深川淑枝 201807
寒明けや墳すれすれに鳥の腹 吉田葎 201808
寒明や百寿の祝ぎに参じ得て 稲畑廣太郎 ホトトギス 201811
寒明けの小雪新宿大通り 大山夏子 201902
寒明けの貌にもどりぬ城の石 山田六甲 六花 201902
後すざる箒目出口寒明くる 能村研三 201903
寒明けてまむかへば湧く底ぢから 北川孝子 京鹿子 201903
寒明けてだれ待つとなき日暮くる 北川孝子 京鹿子 201903
寒明や箱に林檎の萎びたる 森なほ子 あを 201904
寒明けるぬた場のひかる獣道 鈴鹿呂仁 京鹿子 201904
寒明やジャンジャン横丁にソースの香 浅田光代 風土 201904
寒明ける二枚で足りぬ一筆箋 村田あを衣 京鹿子 201904
寒明けの机上嵩なす古書俳書 安立公彦 春燈 201904
木の枝のほのかなる艶寒明くる 田中藤穂 あを 201904
古本の文字の小さし寒明くる 谷口摩耶 201904
ラケットを背ナに自転車寒明くる 岡田正義 雨月 201905
寒明けや会ふときラメのマニキュアを 近藤紀子 201905
大杉もこの這松も寒明くる 加藤みき 201905
ぬめぬめと鯉の口中寒明くる 田辺満穂 201905
寒明けの城の空堀水の堀 横井遥 201905
楽譜なき水車のリズム寒明くる 石原孝人 京鹿子 201905
寒明けや一錠残る薬瓶 東珠生 京鹿子 201905
潮騒も潮の色も寒明くる 今村千年 末黒野 201905
寒明 →6

 

2021年2月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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