冬初め    110句

太く短かき群衆の影冬はじまる   高島茂   軍鶏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
青空へ風船か飛ぶ冬初め 別府優 199901
垂直にかもめは死すか冬初め 信崎和葉 六花 200002
冬初め造り酒屋の紺のれん 小牧喜美子 遠嶺 200103
天神の由緒書読む冬初め 木村てる代 雲の峰 200201
警策のあとの静けし冬初め 木村てる代 雲の峰 200201
冬初め遊覧船のすべる音 長崎桂子 あを 200301
鈍色の雨の降りくる冬初め 北吉裕子 雲の峰 200401
字余りのやうな雨降る冬初め 森美香 風土 200402
冬初めアメリカ兵の幼な顔 高木武人 百鳥 200402
冬初めゴムの沓履く椅子の脚 百瀬虚吹 風土 200403
翔つ鳥の数美しき冬初め 木内憲子 200403
冬初め自律神経不調かな 安部里子 あを 200501
カラフルな回転木馬冬初め 景山まり子 百鳥 200502
冬初め刃のごとく立つろばの耳 七種年男 200502
水うまし出雲くにはら冬初め 橋添やよひ 風土 200701
鐘撞いて比叡ふるはす冬初め 久保久子 春燈 200702
舫ひ綱ぴんと張られし冬初め 吉沢陽子 200901
負けん気の性格ちらと冬初め 小城綾子 200902
子供等に下着を買ひぬ冬初め 東芳子 酸漿 200902
神の木の洞の明るさ冬初め 高橋道子 201002
書を読むにほどよき凹み冬はじめ 宇都宮敦子 201002
夕ざるる風が包みし冬はじめ 小菅礼子 春燈 201002
喪中葉書母の天寿や冬初め 舘泰生 風土 201002
木つ端焚く火の舞に酔ふ冬はじめ 布川直幸 201002
あらかしの幹の手ざはり冬はじめ 蘭定かず子 火星 201002
内海を出づる一帆冬初め 熊切光子 末黒野 201003
賜りし句集繙く冬初め 小島とよ子 遠嶺 201004
よく喋る人と出くはす冬初め 森岡正作 201101
鍬の跡畝にとどめて冬初め 堀田順子 馬醉木 201102
勘次・おつぎの野良着が屈む冬はじめ 鳴下昭 201102
はるかなるものに目の行く冬はじめ 望月晴美 201103
竹人形目の一線の冬はじめ 竹貫示虹 京鹿子 201111
珈琲の封切りし香や冬はじめ 千手和子 馬醉木 201201
烟るものときに炎を見せ冬はじめ 宮内とし子 201201
かつしかの風のおろおろ冬はじめ 山崎靖子 201202
ゆるやかに岬の尖る冬はじめ 矢田涼 201202
鉛筆を尖らせ並べ冬はじまる 小林清之介 風土 201202
昨日今日気づかぬ地震や冬はじめ 松田泰子 末黒野 201202
波に乗る鳥のまなじり冬はじめ 蘭定かず子 火星 201202
主なき椅子に聖書や冬はじめ 米澤光子 火星 201202
口開けの味噌の飴色冬はじめ 原友子 201205
レシートの反りを正して冬はじめ 林昭太郎 あまねく 201210
冬はじめ船につまれて象が来る 木村和也 船団 201212
水底に赤き蟹ゐる冬はじめ 広渡敬雄 201212
ランドマークの灯る山腹冬はじめ 橋本靖子 201301
乳牛の乳房ももいろ冬はじめ 林昭太郎 201301
箒目に朝の力や冬はじめ 師岡洋子 ぐろっけ 201302
神棚の伊勢へ向きたる冬はじめ 中田みなみ 201302
触診の医師の目を見る冬はじめ 柴田志津子 201302
芭蕉葉の風の音聞く冬はじめ 黒滝志麻子 末黒野 201303
鉢物の並ぶ窓辺や冬初め 横山さくら 春燈 201401
厠より日ざしの退る冬はじめ 岡部玄治 201401
括る・干す・晒す・吊すや冬初め 渡部節郎 201401
冬初め雀に元気貰ひけり 早崎泰江 あを 201401
ぶらさがる物なき棚や冬はじめ 金田けいし ろんど 201402
砂浜のしんと日を吸ふ冬初め 師岡洋子 ぐろっけ 201402
