春浅し 3      200句

春浅き麒麟の空の飛行雲    三好達治

春浅し  早春

作品
作者
掲載誌
掲載年月
看取りとは尽しきること春浅し 柴田朱美 京鹿子 201207
春浅し頬刺す風のいづこより 小林美登里 かさね 201207
崖に沿ふせせらぎの音春浅し 青木英林 かさね 201207
復興に湧ける被災地春浅し 赤川誓城 ホトトギス 201207
妻寝かせ終ひ湯つかふ春浅し 赤川誓城 ホトトギス 201208
還暦の宴に集へり春浅き 山口キミコ 九十九島 201209
太陽の塔のうしろの春浅 佐土井智津子 ホトトギス 201210
春浅しメニユー変らぬレストラン 酒井秀郎 返り花 201211
春浅し繰れば音する新刊書 宮内とし子 201303
春浅しうすむらさきにさ揺る木末 豊田都峰 京鹿子 201303
春浅きライ麦パンにある酸味 細川洋子 201303
御堂筋あっけらかんと春浅し 大橋晄 雨月 201304
うそ泣きを覚えたる孫春浅き 河田孝子 201304
頬なづる風のいろいろ春浅し 篠原幸子 春燈 201304
山裾に粗朶焼く煙春浅し 野畑さゆり 201304
鶯廊のひとりにも鳴り春浅き 乗光雅子 雨月 201305
春浅し恋情塚の赤き供花 伊東和子 201305
春浅し独り歩きすわが拙文 津田霧笛 ぐろっけ 201305
春浅し五十五貫の力石 大島英昭 やぶれ傘 201305
春浅しうすくれなゐの修行僧 加藤みき 201305
春浅き夢に出て飛ぶ白き鳥 十川たかし 201305
春浅き電車の窓のくもりかな 藤井美晴 やぶれ傘 201305
術前のリスク説明春浅し 斉藤裕子 あを 201305
春浅し紙縒の古りし権利証 相澤和子 ろんど 201305
門前に肉桂の香り春浅き 片岡久美子 201305
聖母子のポスター駅に春浅し 坂場章子 201305
粗大ごみに足踏みミシン春浅し 上田亮 末黒野 201306
寒暖の差のはげしさや春浅し 原田たづゑ 春燈 201306
春浅し老いを養ふものを煮て 中山純子 万象 201306
雲水の深き一礼春浅し 白石正躬 やぶれ傘 201306
春浅し薄きを選ぶ供花の色 向江醇子 ぐろっけ 201307
春浅し長き線香関帝廟 四葉允子 ぐろっけ 201307
てのひらの上豆腐切り春浅し 中山純子 万象 201401
ふり返る日々は戻らず春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201402
春浅き邂逅銀座四丁目 水原春郎 馬醉木 201403
対岸にクレーン動きて春浅し 山荘慶子 あを 201404
春浅し夜光時計の遅々として 栗原公子 201404
しわくたの千円札で春浅き 定梶じょう あを 201404
遠きほど散る海光や春浅し 大川ゆかり 201404
水占のパワースポット春浅く 降幡加津 ろんど 201405
春浅し日向の椅子に風が来て 白石正躬 やぶれ傘 201405
春浅し撞かずの鐘の威を保ち 和田郁子 201405
春浅し人好き猫の恋知らず 塩貝朱千 京鹿子 201405
春浅し色留袖の一つ紋 藤原若菜 春燈 201405
春浅し遠きより見え日章旗 加藤みき 201405
春浅くまた竹幹の遠ひびき 豊田都峰 京鹿子 201405
春浅し神獣鏡に壽の字かな 近藤紀子 201405
風呂敷の藍の匂ひの春浅し 宮川みね子 風土 201405
やんはりと断る誘ひ春浅し 大文字孝一 春燈 201405
くぐり戸を押して菩提寺春浅し 中井昭子 京鹿子 201406
春浅し立子の文字の伸びやかに 神山節子 201406
春浅し人影まばら伊豆の浜 山本丈夫 201406
春浅しこれなる浜の一軒家 山内四郎 春燈 201406
春浅き風に凭れて歩きけり 山内四郎 春燈 201406
春浅き土掻く鋤の音粗し 小林清彦 末黒野 201406
丘に見る遠き山々春浅し 渡邊孝彦 やぶれ傘 201406
春浅し阿修羅の風の目におよび 伊藤希眸 京鹿子 201408
思惟仏に淡き影添ひ春浅し 落合由季女 雨月 201409
春浅きトールソーに魅せられて奈良 槇野あさ子 風土 201501
光満ちゐても外に出て春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201502
心には季節先どり春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201502
水音に風音重ね春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201502
春浅し残りし仕事なほ二三 稲畑汀子 ホトトギス 201502
俳磚の文字青々と春浅し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201502
春浅き林は風の棲むところ 豊田都峰 京鹿子 201504
春浅しくるくる解きてハムの糸 宮内とし子 201504
法螺貝や女人高野の春浅し 中島陽華 201504
春浅し少年少女合唱団 加藤みき 201504
ふたり用の土鍋新調春浅し 脇美智子 201504
