広 島 1      200句

広島や卵食ふ時口ひらく   西東三鬼

広島  長崎  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
湧き水にわが名ヒロシマ浸しいる 廣嶋美惠子 船団 199902

 広島

恋雀被爆ドームの天破れ

丸山海道 京鹿子 199907
身勝手な人間のエゴ広島忌 保坂加津夫 いろり 199909
町角に手押しのポンプ広島忌 朝妻力 俳句通信 199909

 広島にて

春暁の被爆の鋼つかむ鳥

丸山海道 海道全句集 199910
あまたたび驟雨の来たり広島忌 世家栄子 199911
広島忌うごかぬ台風海にあり 川勝春 馬醉木 199911
とんぼうの羽根に影ある広島です 柳生正名 海程 199912
ヒロシマシマシマチェロ奏者の耳打ち 若森京子 船団 199912
かの広島長崎蝉の穴無数 柴田いさを 船団 199912
広島ゆ名古屋ゆ供華の桜坡子忌 岸本久栄 雨月 200002
雷渡りそれより雨に広島忌 田中藤穂 「水瓶座」 200002

 広島

大本営跡の礎石や冬ざるる

渡部千代子 春耕 200003
吹けば飛ぶ俳句は怖い広島忌 保坂加津夫 いろり 200009
目の眩む空の青さや広島忌 山口速 200011
ひろしまの奈落に牡蠣の屋形船 和田照海 京鹿子 200101
一樹下に老人いこふ広島忌 盛良孝 200101

 広島にて

夾竹桃燃えそむ太田川河畔

松崎鉄之介 200108
広島忌地のみ残れる五輪塔 松崎鉄之介 200108
一瞬といふ重きもの広島忌 有働亨 馬醉木 200110
草も木も育ち広島原爆忌 山本潤子 いろり 200110
七つ鳴る祈りの鐘や広島忌 水原春郎 馬醉木 200110
あの日からこだはりつ捨てぬ広島忌 黒田貴勢 京鹿子 200111
東京と広島に時差つりしのぶ 梶浦玲良子 六花 200111
水のことばで流すともしびひろしま忌 杉崎ちから 海程 200112
ヒロシマを知らぬニイニイ蝉で結構 相原左義長 海程 200112
鎌倉の寺の被爆碑広島忌 西田もとつぐ 船団 200202
八月の広島駅に刻合はす 田中武彦 六花句集 200205
艀みな入江に集ひ広島忌 木田千女 200208
夕立はものの弾みかヒロシマ忌 堀内一郎 あを 200209
広島支店立ちしその日や原爆忌 横林誠二 200210
灯心の音たてて果つ広島忌 久保秀貴 雲の峰 200210
踏み出して大気の熱さ広島忌 藤井晴子 200210
ヒロシマ忌電車に赤子眠りをり 岸直人 築港 200210
眼裏にいまも焦土や広島忌 泉田秋硯 200211
広島忌乾坤寂とこゑもなし 長谷川史郊 馬醉木 200211
広島を爪先だちて通りすぐ 佐藤喜孝 青寫眞 200304
逃げ水の果に広島原爆図 河内桜人 京鹿子 200308
東京都庁壊れぬものか広島忌 堀内一郎 あを 200309
石段の影うすれつつ広島忌 赤座典子 あを 200310
声すべて空に消えゆく広島忌 佐藤博美 200311
三世の広島なまり桔梗咲く 江坂衣代 百鳥 200311
電柱の短き影や広島忌 徳永真弓 百鳥 200311
流れゆく川に声あり広島忌 香月公恵 200311
ヒロシマ忌磧の石を耳に当て 柴田英彰 200311
広島や夾竹桃は白が佳し 秋岡朝子 200311
ふるさとを語らぬ漢広島忌 三橋泥太 遠嶺 200406
後頭に西日あまねし広島忌 竹内弘子 あを 200408
広島菜の絵のぬれてをり蝉しぐれ 秋岡朝子 200410
敏子姉の在さぬ広島原爆忌 高橋照子 雨月 200410
夏草に風の跡ある広島忌 湯浅康右 草の花 200410
廣島長崎うなじに暑く日の當る 佐藤喜孝 あを 200410
蒼空へ真白きシーツひろしま忌 橋本良子 遠嶺 200411
公園の蛇口も灼くる広島忌 託正夫 200411
名水を買ひ求めをり広島忌 高橋瑛子 河鹿 200411
淘汰柿掃き寄せてゐる広島忌 山口奈代 河鹿 200411
八月の広島に来て川の道 岩渕彰 遠嶺 200411
広島忌一雨欲しと空を見る 名和未知男 草の花 200411
イヤホーンにアルトの息やヒロシマ忌 平田紀美子 風土 200411
ヒロシマの牡蠣が美味しい建国日 荻野千枝 京鹿子 200505
生き残りしはただ一樹のみ広島忌 林翔 200508
広島の日の六十年へ念珠繰る 羽田岳水 馬醉木 200510
炎暑なか広島市電軋みゆく 藤原浩 栴檀 200510
ヒロシマやしいしいと鳴く朝の蝉 大坪景章 万象 200510
広島忌水道水の手にあふれ 出来由子 200511
玉〓(ワン夕?皿)に水なみなみと広島忌 山田夏子 雨月 200511
新聞をたたみなほせり広島忌 荻野みゆき 対岸 200511
広島忌語り部一語いち語づつ 小野千枝子 万象 200511
牡蠣を打つ女ちやきちやき広島弁 飛鳥由紀 200601
広島に生き八月の便り来る 岩垣子鹿 ホトトギス 200601
平和へのあふるる叫び広島忌 宇根綾子 二輪草 200606

