杜 若     157句

すてられて又さく花や杜若    正岡子規

杜若  かきつばた  燕子花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
捨て舟の沼に漂ふ杜若 河上麗子 春耕 199809
紫は唐衣の色杜若 中川濱子 ぐろっけ 199908
蓬莱の石組に島杜若 河野美奇 円虹 200005
腰掛の人暮れてをり杜若 山田六花 六花 200005
踏み跡に水のしみ出て杜若 正木光子 いろり 200007
杜若からくり時計お八つ刻 中野哲子 六花 200107
雨粒の曲水なりし杜若 雨村敏子 200108
金箔の残る仏や杜若 沼田巴字 京鹿子 200109
男傘さして見にゆく杜若 日下敬 船団 200110
百歳の吾がのぞいて杜若 岡井省二 200112
浮島は姫の化身の杜若 稲畑汀子 ホトトギス 200206
靴紐を結び直して杜若 山田六甲 六花 200206
杜若四斗樽干してゐたりけり 石脇みはる 200208
踏み込めぬ影の暗さや杜若 吉村玲子 円虹 200209
杜若といへば杞陽のその一句 大橋敦子 雨月 200209
杜若当り箱から水の音 宮津昭彦 200307
蕪村詠みし白杜若いまだ知らず 大橋敦子 雨月 200307
もの書きに雨音まじる杜若 小澤克己 遠嶺 200307
三代で源氏亡びぬ杜若 中村房枝 六花 200307
ふたりづつ渡る木橋や杜若 原茂美 雲の峯 200307
乱文にてあらあらかしこ杜若 中嶋弘子 帆船 200308
業平の東の色に杜若 神蔵器 風土 200308
残り咲く禁裏の色の杜若 斉藤小夜 風土 200308
紫の水影流れ杜若 福盛悦子 雨月 200308
奥書院ひといろに咲く杜若 金森教子 雨月 200308
沢水に老杉の影杜若 山田由利枝 雨月 200308
光悦の鳥うたひだす杜若 柴田英彰 200309
丹波越えしてきし雨か杜若 奥田節子 火星 200309
宿坊を訪ねてゐたり杜若 石脇みはる 200407
鉄パイプ組立ててをり杜若 石脇みはる 200407
杜若女神の森の橋がかり 豊田都峰 京鹿子 200408
手拍子がつづいてをるや杜若 雨村敏子 200408
杜若ぬたつくること思ひつく 中山純子 万象 200408
鯉跳ねる池のほとりの杜若 南良太郎 築港 200408
濃淡の風のむらさき杜若 浦松静子 築港 200408
杜若少し疲れし男かな 内藤ゑつ ゑつ 200411
夕風にはじまる行や杜若 沼田巴字 京鹿子 200501
せせらぎの音杜若帰り咲く 前田雅章 雲の峰 200502
斗樽を洗うてゐたり杜若 石脇みはる 200507
水の辺の白杜若水に染む 川口弘子 築港 200507
杜若に雨のきてをり阿弥陀仏 谷村幸子 200508
街の音に咲く神苑の杜若 助口弘子 火星 200508
歌垣の風に色得て杜若 西村しげ子 雨月 200508
二人連れ撮つて撮られつ杜若 南静子 築港 200508
鎌低く使うてをりぬ杜若 飯塚ゑ子 火星 200509
杜若読めぬ字多き書道展 高倉恵美子 200511
杜若咲かせて女系家族かな 稲畑汀子 ホトトギス 200606
業平寺はやばや芽吹く杜若 松崎鉄之介 200606
すぐ裏の川音に寝ね杜若 竹内悦子 200608
山寺の軋む濡れ縁杜若 望月洋子 200608
杜若兄の白髪増えやすし 深澤鱶 火星 200609
掛物は城主の文や杜若 佐野静子 遠嶺 200609
両袖に石の蔵置く杜若 田村すゝむ 風土 200707
この朝や言ふなれば白杜若 阿部ひろし 酸漿 200707
杜若に手をさしのべて足濡らす 小平恒子 酸漿 200707
かきつばた傾ぎそめ大杜若 井上信子 200708
田の水とともども昏れし杜若 藤井昌治 200708
雨の音は安心あんじんの音杜若 竹内悦子 200709
杜若深い女になりきれず 松田都青 京鹿子 200709
水底の雲より立ちて杜若 柴田久子 風土 200709
帝より賜ひしといふ杜若 竹内喜代子 雨月 200709
杜若客待ちの水夫聖書読む 石橋萬里 ぐろっけ 200709
動かざる水の面に芽の杜若 足立武久 酸漿 200805
紫の風起しけり杜若 和田照子 200808
思ふことひとつになりぬ杜若 浅田光代 風土 200808
住吉に旧蹟あまた杜若 溝内健乃 雨月 200808
社家の庭よこぎる小川杜若 丑久保勲 やぶれ傘 200808
童心に憂きことなしや杜若 小國佐世子 遠嶺 200809
杜若剪りて水の香奔らする 丹羽啓子 馬醉木 200901
ラマンチャの男旅立つ杜若 成瀬櫻桃子 春燈 200901
杜若くぐれる水の匂ひけり 平野伸子 馬醉木 200908
むらさきは魅惑の色よ杜若 堀百合子 200908
杜若ててかむ虫のそこらぢゆう 加藤みき 200908
天を突く葉先も揃ふ杜若 家塚洋子 酸漿 200908
会ひ得しは「折鶴」の銘杜若 橋添やよひ 風土 200908
杜若未明の橋を渡りけり 本多俊子 200909
まさらなる奉賀帖くる杜若 井上信子 200909
杜若近江の里を色紙にす 島純子 ぐろっけ 200909
夢のはじめも夢の終りも杜若 水野恒彦 200910
杜若雨に打たるる業平忌 酒井湧甫 200911
貴の色極むむらさき杜若 大橋敦子 雨月 201007
みくまりの賀茂の社の杜若 橋添やよひ 風土 201008
平安のいろのたとへば杜若- 橋添やよひ 風土 201008
