春の月 3      115句

山ふかみなほかげさむし春の月空かきくもり雪はふりつつ   嘉陽門院越前

春の月  春月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鬼がゐて鬼の子がゐて春の月 柴田佐知子 200806
けふ掘りし筍山に春の月 戸栗末廣 火星 200807
犬の影先に発たせて春の月 関根洋子 風土 200807
良寛の描きしやうな春の月 川口襄 遠嶺 200807
ひとり酌む酒よし春の月夜かな 小田切明義 春燈 200807
異国にも父や母居て春の月 伊吹之博 京鹿子 200807
明けてゆく刻々春の月細し 稲畑汀子 ホトトギス 200904
格子戸に鉛筆春の月まんまる 宮本佳世乃 炎環 200904
人妻の一と痩せしたる春の月 堀内一郎 あを 200904
昨日より少し陽気な春の月 塩路隆子 200905
蒲生野に降りて来さうな春の月 松岡和子 200905
風唸る木々の間よりの春の月 仁平則子 200905
三線さんしんにはじまる宴春の月 大谷茂 遠嶺 200905
伶人のしづかに座せり春の月 清水晃子 遠嶺 200905
生来の無口詰られ春の月 中原敏雄 雨月 200905
混沌に生き玲瓏の春の月 川口襄 遠嶺 200906
春の月富貴寺の裏の木の間より 工藤はるみ 風土 200906
ジョギングの歩の軽々と春の月 中山静枝 200906
白々と雲流れつつ春の月 古川さかえ 酸漿 200906
芝居小屋裏に運河や春の月 中田みなみ 200906
首都圏の鉄道路線図春の月 笠真木 炎環 200907
春の月口あけてをる無間かな 瀬川公馨 200907
蛤を焼く年寄に春の月 戸栗末廣 火星 200907
春の月川渡り来るカラスニ羽 白石正躬 やぶれ傘 200907
滝の上の春の月なれ物憂けれ 吉弘恭子 あを 200907
城山は闇の塊春の月 上村和子 200908
大津繪の鬼も浮かるる春の月 村田千枝子 200908
漫ろなり君が背と触れ春の月 岸本幸 ろんど 200908
春の月テムズの川に影つくり 竹下昌子 200909
屋根円きモーモードーム春の月 小林共代 風土 200911
上げ潮の満ち足りしとき春の月 鳳蛮華 200911
ふつくらと花麩ふくらむ春の月 小嶋洋子 201004
西行も嘆き見しかや春の月 大口堂遊 春燈 201004
吾死さば直系子なし春の月 西田史郎 201005
柔らかき雲の流れや春の月 和田郁子 201005
はたきかけ輝き増する春の月 中島玉五郎 201005
天上に母の声とも春の月 池田達二 風土 201005
生命は昏き海より春の月 松本周二 201005
春の月みたいなおこのみ食べました 塩路彩奈 201006
万人の願ひ収斂春の月 四條進 201006
棟上の屋根をつつみし春の月 中山静枝 201006
春の月号泣鳴咽ある家に 大畑善昭 201006
死後の詬ゆるすべからず春の月 滝沢幸助 春燈 201006
野良猫に取らる濡れ縁春の月 関根洋子 風土 201006
ほろほろと大きく昇る春の月 奥山絢子 風土 201006
直角の団地の空の春の月 田尻勝子 六花 201006
見上ぐれば眉より細き春の月 永田あき 酸漿 201006
原野まだ銀の星なす春の月 加藤千津 ろんど 201006
人恋のはなしを聞く心春の月 秋葉貞子 やぶれ傘 201007
百代を湧きつぐ水や春の月 片山博介 春燈 201007
天主つらぬく通し柱や春の月 清水美子 春燈 201007
春の月大阪城にかかりけり 山口天木 雨月 201007
隣家の児父に抱かれて春の月 山口天木 雨月 201007
繰り言は子守唄にも春の月 あさなが捷 201008
黒猫の眼を探す春の月 倉持梨恵 201008
山闍の底は泥なり春の月 小澤克己 遠嶺 201008
こころ喪にあれば潤みて春の月 木村享史 ホトトギス 201010
夜更けには雨になるらし春の月 山田六甲 六花 201104