拍手の空に吸はるる冬はじめ 久米憲子 春燈 201402
音立てて青菜を炒む冬はじめ 坂場章子 201402
訃報また昭和遠のく冬はじめ 川上恵子 雨月 201402
照りかげる湖の機嫌や冬はじめ 久保久子 湖心 201402
竹林の息のむモダン冬はじめ 沼田桂子 春燈 201402
くろぐろと街川よどむ冬はじめ 塩田博久 風土 201402
うみどりの白の眩しき冬はじめ 林昭太郎 201402
冬はじめ白樺林発光す 有松洋子 201402
公園の空つぽの椅子冬初 曽根京子 春燈 201403
波の消す鳥の足跡冬はじめ 松田明子 201403
淡々と沖に虹立つ冬はじめ 安斎久英 末黒野 201403
鶏小屋に日矢の射し入る冬はじめ 宮井知英 201404
筆ぺんの軸に温みや冬はじめ 井上石動 あを 201412
冬初め白湯に力のありにけり 篠田純子 あを 201412
俥夫憩ふ河畔の窪地冬はじめ 森田利和 201501
木棺の丹の鮮やかや冬はじめ 山本孝夫 201501
琺瑯鍋にジャムふつふつと冬はじめ 石川かおり 201501
ジーバンの涸びて乾く冬はじめ 諸岡孝子 春燈 201501
鉛筆の芯欠けてゆく冬はじめ 藤井杏愛 京鹿子 201501
ライオンが湯を吐く宿や冬初め 佐用圭子 201502
石ひとつひとつに影や冬はじめ 永尾春己 201502
薪荒く割りて會津の冬はじめ 一民江 馬醉木 201502
座布団に小さく座る冬はじめ 小山陽子 やぶれ傘 201502
無医村に若き医師来る冬はじめ 延川五十昭 六花 201503
冬はじめ焼かれて反りぬパンの耳 渡邉俊子 京鹿子 201503
はや空気読めると言ふ子冬初め 高橋将夫 201503
冬はじめ土を被するアロエの根 都留百太郎 末黒野 201503
ほんのりと点る駅の灯冬はじめ 押田裕見子 201504
橋の名に緑青(ろくしよう)薄き冬はじめ 小山陽子 やぶれ傘 201601
寺庭の箒目著き冬はじめ 新海英二 春燈 201601
冬はじめそつぽな方をみやりたる 瀬川公馨 201602
いきしもの皆輪廻とす冬初め 柴田靖子 201602
外出着日々きめかぬる冬はじめ 牧はるか 末黒野 201602
靴下にみぎとひだりと冬初め 中川句寿夫 ここのもん 201705
渓流の紺を深めて冬初め 蒲田豊彦 雨月 201802
直筆の文字のくづれや冬初 坂入妙香 春燈 201802
駅伝の小旗かさかさ冬初め 有賀昌子 やぶれ傘 201803
河馬に逢う三門に逢う冬初め 長沼佐智 船団 201806
賀茂川に立つ僧形や冬初め 沼田巴字 京鹿子 201812
すれ違ふ人の残像冬初め 三木亨 202002
樹々の枝の影地に著き冬初め 五十嵐貴子 末黒野 202002
髪切つて耳のさみしき冬初め 服部早苗 202005
道沿ひに帽子の地蔵冬初め 中西厚子 202102
久々に書くふみ長し冬初め 玉川利江 末黒野 202103
鍋の蓋そつとずらすや冬初め 横山さくら 春燈 202201
冬初め味噌の香りの寝床まで 谷田明日香 風土 202201
口ずさむジャズのリズムや冬初め 佐藤まさ子 春燈 202202
リズミカルに爪切る音や冬初め 三浦千恵子 末黒野 202203
竹林の中のひだまり冬はじめ 高倉和子 202205
冬はじめ日向分け合ふ露地の猫 山田正子 202208
貯水池に水脈をひく舟冬初め 秋山信行 やぶれ傘 202302
丸干しをまた貰ひ来る冬はじめ 本郷美代子 やぶれ傘 202302
街路樹の整備の業者冬はじめ 大庭美智代 末黒野 202302
ト音記号の曲線美しき冬はじめ 新井千佐代 202307
飢える児の終らぬこの世冬初め 沼田巴字 京鹿子 202311

 

2023年11月25日 作成

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