返り花 5     166句

かへり花咲よしもなく咲にけり   白雄

返り花  二度咲  忘れ花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
帰り花芝公園の明け初むる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
帰り花沈む心に灯をともし 柴田靖子 201701
亡き父の一語は重し返り花 藤井寿江子 馬醉木 201701
神の息触れたるところ返り花 中村房子 馬醉木 201701
ど忘れを許し合ふ笑み帰り花 門伝史会 風土 201701
境内に誕生水井戸帰り花 鈴木庸子 風土 201701
當り前のやうに咲きをり返り花 中田みなみ 桜鯛 201701
諸人の千々の乱れや返り花 鈴鹿呂仁 京鹿子 201701
銅像の眼鏡が可笑し返り花 中田みなみ 201701
帰り花午後の日差しの頬に来し 秋千晴 201701
返り花白緒の草履土間に干し 田中とし江 201701
殉職の碑に鶴嘴や返り花 横田敬子 201701
素気なき幹に灯せる帰り花 能村研三 201701
帰り花親子で違ふ家事流儀 須田千代 201701
帰り花親子で違ふ家事流儀 須田千代 201701
帰り花今日も二合の米を磨ぐ 須賀敏子 あを 201701
老父母のあつあつぶりや帰り花 江島照美 201702
朝の地震波動ゆるりと返り花 岡山敦子 京鹿子 201702
返り花閉ぢこめてゐる物語 上野紫泉 京鹿子 201702
盛土せし特攻基地や帰り花 柴崎甲武信 春燈 201702
帰り花声なきこゑに耳澄ます 卜部黎子 春燈 201702
落とし物か土手に二輪の帰り花 松本三千夫 末黒野 201702
好日の山門明し返り花 福田禎子 末黒野 201702
二歩三歩戻りて仰ぐ返り花 亀卦川菊枝 末黒野 201702
幸せはしあはせを呼ぶ返り花 太田昌子 馬醉木 201703
帰り花急いて急かざる用抱へ 長谷川翠 馬醉木 201703
神域に響く木沓や帰り花 森清信子 末黒野 201703
植木屋の切り残したる返り花 岡淑子 雨月 201703
清らかな黄や蒲公英の返り花 西村しげ子 雨月 201703
水音の昏くなりたる返り花 戸栗末廣 201703
帰り花気儘と言ふは頼りなし 宮井知英 201703
濡れ縁によく日の当たる返り花 曽根富久恵 201703
未来図を描くも塗るも帰り花 高野昌代 201705
来世とはまばゆき言葉返り花 小山田子鬼 201801
はせを句碑古りたんぽぽの返り花 樺山翠 雨月 201801
隠沼に日の差しきたり返り花 松田多朗 馬醉木 201801
返り花褒められたくて耳を寄す 大網健治 201802
干し物の影まで乾く返り花 阿久津勝利 万象 201802
太陽のスポットライト帰り花 後藤眞由美 春燈 201802
持ち味を生かし高みへ返り花 植村蘇星 京鹿子 201802
湖よりも山しづかなり帰り花 片山煕子 京鹿子 201802
遠き日の山は遊び場帰り花 石原孝人 京鹿子 201802
いま少し欲しき日差しや返り花 饗庭惠子 末黒野 201803
ものの色夕べは淡し返り花 梅村すみを 201803
生かされて今ここにある返り花 犬塚芳子 201804
日溜の墓地に一輪返り花 菊澤さち子 雨月 201804
帰り花喪中はがきを受け取りし 岡田香緒里 やぶれ傘 201804
返り花十字路脇の駐在所 遠山のり子 201804
返り花見つけた気分ブックカフェ 林せり 船団 201806
逆縁の娘に母親に帰り花 竹下陶子 ホトトギス 201806
返り花数ほどほどに目立ちけり 中田みなみ 201806
返り花8864傾いて良し 梨地ことこ 船団 201809
曇りのち晴れ白い躑躅の返り花 浦川哲子 201811
潮入りの御猟場の跡帰り花 大山夏子 201811
勘違い素直に戻れぬ帰り花 酒井たかお 201811
