春浅し 2      200句

春浅し  早春

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春浅く茶筒抜く音いさぎよし 佐藤山人 200605
春浅し立子の眼鏡ケースかな 中村洋子 風土 200605
春浅き園に鳥声弾みけり 半谷弘子 遠嶺 200605
春浅し一書に余白薫りたつ 村本真由美 遠嶺 200605
訪ね来しオランダ坂や春浅し 高畠英 河鹿 200605
筆塚の折鶴一羽春浅し 三由規童 雨月 200605
応ふたび指輪撫づ癖春浅き 伊藤希眸 京鹿子 200605
水門に風の抜け道春浅し 若林花枝 200606
春浅し石の古びも子規の句碑 峯桜子 遠嶺 200606
春浅し海の音させ貝洗ふ 西村摩耶子 京鹿子 200606
春浅しベンチの下に砂たまり 前田陶代子 200606
春浅し小浜の路地を傘持ちて 佐々木よし子 200610
釣船のおそき船脚春浅し 稲葉ちよこ 風土 200703
立つ濤に乗れぬサーファー春浅し 坂上香菜 時流 200703
春浅しぽつりと貝の息吐いて 富川明子 200704
春浅き黄門井戸を覗きみる 水井千鶴子 風土 200704
せきれいの歩める早さ春浅し 山本康郎 酸漿 200704
舌を焼くマーボー豆腐や春浅し 黒澤登美枝 200704
声揚げて滑り台下り春浅し 大井彌雨 雨月 200705
膝の上に師の書を拭ひ春浅し 金田きみ子 200705
春浅し漁火の混む与謝の海 永井雪狼 200705
春浅し疎林の奥の昆虫館 上谷昌憲 200705
春浅く七味パックの百グラム 那須淳男 馬醉木 200705
春浅き食パン買ひに出たけれど 松下幸恵 六花 200705
春浅し白馬五竜は白きまま 宮入河童 200705
歳時記に亡き友の名よ春浅き 上林孝子 200705
駅の灯に会ひて別れて春浅し 岡本眸 200705
張替へし庭の芝生や春浅し 稲岡長 ホトトギス 200706
魚干して網干して春浅きかな 前田陶代子 200706
てのひらに吸ひ付く白磁春浅き 戸田円三 200706
春浅しときわなづなの逍揺園 新倉舒子 200706
コトコトと煮込む牛筋春浅し 石川裕美 ぐろっけ 200706
グローブを弾く速球春浅し 瀬下るか 200706
春浅し輪島塗り椀潮汁 中野英歩 八千草 200708
春浅し風抜くるとき森軋み 内山けい子 200801
朝月の細く傾き春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 200802
春浅き今日の面接首尾いかに 高橋大三 ぐろっけ 200802
春浅しときはなづなの逍遙園 新倉舒子 200803
古書読みて指先痛し春浅し 岡本眸 200803
春浅しテレビに終日籠りをり 森理和 あを 200804
膝折つて選ぶ骨董春浅し 小林奈穂 200804
大切と小箱に記す春浅し 田原陽子 200805
春浅し飛騨の匠の和蝋燭 田中浅子 200805
春浅し馴染みし鈴の紐替へる 森山のりこ あを 200805
春浅き菠薐草の色冴ゆる 八田與四郎 酸漿 200805
春浅き祠に干反る油揚 長谷川千枝子 200805
春浅き石塀めぐる水はやき 片岡久美子 200805
春浅き島に展がる醤の香 高松由利子 火星 200805
春浅き宇治十帖の里をゆく 山村修 酸漿 200805
春浅し海苔巻強く巻かれけり 瀬下るか 200805
木の匙に湯気まつはりて春浅し 松波幹治 万象 200805
山水を渡す竹樋春浅し 斉藤小夜 風土 200805
春浅し森嘉の飛竜頭買うてをる 近藤紀子 200806
春浅し樫の枝すべて天を指す 恩塚典子 ぐろっけ 200806
春浅し一葉ふた葉にうれしさも 加藤克 200806
春浅きナイフに海の底見える 杉田桂 頂点 200806
海伝ふ二輌の電車春浅し 和田一 雨月 200806
裏町の辻の鮎塚春浅し 永岡セッ 酸漿 200806
春浅し黄檗紙に刷る一切経 奥田妙子 ぐろっけ 200806
耳鳴りか遠潮騒か春浅し 堤堅策 200807
夕星は空の鉤裂き春浅し 岡本眸 200812
鳩が飲む水の空色春浅し 丹羽啓子 馬醉木 200901
水上バス貨物船春浅き水尾 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
春浅しさらに雨冷え加はりて 稲畑汀子 ホトトギス 200902
春浅き波の三角錐であり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
頑丈な鍵かけし蔵春浅し 山田六甲 六花 200902
「是より北は木曾みち」の春浅し 小倉陶女 春燈 200903
生涯に一つの句集春浅き 大橋晄 雨月 200903
春浅し帽子美人と言はれけり 堀内一郎 あを 200903
春浅き空港にある風見鶏 代田青鳥 風土 200903
大仏の胎内めぐり春浅し 小林成子 200904
生涯に恋の句ひとつ春浅し 松本平八郎 炎環 200904
狭い部屋配線あまた春浅し 芝宮須磨子 あをかき 200904
春浅し企業戦士の献花の儀 小嶋泰家 炎環 200904
墨絵めく富士の悪天春浅き 増田一代 200904
淡墨に尖る川波春浅し 藤岡紫水 京鹿子 200905
鶏糞をまく畑仕事春浅し 渡邊孝彦 やぶれ傘 200905
近江富士の裾野煙れり春浅き 中川すみ子 200905
掛茶屋に人無く城の春浅し 園多佳女 雨月 200905
春浅し電車はゆるく曲り来る 天野美登里 やぶれ傘 200905
春浅し杖の残りし母の部屋 苑実耶 200905
春浅き上総佐原の忠敬忌 山岸甲一 やぶれ傘 200905
春浅き紙漉村の川の音 高垣和恵 雨月 200905
流れゆくものなき川面春浅し 金井裕子 風土 200905
春浅しうがひ薬の苦き味 岡田香緒里 やぶれ傘 200905
木曽駒のせせらぎに居て春浅し 大橋晄 雨月 200905
春浅し向き定まらぬ風見鶏 西谷良樹 春燈 200905
歌舞伎座の建替興行春浅し 石寒太 炎環 200905
飯事のやうな結婚春浅し 近藤倫子 ぐろっけ 200905
音の無く魚の跳ねたる春浅し 前川明子 200905
春浅しいづこの森もセピア色 木山白洋 馬醉木 200906
春浅き世界遺産に婚儀あり 山本千里 200906
春浅し他の一石座禅中 淺井照子 京鹿子 201001
春浅し俳磚の文字なぞる指 稲畑廣太郎 ホトトギス 201002
忘れものせしと気づきぬ春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201002
大豆炊く匂ひ湯浅の春浅し 靜寿美子 ぐろっけ 201003
春浅し泣き黒子ある岬馬 苑実耶 201003
灯されて湖の輪郭春浅し 能村研三 201003
春浅し賽物の銭光る池 四條進 201004
春浅き黒き暖簾の花篭屋 高橋泰子 201004
味噌汁の香に目覚めたり春浅き 塩路五郎 201004
池の魚鴎が銜へ春浅し 遠藤実 あを 201005
展く瀬に立つ逆波や春浅し 小山徳夫 遠嶺 201005
急逝を惜しまるる声春浅し 片岡良子 雨月 201005
春浅の円卓囲む小祥忌 中山皓雫 201005
春浅し浅葱の色の手帖買ふ 小田明美 春燈 201005
春浅し御所人形の御出立 谷中弘子 201005