夏蓬瓦礫をふみて虔しみぬ

 昭和二十八年、広島での作

富安風生 200607
広島忌月のうるみてをりにけり 万城希代子 200611
折鶴の赤黄が眩し廣島忌 田中芳夫 200611
耳許へ来て起さるる広島忌 青山丈 200611
広島の秋澄む川を渡りけり 山中宏子 200702
原爆忌近づく朱き花咲けば 岸風三樓 200708
水打つて詮なきことを広島忌 青山丈 200709
「新型爆弾」とラヂオは告げつ広島忌 林翔 200710
黒い雨脳裏を濡らす広島忌 四條進 200710
ひろしま忌胎内被爆児老いたり 市橋章子 ぐろっけ 200711
流灯の川埋め尽くす広島忌 中沢三省 風土 200711
広島は先考の故地八月来 今井妙子 雨月 200711
その朝の清掃奉仕広島忌 伊東湘三 春燈 200809
一本の鉛筆重し広島忌 本多俊子 200810
広島忌過ぎたる雲は綿の軽さ 伊丹さち子 馬醉木 200810
風鐸の音まで錆びて広島忌 米山喜久子 200810
語り部の声嗄がれて広島忌 田中敬 200811
広島忌木漏れ日は今万華鏡 大槻きみ 200811
焼きつきし記憶さいなむ広島忌 水田壽子 雨月 200811
音立てて犬が水飲む広島忌 小野千枝子 万象 200811
広島や鱧の字ならぶお品書 四條進 200811
広島や母の自慢の子供たち 岸千手 200901
この風に千羽鶴飛べ広島忌 近藤敏子 200909
朝刊を膝に黙祷広島忌 久保東海司 200911
少年の深かき一礼広島忌 本多俊子 200911
流燈に祖母の名ほのとひろしま忌 高瀬史 馬醉木 200911
満月へ雲脚遠し広島忌 小川玉泉 末黒野 200911
食べること歩けることの広島忌 山崎靖子 200911
広島忌ためらひながら鳴る風鈴 岩本セツ女 ろんど 200911
ヒロシマ忌語部すでに年深し 綱徳女 春燈 200911
どて焼も広島焼も初戎 立村霜衣 ホトトギス 201005
玄関の熊野神符や広島忌 衣斐ちづ子 201007
落日は川面を染めて広島忌 田下宮子 201010
広島忌兵舎の跡に建つ母校 田中敬 201010
広島や夜も鳴きつのる油蝉 佐々木よし子 201010
十五分のみの中継広島忌 山田智子 201011
川の町広島にまた八月来 平野みち代 201011
広島や白さるすべり風を生み 田口紅子 201012
広島の空へ向きたる蝉の穴 田口紅子 201012
広島の鐘をんをんと花はちす 大沼遊魚 201101
真つ向に立つ原子炉の白ヒロシマ忌 鴨下昭 201109
あの頃は軍国少年広島忌 中江月鈴子 201109
広島忌雲重なりて崩れけり 中江月鈴子 201109
ひろしま忌今語らねば語らねば 川村欽子 雨月 201110
ひろしま忌街は祈りに明けて更け 川村欽子 雨月 201110
川原辺の石と語らふひろしま忌 石本秋翠 馬醉木 201110
針の無き口時計の影広島忌 松嶋一洋 201110
八月広島路傍の碑にも香ゆらぎ 川村欽子 雨月 201110
広島忌こころのケロイドにも水を 石田康明 春燈 201110
父の忌で広島忌なり星仰ぐ 波田美智子 火星 201111
永久に疵遺せるドーム広島忌 大橋晄 雨月 201111
ローバイや廣島福島片假名に 佐藤喜孝 あを 201205
ロッカーの撓みて開く広島忌 林昭太郎 あまねく 201210
無防備の声聴く広島忌の読経 鴨下昭 201211
骨壺に被曝の石や広島忌 和田照海 京鹿子 201211
校正の朱筆の走る広島忌 工藤ミネ子 風土 201211
わたつみに雲湧き立てり広島忌 松本三千夫 末黒野 201211
一億に今よみがへる広島忌 長島清山 かさね 201211
ヒロシマの夕焼けは今も焦げいろに 和田照海 京鹿子 201211
昭和の日鳴呼広島よ長崎よ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
都では紺碧の空広島忌 長島清山 かさね 201310
広島忌誓ひを読みし千は母 石崎和夫に 201310
広島忌ふと太陽の恐ろしき 田辺博充 201310
ひろしま忌かの世へつなぐ糸電話 和田照海 京鹿子 201311
ひろしまの魂呼び戻す茄子の馬 和田照海 京鹿子 201311
語り部の正面見据ゑ広島忌 森清信子 末黒野 201311
川波のシュプレヒコール広島忌 内藤静 風土 201311