カーナビに載らない小路帰り花 山田邦彦 201811
いくたびも失ふ所在帰り花 稲畑汀子 ホトトギス 201811
歩休めの夫に気付けり帰り花 成宮紀代子 201811
朝霧の置き残しけり返り花 伊丹さち子 馬醉木 201901
墓山に来てたんぽぽの返り花 工藤義夫 馬醉木 201901
木の影の生れては消えて返り花 森なほ子 あを 201901
陽の目見し未完の遺作帰り花 塚本虚舟 やぶれ傘 201902
植込みに紛れてゐたる帰り花 永田万年青 六花 201902
御陵の立入禁止帰り花 永田万年青 六花 201902
引き寄せて枝冷たかり帰り花 善野行 六花 201902
町へ出る朝のひかりに帰り花 善野行 六花 201902
静けさや背景は湖返り花 延川笙子 六花 201902
石段を喘ぎ登れば返り花 延川笙子 六花 201902
惜別の歌流れけり返り花 延川笙子 六花 201902
心病みて癒しの旅や返り花 延川笙子 六花 201902
遠路来し友なごませり返り花 延川笙子 六花 201902
帰り花水に流せる事の有り 赤松赤彦 六花 201902
舞子浜塩害の中返り花 赤松赤彦 六花 201902
刑務所の塀を乗り出す帰り花 赤松赤彦 六花 201902
遠き日の友情に似て返り花 中村洋子 風土 201902
やさしさは時に疎まし帰り花 中村洋子 風土 201902
返り花六文銭旗翻り 福岡かがり 雨月 201902
あなたとの温度差ひらく返り花 鷺山珀眉 京鹿子 201902
災害の年をちこちに帰り花 三木亨 201902
帰り花気力欲しいと思ひけり 長崎桂子 あを 201902
上京の友囲みゐる帰り花 永島雅子 春燈 201903
歩をとめてまた歩をとめて返り花 渡辺やや 風土 201903
帰り花和尚と庭の立話 黒滝志麻子 末黒野 201903
煩悩の有りてこそよと帰り花 渡辺美智子 末黒野 201903
妻愛でし白きつつじに返り花 小川玉泉 末黒野 201903
帰り花ブロンズ像に錆び少し 有賀昌子 やぶれ傘 201903
帰り花かき消して空青くなる 今橋眞理子 ホトトギス 201904
帰り花塀の続きし大使館 大山夏子 201905
赤穂義士主従の墓所の返り花 田中藤穂 201905
帰り花崖の見守る義士の墓 大山夏子 201905
帰り花人無きベンチの傍らに 大山夏子 201905
返り花あとかたもなく捨つる恋 吉田悦子 201907
帰り花徳川園の要とし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201910
帰り花には咲き満つる心なく 稲畑汀子 ホトトギス 201911
帰り花女人やさしき中宮寺 今泉忠芳 ある日の滴 201912
紛ふほど山茶花色の返り花 赤座典子 あを 202001
帰り花忘るるといふ幸のあり 安立公彦 春燈 202001
風除けてゆく一輪の返り花 栗山恵子 雨月 202002
石庭の石の陰影帰り花 卜部黎子 京鹿子 202002
寄り咲くは亡き父ははや帰り花 安立公彦 京鹿子 202002
人工知能の圏外に生き返り花 藤原照子 202002
妻籠まであと一キロや帰り花 本田武 やぶれ傘 202002
実態は煙なりけり帰り花 高橋将夫 202002
一輪はさびしからずや帰り花 馬屋原純子 馬醉木 202002
友の名を思ひ出せずや返り花 大日向幸江 あを 202003
返り花うつてかはつて無口なり 井上菜摘子 京鹿子 202003
しがらみをポケットに入れ帰り花 出利葉孝 202003
明日といふ見えぬ醍醐味返り花 熊川暁子 202003
どこまでも見ゆる通夜の灯返り花 川村清子 馬醉木 202003
返り花西の櫓に日の差せり 笹村政子 六花 202004
野面積の二重・三重返り花 中村洋子 風土 202004
寺町の暮色に溶けて帰り花 森清堯 末黒野 202005
平穏なひと日を謝せり返り花 岸洋子 202005
