冬 芽 3       163句

冬芽無数に明日を信じる素朴な目  高島茂  軍鶏

冬芽  冬木の芽  冬の芽

作品
作者
掲載誌
掲載年月
木蓮の冬芽ふくらみ時を知る 早崎泰江 あを 201201
枝の先力貯めたる冬芽かな 岡野安雅 かさね 201202
牡丹の冬芽マニキュアほどの朱 小林輝子 風土 201202
近未来すでに来てゐる冬芽かな 近藤喜子 201203
眼がねして冬芽のふくらみ確かめる 早崎泰江 あを 201203
火事近しつつじの冬芽呼びおこす 久保東海司 201204
足利のやぐら牡丹の冬芽立つ 内藤静 風土 201204
冬芽びつしり子授寺の幣辛夷 松本三千夫 末黒野 201204
光満つ社冬芽の楢櫟 吉田きみえ 末黒野 201204
確かなる冬芽丈余の辛夷かな 安斎久英 末黒野 201204
紅さして冬芽かがやく童心居 山田春生 万象 201204
掌で囲む冬芽のあたりほつこりと 上野紫泉 京鹿子 201204
過去は昨日桜冬芽に手をかざす 堀内一郎 あを 201204
祖師像に菩提樹上ぐる冬芽かな 樺山翠 雨月 201204
朝日得て牡丹の冬芽紅締まる 新保ふじ子 万象 201205
秘めきれず言の葉に出て冬芽かな 小瀧洋子 万華鏡 201206
飛ぶものは飛ばし光となる冬芽 稲畑汀子 ホトトギス 201212
冬芽抱く庭木に風のをさまりて 稲畑汀子 ホトトギス 201301
冬芽抱く一枝を風が弄ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
ひと思ふ牡丹冬芽を手囲ひに 浜福惠 風土 201302
冬芽はや神丘の日をひとり占む 豊田都峰 京鹿子 201302
老木の根元に冬芽と朽ちし枝 森岡陽子 かさね 201302
笑みこぼす冬芽おおきく息すって 吉弘恭子 あを 201302
枝先に冬芽毀ちし痕のあり 山田六甲 六花 201302
葉の下にあと一息の冬芽かな 伊藤和子 201303
木蓮の冬芽たしかに波郷の忌 大上充子 馬醉木 201303
梅の木の残る葉の間に冬芽つけ 森岡陽子 かさね 201303
朝日うけ冬芽湛ふる細き枝 田中清秀 かさね 201303
風に鳴り陽に紅そだて冬芽垣 渕上千津 201303
来迎の雲のむらさき冬芽立つ 間島あきら 風土 201303
その思ひ未来へ繋ぐ冬芽かな 寺田すず江 201303
雨しづく冬芽なかなか手放さず 山田六甲 六花 201303
魁の庖障となる冬芽かな 土居通子 ろんど 201303
いま恃むもの冬芽のほかにあらざりし 西川保子 春燈 201304
老梅の冬芽ふくらむ日和かな 前川美智子 末黒野 201304
あぶなげな空に冬芽のそつと立つ 吉弘恭子 あを 201305
辛抱のふくらんでくる冬芽かな 石坂比呂子 ろんど 201306
雨だれや老人も冬芽も柔らかに 中井保江 船団 201306
お降りの庭木冬芽を確かむる 瀧春一 花石榴 201312
棟上や辛夷冬芽のぬかりなし 田中貞雄 ろんど 201401
逝くひとに冬芽のひかり頒ちたや 安立公彦 春燈 201401
うぶすなの祈りの数の冬芽かな 豊田都峰 京鹿子 201402
大空に冬芽こぞりてたくましき 熊岡俊子 雨月 201402
冬芽立つ桜透かしに朝の月 坂上香菜 201402
濠の水めざす柳の冬芽かな 山田六甲 六花 201402
産毛ゆたかに冬芽びつしり幣辛夷 松本三千夫 末黒野 201402
あぢさゐの冬芽に朝の陽の届き 生田作 風土 201402
神集ふ宮のひなたは冬芽季 豊田都峰 京鹿子 201402
燦々と梨の冬芽に陽の零る 板橋昭子 201403
碧空や橡の冬芽の確かなる 加藤静江 末黒野 201403
林泉や枝垂るる梅の鋭き冬芽 加藤静江 末黒野 201403
冬芽立つ桜の元の要石 奥山茶々 風土 201403
本尊は秘仏牡丹の冬芽立つ 林いづみ 風土 201403
参拝終へ仰ぐ神木冬芽出づ 永島雅子 春燈 201404
