冬 菫 2      105句

冬菫しゃがむつもりはないけれど   池田澄子

冬菫  寒菫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
泣きやみて涙大粒冬すみれ 斉藤小夜 風土 200605
わだかまりとかす山路の冬菫 坂本ひさ子 遠嶺 200605
吾もまた天の配剤冬すみれ 村本真由美 遠嶺 200605
陽の中にみどり児ひとり冬すみれ 糸川草一郎 百鳥 200605
冬すみれ彝族誇りの黒衣装 島田万紀子 馬醉木 200606
老の手の竹刀風切る冬菫 宮島宏子 200702
晩年と云ふべき歩み冬すみれ 芝宮須磨子 あを 200702
顔に来て日射匂へり冬すみれ 岡本眸 200702
冬すみれ老女ばかりのクラス会 戸田春月 火星 200703
捨てきれぬ未完の句あり冬すみれ 大石たか 遠嶺 200703
大寺の賑はひの中冬すみれ 芝尚子 あを 200703
踏切りの四ツの柱冬菫 竹久みなみ 風土 200704
ふるさとへ戻る駿馬や冬すみれ 奥田茶々 風土 200704
里山に小さき声きく冬すみれ 奥田茶々 風土 200704
亡きものはなし道の辺の冬すみれ 川口襄 遠嶺 200704
老犬のしきりに嗅ぎし冬すみれ 伊勢きみこ 火星 200704
先生の指差されしは冬すみれ 笠井敦子 200704
島行きのひびく汽笛や冬菫 石川元子 酸漿 200704
古き蔵取り壊されし冬菫 早崎泰江 あを 200704
道なぜか遠くなりゆく冬菫 井上信子 200705
縄文の「むら」をこの目に冬すみれ 小野寺節子 風土 200705
人生の午後の日射に冬すみれ 岡本眸 200705
胸奥に忌日加へぬ冬すみれ 岡本まち子 馬醉木 200801
プレハブに弥生の土器や冬菫 あさなが捷 200801
地蔵さまに隠れ十字や冬すみれ 芝山喜久子 馬醉木 200802
歳月の継目たしかに冬菫 水野恒彦 200802
冬すみれ筬音聞きつ蕪村訪ふ 天野みゆき 風土 200803
冬菫オパール色の遊歩道 中島玉五郎 200803
異人墓のけふは誰が忌か冬菫 荒井千佐代 200803
子の指の思はぬ力冬すみれ 林八重子 馬醉木 200804
冬すみれ初心のいろに咲いてをり 浅田光代 風土 200804
冬すみれ宇宙電波を受信せよ 林昭太郎 200804
一森の白き静寂や冬菫 寺内信 遠嶺 200804
わが余命もかくありたしや冬すみれ 乗光雅子 雨月 200804
冬すみれ内緒話にゆらぎけり 町田美枝子 遠嶺 200805
冬すみれこころに刻み込みしもの 近藤公子 200805
草の中それとなくある冬菫 白石正躬 やぶれ傘 200805
冬すみれ初心の色に咲いてをり 浅田光代 風土 200901
保線夫と歩いてをりぬ冬菫 井上信子 200902
日だまりに頬張るおむすび冬すみれ 木村美猫 ぐろっけ 200902
散策の日溜り浄土冬菫 北尾章郎 200903
冬すみれしんと里山日和かな 田中浅子 200903
綿雲のゆつくり流れ冬すみれ 中野京子 200903
蕪村より母なつかしむ冬すみれ 神蔵器 風土 200903
不器用に生きて一輪冬すみれ 外川玲子 風土 200903
幼子と影踏みごつこ冬すみれ 國保八江 やぶれ傘 200903
しじまなる隔雲亭の冬すみれ 及川澄子 風土 200904
冬菫気儘歩きの歩を止めて 松尾緑富 ホトトギス 200905
幸せは己がこころに冬すみれ 藤井圀彦 200905
桁丈の合はずなりたる冬菫 井上信子 201002
健気なりいや勝気なり冬菫 布川直幸 201002
冬すみれ野道に一つ淡く咲く 池部久子 酸漿 201002
冬すみれふみの余白にあるこころ 本多俊子 201003
冬菫わさびの如き根を持てる 大橋敦子 雨月 201003
せせらぎの光に揺れて冬すみれ 鈴木英男 末黒野 201003
日を集め山の斜面の冬すみれ 赤羽正行 遠嶺 201003
扁額の文字の掠れや冬菫 多戸昌子 遠嶺 201003
愛日や山路に白き冬すみれ 鈴木直枝 ろんど 201003
守りたきもの無くなりし冬すみれ 代田青鳥 風土 201003

