泉 2 (他季を含む)            165句

二人してしづかに泉よごしけり    川崎展宏

  泉殿

作品
作者
掲載誌
掲載年月
顋門の如く泉の脈打てる 土井田晩聖 銀化 200209
泉への小径しきりに鳥の声 曷川克 遠嶺 200210
いちまいの木の葉落ちたる泉かな 谷口佳世子 200210
哄笑す泉に浸けし顔あげて 岡本眸 200210
秋泉に顔を盗られし人ばかり 中原道夫 銀化 200211
道をしへ波郷の泉今も湧く 松原ふみ子 200211
泉聲は澄むを旨とす滾々と 中原道夫 銀化 200212
客家土楼へ下りゆく道に冬泉 松崎鉄之介 200302
ふと現れて泉の草に冬とんぼ 西山美枝子 酸漿 200302
胸中の聖域に似し冬泉 大槻きみ 200303
底見せぬ泉が蒼し枯るる中 手島靖一 馬醉木 200303
浅春の泉にをんな跪づく 瀬戸悠 風土 200306
雪の下かこむ小さき泉あり 阿部ひろし 酸漿 200307
頬杖のためのてのひら泉殿 山田六甲 六花 200307
泉殿袖を返せば波紋散る 宇都宮滴水 京鹿子 200308
手に受くる泉の鼓動山開 坂ようこ 200309
泉のごと泣くより先に子の泪 神蔵器 風土 200309
手に掬ふ泉や碓氷峠みち 斉藤小夜 風土 200309
泉に手漬けてしばしや婚近き 徳丸峻二 風土 200309
中心は拳の力泉湧く 今瀬剛一 対岸 200309
泉川小鳥の好きな石を据ゑ 村上喜代子 百鳥 200310
青年の映りし泉ゆれずあり 上野澄江 百鳥 200310
泉にて二号農道ゆきどまり 荒井千佐代 200310
玉垣で囲む霊泉秋海棠 伊藤葉 雲の峰 200311
透き通ることに徹して山泉 足立幸信 200312
初紅葉泉の芯へ手を伸ばす 岡崎袿子 対岸 200312
野分だつ泉の底の明るかり 水野恒彦 200312
浸し置く野草や秋の泉なる 山田美保 200312
波郷忌や冬の泉のこゑすなり 須佐薫子 帆船 200401
かがやいて零れてゐたり冬泉 今瀬剛一 対岸 200401
チゴイネルワイゼン冬の泉かな 高橋将夫 200402
赤き実を泉に森は枯れを待つ 渡邉友七 あを 200402
蕗の葉も青き師走の泉かな 中里信司 酸漿 200402
初冬の砂巻き上ぐる泉かな 中里信司 酸漿 200402
あをあをと垣なす木賊冬泉 小島みつ代 200403
今といふ刻いとほしむ冬泉 加瀬美代子 200403
注連うちに更に注連張り冬泉 森田峠 200404
泉石に避らぬ別れや波郷の忌 安西静 帆船 200404
手を入れて春泉の音乱しけり 今瀬剛一 対岸 200404
つぎつぎと雲の現れたる泉かな 高倉和子 200406
湧き上る音とは弾み春泉 城間芙美子 対岸 200406
富士抜けてここに集まる泉かな 稲畑汀子 ホトトギス 200407
天空の城より降りて泉汲む 小澤克己 遠嶺 200408
まどろみに金剛界の泉かな 高橋将夫 200408
顔映し馬の飲みゐる泉かな 三関浩舟 栴檀 200408
癒したき嘴あらむ泉湧く 坂ようこ 200408
泉より流れきし水海芋咲く 五十嵐暢子 対岸 200408
原爆忌今もいまはの泉湧き 服部菰舟 雨月 200409
人影を得ては泉の音さやぐ 渡邉友七 あを 200409
泉汲む生命線も呑むごとく 泉田秋硯 200410
泉の記憶いま二人病み一人会はず 岡本眸 200412
印南の野中の泉若井汲む 山田六甲 六花 200501
日照雨とほりて手つかずの冬泉 風間史子 200502
寒泉の芯の円やか真綿いろ 佐川あけみ 対岸 200503
なほ奥に一泉のありわが枯野 大畑善昭 200503
夢を追ふことに疲れし冬泉 鈴木實 百鳥 200503
さみしさの己れ籠りや冬泉 加瀬美代子 200503
子の霊にルルドの泉供へけり 成瀬櫻桃子 春燈 200504
人来てはしばしとどまる冬泉 瀬戸悠 風土 200504
なほ奥に聖泉のある冬木立 荒井千佐代 200504
春泉すらりすらりと鱒交差 五十嵐暢子 対岸 200506
神座を源にして泉湧く 宮原悦子 雨月 200506
砂金つきあげ突き上げて山泉 鷹羽狩行 200507
泉湧く一粒づつの砂に声 鷹羽狩行 200507
ペガソスの泉の色よ春の空 近藤喜子 200507
いのちありて春の泉の水を呑む 大竹淑子 風土 200507
雑魚の群泉の闇に滑り込む 山崎祐子 栴檀 200507
小瑠璃鳴く泉への道波郷の道 岡田貞峰 馬醉木 200508
