春炬燵 3      123句

新聞をひろげつぱなし春炬燵   川崎展宏   歳時記

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夏みかん冷やりと重し春炬燵 瀧春一 深林 200901
毎日のうたた寝によき春炬燵 滝沢伊代次 万象 200903
蜜月のやうに夫婦の春炬燵 和田郁子 200904
真向ひて無口のふたり春炬燵 八田マサ子 馬醉木 200904
春炬燵ものぐさぐせをいましめて 青垣和子 雨月 200904
忘れいし携帯電話の鳴る春炬燵 金井香ル 200905
夫居るは夢にてありし春炬燵 田中藤穂 あを 200905
聞香の残り香こもる春炬燵 柴崎富子 春燈 200905
言訳にすぎぬこと言ふ春炬燵 松橋利雄 春燈 200905

 小坡様逝去

降り止まぬ雨の一日や春炬燵

木村傘休 春燈 200905
ロスタイム楽しむ余生春炬燵 北尾章郎 200906
聞き流す母の繰り言春炬燵 増田葉月 200906
よろづ屋の奥に声する春炬燵 伊川玉子 万象 200906
ふる里の言葉つい出て春炬燵 吉村光子 万象 200906
鳶の輪の大きな空や春炬燵 片岡啓子 遠嶺 200906
春炬燵頭の下の広辞苑 下山育子 炎環 200906
銀シヤリは金山寺味噌春炬燵 小堀寛 京鹿子 200906
春炬燵世情に疎くをりしかな 足立典子 雨月 200906
仏間とは心癒ゆる間春炬燵 足立典子 雨月 200906
礼状を認むる日々春炬燵 石井邦子 酸漿 200906
春炬燵急ぎ仕舞ひて悔みけり 舛田初惠 酸漿 200906
子の描く母はまるまる春炬燵 半澤正子 馬醉木 200907
小津作品に涙脆くて春炬燵 奈佐幸子 200907
有耶無耶の男ひとりの春炬燵 大西順子 ろんど 200907
対合ひて舟を漕ぎをり春炬燵 守屋井蛙 酸漿 200907
春炬燵互ひ領分侵さざる 松岡和子 201004
春炬燵妻を主に戴けり 布川直幸 201004
春炬燵声のみ張りを失はず 中本吉信 201005
本広げにはか書斎の春炬燵 石川かおり 201005
春炬燵母離れせし虚脱感 前川ユキ子 201005
文書かず遺書も記さず春炬燵 小石珠子 春燈 201005
母の座は既に空っぽ春こたつ 芝孝子 末黒野 201005
指先でタンゴのリズム春炬燵 安武農子 201005
一人ごと聞かれてをりし春炬燵 芝宮須磨子 あを 201005
飲み残す湯呑が二つ春炬燵 遠藤実 あを 201005
春炬燵少女は無心に眠りけり 塚原洋子 201006
やや寝落ち拳が開く春炬燵 和田照子 201006
春炬燵腹這ひて見るファッシヨン誌 今中道子 201006
覚悟なきままの独居よ春炬燵 平居澪子 六花 201006
頁繰る夜更の音や春炬燵 青木陽子 酸漿 201006
念を押す猫の餌やり春炬燵 陶山泰子 ぐろっけ 201007
鼾かく猫に添ひ寝の春炬燵 松村光典 やぶれ傘 201008
もの忘れ似たり寄ったり春炬燵 坂本哲弘 山ざくら 201009
寝る夫を叩き起こして春炬燵 石川裕美 ぐろっけ 201009
春炬燵嬰に初めてのいないいないばあ 伊藤憲子 201104
春炬燵両手に重き広辞苑 大松一枝 201104
いくたびも小法師ころげ春炬燵 コ田千鶴子 馬醉木 201104
べつべつの鴨見てふたり春炬燵 山尾玉藻 火星 201104
読み返す旅のしをりや春炬燵 和田郁子 201105
落丁の憶ひ出つなぐ春炬燵 藤井寿江子 馬醉木 201105
曇天に瞼重たき春炬燵 鈴木勢津子 201105
子を諭す言葉選びて春炬燵 藤本章子 201105
春炬燵行をはみ出す日記書く 小山繁子 春燈 201105
戒名をかんがへてゐる春炬燵 戸栗末廣 火星 201105
老二人漢字にうとき春炬燵 青木陽子 酸漿 201105
春炬燵夢二の女猫を抱く 中島静子 酸漿 201105
春炬燵主顔なる猫のゐて 大崎ナツミ 雨月 201105
トランプの女王や王や春炬燵 安藤久美子 やぶれ傘 201106
大地震着のみで一夜春炬燵 仁平則子 201106
天空に浮かぶ地球や春炬燵 本多俊子 201106
春炬燵言はずもがなのこと悔いて 菅野日出子 末黒野 201106
春炬燵かかへて地震をやり過ごす 外川玲子 風土 201106
幸ここに常なるくらし春炬燵 北尾章郎 201107
