髪洗ふ 1          210句

髪洗ふいま宙返りする途中    恩田侑布子

洗ひ髪  髮洗ふ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
すぐそばに汀ありけり髪洗ふ
竹内悦子
199807
髪洗ふなり明日喪主の構へ無く
密門令子
雨月
199810
ガンジスの聖き濁りに髪洗ふ
鷹羽狩行
199908
さざ波のごとく忌が明け髪洗ふ
丸山佳子
京鹿子
199908
絹の道旅して夜ごと髪洗ふ
金森教子
雨月
199908
前頭葉遊ばせながら髪洗ふ
頓所友枝
199909
明日逢へる人を想ひて髪洗ふ
上田尚義
俳句通信
199909
転勤で群馬に来る娘髪洗ふ
松沢久子
いろり
199909
髪洗うとき襟足の奥くらく
田伐平三郎
ぐろっけ
199909
髪洗ふ対馬の夜のなごりとも
花藤原照子
199911
髪洗ふ娘らの頭は卵型
和田友季子
円虹
199911
髪洗ひおやま坐わりの刀自御寮
吉田すばる
京鹿子
199912
失明を免れし眼や髪洗ふ
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
豪快に旅の汚れの髪洗ふ
伊藤康子
ぐろっけ
199912
こんな夜は何かありさう髪洗ふ
谷泰子
ぐろっけ
199912
一枚のはがきに爪切り髪洗ふ
丸山佳子
京鹿子
200007
髪洗ふ叶はぬことを夢に見て
大平保子
いろり
200009
髪洗ふいまさら恋の芽生へとは
大平保子
いろり
200009
気掛りの返書かき終へ髪洗ふ
安田登志子
ぐろっけ
200009
母娘さえ意見の縺れ髪洗ふ
保坂加津夫
いろり
200010
髪洗ふ遠き日のことさみしかり
大平保子
いろり
200010
いなびかり遠くにけふの髪洗ふ
水井千鶴子
風土
200011
髪洗ふさなかのくやし涙かな
小菅暢子
200011
けふの煩ひけふにて終へむ髪洗ふ
武井清子
200011
わだかまり流すごとくに髪洗ふ
侭田伊都希
いろり
200107
紫外線浴びて帰りし髪洗う
中野哲子
六花
200107
髪洗ひ明日は機上の人となる
浦川澄恵
雨月
200108
灯を細め師を喪ひし髪洗ふ
小澤克己
遠嶺
200108
もう何も起きぬ黒髪洗ひけり
下村志津子
銀化
200108
ふるさとの山引き寄せて髪洗ふ
長尾康子
風土
200109
ナースコールボタンのありて髪洗ふ
田中英子
火星
200109
もの忘れおそれてをりし髪洗ふ
赤川孝子
200109
あるがまま気ままに生きて髪洗ふ
大平保子
いろり
200109
今日は今日でいちばん好い日髪洗ふ
加賀富美江
遠嶺
200111
懇ろに明日は手術の髪洗ふ
中島真沙
円虹
200111
慣はしの七夕の日の髪洗ふ
河野扶美
ホトトギス
200201
祈るさまして立冬の髪洗ふ
佐野美智
200201
髪洗ふたび山姥となり果てる
斉藤由美子
ぐろっけ
200205
旅了へて海の匂ひの髪洗ふ
平田倫子
百鳥
200209
いはれなき淋しき日なり髪洗ふ
柴田靖子
200209
髪洗ふまことしやかな嘘をつき
小田智恵子
200210
髪洗ひ旅の余韻の中にあり
竹内喜代子
雨月
200210
裏方に徹するほかなき髪洗ふ
久保田雪枝
雨月
200210
流れに入りてきしきしと髪洗ふ
平居澪子
六花
200210
髪洗ふおのれの奈落のぞくかに
楠原幹子
200210
髪洗ふ仰臥漫録拝さむと
片山喜久子
雨月
200211
髪洗ふあんなに遠い海の香が
中島たまな
200211
病院に出張美容師髪洗ふ
小野寺節子