泉田に顔洗ひをる郵便夫 大西八洲雄 万象 200508
顔映す泉はおのづから揺れて 今瀬剛一 対岸 200508
もくもくと濁らぬ煙り泉湧く 今瀬剛一 対岸 200508
おんな神斎けばそのまま泉なる 豊田都峰 京鹿子 200508
幻の泉となりし母校かな 田中清子 遠嶺 200509
目に効くてふ小町の泉ほととぎす 神蔵器 風土 200509
泉への道下りゆく吉野建 中沢三省 風土 200509
泉飲むときの生きもの眼の円ら 村越化石 200509
どくだみの香に鎌を研ぐ泉 関まさを 酸漿 200511
ひとところ砂丘に原つぱ泉湧く 吉永寿美子 四葩 200512
音たてて湧くさみしさの秋泉 加瀬美代子 200512
金剛の砂ゆれてゐる冬泉に 水野恒彦 200602
嘘をつく冬の泉にふたをして 木村みかん 200602
沈みゆく日を正面に冬泉 佐藤博美 200603
冬泉の底より天の声ありぬ 奥村邦子 200603
瑠璃いろの音を奏でし初泉 松村多美 四葩 200603
一語づつことばたまはり冬泉 坂ようこ 200604
きさらぎの目覚めや泉遠き地に 村越化石 200604
銭放うるトレビの泉雲凍てし 中島英子 八千草 200605
転身の鳥ともならむ泉汲む 村越化石 200606
霊泉の湧き処をめざす水馬 金居欽一 万象 200608
余白なほ泉のごとし切ぬき繪 吉田明子 200609
汲めよ汲めよと溢れゐる詩の泉 大畑善昭 200609
音たてて己れ励まし泉噴く 加瀬美代子 200609
渾々とハイジの村に泉湧く 小泉和代 酸漿 200611
冬青き草あるところ泉あり 阿部ひろし 酸漿 200701
リュック手の猫背を映す泉かな 中島英子 八千草 200701
人恋ふに指を折りゐる冬泉 宮尾直美 200702
大寒の鱒さ走りぬ泉川 手島靖一 馬醉木 200704
咳ひとつ落してさかる冬泉 手島靖一 馬醉木 200704
脱色の景の芯とし冬泉 岡本眸 200704
切通し冬の泉の溢れたる 百瀬七生子 海光 200705
佐助稲荷冬の泉の底洗ふ 百瀬七生子 海光 200705
泉わく池のほとりの猫柳 宇佐美ゆき 酸漿 200705
わが息を重ね聴きをり春泉 加瀬美代子 200706
この泉掬べば消ゆる旅疲れ 稲畑汀子 ホトトギス 200707
癒されてみたく泉に五指入るる 伊藤白潮 200707
通し鴨一羽はぐるる御泉水 伊藤白潮 200708
竹樋に流るる泉を飲みにけり 竹中一花 200709
白樺の林立泉透きとほり 高橋さえ子 200709
泉湧く初めての山心地よく 伊藤稔代 200710
熊野路の掬ふ泉に茂吉歌碑 河本利一 200710
一生涯方向音痴泉汲む ほんだゆき 馬醉木 200710
泉湧く砂の小躍り休みなく 大畑善昭 200710
湧くものを待たむ泉に来て屈む 村越化石 200710
泉殿ふじさんろくにおうむなく 梶浦玲良子 六花 200710
手に掬めばきらめく眞砂泉殿 藤岡紫水 京鹿子 200710
泉水に日のなみなみと母の日よ 高橋さえ子 200710
あすなろの実の浮いてゐる泉殿 戸栗末廣 火星 200711
やんま来て誘ふや泉ある森へ 村越化石 200711
マリアの名冠す泉に胸濡らし 三輪温子 雨月 200711
泉汲む少女のリボン濡れやすく 市ヶ谷洋子 馬醉木 200711
思ひ溢れあふれて黝し冬泉 加瀬美代子 200802
冬泉の底を光の立ち上がる 山崎祐子 万象 200803
公家邸は泉水のみや名残雪 豊田都峰 京鹿子 200805
泉水に濡らす袖口春動く 木内憲子 200805
春愁の泉となりぬ厨水 渡邉友七 あを 200806
春陰の泉は音もなく湧けり 宮川みね子 風土 200807
その名「さくら」淡きいのちの泉透く 小澤克己 遠嶺 200808
逢ふてきし頬のほてりや草泉 高久清美 200808
列柱の影なき不安泉鳴る 太田昌子 馬醉木 200809
十指もて泉の鼓動掬びけり 長谷英夫 馬醉木 200809
泉きらら老婆きらきら沈みけり 石寒太 炎環 200809
靴洗ひ泉当番終りけり 清水淑子 炎環 200809
エチュードの泉のひかり修羅ひとつ 石寒太 炎環 200810
水あふるる泉に木枠嵌めたれば 中納弓生子 200811
歌になる前の音符や冬泉 清水晃子 遠嶺 200902
海髪のゆらぎに真砂冬泉 加藤みき 200903
柄杓から洩れる悦予の冬泉 風間史子 200903
朝風の一泉あをき笹子かな 福永みち子 馬酔木 200905
さ緑にクレソン伸びし泉かな 中里信司 酸漿 200905