雲わきてひろしまの忌と思ひけり 和田照海 京鹿子 201311
広島忌配達さるるこしひかり 谷岡尚美 201311
広島忌テレビと共に黙祷す 森田尚宏 201311
秋夕焼ひろがり広島カープ捷つ 水原春郎 馬醉木 201312
宰相は戦を知らず広島忌 吉田耕人 ぐろっけ 201312
少年の深き一礼広島忌 本多俊子 光のうつは 201404
元通りたためぬ地図よ広島忌 桑名さつき ろんど 201410
汗ひかる歩む行進ヒロシマヘ 池田光子 201410
いくさ無き七十年やひろしま忌 貞吉直子 馬醉木 201410
翅欠けの蝉の生れぬ広島忌 加藤静江 末黒野 201411
ヒロシマ忌太陽が出る生きている 古俣万里 ろんど 201411
網(い)をわたる大蜘蛛明日はひろしま忌 土屋草子 ろんど 201411
噴水の翼幾万ヒロシマよ すずき巴里 ろんど 201411
平和の火しづかに雨の広島忌 梅村すみを 201411
広島忌黒く流るる蟻の列 中田みなみ 201411
暁待てぬ鎮魂の列ひろしま忌 川村欽子 雨月 201411
ひろしまや蝉の声さへ哀しき日 川村欽子 雨月 201411
鎮魂の碑に雨しづく広島忌 松田明子 201412
広島は明月といふ無月かな 飛高隆夫 万象 201412
広島の牡蠣のパスタといふ昼餉 安藤久美子 やぶれ傘 201503
黒髪のバスに混み合ふ広島忌 浅田光代 風土 201510
広島忌夕地震はしり締めくくる 渕上千津 201510
夾竹桃あの日もけふもヒロシマに 清水佑実子 201510
身の内に沁むる朝蝉広島忌 小川玉泉 末黒野 201511
ケロイドの消えぬ友の手広島忌 菅野日出子 末黒野 201511
大噴水宙にとどけとひろしま忌 大橋淳一 雨月 201511
広島に逝きし叔母なり終戦日 宮本俊子 雨月 201511
ケロイドを隠しつつ生きひろしま忌 川村欽子 雨月 201511
ひろしま忌路傍に展べて惨禍の画 川村欽子 雨月 201511
広島の暑い日鉛筆を削る つじあきこ 船団 201602
広島のはだしのゲンや原爆忌 竹下陶子 ホトトギス 201607
広島の悲しみ今も夾竹桃 川崎良平 雨月 201609
広島の深き慟哭蝉しぐれ 尾崎みつ子 雨月 201610
その時は十七歳や広島忌 大橋淳一 雨月 201611
原爆の吾も語り部広島忌 大橋淳一 雨月 201611
一弾に一市壊滅広島忌 大橋淳一 雨月 201611
茸雲いまもまなうら広島忌 大橋淳一 雨月 201611
三吉の詩碑に涙す広島忌 大橋淳一 雨月 201611
蝉鳴いてひろしまの朝はじまりぬ 和田照海 京鹿子 201611
揃ふまで鳴くひろしまの油蝉 和田照海 京鹿子 201611
汗の指で繰る広島原爆集 大内和憲 万象 201611
米国の長が鶴折る広島忌 和田絢子 春燈 201611
広島忌古井にとどく朝の日矢 森清堯 末黒野 201611
子らの声染めてひろしま忌の夕日 亀井福恵 京鹿子 201701
ズッキーニ緑黄たわわ広島へ 朝倉晴美 船団 201702
過去といふ確かなるもの広島忌 高橋和女 風紋 201709
彦星もためらふ川の暗さかな広島 雅子 春燈 201709
広島忌見出しの小さすぎないか 高橋道子 201710
大楠の朝の蔭濃し広島忌 森清堯 末黒野 201711
折鶴の軽さで生きてヒロシマ忌 奥田筆子 京鹿子 201711
ひろしま忌声にならざるこゑあまた 亀井福恵 京鹿子 201711
ひろしま忌今語らねば伝へねば 川村欽子 雨月 201711
ひろしま忌ジオラマに見る被爆前 川村欽子 雨月 201711
語部も代替はりして広島忌 横田敬子 201802
厚雲のゆるむことなし広島忌 沼田巴字 京鹿子 201808
雲梯の錆を掴みて広島忌 和田照海 京鹿子 201810
祈りのこゑ旱の空の広島に 多方清子 雨月 201810
火星近づく空の一点広島忌 平田きみこ 風土 201810
広島忌首領の言の葉白々し 七郎衛門吉保 あを 201810
核を抱く真珠の海や広島忌 平野多聞 201811
行つたきりの旅の一座や広島忌 木村傘休 春燈 201811
黙祷に皆老いにけり広島忌 那須禮子 春燈 201811
広島→ 2

 

2022年8月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。