長 崎      157句

広島  長崎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
長崎のオランダ万才変り雛 野中貴倶子 円虹 199901
長崎忌音なき時間焦臭き 保坂加津夫 いろり 199909
長崎は夕焼空の下にあり 西山胡鬼 京鹿子 199911
海一まい隔てて長崎忌なりけり 西山胡鬼 京鹿子 199911

 長崎

磔刑の既に聲なし蟲しぐれ

中原道夫 銀化 199912

 長崎くんち、萬屋町は七年振りに鯨の潮吹き

所望やれ秋の勇魚に水一斗

中原道夫 銀化 199912

 昭和二十三年長崎

その年の秋草戰ぐことのなし

中原道夫 銀化 199912
かの広島長崎蝉の穴無数 柴田いさを 船団 199912
蠅去つて長崎の鐘鳴止みぬ 松山律子 六花 200009

 平戸・生月島

長崎に海の名五つ雁渡し

能村研三 200012
ロザリオを心の妻と長崎忌 松本米子 あを 200109
三伏の長崎に入るのどぼとけ 小形さとる 200111
長崎に海の名七つ秋澄めり 能村研三 200112
長崎本線海にかたぶく蜜柑山 石橋翠 いろり 200112
長崎の牧師を迎ふ梅の花 八木葉子 酸漿 200204
長崎への俵物たり干海鼠 古里蝶次 200204
ぴかどんと身の内になほ長崎忌 長山野菊 雲の峰 200210
小春日の長崎となす晴れ女 鎮田紅絲 200302
鎮魂の風雨やはらぐ長崎忌 浜明史 風土 200310
坂の上にもうひとつ坂長崎忌 平田倫子 百鳥 200311
慰霊碑を寮歌で囲み長崎忌 達山丁字 200311

 長崎・神の島教会

師走朔日海のしるべの崖マリア

能村研三 200401

阿蘭陀坂領事(コンスイ)通り冬ぬくし

 コンスイ―consuiの長崎読み

築城百々平 馬醉木 200402
医学生なりし八十路の長崎忌 築城百々平 馬醉木 200402
ポーロ永井の講義受けにき長崎忌 築城百々平 馬醉木 200402
春の海長崎絵地図島点点 東亜未 あを 200406
長崎忌水押しあてて顔洗ふ 辻尚子 200410
長崎の平和の鐘や雲の峰 芝尚子 あを 200410
青空へ鎮魂の鐘長崎忌 沼口蓬風 河鹿 200411
風も水も灼けて長崎鐘鳴れり 岩渕彰 遠嶺 200411
山高帽かぶりてくんちくんちかな長崎くんち 水原春郎 馬醉木 200412
くんち屏風一双長崎八景図 築城百々平 馬醉木 200502
花菜風長崎の海きらめけり 長谷川通子 雲の峰 200504

 長崎唐人屋敷

賽銭は炉で焼く習ひ朝曇

能村研三 200508
山頂に雲湧き長崎原爆忌 徳田正樹 河鹿 200509
坂多き長崎の街梅雨に入る 徳田正樹 河鹿 200509
鐘鳴らす鎮魂の歌長崎忌 沼口蓬風 河鹿 200510
夜を徹し潮騒聞けり長崎忌 徳田正樹 河鹿 200510
紫陽花は長崎の花マリア様 苑田ひろまさ 200510
とむらひの鐘の長崎蝉時雨 新井泰子 馬酔木 200511
くすしなる友に遺書あり長崎忌 福間須美江 200511
学校に蛇口の並ぶ長崎忌 齋藤厚子 200611
紙鶴に熱き息吹く長崎忌 田中芳夫 200611

 長崎

鳥渡るわが国鉄道発祥地

及川澄江 風土 200701
長崎忌更けてクルスの月赤し 山元志津香 八千草 200702

 長崎

教会へ四月の汗をそのままに

布川直幸 200707

 長崎

斜面都市長崎の坂芽吹き急

布川直幸 200707

 長崎

春潮や斜面にちらす生活の灯

布川直幸 200707
長崎忌首にタオルを巻いてゆく 吉村摂護 200709
汗し行く長崎坂の平和町 苑田ひろまさ 200709
長崎忌少女らあらた合掌す 池田光子 200710

