寒 明 4     103句

寒明ける兆し羽毛のやうな月  斧田綾子  獐

  寒明

作品
作者
掲載誌
掲載年月

 悼 山田弘子様

なぜ急ぎ逝かれしや寒明けたるに

稲畑汀子 ホトトギス 201102
寒明けし男ばりばり髭を剃る 丸山佳子 京鹿子 201103
大空も大地もわれも寒明くる 加藤みき 201104
寒明の雲白じらと流れけり 阿部泰子 春燈 201104
寒明くる白き水吐く大水車 小山繁子 春燈 201104
バスタオルこはばつてゐて寒明くる 外川玲子 風土 201104
寒明けの浦風に乗る御霊かな 大木清美子 201104
寒明けて老人力も見せ頃か 千田敬 201104
処分てふ万の鶏の死寒明くる 千田敬 201104
酒樽の箔の真さをに寒明くる 秋葉雅治 201104
寒明や雑魚天旨き伊予の浜 片岡久美子 201105
要らぬ物詰まる抽出し寒明くる 山田をがたま 京鹿子 201105
せせらぎに日の小躍りや寒明くる 大橋伊佐子 末黒野 201105
小流れの鈴の音色や寒明くる 小倉正穂 末黒野 201105
医師の一団寒明けのエレベーター 古屋元 201105
投げし石水面にはねて寒明くる 中石士亮 万象 201105
大鍋を乾かすに火や寒明くる 高倉和子 201105
神鏡は高きにありて寒明くる 大地真理 201105
庭木の実食べ尽されて寒明くる 川村文英 ろんど 201105
がんがんと積む陶石や寒明くる 吉村摂護 201106
寒明けや雨にけぶれる雑木山 矢野百合子 201106
筆太にほねつぎとあり寒明くる 河隅惠子 201106
寒明けの牛舎に充ちる産気かな 森下岩男 風土 201106
赤味帯び三輪の神杉寒明ける 上辻蒼人 風土 201201
寒明けしのちの陽気の定まらず 稻畑汀子 ホトトギス 201202
寒明けしことが油断となりしかな 稻畑汀子 ホトトギス 201202
寒明けの腰にぐづつく痛みかな 布川直幸 201202
寒明けの光の包む先師句碑 占部美弥子 末黒野句集 201203
練り直す朱肉の箆や寒明くる 辻直美 201204
昇竜のやうな夕雲寒明ける 菅谷たけし 201204
寒明くるやり直したき基本の基 篠原幸子 春燈 201204
寒明や裸木にさす薄緑 佐々木薫 かさね 201205
寒明けや裳裾にひとつ泥はねて 加藤みき 201205
身の内の空洞いくつ寒明くる 山崎靖子 201205
寒明や人誘ふに佳き応へ 溝内健乃 雨月 201205
天上の青さ千畳寒明くる 吉田久子 万象選集 201205
針箱の中の無秩序寒明くる 荻野充子 万象選集 201205
寒明の地蔵の紐の昏みをり 小林成子 火星 201205
寒明や陀羅助匂ふ小抽出 田中文治 火星 201205
豪雪の由由しき中を寒明くる 稲岡長 ホトトギス 201206
寒明星隣る星座に係はらず 布川直幸 201301
寒明や今夜も酒が待つてゐる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
寒明といふを諾ふ日差かな 稲畑汀子 ホトトギス 201302
輸送車に乗る寒明けの競走馬 細野恵久 ぐろっけ 201302
触るる手に幹颯々と寒明くる 安立公彦 春燈 201304
寒明やきつつきが樹をたたく音 上原重一 201304
寒明けや病棟まはる床屋さん 野畑さゆり 201304
寒明けて関節の音緩みけり 笠井清佑 201304
寒明くる昭和を一歩遠くして 松嶋一洋 201304
筆先に込め寒明けの悼文 清水由恵 201304
竹の目に錠をはつしと寒明くる 石崎和夫 201305
太陽の窓いつぱいに寒明けぬ 新倉ゆき江 末黒野 201305
瑞垣に柏手とどき寒明くる 西村操 雨月 201305
気がかりをひとつ成し得て寒明ける 中村吟子 ぐろっけ 201305
寒明や月まだ固き宵の空 安立公彦 春燈 201305
寒明の投網のこぼす日の雫 松田泰子 末黒野 201305
寒明の鏡凪せる奥琵琶湖 駒井でる太 馬醉木 201305
寒明のまつはるものを解きけり 遠山みち子 201305
寒明けや紐取り代ふる旅の靴 中島ひろし 末黒野 201305
寒明けの日を享け光り出す大地 犬塚李里子 201305
寒明けのクレーン無職のままで立つ 丸井巴水 京鹿子 201305
寒明けて法事日和といふひと日 津田霧笛 ぐろっけ 201305