藩校に響く朗唱春浅き 脇克行 201504
少しづつ風のこぼして春浅し 豊田都峰 京鹿子 201504
春浅し荒物屋の軒笊揺るる 赤座典子 あを 201504
春浅し小物の増ゆる旅仕度 生田恵美子 風土 201505
春浅し細身の月の落ちさうに 工藤はるみ 風土 201505
あけぼのの朱色地平に春浅し 伴秋草 末黒野 201505
春浅し何かひもじき休刊日 鈴木セッ 201505
春浅し片目つぶれし人形抱き 有松洋子 201505
春浅しブイヤベースに銀の匙 小林愛子 万象 201505
春浅し夕映淡く黄ばみゐて 飛高隆夫 万象 201505
体ごと捏ぬる陶土や春浅し 稲岡みち子 雨月 201505
春浅し竈(くど)に荒塗りしたる跡 廣畑育子 六花 201505
鈴の緒やガラスに映る春浅き 松本文一郎 六花 201506
春浅し軸透明のボールペン 間島あきら 風土 201507
春浅し僧走り行き太鼓打つ 植木やす子 201508
子供らの俳句読み上げ春浅し 吉宇田麻衣 201508
春浅くとも明るさをとどむ島 稲畑汀子 ホトトギス 201601
春浅しどう歩いても床軋む 佐藤みち子 京鹿子 201601
外つ国の兄弟偲び春浅し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201602
春浅き日の存問を受けてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201602
春浅し明日上京の身ごしらへ 稲畑汀子 ホトトギス 201602
稿債も励みの一つ春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201602
日かげりて細き枝先春浅き 今井肖子 ホトトギス 201603
傘立てにまだ母の杖春浅し あさなが捷 201603
春浅し水が光となる流れ 栗原公子 201604
春浅し踵赤らむ修業僧 佐々木よし子 201604
春浅し吾に薬湯作る妻 四條進 201604
石鯛のダンディーな縞春浅し 楠原幹子 201605
春浅し本棚の本凭れ合ひ 佐々木よし子 201605
春浅し子の退院日数へては 久保田優子 末黒野 201605
格子戸の古き蕎麦屋や春浅き 谷島弘康 末黒野 201605
はじめての母の絵手紙春浅し 浅木ノヱ 春燈 201605
春浅し生八っ橋の食み心地 溝越教子 春燈 201605
春浅し酒饅頭の匂ふ道 時澤藍 201605
せせらぎの音ともならず春浅し 片山喜久子 雨月 201605
春浅きからまつ林見て戻る 中杉隆世 ホトトギス 201606
裏日本と呼ばるる故郷春浅し わたなべ漣 201606
春浅し犬はライトを付けられて 小山ようこ やぶれ傘 201606
春浅き川に見なれぬ鳥の群れ 本間せつ子 末黒野 201606
春浅し夜発ちの船に星揃ふ 深川淑枝 201607
決めかねてまだせぬ返事春浅し 木村享史 ホトトギス 201608
春浅くみんなで運ぶ木のベンチ 坪内稔典 船団 201612
春浅し正座して見る地獄絵図 渡辺やや 風土 201701
春浅し除幕せし日を引き寄せて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
春浅きことを忘れてゐる外出 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春浅くとも一泊の旅鞄 稲畑汀子 ホトトギス 201702
川風を抜けてゆくとき春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201702
昨日会ひ今日春浅き日と思ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201702
東京へ日帰りの旅春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春浅し一文草し終へし宵 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春浅きことは承知の旅支度 稲畑汀子 ホトトギス 201702
旅つづき一喜一憂春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春浅しベッドの上で散髪す 加藤みき 201704
春浅し風の硬さの触るる谷戸 大川暉美 末黒野 201704
春浅く握手する手の仄紅く 大日向幸江 あを 201703
春浅しポニーに乗る子弾みゐて 近藤紀子 201705
病院の待合室や春浅し 今井充子 201705
湯上がりの踵クリーム春浅し 須賀敏子 あを 201704
春浅し居つきし猫と歳をとる 佐藤喜孝 あを 201704
未だ癒えぬ包丁傷や春浅し 甕秀麿 201705
春浅し三島由紀夫の声を聴く 笠井敦子 201705
春浅し雀の噪ぐ日の水辺 小林昌子 馬醉木 201705
春浅き畑にドラム缶錆びて 大島英昭 やぶれ傘 201705
春浅し怒濤の次にまた怒濤 森岡正作 201705
体調の一進一退春浅し 竹内慶子 春燈 201705