 長崎・平戸

長崎や竹をまじへて山粧ふ

鷹羽狩行 200711

 長崎・平戸

帰燕けふ殉教の島隠すほど

鷹羽狩行 200711

 長崎・平戸

秋の声なりやオラショの声なりや

鷹羽狩行 200711

 長崎・平戸

旅立つといふことのなき納戸神

鷹羽狩行 200711

 長崎・平戸

干し飛魚(あご)の嘴(はし)の鋭き秋の風

鷹羽狩行 200711

 長崎・平戸

海ここに始まる平戸いわし雲
鷹羽狩行 200711

 長崎・平戸

遺跡を道しるべの旅や秋の風
鷹羽狩行 200711
秋潮の濃淡の縞長崎鼻 岡田章子 ぐろっけ 200801
長崎の邪宗の坂や白秋忌 苑田ひろまさ 200802
長崎は家の灯重ね春の月 柴田佐知子 200804

 中村孝一氏を悼み

鶴引くや長崎の鐘鳴るなへに

鷹羽狩行 200805
ランタンや長崎の春動き出す 工藤はるみ 風土 200805
ばつてんと長崎弁が夕薄暑 瀬島洒望 やぶれ傘 200808
これよりは長崎街道花の冷 樋口みのぶ 200808

 長崎

爆竹を防ぐ耳栓精霊会

坂上香菜 200810

 長崎・出津

冬ぬくしクルスをつけし鬼瓦

能村研三 200901

 長崎・出津

隠れ耶蘇住む一峡の冬日濃し

能村研三 200901
イヴに想ふかの長崎の穴マリヤ 木村茂登子 あを 200902
けふひと日ああ長崎の凧が飛ぶ 大西よしき ろんど 200908
灼くるもの翳失ひて長崎忌 苑田ひろまさ 200909
長崎で生死分かちし原爆忌 達山丁字 200910
日曜日一人黙祷長崎忌 須賀敏子 あを 200910
折り鶴の青き翼や長崎忌 こがわけんじ 炎環 200910
長崎忌鉄砲百合の咲き初めし 小川玉泉 末黒野 200911
長崎のあの日は今も一学徒 達山丁字 200911
亡き友に捧げる一日長崎忌 苑田ひろまさ 200911
青空に一片の雲長崎忌 加藤千津 ろんど 200911
長崎や積み上げしごと冬灯 荒井千佐代 201002
凧合戦長崎弁のはじけ合ふ 中島久子 馬醉木 201007
こみ上げてくる露けさよ長崎よ 稲畑汀子 ホトトギス 201010
語り部に子等のまなざし長崎忌 末田洋 201010
長崎は初任の街よ夾竹桃 鈴木阿久 201010
そぞろ寒長崎の道問はれても 稲畑廣太郎 ホトトギス 201010
八月の長崎の空まぶしかり 山口キミコ 201010
如己堂を訪うて無言の長崎忌 山口キミコ 201010
ロザリオに残る閃光長崎忌 宮井知英 201010
献水は子孫揃ひて長崎忌 山田智子 201011
被爆者が唄ふ「ヒバクシャ」長崎忌 山田智子 201011
らくがきがあの子の遺品長崎忌 山田智子 201011
炎天に長崎の鐘のみ響く 山田智子 201011
折り鶴の色あざやかや長崎忌 園田惠子 末黒野 201011
長崎忌調子外れの法師蝉 吉村摂護 201101
見渡せる長崎鼻にきんぎょ草 長谷川鮎 ぐろっけ 201102

