春の月 5      88句

蹴あげたる鞠のごとくに春の月   富安風生

春の月  春月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
齢には触れずにゐやう春の月 藤生不二男 六花 201806
パソコンのまたも危ふし春の月 はしもと風里 201806
自転車の背につかまりて春の月 平居澪子 六花 201807
黒髪の頃は短し春の月 柴田佐知子 201809
母にまだ握る力や春の月 横田敬子 201809
漁船来て繋り了んぬ春の月 水原秋櫻子 馬醉木 201904
春の月みるみる海のやうに空 今井肖子 ホトトギス 201904
うすうすとあり春の月なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201904
天鵞絨の夜てふ袋春の月 辻美奈子 201904
春の月真砂女忌の海抱くかに 安立公彦 春燈 201905
禅林や塔影淡き春の月 高木邦雄 末黒野 201905
己が色こぼさぬやうに春の月 森祐司 201905
平成も終る大きな春の月 田中藤穂 あを 201905
カーテンを透かして光る春の月 中西厚子 201906
消毒のよう東京に春の月 津田このみ 船団 201906
人体はちくわ構造春の月 津田このみ 船団 201906
赤ん坊の腹式呼吸春の月 土谷倫 船団 201906
春の月いまもだれかが嘘をつき はしもと風里 201906
風おちて闇の迫り来春の月 森清信子 末黒野 201906
露天湯や落ちて来さうな春の月 菅野日出子 末黒野 201906
春の月仰ぎ旅愁の湧く夜かな 高橋和女 春燈 201907
向かうから歩き煙草が春の月 小山よる やぶれ傘 201907
迫りたる闇ににじめり春の月 森清信子 末黒野 201907
五重塔跡祈りのごとく春の月 森祐司 201910
春の月雲を襲と着給うて 佐藤恭子 あを 202003
主亡き部屋に差し入る春の月 土屋啓 馬醉木 202004
春の月貝殻骨のむずむずす 久保夢女 202005
春の月ことさらにして飛鳥路は 佐藤喜孝 あを 202005
人見知りしはじめ春の月円か 土手晶子 馬醉木 202005
ポンと肩たたかれヒョイと春の月 長谷川博 船団 202006
春の月瓦の漆光りして 森田節子 風土 202006
星見えず空に一舟春の月 野村重子 末黒野 202007
二上の眉はやさしく春の月 平居澪子 六花 202007
自粛要請いつまで続く春の月 佐々木麻里 202007
けふは海けふは松ヶ枝春の月 佐藤喜孝 あを 202007
人消えし街に大きな春の月 藤井啓子 ホトトギス 202008
春の月窗を開けろといふてゐる 佐藤喜孝 あを 202103
軒下に鳩の鳴く声春の月 小山よる やぶれ傘 202105
明日もまた同じ日の来る春の月 山田暢子 風土 202105
円周率の永遠に続きて春の月 小林陽子 202105
点滴終へ九時消灯の春の月 坂下成紘 202105
春の月ただようように上りけり 大山夏子 202105
飛行機の灯の行く先の春の月 小池一司 やぶれ傘 202105
皓々と畳廊下に春の月 眞田忠雄 やぶれ傘 202105
春の月甍を離れつつありぬ 中根美保 風土 202106
ぬたずりの木々のささやき春の月 鈴鹿呂仁 京鹿子 202106
春の月足手まとひの雲ひとつ 鈴鹿呂仁 京鹿子 202106
ありあけのほとびきったる春の月 佐藤喜孝 あを 202107
春の月突つ支ひ棒のほしかりし 松下道臣 202107
お隣の屋根に落ちさう春の月 今井千鶴子 ホトトギス 202107
春の月したたりながら渡りゆく 今井千鶴子 ホトトギス 202107
獣にも好きな通ひ路春の月 原友子 202107
隠沼へ影を重たく春の月 森清堯 末黒野 202107
どの窓も物語あり春の月 森由佳 末黒野 202107
人肌の温もりあらん春の月 近藤喜子 202107
飛鳥なる巨石あそびの春の月 山中志津子 京鹿子 202107
うしろ影追ひかけてゐる春の月 西村白杼 京鹿子 202107
春の月バックミラーに子の寝顔 小泉里香 やぶれ傘 202108
懺悔のあと歩くひと駅春の月 林徹也 202108
春の月心配事も人の常 稲畑廣太郎 ホトトギス 202204
山の湯の闇の深さや春の月 丸山千穂子 末黒野 202204
春の月はしやいでゐたる波の上 中島昌子 202205
国破れ異郷の奇寓春の月 渡辺節子 202206
春の月ふところ深くしまひたし 秋山蔦 春燈 202206
春の月北京五輪の聖火消ゆ 岡山敦子 京鹿子 202206
穴を掘る工夫の背や春の月 岡野里子 末黒野 202206
離れ難く共にながむる春の月 秋川泉 あを 202206
頬杖の杖をはづせば春の月 奥田筆子 京鹿子 202207
老いのねむの深さいかほど春の月 土井三乙 風土 202207
春の月草に沈める雲の影 亀卦川菊枝 やぶれ傘 202207
おやすみと言へる幸せ春の月 杉山善信 やぶれ傘 202207
春の月流れなきごと川流れ 白石正躬 やぶれ傘 202208
春の月影より聞こゆ南無阿弥陀 岡山敦子 京鹿子 202208
母にまだ握る力や春の月 横田敬子 202212
春の月顔の幅だけ雨戸開け 田中素直 202212
春の月満ちて川面に紅ゆらり 浜田久美子 六花 202305
春の月野良猫ちょつとだけ逃げる きくちきみえ やぶれ傘 202307
ありがたや屋根のひまより春の月 今村千年 末黒野 202306
心身の疲れ癒やすや春の月 秋山文子 末黒野 202306
春の月指差す空の静けさよ 小林友子 末黒野 202306
深しんとせせらぎの音春の月 植村蘇星 京鹿子 202306
泣いてゐる地球に祈りを春の月 瀬尾千鶴枝 京鹿子 202306
春の月つかめと父の肩車 中村重幸 202306
跳ね橋の打ち上げてゐる春の月 澤田英紀 202306
亡き夫の変らぬ椅子や春の月 工藤邦子 202306
戸締まりの空を仰げば春の月 濱野新 やぶれ傘 202306
春の月孫へのカード投函す 須賀敏子 あを 202307
看護師のひそひそばなし春の月 佐藤千恵 京鹿子 202308
春の月→ 1

 

 

2024年3月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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