ものなべて手の届く距離春炬燵 山本町子 風土 201107
七年の回り道経て春炬燵 年森恭子 ぐろっけ 201107
うたたねし掃き出されたる春炬燵 小浦遊月 酸漿 201107
しやつくりの止まらざるまま春炬燵 高橋均 やぶれ傘 201108
昼日差し集め誰も居ず春炬燵 布川直幸 201203
娘の縁談思案してゐる春炬燵 久永つう 瀬戸の海 201203
なんとなく家族の集ふ春炬燵 川越栄一 末黒野句集 201203
端踏まれ跨がれ春の炬燵掛け 布川直幸 201204
妻留守の昼酒少し春炬燵 木内博一 春燈 201205
寄り合うて命の話春炬燵 岡野ひろ子 201205
貝がらを並べゐる子と春炬燵 西村節子 火星 201205
語らひし面ありありと春炬燵 田中藤穂 あを 201205
とろとろと弥陀に招かれ春炬燵 北尾章郎 201206
呼び入れて話の弾む春炬燵 高倉恵美子 201206
風葬の話となりぬ春炬燵 野畑さゆり 201206
遙かなる昭和やひとりの春炬燵 船越和香 馬醉木 201206
黙の中少し距離置く春炬燵 江島照美 201206
鶴唳の響もす宿の春炬燵 水木沙羅 201206
起きたくも寝たくもなくて春炬燵 三井尚美 ぐろっけ 201206
方便を悔いてをりたり春炬燵 高野春子 京鹿子 201206
備へ置く物あれこれと春炬燵 松田冨枝 末黒野 201206
日替りの日本茶香る春炬燵 松本アイ ぐろっけ 201207
父のゐて離島のごとし春炬燵 戸栗末廣 201208
小道具の如く鎮座や春炬燵 山本茂子 末黒野 201208
春炬燵薬欲むのも差向ひ 阿部綾子 ろんど 201208
後ろより睡魔の来たる春炬燵 久世孝雄 やぶれ傘 201209
じいちゃんが代数を解く春こたつ 紀川和子 うらら 201202
思春期や母を疎みて春炬燵 松岡和子 201304
言文は一致せぬもの春炬燵 菊川俊朗 201305
相槌に打ち方のあり春炬燵 上田雪夫 ぐろっけ 201305
また一つ箍のゆるびし春炬燵 竹田ひろ子 ろんど 201305
春炬燵悩む事すら放棄して 斉藤裕子 あを 201305
勧誘へ居留守使ふや春炬燵 鈴木一三 末黒野 201305
春炬燵ほどほどといふ生活守り 乗光雅子 雨月 201305
春炬燵窓が四角に暮れてゆく 菊川俊朗 201306
手が見えて猫の伸びする春炬燵 杉浦一子 万象 201306
気儘とは時にさびしや春炬燵 大橋伊佐子 末黒野 201306
悩み事語るまで待ち春炬燵 西川みほ 末黒野 201306
ぢいと子のすつたもんだや春こたつ 辻佳子 馬醉木 201306
春炬燵話し上手と聞き上手 先山実子 ぐろっけ 201307
はみだして足九文半春炬燵 井上石動 あを 201403
気温の差鬱うつとして春炬燵 長崎桂子 あを 201404
六甲の端に住まひて春炬燵 杉浦典子 火星 201404
本広げにはか書斎の春炬燵 石川かおり 福袋 201404
果実酒をグラスに注ぐ春炬燵 山荘慶子 あを 201404
言ひ張りし後の淋しさ春炬燵 コ田千鶴子 馬醉木 201405
春炬燵志貴の歌など眺めゐて 井上石動 あを 201405
十七文字書きて又消す春炬燵 伊東和子 201405
文書くも昼餉をとるも春炬燵 柴田佐知子 201405
父のゐて離島のごとし春炬燵 戸栗末廣 201405
納め時のふんぎりつかぬ春炬燵 佐藤喜仙 かさね 201405
鉛筆と転た寝したる春炬燵 竹内悦子 201405
春炬燵帰したくなき茶客かな 熊川暁子 201406
話好きの主(ぬし)につかまり春炬燵 西川みほ 末黒野 201406
三階の木造湯宿春炬燵 高橋明 末黒野 201406
同病を笑ひ合ふなり春炬燵 小澤菜美 201406
手厳しき古き句友や春炬燵 野沢しの武 風土 201407
収納をひと日延ばしの春炬燵 田村順子 璦別冊 201408
春炬燵遺墨を掛けてくれもして 岡安仁義 ホトトギス 201410
鳥の影出入りはげしき春炬燵 甕秀磨 201405
春炬燵 →4      

 

2021年3月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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