 合同句集『森』序句

小鳥くる森と泉のあるところ

鷹羽狩行 200906
百年を経し泉とて手を浸す 大西八洲雄 万象 200909
木漏日の中のひとすぢ泉指す 海村禮子 春燈 200909
五湖の道折れて忍野の泉湧く 酒井湧甫 200909
泉石に亀の子並び甲羅干す 中村芳夫 200909
泉に手浸けて心音透きとほる 掛井広通 200909
祈りの泉ときゆるやかに流れをり 柿本麗子 200909
噴き上る泉源いくつほととぎす 松井倫子 火星 200909
顔一つ掬ふ小町の泉かな 神蔵器 風土 200909
水出しの玉露の甘し山泉 窪田粧子 馬醉木 200910
ヒンドウの乙女等集ふ泉かな 山本浪子 風土 200910
還らざる放縦の日日泉鳴る 水野恒彦 200910
泉汲むもつとも光濃きところ 相良牧人 200910
百年の深き闇より泉噴く 佐藤喜仙 200910
木洩れ日の僅かに揺れる泉かな 米田正弘 200910
泉源は鉄気の匂ひ夏きざす 足利ロ子 はらから 200911
山霊の恵みし泉果てしなく 川上成弥 遠嶺 200911
汝が胸の深さや秋の泉汲む 小澤克己 遠嶺 200912
泉あり使徒のごとくに集ひけり 岩岡中正 ホトトギス 201001
泉の面引張りあひて凍りけり 山岸治子 馬醉木 201001

 小嶋洋子句集『泡の音色』

立ちのぼる泡のつぶやき初泉

能村研三 201002
ざつくりと読みし史伝の泉涸る 風間史子 201003
冬泉身後の計を持たざるも 高橋道子 201003
七草の芹摘む庭の泉かな 阿部文子 酸漿 201003
冬泉めく高階のミュージアム 服部早苗 201005
満ち来たるものの声きく初泉 佐藤美恵子 201005
泉→ 3      

 

2021年7月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。