春の雪 9      218句
作品
作者
掲載誌
掲載年月
スープ掬ふ匙の丸みや春の雪 小山陽子 やぶれ傘 201306
飴かじりつつながめゐる春の雪 白石正躬 やぶれ傘 201306
板廟濡らさぬほどの春の雪 横川良子 万象 201306
膝を折る右近の像に春の雪 尾崎みつ子 雨月 201306
頬杖のビフォーアフター春の雪 中原幸子 船団 201306
捨てられたチレビに映る春の雪 早瀬淳一 船団 201306
春の雪天に嫁すごと姉逝けり 田嶋洋子 七線譜 201306
つのるよりしみ入る思ひ春の雪 中出のぶ子 ろんど 201306
古町や春の雪掃く竹箒 横川良子 万象 201306
春の雪ああそうですかと言えたなら 中谷仁美 船団 201306
柊の垣をしづれり春の雪 江見悦子 朴の青空 201307
春の雪みきり発車の我がいる 池田久恵 ぐろっけ 201307
春の雪出窓に凭れショパン聴く 石橋萬里 ぐろっけ 201307
竹垣のしゆろ縄に積む春の雪 江見悦子 朴の青空 201307
春の雪吾を待ちしごと舎弟逝く 柿本麗子 千の祈り 201307
ふた抱へありさうな鯉春の雪 山田六甲 六花 201402
音もなく積もる齢や春の雪 竹貫示虹 京鹿子 201402
春の雪なるも融けるを拒みをり 布川直幸 201402
音もなく湖渡り来る春の雪 田村すゝむ 風土 201403
仮の世の仮の純白春の雪 菅谷たけし 201403
私から上昇気流春の雪 篠田純子 あを 201403
すがりゐて柱の太る春の雪 田村すゝむ 風土 201403
春の雪には積るてふ心なく 稲畑汀子 ホトトギス 201403
気掛かりごとなべて覆ひし春の雪 品川鈴子 ぐろっけ 201403
ひと時を浄土明かりに春の雪 田村すゝむ 風土 201403
追憶のごとしんしんと春の雪 竹貰示虹 京鹿子 201403
これがまあまことか五尺春の雪 井上石動 あを 201403
なほ春の雪の心配消えざりし 稲畑汀子 ホトトギス 201403
辞世の句を創りては消す春の雪 田村すゝむ 風土 201403
ガス灯は明治のなごり春の雪 伊藤純子 201404
バス降りて急ぐ家路や春の雪 飯田美千子 201404
合せ酢の匂のこもり春の雪 楠原幹子 201404
何となくココア飲みたし春の雪 木村茂登子 あを 201404
思はざる力仕事や春の雪 須賀敏子 あを 201404
無残にも屋根打ちくだく春の雪 早崎泰江 あを 201404
花束を言葉代はりに春の雪 大川ゆかり 201404
夕刊の翌朝届く春の雪 赤座典子 あを 201404
春の雪ラフマニノフの高まり来 浅田光代 風土 201404
春の雪圧倒的に消えにけり 井上石動 あを 201404
春の雪折られし枝のいたましく 須賀敏子 あを 201404
鴨跼みゐたるくぼみの春の雪 山本耀子 絵襖 201404
鬼遣ひあとを清めの春の雪 木村茂登子 あを 201404
大仏の掌にくつろぐや春の雪 山下ひろみ 201404
古書店に古書の匂ひや春の雪 林昭太郎 201404
どかと来てますらをぶりの春の雪 森岡正作 201404
春の雪屋根からどどん解け落ちる 長崎桂子 あを 201404
「まだだよ」と蕾へ私語や春の雪 小林久子 201404
手入れせし松に激しく春の雪 岡野ひろ子 201405
ずんずんとずんずんずんと春の雪 齋藤厚子 201405
野放途となつてをりけり春の雪 山崎靖子 201405
見上ぐれば翳の色なる春の雪 原田達夫 201405
握手して思ひ出せない春の雪 塩貝朱千 京鹿子 201405
暗がりのふいごに舞ひし春の雪 浜口高子 火星 201405
パン屑に鳥の競へる春の雪 岸本久栄 雨月 201405