万の枝交して櫻冬芽かな 森田尚宏 201404
つるばらの伸びはうだいの冬芽かな 大坪景章 万象 201404
冬芽立つ桜極楽橋近し 樺山翠 雨月 201404
基地の空へ桜冬芽の尖りたり 田賀楳恵 万象 201405
銀色の冬芽ふつくら如来かな 中野京子 201405
窯囲む雑木林に冬芽の香 塩路隆子 201501
閻王の睨みに冬芽こぞりけり 山尾玉藻 火星 201501
内示あけ明き冬芽の子の窓辺 渡部良子 馬醉木 201502
紫陽花の冬芽太りて誕生日 田中藤穂 あを 201503
槍衾めく木蓮の冬芽かな 上野進 春燈 201503
姫娑羅の冬芽へ月は金ン降らす 松本三千夫 末黒野 201503
たしかなる牡丹の冬芽頼朝忌 森一枝 末黒野 201503
母を真似子の触れてゆく冬芽かな 小林文良 春燈 201503
叶ふなら冬芽の芯に籠りたし 甲州千草 201504
剪り過ぎと嘆きをりしに冬芽つく 山荘慶子 あを 201504
それとなく物憂い時間冬芽生ゆ 北上政枝 201505
採茶庵桜の冬芽盛んなる 内藤惠子 万象 201505
冬芽固し猫鎮座する参道に 大山夏子 201504
きはやかに冬芽のひとつひとつかな 大崎紀夫 虻の昼 201510
燦と日矢雨後の冬芽の発光す 布川直幸 201510
椿冬芽細き螺旋の天を指す 赤座典子 あを 201601
松籟を遠く牡丹の冬芽かな 中根美保 風土 201602
しかとある牡丹の冬芽時頼忌 黒滝志麻子 末黒野 201602
如意ケ岳真向ひ冬芽膨らます 松本鷹根 京鹿子 201603
街騒をとほく辛夷の冬芽立つ 小林共代 風土 201603
三衿を重ぬるごとき冬芽かな 新倉ゆき江 末黒野 201603
英霊に捧ぐ百樹の冬芽立つ 田中春江 末黒野 201603
触れさうで触れぬ水面の冬芽かな 竹内タカミ 201604
明けの星辛夷の冬芽全て立ち 藤田宏 201603
木蓮の薄墨色の冬芽かな 久留島規子 万象 201608
牡丹の冬芽蔵せし力あり 稲畑汀子 ホトトギス 201612
固さとは冬芽とあなたとの絆 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
冬芽抱き未来へ弾む一樹かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
明日へと冬芽の黙でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
累累と誌齢や朴の冬芽満つ 能村研三 201702
いくたびの初心よ冬芽ふくらみぬ 藤森すみれ 201702
日面テの塙の冬芽鳥の影 庄司久美子 201703
子世代といへど老樹に冬芽かな 塩貝朱千 京鹿子 201703
伐らるる木冬芽のいのち確かなる 長谷川歌子 春燈 201704
ぼうたんの冬芽ほつほつ禅の庭 松本三千夫 末黒野 201704
日の当る櫨の冬芽のとがりかな 原田しずえ 万象 201704
球児等に辛夷の冬芽競ひ立つ 山本とく江 万象 201704
アジサイの敗れ葉どっこい冬芽あり 篠田純子 あを 201703
東向き発育の良き冬芽かな 長崎桂子 あを 201703
若みどり冬芽日に映え伸びやかに 長崎桂子 あを 201703
冬芽濃き蔓の勢ひ塀を越ゆ 長崎桂子 あを 201703
桜木の瘤の小枝に冬芽かな 渡邊孝彦 やぶれ傘 201705
産声を待つや窓辺に冬芽満ち 渡部良子 馬醉木 201802
大空へ直ぐなるものを冬芽てふ 谷田明日香 風土 201802
冬芽持つ谷崎の墓空(くう)と寂 中村洋子 風土 201803
冬芽満つ師弟を繋ぐ句碑の辺に 石本百合子 馬醉木 201803
幾万の冬芽のちから空支ふ 林昭太郎 201803
利休とふ名をもて冬芽ひかり帯ぶ 大久保志遼 201803
日の射して冬芽ふくらむ雑木山 大嶋洋子 春燈 201803
ふくらみくる冬芽や我も変はらねば 近藤喜子 201804
冬芽はや神丘の陽を余すなく 鷺山珀眉 京鹿子 201804