 悼・團十郎

柿落し待てず寒明に逝去

上山永晃 春燈 201305
病院に煮物の匂ひ寒明くる 竹内悦子 201305
島指呼に遠富士視野に寒明くる 松本三千夫 末黒野 201305
円空に鉈一丁や寒明くる 雨宮桂子 風土 201305
みちのくのいぶり大根寒明くる 山田暢子 風土 201305
寒明や卒寿の姉を訪うてみむ 宮田千優 京鹿子 201306
寒明やより早口にアメリカ訛り 水谷直子 京鹿子 201306
寒明けし鴉からからからからと 木村享史 ホトトギス 201307
死に恥をさらすことなく寒明けぬ 瀧春一 花石榴 201312
寒明も心の節目なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201402
寒明と聞けば心の添ひゆける 稲畑汀子 ホトトギス 201402
富士山の旅も終りぬ寒明くる 稲畑汀子 ホトトギス 201402
神坐の白砂に立つ寒明り 豊田都峰 京鹿子 201403
寒明くる雲つきぬけて山のあり 高倉和子 201403
寒明くやぬき足さしあし猫とんで 神蔵器 風土 201403
里恋ひのからす一声寒明ける 鈴鹿仁 京鹿子 201403
橋脚の水かげろふや寒明忌 多田文子 201404
水を吐く青銅の獅子寒明くる 丸山允男 春燈 201404
巻寿司の残り香満ちて寒明くる 森下康子 201404
寒明けや轍の跡のやはらかき 増田一代 201404
寒明けて5クール突入癌治療 斉藤裕子 あを 201404
酒蔵の杜氏の士気や寒明くる 和田政子 201404
寒明の靄上げてゐる雑木山 蘭定かず子 火星 201405
寒明のしづかな雨となりにけり 松田明子 201405
寒明のお会式桜空に撒く 雨宮桂子 風土 201405
寒明けや路面電車の試運転 伊吹之博 京鹿子 201405
寒明けや召し捕られたる白鼻心 土屋実郎 末黒野 201405
寒明けや手首に赤きミンサー織 藤田素子 火星 201405
寒明けや空の一枚剥ぐごとく 橋添やよひ 風土 201405
寒明けの耳立ててゐる紙の音 熊谷ふみを ろんど 201405
さざ波に朝日子あそび寒明くる 楠原幹子 201405
只喧嘩怒り押さへて寒明けぬ 村田岳洋 ろんど 201406
寒明の光となりて発つ鴎 森清堯 末黒野 201406
寒明けや木桶に水の満つる音 黒滝志麻子 末黒野 201406
寒明けや各戸に配る殺鼠剤 苑実耶 201406
寒明けの日付大きく仕込樽 榎美幸 万象 201406
寒明くる自縛解かるる心地して 隅田恵子 雨月 201406
寒明くる犬と散歩のマイペース 羽賀恭子 201406
寒明けの雀天よりほぐれ落つ 甕秀磨 201405
寒明けの色鉛筆を削りをり 蒲野哲雄 201405
寒明の待たるる旅路ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201501
寒明 →5      

 

2021年2月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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