風土
200304
髪洗ふ七つは若くなりにけり
佐藤瑛
帆船
200308
生類のわれ蹲ひて髪洗ふ
田村園子
200308
路地の風ひとり占めして髪洗ふ
林田江美
馬醉木
200309
潮騒の耳を離れぬ髪洗ふ
大曽根育代
遠嶺
200309
海女戻り潮病みしたる髪洗ふ
下平しづ子
雨月
200309
惡徳を見し眼をあらひ髪洗ふ
泉田秋硯
200310
悲しきとき嬉しきときも髪洗ふ
永井収子
200310
髪洗ふ母に明日の予定告ぐ
中谷喜美子
六花
200310
髪洗ふ自由市民でありがたし
丸山佳子
京鹿子
200310
溢れ落つ涙もろとも髪洗ふ
平間裕子
対岸
200310
髪洗ふ亡母よりも斯く永らへて
萩原記代
200312
聖女とも魔女ともなれぬ髪洗ふ
橋本五月
200312
一人居の捨てるもの捨て髪洗ふ
菊地嘉江
帆船
200401
平凡な器と思ひ髪洗ふ
丸山佳子
京鹿子
200406
泣くところ見せたくなくて髪洗ふ
森田子月
ぐろっけ
200407
けふの幸こぼさぬやうに髪洗ふ
岡部名保子
馬醉木
200409
旅前夜たんねんに髪洗ひをり
亀井幸子
築港
200409
訃を一つ胸にたたみて髪洗ふ
高橋瑛子
河鹿
200410
一と言がこころに残り髪洗ふ
中村洋子
風土
200410
さつきまで夕日を浴びし髪洗ふ
高橋あゆみ
200410
憂き心ほぐれぬままに髪洗ふ
家塚洋子
酸漿
200410
鬱一つ流さむためや髪洗ふ
渕脇登女
200411
覚悟とはあやふやなもの髪洗ふ
山口奈代
河鹿
200412
悪徳を見し眼を洗ひ髪洗ふ
泉田秋硯
黄色い風
200505
男には男の悩み髪洗ふ
塩川雄三
築港
200507
杉花粉浴びて帰りし髪洗う
中野哲子
六花
200507
聞き流す一語ありけり髪洗ふ
清水ミツコ
200508
人の手にうつらうつらと髪洗ふ
尾堂Y
河鹿
200509
浪音のまだ耳奥に髪洗ふ
石本百合子
馬醉木
200509
髪洗ふ軽くなるものならぬもの
伊藤早苗
200509
万博に疲れし夜の髪洗ふ
堀弓子
築港
200509
形見分すべて終りし髪洗ふ
嶋崎茂子
百鳥
200510
あどけなき腕を立てて髪洗ふ
藤本鷹山
百鳥
200510
葬果て抹香染むる髪洗ふ
玉置かよ子
雨月
200510
髪洗ふ眼閉づれば怒濤音
荒井千佐代
200510
すつぽりと今日を抜け出し髪洗ふ
佐山苑子
遠嶺
200511
裏方に徹せし女髪洗ふ
和田照子
200602
鏡にも慣れきてま白髪洗ふ
丸山佳子
京鹿子
200605
髪洗ふ三瓶の風に触れながら
稲畑廣太郎
ホトトギス
200607
逢ひたしと思ふ日のあり髪洗ふ
高橋瑛子
河鹿
200608
髪洗ひをり結願の前の寺
渡辺ひろし
200608
空手着を日陰に干して髪洗ふ
市川十二代
ぐろっけ
200608
許せない私を洗ふ髪洗ふ
川畑はるか
遠嶺
200609
硫黄の香染みにしみたる髪洗ふ
西村しげ子
雨月
200609
髪洗ふ十二単の頃おもふ
代田幸子
200610
二万歩の太陽浴びし髪洗ふ
望月晴美
200611
湯の花の源泉に髪洗ひけり
菅沼義忠
200611
ふる里に帰らぬと決め髪洗ふ
平田紀美子
風土
200611
とある日の弱気ごころや髪洗ふ
生方ふよう
200611
髪洗ふ耐ふる思ひのおのづから
糸井芳子
200612
日記には書かず忘れず髪洗ふ
柴田佐知子
200612
一月の大切な日へ髪洗ふ
田原陽子
200704
某日のことを寸記し髪洗ふ
丸山佳子
京鹿子
200707
禁令のひとつづつ解け髪洗ふ
小菅礼子
春燈
200708