羽帚で画布を掃きをり春の雪 大崎紀夫 やぶれ傘 201405
バケツ帽傾げる春の雪だるま 鈴木照子 201405
もの陰に誰かゐさうな春の雪 神戸京子 ろんど 201405
オルガンにうたひし春の雪の葬 杉浦典子 火星 201405
ゆつくりと土を潤す春の雪 橋本順子 201405
ほの白き夜空ありけり春の雪 きくちきみえ やぶれ傘 201405
風の音に踊り納めと春の雪 大堀賢二 201405
風韻とも石の衣手春の雪 瀬川公馨 201405
立春に降るはすなはち春の雪 須藤美智子 風土 201405
海峡の空にひしめく春の雪 福島せいぎ 万象 201405
梁にさびの浮く槍春の雪 浜口高子 火星 201405
春の雪フォッサマグナを境とし 中島昌子 201405
春の雪柵に掛けあるヘルメット 小林成子 火星 201405
春の雪思ひもかけぬ屋根の嵩 佐藤喜仙 かさね 201405
春の雪体重計に乗つてみる 杉浦典子 火星 201405
春の雪浮気ごころのやうに降る 安居正浩 201405
春の雪部屋にショパンのノクターン 妹尾貞雪 春燈 201405
老木に花咲かせけり春の雪 稲田和子 201405
楽屋に入る大きな鞄春の雪 井上淳子 火星 201405
訃へ急ぐ振子列車や春の雪 橋本靖子 201405
人喪りけものら喪り春の雪 熊谷ふみを ろんど 201405
寸積もる底より解けて春の雪 浅井青二 雨月 201405
暁の庭ひと色や春の雪 有賀鈴乃 末黒野 201405
切株の赤き年輪春の雪 内海良太 万象 201405
うどん屋に橋上駅に春の雪 大島英昭 やぶれ傘 201405
丹後より白絹届く春の雪 大上充子 馬醉木 201405
京町屋の大正ガラス春の雪 藤本秀機 201405
春の雪甲斐一国を閉ぢ込めて 林いづみ 風土 201405
かたくなに溶けぬ一隅春の雪 早崎泰江 あを 201405
降りみ降らずみ立春の雪となる 松本三千夫 末黒野 201405
みづいろの色に暮れゆく春の雪 宮川みね子 風土 201405
春の雪指折りかぞへても解けず 齋藤厚子 201405
点字ブロツク沿ひに掻きたる春の雪 和田紀夫 201405
一夜にて木々には春の雪の花 中野京子 201406
天窓に春の雪降るマリア像 吉田カイ 万象 201406
最後には車に轢かせ春の雪 森田尚宏 201406
夫の忌や寺院を覆ふ春の雪 新堀満寿美 末黒野 201406
手習ひの仮名文字散らし春の雪 中村ふく子 201406
里山を隈無く染めて春の雪 吉村摂護 201406
春の雪た走る音に目覚めける 北郷和顔 末黒野 201406
春の雪傘を打つ音してきたる 志方章子 六花 201406
春の雪津軽の過去を軽くする 鎌田悟朗 ろんど 201406
春の雪養生中の苔濡らす 志方章子 六花 201406
いにしへのかしこきあたり春の雪 立村霜衣 ホトトギス 201406
渇筆の墨の走りや春の雪 落合絹代 風土 201406
茅葺きの郷のかたらひ春の雪 中井昭子 京鹿子 201406
茅葺きの卿のかたらひ春の雪 中井昭子 京鹿子 201406
とぶやうに園児らつかむ春の雪 森清堯 末黒野 201406
送らるる校歌に春の雪舞へり 高田令子 201406
足跡は鹿また狐春の雪 石原健ニ やぶれ傘 201406
長靴に出番のきたる春の雪 大野芳久 やぶれ傘 201406
路地奥の藁被る井戸や春の雪 谷貝美世 末黒野 201406
春の雪スクランブルの交差点 山田暢子 風土 201406
万年橋の鉄骨濡らし春の雪 田中たつを 雨月 201406
すぐ消ゆる春の雪とも思ひ酌む 今村征一 ホトトギス 201407
積む不安積らぬ不満春の雪 湯川雅 ホトトギス 201407
