寒 明 3     101句

川波の手がひらひらと寒明くる    飯田蛇笏   歳時記(産調出版)

  寒明

作品
作者
掲載誌
掲載年月
一湾のいま青照りに寒明くる 加瀬美代子 200704
寒明くる白きもののみ洗ひけり 風間史子 200705
校舎からオーボエの曲寒明くる 伊藤早苗 200705
楮晒す寒明けの水迸ばしり 橋添やよひ 風土 200705
寒明の息吹の中の茶園かな 久保田嘉郎 酸漿 200705
寒明の日に真向へり噎せにけり 岡本眸 200705
更けて夜の雨音はげし寒明くる 秋山ユキ子 200705
寒明けのものなつかしき雨一日 瀧春一 200706
看護婦の項美わし寒明ける 内山弘幸 八千草 200708
寒明けてこぞり咲くものなにやかや 保田晃 ホトトギス 200709
景徳鎮の亀の水滴寒明くる 雨村敏子 200801
寒明といふ目に見えぬ安堵あり 稲畑汀子 ホトトギス 200802
寒明の山小屋に棲む貉かな 滝沢伊代次 万象 200802
阿と吽の吽は黙して寒明くる 竹貫示虹 京鹿子 200802
寒明を待ちつつ育つ月のあり 阿部ひろし 酸漿 200802
野良猫の章駄天走り寒明くる 那須淳男 馬醉木 200803
寒明の樹々にも恵み翳ふやす 鈴鹿仁 京鹿子 200803
ぎやうさんの錠剤のみて寒明くる 緒方佳子 火星 200804
おもむろに添水の音や寒明くる 後藤大 春燈 200804
寒明けの猩々緋なる陣羽織 冨松寛子 200804
寒明けり枕高くも低くすぎも 丸山佳子 京鹿子 200804
南天の実の輝いて寒明くる 永田あき 酸漿 200804
寒明くる指して指先ほどの富士 布川直幸 200805
糠床を叩き叩きて寒明ける 鎌須賀礼子 万象 200805
寒明けの庭に一輪黄の薔薇 松村光典 やぶれ傘 200805
寒明やいつしか老いし飾り花 荻野千枝 京鹿子 200805
鉄瓶の湯気ふつふつと寒明ける 川崎光一郎 京鹿子 200805
寒明くやゆるむ釦を綴じ直す 疋田巴麻 京鹿子 200805
寒明の明けの明星殊更に 廣瀬義一 雨月 200805
寒明くる朝のなごりの一と雨に 溝内健乃 雨月 200805
寒明の名ばかり電車遅れ来る 溝内健乃 雨月 200805
雷神の一喝に寒明けにけり 田所洋子 雨月 200805
失ひしものをそれとし寒明くる 岩垣子鹿 ホトトギス 200806
寒明のことなど話し看取妻 岩崎慶子 200806
充電を告げるアラーム寒明ける 佐藤静子 やぶれ傘 200806
寒明けてよりの六甲颪かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
寒明や旅心とは里心 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
ちぐはぐに呑む錠剤や寒明くる 上原榮子 京鹿子 200901
寒明けの墓域眞ツ赤な花を見る 瀧春一 深林 200901
寒明くる猫の鼻先ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
寒明けてまだちらちらと白き使者 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
寒明は黒き土より始まれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
日の本といふ寒明の一部分 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
寒明けてよりの不順をかこつ日々 稲畑汀子 ホトトギス 200902
先繰りは船場ことばよ寒明くる 稲畑汀子 ホトトギス 200902
寒明けの大門あける寺の音 滝沢伊代次 万象 200902
天井の龍の髭擾ね寒明ける 田下宮子 200904
遠く病む妹励まし寒明けぬ 村上光子 馬醉木 200904
寒明けの風にととのふ瀬音かな 安立公彦 春燈 200904
供華剪れば青く匂へり寒明くる 安藤利恵 春燈 200904
飴二つ机上に眠り寒明くる 布川直幸 200904
医院開く錠前の音寒明くる 四條進 200904
寒明けや雑木の肌の光り帯び 吉沢陽子 200904
寒明けや憎めぬ孫の反抗期 青野安佐子 200904
紙鍋にぽぽと揺るる火寒明くる 甲州千草 200904
寒明くるきゆるきゆるぽんと栓抜けば 林昭太郎 200904
寒明ける口中の飴すぐに溶け 伊東和子 200905
寒明けや母と連れ立ち美容院 赤木亜華里 200905
寒明や作品展の準備中 加藤みき 200905
観音経の延命十句寒明くる 冨松寛子 200905
夜どほしの点滴の音寒明くる 中山皓雪 200905
いないいないばあ繰返す嬰や寒明くる 折橋綾子 200905
モノレール寒明け晴の発光体 佐久間由子 200905
七針の手術の予後や寒明くる 北村香朗 京鹿子 200905
寒明や竹屋は竹を伐つてをり 宮崎安汀 春燈 200905
寒明けを告ぐる証や浅間墳く 小島禾汀 春燈 200905
寒明の回廊渡り通夜の席 永島雅子 春燈 200905
寒明けの午後鉄棒にぶらさがる 天野美登里 やぶれ傘 200905
ちぎり絵の牛の親子や寒明くる 大嶋洋子 春燈 200905
寒明けのトースト焼ける匂ひかな 國保八江 やぶれ傘 200905
北斗星どこからも見え寒明くる 館容子 200906
寒明けや光れるところ水流れ 足立幸信 200906
寒明の畦を鴉の跳び歩き 佐藤雄二 万象 200906
赤白の鉄塔しやんと寒明ける 森津三郎 京鹿子 200906
寒明けの地球を覆ふ黒い雲 森津三郎 京鹿子 200906
寒明けや皿にくづれし目玉燒 並河富有野 京鹿子 200906
寒明は地球自転の一部分 竹下陶子 ホトトギス 200907
寒明けの水面を揺らす鯉の群 樋口みのぶ 200907
寒明くやハワイ・コナーブラックで 神蔵器 風土 201003
寒明も近き月なり夜半の窓 阿部ひろし 酸漿 201003
寒明けて五分の魂動きだす 森下康子 201004
寒明けや水のすべりてダムの壁 鷹羽狩行 201004
水滴の亀の口より寒明くる 雨村敏子 201004
寒明を告ぐる母郷の瀬音かな 高埜良子 春燈 201004
寒明けの水のまろびて水琴窟 伊藤敬子 201004
寒明けや沖の漁火数増しぬ 加藤克 201005
京都タワー寒明の空突き刺せり 横井明子 201005
凭るるにほどよき柱寒明くる 館容子 201005
箒目の立ちし里宮寒明くる 折橋綾子 201005
寒明や母そつくりの座りだこ 数長藤代 201005
星々のほほゑみ交はし寒明くる 曷川克 遠嶺 201005
雑踏の電話の小声寒明ける 伊藤希眸 京鹿子 201005
寒明や未明の空を宇宙船 小川玉泉 末黒野 201005
寒明の鏡に素顔多き皺 武司琴子 ぐろっけ 201005
ゆるぎなき射手の力矢寒明くる 水谷靖 雨月 201005
電柱はどこへもゆかず寒明けぬ 瀬戸悠 風土 201005
手提げには夕餉のおかず寒明くる 天野美登里 やぶれ傘 201006
寒明けの格天井の椿の絵 酒井湧甫 201006
寒あけや塩干物の旨かりき 瀬川公馨 201006
寒明けしことにも老のかしづける 竹下陶子 ホトトギス 201007
寒明けや軒に出したる古床几 西村雪園 風土 201101
寒明 →4      

2021年2月8日 作成

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