旅立ちを明日に只管髪洗ふ
笹原紀世子
200708
氣を変ふるべく髪洗ふ孤りとは
岡本眸
200708
入院の心得多し髪洗ふ
宮崎高根
200709
野辺送り果てたる夜の髪洗ふ
生方ふよう
200709
身の内の塩出し切つて髪洗ふ
竹中一花
200710
髪洗ふ漓江下りの昂ぶりに
夏目満子
酸漿
200710
髪洗ひあなたとの過去消してゆく
稲畑廣太郎
ホトトギス
200807
恙がなく日進月歩髪洗ふ
丸山佳子
京鹿子
200807
背骨浮く背なを丸めて髪洗ふ
ことり
六花
200807
木隠れに謎めく湯宿髪洗ふ
澤田緑生
馬醉木
200808
髪洗ひ妻きつぱりとものを言ふ
澤藤蓑助
200808
嬰の髪洗ふ盥や金の星
竹中一花
200810
諍ひし悔のいささか髪洗ふ
高村和子
春燈
200810
考えても始まらぬこと髪洗ふ
有馬克代
200810
髪洗ふ声の明るくなりゐたり
青山正生
200811
髪洗ふしなやかな身の二つ折り
田口紅子
200812
怒濤めく一日なりし髪洗ふ
鷹羽狩行
200907
一釜の湯でたらざりし髪洗ふ
宮崎左智子
200909
省略を重ねしけふの髪洗ふ
田村園子
200909
明日へとつなげる命髪洗ふ
竹下昌子
200909
鑑真に会ひに行く髪洗ひけり
城孝子
火星
200909
髪洗ふすべてゆるせる心地して
安部里子
あを
200909
ルーブル展終らぬうちにと髪洗ひ
丸山佳子
京鹿子
200909
髪洗ふ翁の句碑を口遊み
竹内悦子
200910
留守居して昼風呂わかし髪洗ふ
小野寺節子
風土
200910
丹念に再生の髪洗ひけり
木下もと子
200910
熱き湯に仮のいのちの髪洗ふ
冨松寛子
200911
春の雪明りに昼の髪洗ふ
渡辺数子
火星
201005
晩年の五感ゆるりと髪洗う
丸山佳子
京鹿子
201006
髪洗ふ思ひ切りよく切りにしを
ことり
六花
201006
髪洗ふ蕉心会で会へるから
稲畑廣太郎
ホトトギス
201007
少年が怒つたやうに髪洗ふ
小林朱夏
201007
逢ふための一握の髪洗ふなり
田原陽子
201008
髮洗ふ治りはじめの傷痒し
鎌倉喜久恵
あを
201008
ふかぶかと俄悔のごとく髪洗ふ
木村麻利子
201009
髪洗ふ弱りし脳を解すごと
米山喜久子
201009
髪洗ひ苦手な媼訪ひに行く
米山喜久子
201009
髪洗ひ手術同意書読み返す
岡野ひろ子
201009
海峡線越え来し宿や髪洗ふ
藤原照子
201009
忘れたきこと懸命に髪洗ふ
大泉美千代
雨月
201009
今日よりは明日と思ひて髪洗ふ
渋谷ひろ子
酸奬
201009
謝れば収まることよ髪洗ふ
苑実耶
201010
手術の目いたはりながら髪洗ふ
山田閏子
ホトトギス
201011
父の星捜しあぐねて髪洗ふ
卯辰美苗
万象
201011
浮世絵に戻りたくなり髪洗ふ
山中志津子
京鹿子
201011
髪洗ふむかしは人にあやまらず
あさなが捷
201012
恋人に明日逢ふと云ひ髪洗ふ
布川直幸
201107
髪洗ふ度に出でくる一場面
甲州千草
201108
戦捷の驕り見し髪洗ひけり
刈米育子
201109
髪洗ひ貰ひて清し夜の秋よ
大橋敦子
雨月
201109
亡夫つま知らぬパーマネントの髪洗ふ
古井公代
ぐろっけ
201109
この年を祈り返す髪洗ひけり
田村園子
201110
逢ひたき日罪ある如く髪洗ふ
宮井知英
201110
熟年婚出来さうな髪洗ひけり
岡田弘美
201110
流すもの流せざるもの髪洗ふ
コ田千鶴子
花の翼
201111
朝の髪洗ひて生気取り戻す
仙石君子
雨月
201111