枝抜ける動きしなやか春の雪 奥田智久 ホトトギス 201408
掌脂らの染みし杖あり春の雪 堀内一郎 堀内一郎集 201412
春の雪猫のしつぽが垂直に 鈴木みのり 201412
降臨の峰よりこぼる春の雪 稲岡みち子 雨月 201501
春の雪積る心のありそめし 稲畑汀子 ホトトギス 201502
まだ油断ならぬ日もあり春の雪 稲畑汀子 ホトトギス 201503
心配の春の雪とはならざりし 稲畑汀子 ホトトギス 201503
文豪の恋文出づる春の雪 松井志津子 201504
京菓子の薄くれなゐに春の雪 安居正浩 201504
町騒を覆ひて積もる春の雪 塩田博久 風土 201504
予定なきひと日や庭に春の雪 塩田博久 風土 201504
師も我もただ若かりし春の雪 井上信子 201504
片われの夫婦茶碗や春の雪 コ田千鶴子 馬醉木 201504
顔知らぬ人へ書く文春の雪 田中藤穂 あを 201504
春の雪駅毎に屋根白くなる 赤座典子 あを 201504
春の雪うっすら粧ふ金閣寺 王岩 あを 201504
ゆるゆると酛摺り唄や春の雪 田中佐知子 風土 201505
十一代源兵衛「神聖」春の雪 田中佐知子 風土 201505
一面の田に祭り来る春の雪 杉本薬王子 風土 201505
朱の著き巫女の伊達襟春の雪 上月智子 末黒野 201505
朱塗りなる社に春の雪積もる 中山静枝 201505
公園の遊具に遊ぶ春の雪 松嶋一洋 201505
ちつぽけな悩みの数や春の雪 赤羽陽子 春燈 201505
障子開け雛にも見せう春の雪 渡辺容子 春燈 201505
透明な傘に音なく春の雪 楠原幹子 201505
読書とふ美味しい時間春の雪 藤原照子 201505
手叩くと這うてくる子や春の雪 柴田佐知子 201505
春の雪紅緒の下駄に消えにけり 山田正子 201505
松籟や荒緒に春の雪のせて 雨村敏子 201505
ひよめきの柔らかきかな春の雪 近藤喜子 201505
肩に乗る柩に春の雪つづく 竹中一花 201505
さらさらと陽を置きざりに春の雪 犬塚芳子 201505
春の雪ぐらりと赤いアンブレラ 荒木甫 201505
とり急ぎ帰る用なし春の雪 佐渡谷秀一 対座 201505
築山の木立の形に春の雪 内藤惠子 万象 201505
春の雪散らつくのみに消ゆるかな 久保晴子 雨月 201505
さはさはと傘に音たて春の雪 石垣幸子 雨月 201505
春の雪新調の服濡れにけり 溝渕弘志 六花 201505
伊豆山や六百段に春の雪 高野春子 京鹿子 201505
叶はない夢の数々春の雪 中村三郎 京鹿子 201505
わだかまり解けてゆきけり春の雪 谷岡尚美 201506
春の雪窓辺の花を消しにけり 溝渕弘志 六花 201506
逆縁の卒塔婆を墓に春の雪 國保八江 やぶれ傘 201506
春の雪サクラサクとふメール来る 有賀昌子 やぶれ傘 201506
春の雪積みて貨物車停まりをり 高橋均 やぶれ傘 201506
回廊の僧の摺り足春の雪 田村すゝむ 風土 201506
笹漬の小鯛も若狭春の雪 田中佐知子 風土 201506
カクテルのアレキサンダー春の雪 田中佐知子 風土 201506
試飲するビール工場春の雪 須賀敏子 あを 201506
山肌に白い筋あり春の雪 森理和 あを 201506
会津なまりの友ゐて城に春の雪 黒滝志麻子 末黒野 201506
寺町にしづかな日暮春の雪 樋白みのぶ 201506
黒板に書き足すメニュー春の雪 天谷翔子 201506
外出好きなる女房に春の雪 柴原保佳 ホトトギス 201507
うすれゆく記憶ひらひら春の雪 松田都青 京鹿子 201507
春の雪流れの中に降り続け 藤波松山 京鹿子 201507
