3 〈含 他季〉      96句

泉の底にいきづくごとし青胡桃   高島茂   軍鶏

  泉殿

作品
作者
掲載誌
掲載年月
山彦の呱々の声とも泉鳴る 上谷昌憲 201007
竹林の風を映せり青泉 上谷昌憲 201009
山窪や永久に汲むべき泉あり 久保東海司 201010
秋燕や祭祀の庭の泉噴く 服部鹿頭矢 馬醉木 201011
湧泉に掬ふ忍野の新豆腐 水原春郎 馬醉木 201012
盛り上がる冬の泉の力瘤 花田心作 201103
勾玉のかたちに冬の泉かな 玉田瑞穂 万象 201104
寒泉に映りし顔の緩みをり 西山美枝子 酸奬 201104
城跡の冬の泉の底知れず 山口裕子 万象 201105
一笛に恋の泉の湧きにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
小鼓の音の泉を汲み帰る 久染康子 201108
富士山の泉水を手で掬ひのむ 大西八洲雄 万象 201108
泉への道細くなる森の中 高橋泰子 201109
背の高き男の覗く泉かな 涼野海音 火星 201110
四方空の峠に泉湧く不思議 浅井青二 雨月 201110
樹のしづく水の輪となれり冬泉 中條睦子 万象 201110
答出ることを願はず冬泉 高橋道子 201202
冬泉どこか笑つてゐるやうな 成田美代 201203
そこへ行けば吾が高原の春泉 大畑善昭 201205
恩寵のごとくに泉クリスマス 岩岡中正 ホトトギス 201206

 祝「三枝かずをふみ代句集」

さしのべし手に尽きるなき泉汲む

稻畑汀子 ホトトギス 201206
花馬酔木夕べ泉声高まれり 岩月優美子 201207
けもの道途絶えて光る泉あり 東島若雄 201209
買ひ立ての聖書をひらく泉かな 荒井千佐代 201210
とくとくの泉の底や夕蜩 橋添やよひ 風土 201211
鳥海のまりも見てより泉汲む 石井美智子 風土 201211
霊泉を一口ふふむ半夏かな 舩坂輝美子 万象 201211
泉ありもやもや黄緑青緑 池田澄子 船団 201301
伝説に小町の泉実千両 神蔵器 風土 201302
水の音つぶやく冬の泉かな 玉田瑞穂 万象 201302
西行忌とくとく泉手に掬ふ 神蔵器 風土 201304
冬泉何かと言へば集まりて 加藤みき 201304
滾々と井泉溢るる寒の明け 和田勝信 かさね 201305
手を入れる泉の裏を探るごと 布川直幸 201305
源泉の噴くや冬天震はせて 安斎久英 末黒野 201305
若者の道は一筋泉汲む 稲畑汀子 ホトトギス 201306
花疲れ宇治の泉に手を浸す 服部鹿頭矢 馬醉木 201306
掌に受くる神泉木下闇 桂敦子 201310
満願の杖を泉に浸しけり 田中文治 火星 201310
清泉や木曾の三岳三方に 浅井青二 雨月 201310
つぶやきのごとく泡生む泉かな 松田明子 201311
山麓に泉噴き出す羊蹄山 明石文子 ぐろっけ 201312
青き泉妖精のゐる夜明けの森 本郷公子 京鹿子 201401
ぽつかりと深雪の底の泉かな 玉田瑞穗 万象 201404
芽吹く庭いのちの泉聞こえます 志貴香里 201406
川沿ひに滴り多き和泉町 村上倫子 201408
バリ島の子らは裸足や泉の辺 伊藤純子 201408
修司忌の泉を飲めば草匂ふ 水野恒彦 201408
沐浴のをんなに泉滾々と 伊藤純子 201408
泉掬ふ生命線の長きこと 中田みなみ 201409
新しき水に押されて泉湧く 田所節子 201409
サングラスはづし壁泉のからくりを 佐瀬晶子 ろんど 201409
つくづくと読めば胸内泉湧く 高橋道子 201410
菖蒲田に落つ神泉の余り水 田岡千章 201410
潺々と孝子の泉鳴りやまず 佐藤貞子 雨月 201410
御嶽の鼓動を掬ぶ泉かな 浅井青二 雨月 201410
泉にて折り返したる獣道 柴田志津子 201411
とくとくの泉かそけき秋の声 岩木茂 風土 201412
尼僧院にルルドの泉秋の薔薇 岡本尚子 風土 201501
砂を噴く冬の泉の生きてをり 岩下芳子 201503
てのひらを冬の泉がつつみをり 辻美奈子 201504
氏神社の冬の泉に手を清む 塩見治郎 雨月 201504
朝の日の降りそそぎゐる泉かな 天谷翔子 201505
すいすいとアメンボの棲む泉川 秋川泉 あを 201505
己が影崩して泉ひと掬ひ 石本百合子 馬醉木 201508
泉のごとくよき詩をわれに湧かしめよ 木下夕爾 春燈 201508
泉汲む獣のやうに腰を折り 成田美代 201508
指先の感じてゐたる泉かな 安居正浩 201509
澄む天の映る泉を乱しけり 中江月鈴子 201511
笑窪めく水輪つぎつぎ泉湧く 田所節子 201511
砂に音あるかに春の泉かな 原田しずえ 万象 201605
日の差して音の湧きくる冬泉 天谷翔子 201606
芽柳のなびく泉水さざれ波 東小薗美千代 末黒野 201606
この泉我を映さぬほど清ら 高橋将夫 201808
一村の大事な泉汲みにけり 小林共代 風土 201810
泉へとカロリナポプラ光る道 山田まさ子 船団 201811
身に入むや泉の水を壺中へと 杉原ツタ子 201902
泉水の中の島にも春の雪 田尻勝子 六花 201905
切通しの幅の風音冬泉 中田みなみ 201906
芭蕉来し村や泉の祀らるる 須賀ゆかり 201909
地図になき泉樹林が躍動す 井巴水 京鹿子 201912
死とは何冬の泉のこんこんと 増成栗人 202001
麻痺の手を濯ぐ温みや冬泉 河口仁志 202004
泉にはニンフ清水に白拍子 高橋将夫 202007
泉水のひさご形なり蝌蚪黒き 田尻勝子 六花 202007
蝶捕の荷の嵩ばらず泉汲む 佐藤喜孝 あを 202010
源流の色なき秋の泉かな 辻美奈子 202011
繩文の泉をむすび木漏星 佐藤喜孝 あを 202011
口つける泉のごとく大梨に 佐藤喜孝 あを 202011
よろこびのひろがりてゆく泉哉 佐藤喜孝 あを 202101
泉湧く森の夕日をこぼしつつ 木暮陶句郎 ホトトギス 202101
木漏れ日に輝く泉秋深し 箕田健夫 やぶれ傘 202101
泉打つ風のしつぽの唄ふかな 神蔵器 風土 202105
熊除の鉦と桴とが泉かな 佐藤竹僊 あを 202110
子の霊にルルドの泉供へけり 成瀬櫻桃子 春燈 202110
星の出るころや泉へけものたち 深川淑枝 202112
冬の泉小鳥の命やすからず 秋山蔦 春燈 202203
泉より手足の長き少女来る 兵藤惠 202208
泉汲む光り射したるところより 川高郷之助 202209
黒々と遠流の島の泉かな 田丸千種 ホトトギス 202212
火の山のしじま深かり泉湧く 田丸千種 ホトトギス 202212
源を見せず泉の透きとほり 田丸千種 ホトトギス 202212
野中なる泉に若水汲みにけり 山田六甲 六花 202301
泉→ 1

 

2023年7月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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