  悼・川崎展宏先生

武蔵野の日向に冬の菫かな

大崎紀夫 やぶれ傘 201003
野仏は女人なりけり冬菫 松岡和子 201004
母を呼ぶ子の声高し冬すみれ 野口光江 遠嶺 201004
郷土史の埋草として冬すみれ 山中志津子 京鹿子 201004
喪にありて冬の菫の光かな 鈴木藤子 ろんど 201004
定命として逝きにけり冬すみれ 東芳子 酸漿 201004
行雲の疾し禅院の冬すみれ 安田久太朗 遠嶺 201005
やきもち坂なる旧道の冬すみれ 中島讃良 ろんど 201005
水音へ傾くこころ冬すみれ 間島あきら 風土 201011
親指とナイフと冬の菫かな 常田創 201102
冬すみれ風にも揺れて秩父線 秋葉貞子 やぶれ傘 201102
ひと握りほどの日溜り冬すみれ 宮川みね子 風土 201104
無人駅の監視カメラや冬すみれ 福本郁子 火星 201104
首里城の石段けはし冬すみれ 寺沢千都子 万象 201106
母の顔穏やかになり冬すみれ 長谷川鮎 ぐろっけ 201201
武蔵野の森の小径や冬すみれ 今井弘雄 春燈 201202
踏まれてもふまれても咲く冬菫 沖則文 ぐろっけ 201202
三輪山の風のとぎれし冬すみれ 田中文治 火星 201202
山腹にひつそりと墓地冬すみれ 佐津のぼる 六花 201202
短くもこの詩いとほし冬菫 藤生不二男 六花 201202
鎌倉に尼寺一つ冬すみれ 佐野つたえ 風土 201203
尼寺のことに彩濃き冬すみれ 清海信子 末黒野 201203
冬菫百四歳の訃に接す 赤座典子 あを 201203
上水の音を引き出す冬菫 佐藤喜仙 かさね 201204
海を見にたどる近道冬菫 松本三千夫 末黒野 201204
馬場跡に鳥影走り冬菫 森清堯 末黒野 201204
かたまつて咲いても孤独冬すみれ 佐々木紗知 京鹿子 201204
思い出のみちくさの道冬すみれ 石田かし子 万華鏡 201206
中庭は家のポケット冬すみれ 頓所友枝 冬の金魚 201209
卒寿なる女医手土産に冬すみれ 酒井秀郎 返り花 201211
日溜りにほっと安らぐ冬すみれ 三川寿代子 201303
冬菫鼓の響む紐の艶 佐藤凉宇子 ろんど 201303
心音に触れてゐさうな冬菫 大豆生田耕一 ろんど 201303
対岸をわが影歩く冬菫 根橋宏次 やぶれ傘 201303
言ふべきは言はねばとこそ冬菫 楠原幹子 201303
冬すみれ日本武尊かな 神蔵器 風土 201303
冬すみれ未来の夢は極秘とす 明石文子 ぐろっけ 201303
うす日さす円空塚や冬すみれ 山田春生 万象 201304
恋ふ人は夢でも無口冬菫 山内碧 201305
使はねば言葉寂びたり冬菫 菊川俊朗 201305
冬菫しづかにつよく生きるべし 瀧春一 花石榴 201312
またひとり送りし野辺や冬すみれ 大滝敏子 末黒野 201402
野ざらしの十二神将冬すみれ 山田春生 万象 201403
留守の間に小鳥の置きし冬すみれ 井上信子 201403
冬すみれ無心の種を飛ばしをり 田中一美 ろんど 201403
ひつそりと冬すみれ咲く君に 近藤喜子 201404
尼寺の小さき日向に冬すみれ 宮川みね子 風土 201404
氷点下十度が何さ冬すみれ 植村一雄 201404
歓声に震へやまざる冬すみれ 藤田素子 火星 201404
垣に沿ひ冬のすみれの鉢並ぶ 國保八江 やぶれ傘 201404
行きすぎてふり返り見る冬すみれ 池谷鹿次 末黒野 201404
冬すみれ一人暮しにあこがれて 大川ゆかり 201404
冬すみれ測量の杭打ちはじむ 浅田光代 風土 201404
一人づつ影置き忘る冬すみれ 村田岳洋 ろんど 201405
ふるさとの墓ふさはしき冬すみれ 宮川みね子 風土 201405
円墳の裾の崩れや冬すみれ 黒滝志麻子 末黒野 201405
ほどほどの日差しに睡し冬すみれ 中田みなみ 201501
冬菫→ 3      

 

2021年1月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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