春の雪降る手術後の保護眼鏡 田中臥石 末黒野 201507
やんはりと女医の助言や春の雪 白神知恵子 女坂 201508
旅人のやうに醒めたる春の雪 佐藤喜孝 あを 201508
春の雪校歌にありし山と川 佐藤喜孝 あを 201508
泡沫の恋とも知らず春の雪 岸本順子 京鹿子 201601
東京につながる電話春の雪 稲畑汀子 ホトトギス 201602
草の息木の息春の雪の息 布川直幸 201602
春の雪とは美しく疎ましく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
大方は積もることなく春の雪 稲畑汀子 ホトトギス 201603
積もること期待も少し春の雪 稲畑汀子 ホトトギス 201603
案の定舞ひはじめたる春の雪 稲畑汀子 ホトトギス 201603
日の射して明るき春の雪となる 稲畑汀子 ホトトギス 201603
山容を隠しはじめし春の雪 稲畑汀子 ホトトギス 201603
日の射して春の雪止む心かな 稲畑汀子 ホトトギス 201603
春の雪なほ降り積る旅路かな 稲畑汀子 ホトトギス 201603
春の雪母の使ひし茶筅出す 小林朱夏 201603
信じきるまでにしばらく春の雪 林田麻裕 201603
牡鶏のちちんぷいぷい春の雪 山田六甲 六花 201603
枝振りの豊かさ現れて春の雪 小川流子 201604
春の雪そのひとひらにある想ひ 鈴鹿仁 京鹿子 201604
しのびよる不吉な気配春の雪 鈴木阿久 201604
家中にカナリアの聲春の雪 佐藤喜孝 あを 201604
阿吽の虎丈余のしっぽ春の雪 佐藤恭子 あを 201604
繭となる一村春の雪日和 高村令子 風土 201604
春の雪斜めに降りて闇濃くす 中江月鈴子 201604
木の股にしばらく宿り春の雪 大畑善昭 201605
佐保姫の何に拗ねしか春の雪 田所節子 201605
とこしへに生きる錯覚春の雪 高村令子 風土 201605
春の雪鏡に話す美容院 折田京子 風土 201605
玄関を出づれば旅路春の雪 松崎雨休 風土 201605
春の雪吹き込む朝の戸口かな 落合裕子 万象 201605
捨印は心胸に打つ春の雪 鈴鹿呂仁 京鹿子 201605
木の瘤の自画像めけり春の雪 成田美代 201605
箸墓に卑弥呼眠らす春の雪 佐藤信子 春燈 201605
頬にとけなんと儚き春の雪 柴田靖子 201605
髪かき上ぐや篁の春の雪 庄司久美子 201605
春の雪積もることなく降りしきる 矢野百合子 201606
平仮名でゆきと書きたし春の雪 山田正子 201606
朝陽いま染めゆく空を春の雪 青木朋子 201606
外灯の明かりはらはら春の雪 伊藤百江 春燈 201606
余生とはまばたきのやう春の雪 北川孝子 京鹿子 201606
お干菓子の紙のうす紅春の雪 北川孝子 京鹿子 201606
春の雪老人ホームに一死あり 木戸渥子 京鹿子 201606
産着縫ふ針の暇や春の雪 竹中龍平 京鹿子 201606
通勤を一筋変へて春の雪 竹中龍平 京鹿子 201606
春の雪猫の足跡ともに消ゆ 藤波松山 京鹿子 201606
てのひらにひらと哀しき春の雪 笹村政子 六花 201606
はらはらと降りてはかなき春の雪 高橋照子 雨月 201606
春の雪呑んで竹林揺れ止まず 中野匡子 ホトトギス 201607
春の雪視界は真白降り続く 水谷直子 京鹿子 201607
春の雪消え湯気あげるトタン屋根 松本善一 やぶれ傘 201608
銀ぶらを夢見るマネキン春の雪 石原孝人 京鹿子 201701
春の雪 →10      

 

2022年2月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。