 長崎二十六聖人

殉教の幼き足や鳥雲に

高倉和子 201105

 長崎・善丁谷、伊王島

卯波立つ離島減らしの橋架かる

能村研三 201107
踏絵より悲し長崎殉教図 後藤比奈夫 ホトトギス 201108

 長崎吟行

麦秋の海光返し天主堂

吉田政江 201108
長崎の土用三郎曇りけり 天野美登里 やぶれ傘 201111
聖玻璃に海光もゆる枇杷の花 水原秋櫻子 馬醉木 201111
今日も又日のあかあかと長崎忌 加藤千津 ろんど 201111
長崎の闇動きだす精霊船 山田ひさし 馬醉木 201111
長崎の月の明りの澪つくし 大森尚子 風土 201202
大年の暮るる長崎山囲ひ 荒井千佐代 201203
長崎の兄貴経由の雪だより 齋藤厚子 201204
如己堂を訪うて無言や長崎忌 山口キミコ 九十九島 201209
深鍋にパスタの渦や長崎忌 吉田葎 201210
長崎の坂また坂や寒波来 荒井千佐代 201212
春風や長崎の町は坂ばかり 杉本薬王子 風土 201304
昭和の日鳴呼広島よ長崎よ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
片陰に黙祷始む長崎忌 赤座典子 あを 201310
志士い行きし長崎街道曼珠沙華 塩見英子 雨月 201401
長崎の夜景眼下に年惜む 築城百々平 馬醉木 201402

 長崎

見はるかす九十九島の秋夕焼

難波篤直 201404
角燈(ランタン)の灯る長崎春の宵 山口キミコ 201405
含蓄のアンジェラスの鐘長崎忌 中島玉五郎 201409
聖鐘に黙祷ふかし長崎忌 貞吉直子 馬醉木 201410
片陰に黙祷始む長崎忌 赤座典子 あを 201410
長崎やひしめく家へ大夕立 山内碧 201411
くんち果つ長崎港は藍深め 荒井千佐代 201501

 長崎

泣く如く城址の石や冬の雨
加藤富美子 201502

 長崎

北風の打擲受くる岬径
加藤富美子 201502

 長崎

声あぐる柱状節理冬怒濤
加藤富美子 201502

 長崎

絵硝子のイエスの一世冬日差
加藤富美子 201502
押花の緑うつすら長崎忌 広渡敬雄 201509
学童の歌声澄めり長崎忌 久留米脩二 馬醉木 201511
長崎忌すなはち妻の誕生日 加藤昌安 末黒野 201612
長崎の鐘の鳴りたり春の旅 平澤侃 末黒野 201705
巴里祭の長崎の夜は星流れ 天野美登里 やぶれ傘 201708
八月の長崎祈りの朝の来る 栗山恵子 雨月 201711
マリア像の輿のお練や長崎忌 小木曽文明 雨月 201711
長崎の鐘静かに歌ふ長崎忌 小木曽文明 雨月 201711
長崎の人は健脚冬ぬくし 稲畑汀子 ホトトギス 201712
長崎の冬晴といふ俯瞰あり 稲畑汀子 ホトトギス 201712
長崎の坂寒天を貫ける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201712
寒灯を揺すり長崎ぶらぶら節 稲畑廣太郎 ホトトギス 201712
信号のいくたびも赤長崎忌 善野烺 六花 201712
長崎に住もう枇杷咲く五、六日 坪内稔典 船団 201806
去りがたき街の一つや長崎忌 西村潭 201811
傷つきしマリアと盆の長崎で 酒井たかお 201904
鯵並ぶ長崎産の札つけて 丑久保勲 やぶれ傘 201907

 長崎大村

御船蔵南風の入江のささら波

能村研三 201908
長崎や限界集落黙しをり 大日向幸江 あを 201910
長崎忌丘のあちこち灯の点る 坂口晴子 201912
長崎忌詩の朗読はおばあさん 波戸辺のばら 201912
令和なる八月よ長崎の鐘 山西商平 ホトトギス 201912
小六月ローマ教皇長崎へ 須賀敏子 あを 202001
長崎くんち二句 能村研三 202001
長崎忌丘のあちこち灯の点る 坂口晴子 202002
妹を背負ひし写真長崎忌 山田六甲 六花 202009
口遊む「長崎の鐘」夜半の秋 安立公彦 春燈 202009
籠りゐる長崎の忌の深呼吸 赤座典子 あを 202010
渡されるバトンの重し長崎忌 七郎衛門吉保 あを 202010
マリア像それでも優し長崎忌 出利葉孝 202111
長崎忌墓も暮しも急斜面 角野良生 202206
あの時は麻刈り奉仕長崎忌 赤峰ひろし 202211
朧夜の長崎古地図異国めく 本郷公子 京鹿子 202306

 

2023年8月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。