春の月 4      100

蹴あげたる鞠のごとくに春の月   富安風生

春の月  春月

作品
作者
掲載誌
掲載年月

 市川團十郎逝く

とこしへの色即是空春の月

佐藤信子 春燈 201305
春の月一日入院終りけり 宮川みね子 風土 201305
夜がそこに眉に触るるや春の月 本多俊子 201305
東山の色薄紅に春の月 竹中一花 201305
春の月太閤の湯に染むタオル 杉浦典子 火星 201305
しあわせの村しあはせの春の月 野澤あき 火星 201306
したたかに酔うてこそよき春の月 山田春生 万象 201306
妣とゐるやう窓越しの春の月 堺昌子 末黒野 201306
千枚の棚田は切絵春の月 梶浦玲良子 六花 201306
徒雲のうしろにまはる春の月 吉弘恭子 あを 201306
熟れごろのメロンのさまに春の月 杉本綾 201307
春の月胸になだむる夜泣きの子 仲里奈央 201310
青き地球永遠にと祈る春の月 伊藤憲子 201404
潮の引く珊瑚の島や春の月 秋千晴 201405
海を出て金色零す春の月 石田厚子 馬醉木 201405
高階に暗き窓あり春の月 今井洋子 雨月 201405
アボカドの種の重たし春の月 辻美奈子 201405
大いなる訃報に欠くる春の月 西村しげ子 雨月 201406
劇団を追ひかけてゆく春の月 梶浦玲良子 六花 201406
信号のぴよぴよと鳴る春の月 小山陽子 やぶれ傘 201406
乗りついで付いてきたりし春の月 野澤あき 火星 201406
訳ありの猫と野菜と春の月 笹村恵美子 201406
塔に触れ紙燭のごとき春の月 千田百里 201406
円位より西行がよし春の月 柴田久子 風土 201406
フクシマにいつとき遅れ春の月 荒木甫 201406
世の憂さをすとんと落し春の月 石橋みどり 201407
春の月足元あたりを優しくす 東秋茄子 京鹿子 201407
タクシーを待つ列にゐて春の月 渡邊孝彦 やぶれ傘 201407
春の月下駄を鳴らして露天湯へ 吉田きみえ 末黒野 201409
揺り椅子をとめて戴く春の月 藤井杏愛 京鹿子 201501
仰ぎ見し大仏の上春の月 王岩 あを 201504
春の月すり減りへりゆきし木の敷居 吉田香津代 201505
蒼空に透くほど淡き春の月 大橋伊佐子 末黒野 201505
地球とは宇宙の孤島春の月 河口仁志 201505
よく遊びよく働きし春の月 戸栗末廣 201505
火事鎮火折から春の月上がり 定梶じょう あを 201505
ムール貝食べに銀座に春の月 田中藤穂 あを 201505
玻璃ごめの最上階や春の月 山口ひろよ 201505
春の月指先からむ遊びせむ 本多俊子 201506
春の月酒一合の余生かな 中村三郎 京鹿子 201506
客待ちのタクシー濡らす春の月 塩田杉郎 風土 201506
住み古りて引戸重たし春の月 佐々木永子 末黒野 201506
魁夷の絵さながらに出づ春の月 杉山哲也 馬醉木 201506
春の月爆睡といふ若さ欲し 泉本浩子 馬醉木 201506
自転車の人影若し春の月 橋本順子 201507
抱きしめてぱつとはなすや春の月 平田紀美子 風土 201507
もどかしき身体を包む春の月 岸上道也 京鹿子 201507
雲はやく流れて春の月まろき 小山陽子 やぶれ傘 201508
ふるさとの小駅を好み春の月 松田泰子 末黒野 201508
春の月上げ喪帰りの宵の口 吉田きみえ 末黒野 201508
春の月疲れたる黄をかかげけり 木下夕爾 春燈 201508
グラブからボール跳ね出て春の月 ねじめ正一 船団 201508
少年かそれとも老女春の月 長沼佐智 船団 201508
春の月丸し巡洋艦の上 大崎紀夫 虻の昼 201510
木の囲む家の来し方春の月 ふけとしこ 船団 201512
ポストまで二百歩春の月育つ 神蔵器 風土 201603
雨多き日のつづきたる春の月 稲畑汀子 ホトトギス 201604
大川においてきぼりの春の月 コ田千鶴子 馬醉木 201604
ジヤズ流れ祇園四条に春の月 鈴鹿呂仁 京鹿子 201604
浅春の月のかかりし梢かな 根岸善行 風土 201605
放蕩の男に惹かれ春の月 広渡敬雄 201606
春の月助詞のごとくに星ひとつ 齊藤實 201606
父母の看取り解かれし春の月 亀井紀子 201606
茶畑の畝もりあがる春の月 鈴木鳳来 春燈 201606
硯海に弛みて遊ぶ春の月 坂本徹 201607
春の月逸れて線路の曲がりゆく きくちきみえ やぶれ傘 201607
春の月愁ひ帯びつつ昇るかな 大橋晄 雨月 201607
須磨の海やうやう上る春の月 堀井英子 雨月 201607
うまご生れその夜大きな春の月 福岡かがり 雨月 201607
やはらかきものに触れたし春の月 河原敬子 201608
山の端を離れがたきや春の月 鈴木七雄 末黒野 201609
寡夫二人休む切株春の月 中村弘 末黒野 201609
伯母上のメールはるると春の月 原ゆき 船団 201612
レットイットビー春の月だしおとなだし 梨地ことこ 船団 201701
偲ぶ人多き吉野や春の月 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
春の月明治の玻璃に歪なる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
木星に主役を譲り春の月 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
吉野山光で繋ぐ春の月 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
天空の穴より覗(のぞ)く春の月 本多俊子 201705
窓あけてきつと確かむ春の月 大坪景章 万象 201705
春の月車窓に躍り出でしかな 森田明成 201705
転院の夫と見あぐる春の月 笹村政子 六花 201705
宇野千代の「おはん」観劇春の月 井上正子 春燈 201705
陸前の津波禍の町春の月 秋川泉 あを 201705
払暁や曲玉なりの春の月 石黒興平 末黒野 201706
春の月城下の甍一望に 森清堯 末黒野 201706
金色の経文ひらく春の月 平野多聞 201706
かはたれの産みの社の春の月 中島陽華 201707
見えねども分かりし心春の月 江島照美 201707
宴会の曖昧に果つ春の月 永田万年青 六花 201707
春の月朧一枚羽織りけり 赤松赤彦 六花 201707
猫は鈴残して死せり春の月 樋口みのぶ 201706
雪嶺の裏よりのぼる春の月 山田春生 万象 201707
釘と紐持てばデカルト春の月 中島陽華 201708
春の月木々の梢を流れけり 志方章子 六花 201709
猿帰りゆきたる山に春の月 木村享史 ホトトギス 201709
春の月樹々のはざまにある余白 田中美恵子 201805
薄き雲通して見ゆる春の月 出口誠 六花 201805
雲一つ無き空に浮く春の月 出口誠 六花 201805
何処より穫れし我かな春の月 田尻勝子 六花 201805
春の月→ 5      

 

2021年3月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。