薄紅の冬芽の尖り明の空 本聞せつ子 末黒野 201804
冬芽まだ色も形も枝のうち 山本素竹 ホトトギス 201805
枝先の辛夷の冬芽青空へ 谷貝美世 末黒野 201805
羽繕ふやうに冬芽を啄める 升田ヤス子 六花 201806
大空へ直ぐなるものを冬芽てふ 谷田明日香 風土 201901
ほのかにも朱にとがれる冬芽かな 藤生不二男 六花 201902
姫娑羅の冬芽のちから静かなる 松本三千夫 末黒野 201903
夫と眺むる庭の冬芽や日に照らふ 永島雅子 春燈 201903
苔のむす桜の冬芽希望の芽 清水美子 春燈 201903
大志抱く冬芽と思ふいとしけれ 岩月優美子 201903
十方に冬芽ととのひ受難の碑 亀井福恵 京鹿子 201904
冬芽持つ木肌の温み久女の忌 安斎久英 末黒野 201904
咲き遅れまいと冬芽のふくらみ来 近藤喜子 201904
百年に手の届く木の冬芽かな 志方章子 六花 201904
ワイナリー冬芽宿してがらんどう 稲畑廣太郎 ホトトギス 202001
伐採さるる桜や冬芽あまたつけ 辻由紀 雨月 202003
空蒼く桜冬芽の濠をゆく 熊岡俊子 雨月 202003
時待つや冬芽ほのかに紅差して 長谷川歌子 春燈 202004
冬芽には秘めし力といへるもの 稲畑汀子 ホトトギス 202011
耐へることすなはち冬芽なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 202012
残る葉を隠れ蓑ともして冬芽 稲畑汀子 ホトトギス 202012
気のつかぬ冬芽気付きしよりのこと 稲畑汀子 ホトトギス 202012
冬芽抱く街路樹といふ孤高かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
天を突く銀色の冬芽かな 加藤静江 末黒野 202103
足止めて冬芽ながめる見沼土手 湯本正友 やぶれ傘 202103
冬芽立つまだ偏差値は知りもせず 鷺山珀眉 京鹿子 202104
店裏や冬芽のしかと天を突く 加藤静江 末黒野 202104
明日恃む力を秘むる冬芽立つ 高木邦雄 末黒野 202104
掃き終へて心して見る冬芽かな 稲畑汀子 ホトトギス 202112
冬芽抱く街路樹黙を解きゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202112
木漏れ日や冬芽くるりと輝きて 赤座典子 あを 202201
本能寺火伏せ銀杏の冬芽鋭し 山田和 京鹿子 202201
朴冬芽木々に懈怠のなかりけり 能村研三 202202
冬芽耀く辛夷大樹となりゐたり 浜福惠 風土 202202
墓を守る橡の冬芽のはがね色 鷹崎由未子 春燈 202203
たくましき冬芽のありて天を指す 小張志げ 春燈 202203
空へ向くそれぞれの顔冬芽あり 稲畑真喜子 ホトトギス 202204
平明な言葉にちから冬芽寒む 北川孝子 京鹿子 202204
庭の隅冬芽の少し膨らみて 神山市実 やぶれ傘 202206
三瓶野の未来へと抱く冬芽かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202211
冬芽抱く木々は未来を目指しつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212
魂の叫びを秘めて冬芽かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212
朽ちし葉を褥としたる冬芽かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212
冬芽→ 1

 

2023年1月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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