杜若色を深むる細き雨 舩越美喜 京鹿子 201008
流水に耳傾げをり杜若 五ケ瀬川流一 六花 201008
師の句碑と杜若あり川の音 石脇みはる 201009
八橋の故事繙きぬ杜若 片岡良子 雨月 201009
伝説はすべて悲しき杜若 稲畑汀子 ホトトギス 201106
杜若三瓶の旅も旬日に 稲畑汀子 ホトトギス 201106
すくすくと一本立ちの杜若 大橋敦子 雨月 201107
春嶽の書に置く白き杜若 田中藤穂 あを 201107
杜若を前に社殿の雅びかな 伊庭玲子 201108
杜若太古の沢へ祝詞かな 五十嵐勉 201108
杜若にこぶ白鳥の番かな 西垣順子 201108
嫋々の雨に杜若の残り花 藤岡紫水 京鹿子 201109
むらさきは雨似合ふ花杜若 玉置かよ子 雨月 201109
杜若翁の句碑にしばし佇ち 廣瀬義一 雨月 201109
夕餉に間あり杜若見にゆかむ 田所洋子 雨月 201109
杜若紫の辺は暮れてをり 田所洋子 雨月 201109
杜若矜恃たもちし祖母の色 野坂民子 馬醉木 201110
沼に浮く姫の化身の杜若 稻畑汀子 ホトトギス 201206
杜若鮎やはらかく鯉を追ひ 大島翠木 201208
遠き世も一睡にして杜若 寺田すず江 201208
杜若秘めたるいろを伝へけり 市川玲子 春燈 201208
杜若だるま落としは真横から 甕秀麿 201209
異文化を楽しむ心杜若 伊吹之博 京鹿子 201209
来訪を指折り数へ杜若 伊吹之博 京鹿子 201209
万葉の歌碑をそびらの杜若 杉山瑞恵 雨月 201209
琵琶湖畔たゆたふ水の杜若 溝内健乃 雨月 201209
杜若沢一面の光琳図 北村淳子 ろんど 201209
遊女塚癒すごとくに杜若 占部美弥子 末黒野 201210
杜若やつぱり忘れられぬ君 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
昔日を愛しむ色の杜若 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
濃き色へ水は饒舌杜若 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
杜若水に映せし気品かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
父の字のさらりと座る杜若 井上信子 201306
杜若見ての帰りの焼だんご像夏燕 丑久保勲 やぶれ傘 201309
高原の朝靄染むる杜若 北郷和顔 末黒野 201310
心してどれを剪らうか杜若 中山静枝 201407
朽ちかけし岸辺の杭や杜若 廣瀬雅男 やぶれ傘 201408
杜若とんぼうの翅触れてゆく 池田光子 風土 201408
何時にても忘れ上手や杜若 井上静子 201508
雨上がりしずく重たげ杜若 赤座典子 あを 201508
杜若盲導犬の雨合羽 河島坦 京鹿子 201510
井戸水のはじめは濁り杜若 戸栗末廣 201604
天平のいろを残して杜若 橋添やよひ 風土 201608
筆舐めて宛名書きする杜若 竹内悦子 201608
父の郷とんと御無沙汰杜若 東英幸 船団 201702
杜若雨に濡れんがために咲く 高橋将夫 201705
空よりも水の明るき杜若 渡邊千枝子 馬醉木 201707
水琴窟の音さやけしや杜若 伊川玉子 万象 201708
沢に降る雨しめやかに杜若 西千代恵 雨月 201708
御退位も近き皇居や杜若 高濱朋子 ホトトギス 201710
大鼓(おほかは)の音に太るや杜若 竹中一花 201808
池にある飛石づたひ杜若 細川コマヱ 雨月 201808
住みなれて花愛づる日々杜若 安部和子 雨月 201809
蕉翁の詠みし池畔の杜若 谷村祐治 雨月 201809
業平の世より継がるる杜若 西村しげ子 雨月 201809
尼寺の安らぎに咲き杜若 堀井英子 雨月 201809
杜若きのうゴッホに会ってきた 山岡和子 船団 201811
豊潤な時間流れる杜若 仁上博恵 201902
杜若より歩を移す水辺かな 稲畑汀子 ホトトギス 201906
雨誘ふ如くに咲けり杜若 稲畑汀子 ホトトギス 201906
借景のかすんでゐたり杜若 寺田すず江 201908
木洩れ日に光るせせらぎ杜若 高橋正江 末黒野 201909
小流れの音のかろやか杜若 小林共代 風土 201909
さざ波の尽くる水辺や杜若 笹村政子 六花 201909
杜若無調の音の流れたる 瀬川公馨 202008
名は心凛々し群咲く杜若 植村蘇星 京鹿子 202009
杜若葉神のことばの滴れり 安田優歌 京鹿子 202009
杜若無調の音の流れたる 瀬川公馨 202009
杜若すがすがしさを胸に持ち 大橋晄 ホトトギス 202010
杜若業平振りに揃ひけり 小林共代 風土 202107
杜若見る正眼の構へして 森岡正作 202207
杜若のころ再会は軽ろやかに 塩貝朱千 京鹿子 202209
業平忌いづれ菖蒲か杜若 内藤静 風土 202209
社家の角曲がつてすぐの杜若 丑久保勲 やぶれ傘 202209
業平を思うてゐしか杜若 原ひろ子 202209

 

2023年5月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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