露天湯の岩を離れず春の月 坂根宏子 201105
まだ渦とならざる潮春の月 蘭定かず子 火星 201105
一枚の玻璃戸を飾る春の月 中島静子 酸漿 201105
携帯で夫と繋がる春の月 斉藤裕子 あを 201105
全集の終巻に入る春の月 野畑小百合 201106
再会の涙やうるむ春の月 鈴木静恵 春燈 201106
節電に消ゆるネオンや春の月 矢口笑子 春燈 201106
信号を二回で渡る春の月 堀志皋 火星 201106
丘の上に介護ホームや春の月 丸山照子 火星 201106
停電の町皓々と春の月 仁平則子 201106
わたなかの砂子のさやぎ春の月 加藤みき 201106
停電の街をあらはに春の月 石川笙児 201106
風棲める竹林春の月にほひ 松本三千夫 末黒野 201106
地震あとや松の樹越しに春の月 菅野蒔子 末黒野 201106
余震の山河円やかに春の月 角谷美恵子 ぐろっけ 201106
春の月壊れし町をへだてなく 菅野蒔子 末黒野 201107
牙を剥く海とは見えず春の月 吉田政江 201107
停電の出窓へ春の月あかり 鍋島広子 万象 201107
みちのくの惨たり春の月仰ぐ 水田壽子 雨月 201107
天心に紅く大きな春の月 近藤豊子 雨月 201107
滲みたる春の月あり地震のあと 花岡豊香 酸漿 201107
土佐堀川とさぼりに賽を投げたる春の月 瀬川公馨 201107
春の月術後の身内透き通り 宮井知英 201108
養生の日々に飽くなり春の月 高倉恵美子 201108
春の月近々とあり湾の上 榎本桂子 万象 201108
躓きてひとりの苦笑春の月 布川孝子 京鹿子 201109
顔といふ荒野に触るる春の月 星野早苗 船団 201110
忘れゆく母をなだめて春の月 亀井紀子 201202
激震のあとを鎮めに春の月 布川直幸 201203
春の月一重まぶたと謂ふ血すぢ 鈴鹿仁 京鹿子 201203
金銀を昔は壺に春の月 苑実耶 大河 201203
金星に言ひ寄られたる春の月 安居正浩 201204
山頂の背伸びしてみる春の月 鈴鹿仁 京鹿子 201204
聖橋水より昏れて春の月 石田康明 春燈 201205
高階の駅舎に春の月やさし 青木ちづる 201205
室堂に白き影聳つ春の月 久保信夫 万象選集 201205
手話をもて「また逢う日まで」春の月 赤座典子 あを 201205
手をあげて別るる駅や春の月 鶴濱節子 始祖鳥 201206
湾岸の高きビルより春の月 郡山真帆 かさね 201206
春の月被災地の空にもあらむ 郡山真帆 かさね 201206
春の月雨戸を閉める長廊下 國保八江 やぶれ傘 201206
天平の塔照らしだす春の月 山田春生 万象 201206
春の月わたしのうちに来ませんか 佐藤凉宇子 ろんど 201206
工事場の裸灯そのまま春の月 吉田きみえ 末黒野 201206
お豆腐は四角がよろし春の月 田中藤穂 あを 201206
一締の紙の重さよ春の月 瀬戸悠 風土 201207
露天湯に先客ひとり春の月 塩田博久 風土 201207
春の月ダンス帰りの二人の上 村上留美子 火星 201207
皇子の名の部屋万葉の春の月 藤原照子 201207
産声の待たるる窓の春の月 神田惣介 京鹿子 201207
太宰楼といふ店のあり春の月 下平誠子 ろんど 201207
妖怪を呼び込み赤し春の月 出口誠 六花 201207
年下の人の訃を聞く春の月 吉村摂護 201208
灯を消すや窓に泛べる春の月 吉田きみえ 末黒野 201208
春の月丸し巡洋艦の上 大崎紀夫 やぶれ傘 201207
きだはしをけもののごとく春の月 吉弘恭子 あを 201208
やんはりと自己主張せる春の月 和田郁子 粥の味 201209
春の月→ 4      

 

2021年3月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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