水音に震へてをりぬ帰り花 戸栗末廣 202006
畦道に今朝は一輪帰り花 長崎桂子 あを 202101
躓くも迷ふも余生帰り花 石原孝人 京鹿子 202101
歩休めの夫に気付けり返り花 成宮紀代子 202101
投函や摘んで戻りし帰り花 大内幸子 六花 202101
返り花とは思へざる花の数 生井ちよみ 202101
遣り残しあるぞとばかり帰り花 大槻祐二 春燈 202102
女子学習院此処に在りきと帰り花 佐藤信子 春燈 202102
帰り花ほつりほつりと人歩き 中嶋陽子 風土 202102
留守の娘の鍵さがしをり返り花 笹村政子 六花 202102
千年の杜のため息帰り花 涌羅由美 ホトトギス 202103
帰り花きのふの人とすれ違ふ 岩永はるみ 春燈 202103
ためらひを見せつつ凛と帰り花 森清信子 末黒野 202103
攻め上る天守への道帰り花 太田良一 末黒野 202103
朝食のテラス華やぐ返り花 津野桂子 末黒野 202103
無理きかぬ齢と思ふ帰り花 有賀昌子 やぶれ傘 202103
洩らしたる木の息づかひ帰り花 永森ケイ子 ホトトギス 202104
帰り花見つけてくるる人待ちし 永森ケイ子 ホトトギス 202104
太陽の選びたる木の帰り花 永森ケイ子 ホトトギス 202104
自分でも驚いてをる帰り花 高橋将夫 202104
みづうみの刻々暮るる帰り花 戸栗末廣 202104
日もひとつ月もひとつぞ返り花 山本則男 202104
ほつこりと朝日の包む返り花 加藤静江 末黒野 202104
造成の半ばや百合の帰り花 加藤静江 末黒野 202104
鯉跳ねて赤きつつじの返り花 針谷忠郎 202110
あらぬ方より母の声あり帰り花 沼田巴字 京鹿子 202111
峡風に慣らす吐息や帰り花 松本鷹根 京鹿子 202112
返り花咲けと願ふも友逝けり 七郎衛門吉保 あを 202201
返り花書架に遺れる『智恵子抄』 齋藤晴夫 春燈 202201
風雪に耐へたる古木帰り花 後藤大 春燈 202201
白もまた強き色なり帰り花 大森春子 202201
城跡に薄日差しけり返り花 天野美登里 やぶれ傘 202201
讃美歌のこぼるる学舎帰り花 吉村凉子 202202
往診の鞄重さう帰り花 関道子 春燈 202202
涙腺に老いの兆しや返り花 山田健太 風土 202202
ひと枝の風に咲きたる返り花 笹村政子 六花 202202
大仏師の庭に一輪返り花 笹村政子 六花 202202
魂の輝く日和帰り花 伊藤原志 ホトトギス 202203
返り花女の道は説かざりき 青柳雅子 春燈 202203
見つむれば生まるる翳り帰り花 森清信子 末黒野 202203
尼寺や名の木一つに返り花 今村千年 末黒野 202203
戻りたき時のありけり帰り花 上月智子 末黒野 202203
きぬずれの風の通ひ路返り花 鷺山珀眉 京鹿子 202203
石垣にブローチのごと帰り花 酒井湧水 ホトトギス 202204
参道に人待つごとく返り花 和田絢子 春燈 202205
服喪する人に文書く帰り花 服部早苗 202205
返り花蕾二つをつけにけり 石橋幾代 202205
返り花昼うす暗き尼の寺 有賀昌子 やぶれ傘 202206
仮の世の外に世のなし返り花 角野良生 202206
帰り花どこへ行つても一人かな 森田明成 202210
帰り花倭建命の母の墓 山田六甲 六花 202212
領巾墓や紫を濃く帰り花 山田六甲 六花 202212
母逝きし齢に間あり返り花 中谷恭子 202301
一向に開かぬ踏切返り花 佐藤稲子 やぶれ傘 202302
つつじ垣に熾火めきたり帰り花 森清堯 末黒野 202304
老木の夢のひとひら返り花 中村重幸 202302
今気付くいつもの道の帰り花 増田裕司 やぶれ傘 202304
帰り花→1

2023年11月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。