春の塵     74句

春塵   春の塵  春埃

作品
作者
掲載誌
掲載年月
読まぬ本とはあきらかに春の塵 稲畑汀子 ホトトギス 199903
縦のもの横に机上の春の塵 稲畑汀子 ホトトギス 199903
道祖神の肩抱合へる春の塵 米澤光子 火星 199906
地球儀の北極圏に春の塵 渡辺よし生 風土 199907
父癒えて払ふ碁盤の春の塵 小島緑泉 199907
磔像に日当たるときの春の塵 福場朋子 200006
春の塵鳥の子和紙のざらつけり 中村洋子 風土 200006
羽根ペンの自筆楽譜に春の塵 福場朋子 200006
絵硝子の聖像に浮く春の塵 吉原一暁 200007
目くじらを立ててどうする春の塵 山田六甲 六花 200103
忘れもの戻るすがらの春の塵 葉月ひさ子 船団 200106
象の子に遠き国あり春の塵 田中聡子 遠嶺 200206
リビングの贋の暖炉に春の塵 伊藤トキノ 200207
人さしの指でたしかめ春の塵 渡辺真奈美 200208
父めでし碁盤の上の春の塵 毛利慶子 200211
干されある鬼の衣に春の塵 竹中一花 200305
平積みの表紙にひかる春の塵 藤井圀彦 200306
千の手に受く観音の春の塵 和田一 雨月 200405
嫁ぎたる娘の部屋の春の塵 中村重雄 百鳥 200405
嫁がせてピアノに淡き春の塵 佐々木よし子 200406
行けざりし旅の鞄に春の塵 川島三栄子 200406
卓上に消しゴムの屑春の塵 中田寿子 ぐろっけ 200407
角屋にも不開門有り春の塵 中田征二 ぐろっけ 200407
刀傷手垢にまぶる春の塵 中田征二 ぐろっけ 200407
鐘楼に舞ふ煩悩と春の塵 白井墨絵 遠嶺 200408
春の塵趺坐の蹠の大きかり 成井侃 対岸 200505
嫁せし子のピアノくもらす春の塵 尾高せつ子 200506
南吉の小さき文机春の塵 角南知子 栴檀 200507
しづけさや天心像に春の塵 卓田謙一 万象 200509
光るものより置き初むる春の塵 稲畑汀子 ホトトギス 200603
切れ深き円空の笑み春の塵 藤岡紫水 京鹿子 200606
湯女たちの春の塵拭く陰の神 大木茂 万象 200606
天金を吹く幾年の春の塵 伊賀山ひでを 春燈 200607
松葉杖の肩に降りくる春の塵 竹内水穂 火星 200705
毛は猫の住民票よ春の塵 横山迪子 六花 200706
春の塵ボンネットは猫の近道 大空純子 ぐろっけ 200707
春の塵のせて仁王の力瘤 佐藤雄二 万象 200707
喪帰りの夫に少しく春の塵 真保喜代子 200707
箱書は先代のもの春の塵 福場朋子 200711
欄干につくてのひらに春の塵 ことり 六花 200803
仁王像の開く十指や春の塵 國保八江 やぶれ傘 200805
春の塵書斎にもある死角かな 宮川典夫 200805
柔らかき大仏の背に春の塵 七種年男 200905
春の塵吽像の臍大いなる 田中藤穂 あを 201004
東大寺南大門前春の塵 田中春生 201006
筆をもてくわんおんさまの春の塵 古田考鵬 雨月 201006
春の塵部屋は干し物人は隅 改正節夫 ぐろっけ 201007
六甲の稜線模糊と春の塵 稲畑汀子 ホトトギス 201103
幽霊に積りてゐたる春の塵 石川笙児 馬込百坂 201206
日覚めても又も眠たき春の塵 三井尚美 ぐろっけ 201206
はたかれて春の塵吐く草箒 山尾玉藻 火星 201303
春の塵ポイントカード増えつづく 森下康子 201305
バス停にバスくる音や春の塵 きくちきみえ やぶれ傘 201305
縁側の足踏みミシン春の塵 國保八江 やぶれ傘 201306
シュレッダーにかける恋文春の塵 森下康子 201405
時代めく墨書札板(ふだいた)春の塵 伊東和子 201406
何ひとつ置かぬ文机春の塵 戸田澄子 末黒野 201406
厨子甕の獅子と鯱とに春の塵 呉屋菜々 万象 201407
胸筋に春の塵おく仁王かな 石黒興平 末黒野 201408
ラバウルを探す地球儀春の塵 高橋明 末黒野 201506
春慶の文箱に写る春の塵 中林晴雄 201507
掃除機を奏づるごとく春の塵 小田嶋野笛 末黒野 201507
子規堂の机ひとつや春の塵 鈴木静恵 春燈 201606
建売の受付机春の塵 木村美翠 201706
春の塵思考回路の隙間にも 高橋将夫 201706
拡大鏡さがす机や春の塵 豊谷ゆき江 春燈 201707
綺麗好きなりし遺影に春の塵 木村享史 ホトトギス 201808
億年のアンモナイトに春の塵 本多俊子 201906
ひび割れの金剛力士春の塵 石黒興平 末黒野 201906
春の塵にも好き嫌ひ家具の艶 後藤比奈夫 ホトトギス 201908
奉納の竹包十二春の塵 間島あきら 風土 202002
さまよへる巨大都市メトロポリスの春の塵 鈴鹿呂仁 京鹿子 202006
沈黙のピアノの上や春の塵 大霜朔朗 末黒野 202107

 

2022年2月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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