髪洗ふ心底母に逢ひたき日
宮井知英
201112
脛の傷やさしく撫でて髪洗ふ
小林正史
201205
髪洗ふ今日はあなたに会へるから
稲畑廣太郎
ホトトギス
201207
手応へのなき母の髪洗ひけり
高倉和子
201207
物忘れ多くなりたる髪あらふ
河隅惠子
201208
お護りをいただいてゐる髪洗ふ
河隅惠子
201208
お護りをいただいてゐる髪洗ふ 河隅惠子 201208
天城路を歩きし夜の髪洗ふ 小松昭子 風土 201208
うかうかと八十路過ぎにし髪洗ふ 安田とし子 ぐろっけ 201208
髪洗ふ少女も女の顔となり 柴田靖子 201209
七回忌修し独りの髪洗ふ 岡井しげ女 春燈 201210
無きことにして真夜中の髪洗ふ 柴田佐知子 201210
髪洗ひ危ふきこころ引き戻す 割田容子 春燈 201211
さして身を惜しむでもなく髪洗ふ 小張志げ 春燈 201310
何をせし腰の痛みや髪洗ふ 三輪慶子 ぐろっけ 201310
父よりのつむじ曲りの髪洗ふ 山田正子 201310
あるがまま生きると決めて髪洗ふ 井手本恭子 201310
うつし世のちりかぶりきし髪洗ふ 山田春生 万象 201311
髪洗ひひと日の憂ひ流したり 加藤静江 末黒野 201311
初期研修了へて短き髪洗ふ 荒井千佐代 201311
髪洗ふなされるがまま末つ子は 石川裕美 ぐろっけ 201311
髪洗ひひと日の憂ひ流したり 加藤静江 末黒野 201311
髪洗ふ乳がん検査終へし夕 小山陽子 やぶれ傘 201407
髪洗ふ女心を夫知らず 高橋将夫 201408
海風に晒して重き髪洗ふ 坂場章子 201409
支へられ術後十日の髪洗ふ 玉置かよ子 雨月 201409
髪洗ふ失ふもののまだ残り 中山皓雪 201409
髪洗ふ哀しきことの多かりき 安部和子 雨月 201409
忘れたきこと忘れ得ず髪洗ふ 川崎真樹子 春燈 201410
髪洗ふ天地引つ繰り返しつつ 細川洋子 201410
拾ひたる命と思ふ髪洗ふ 今井千鶴子 ホトトギス 201411
そののちのノラを思ふ日の髪洗ふ 井原美鳥 201507
オホーツクの潮の香残る髪洗ふ 林いづみ 風土 201508
髪洗ふ流しきれない事のあり 塩千恵子 201509
反省のあとも反省髪洗ふ 齋藤厚子 201509
何もせぬ何も出来ぬ日髪洗ふ 宮井知英 201510
髪洗ふけふの私を許すため 有松洋子 201510
胸ぬちに憂きこと一つ髪洗ふ 片岡さか江 末黒野 201510
髪の多きは母ゆづり髪洗ふ 佐藤淑子 雨月 201510
百論に結論一つ髪洗ふ 吉岡渥子 京鹿子 201601
失念も気落ちもともに髪洗う 大山夏子 201603
祖父入りし温泉のまだ在りて髪洗う 岡本尚子 風土 201605
髪洗ふ明日に手術を控へゐて 志方章子 六花 201608
髪洗ふ心に柱ひとつ立て 松林依子 201610
髪洗ふわたし謝ることとする 上野紫泉 京鹿子 201611
髪洗ふ一憂泡と流すべく 平野みち代 201611
通院の疲れ治めに髪洗ふ 松原智津子 万象 201611
髪洗う今日の気分はフラッパー 赤坂恒子 船団 201702
太陽に仕へしけふの髪洗ふ 田所節子 201709
髪洗ふ菜をあらふやう扱きつつ 高橋道子 201709
潮の香の重たくしたる髪洗ふ 坂場章子 201709
五体皆他人に任せて髪洗ふ 臼杵游児 春燈 201710
髮洗ふ →2      

 

2021年8月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。