単線の自動改札春浅し 椎名文子 末黒野 201705
渡し跡塚飄然と春浅し 東野鈴子 雨月 201706
春浅し芥集積場のネット巻く 長崎桂子 あを 201705
道場に竹刀の音や春浅し 前田美恵子 201706
たこせんの真つ直ぐ割れて春浅し 立村霜衣 ホトトギス 201706
春浅し北国はまた荒るるとふ 安原葉 ホトトギス 201707
春浅しからくり時計に唐子跳ね 門伝史会 風土 201706
春浅し白寿の友の訃の報せ 稲畑汀子 ホトトギス 201802
春浅し時間の流れ追越せず 稲畑汀子 ホトトギス 201802
春浅し体調崩したる人も 稲畑汀子 ホトトギス 201802
春浅し一日笑ってパンダ見て 大日向幸江 あを 201802
春浅し朝日きらめく野川べり 岡本まち子 馬醉木 201803
ふんはりと抱くみどり児に春浅し 塩貝朱千 京鹿子 201804
春浅し米とぐ水の澄んでをり 大日向幸江 あを 201804
春浅し脱いだ形に色足袋の 大日向幸江 あを 201804
春浅しキーンと頬に風のあり 加藤みき 201805
春浅し漢方薬の湯気匂ふ 時澤藍 201805
川音のたぎつ旅寝や春浅し 志方章子 六花 201805
春浅しお湿りほどの昼の雨 栗原完爾 春燈 201805
花束に入るる枝もの春浅し 辻美奈子 201805
春浅し証明写真の丸き椅子 木村美翠 201805
とどまれば耳朶に風春浅き 黒滝志麻子 末黒野 201805
安房を背に白帆行き交ひ春浅し 安斎久英 末黒野 201805
田の神の祠空つぽ春浅し 亀卦川菊枝 末黒野 201805
春浅し魚干す棚に日と風と 青谷小枝 やぶれ傘 201805
春浅し名刺の裏の誕生日 平井奇散人 船団 201806
襄偲ぶ硯の海や春浅き 橋添やよひ 風土 201806
春浅し波が波呼ぶ渚道 安斎久英 末黒野 201806
春浅し予定立ててはまた崩れ 今橋眞理子 ホトトギス 201807
蹄鉄に錆兆す馬春浅し 深川淑枝 201807
湿りたる遺骨の重さ春浅し 曽根富久恵 201808
春浅き舞台演じる高校生 水上博子 船団 201809
黒く来て黒く去る鳥春浅し ふけとしこ 船団 201809
春浅し昔むかしの通信簿 中川のぼる 201902
春浅し山鳩の声一途なる 石本秋翠 馬醉木 201904
事なべて平成最後や春浅し 室井津与志 春燈 201904
春浅し虐待ニュース吹き溜る 七郎衛門吉保 あを 201904
春浅し白狐の絵馬につけ睫毛 塩貝朱千 京鹿子 201905
胸中で暖める案春浅し 山中志津子 京鹿子 201905
春浅し妻に言へない夢ばかり 谷口一献 六花 201905
春浅しひかりとなりて野の流れ 松本三千夫 末黒野 201905
ほろ酔ひの別れのハグや春浅し 岩崎藍 末黒野 201905
角砂糖紅茶に沈め春浅し 森なほ子 あを 201905
春浅し黙りこくつて今日の空 山内四郎 春燈 201906
ユトリロの白き枕に春浅し ふけとしこ 船団 201906
昼月のへらとうすくて春浅き おーたえつこ 201906
春浅き路上ライブの少女かな 笹村政子 六花 201906
倒木の切口に洞春浅し 善野行 六花 201906
春浅し虚子は銘酒の名づけ親 延川笙子 六花 201906
春浅し雲が雲追ふ明けの空 安斎久英 末黒野 201906
飾り釜据ゑたる茶房春浅し 石黒興平 末黒野 201906
春浅き街の電柱尋ね猫 竹内涼子 末黒野 201906
春浅し子供の声が土管より 田代貞香 201909
春浅し固く帆たたむ日本丸 窪みち子 201909
春浅しゆっくりゆっくり振り子時計 静誠司 船団 201910
血の絆ときに血の枷春浅き 角野良生 201911
油断してならぬなほ春浅きこと 稲畑汀子 ホトトギス 202002
春浅し一喜一憂する勿れ 稲畑汀子 ホトトギス 202002
まだといふこれからといふ春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 202002
すつきりと晴れぬ一日や春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 202002
消息に一喜一憂春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 202002
永田町霞ケ関も春浅し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
植物園名札目立ちて春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 202003
如雨露より虹の生まれて春浅し コ田千鶴子 馬醉木 202003
春浅し湖上花火の檸檬色 赤座典子 あを 202004
春浅し七つの人形壁にかけ 井上正子 春燈 202004
春浅し→ 4

 

2021年2月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

掲載年月順です。

ご希望の季語又は語彙がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。