 悼

春浅しわが胸に棲むオフェーリア

山内四郎 春燈 201005
春浅しぱりぱりぱりと新聞紙 赤座典子 あを 201005
春浅しいちゃうの握り拳かな 東亜未 あをかき 201005
春浅く人語のひびく柞山 大竹欣哉 201005
春浅き日を煌めかせ万華鏡 小川玉泉 末黒野 201005
春浅き天女の里の湖のいろ 澤井玲子 201005
春浅き薬草園にこゑのあり 石脇みはる 201005
春浅しターザンの蔓ぶらさがり 松井倫子 火星 201005
賜りし指針の一語春浅し 船橋とし 201005
ハーバーに響くカリヨン春浅き 東良子 遠嶺 201005
マネキンの透けるブラウス春浅し 立野千鶴子 末黒野 201005
鱗削ぐ刃先の光春浅し 松本文一郎 六花 201006
春浅き京に右翼の街宣車 吉田和子 ぐろっけ 201006
春浅き野は甘藍の上総かな 倭文ヒサ子 酸漿 201006
春浅し北京如何にと旅支度 竹内悦子 201007
大内山駅梅ヶ谷駅春浅き 冨山俊雄 山居抄 201008
春浅しオーロラわたり師の逝ける 児玉寛幸 馬醉木 201012
信じられぬ事が起りて春浅し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
箒目の崩れし辺り春浅し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
その日より心弾まぬ春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201102
悲しみはやがて消えゆく春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201102
突然の悲しき計音春浅し 稲畑汀子 ホトトギス 201102
春浅し二世帯同居に迷路あり 遠藤実 あを 201103
教室に斜めの光春浅し 空音 六花 201104
出国のをさなの喃語春浅き 山口キミコ 201104
出国のをさなの哺語春浅き 山口キミコ 201104
陶館の志野盌小振り春浅き 小澤菜美 201104
ペンギンに餌をやる少女春浅し 印南美紀子 酸漿 201104
端然と李朝の白磁春浅き 長濱順子 201105
水門に水影揺るる春浅し 廣畑忠明 火星 201105
小流れに蠢くものや春浅し 木野裕美 ぐろっけ 201105
春浅し壁に太宰のインバネス 石原光徳 酸漿 201105
春浅し畑の中の通学路 山田暢子 風土 201105
春浅し色とりどりの新刊書 谷村幸子 201105
春浅し気がかりな子の暮向き 大塚民枝 酸漿 201105
春浅し貝の形にパンを焼き 山田暢子 風土 201105
春浅く煙雨に濡るる樹林かな 近藤きくえ 201105
手作りの薔薇チョコレート春浅き 桂敦子 201105
怪獣と見たる噴煙春浅き 三川美代子 201105
夕日見し終着駅の春浅き 乗光雅子 雨月 201105
春浅し化粧の途中鏡拭く 高橋道子 201105
春浅し検査着の糊ききすぎて 五十嵐章子 201105
春浅し門鋲錆びし長屋門 井関祥子 酸漿 201105
魔除猿風に煽られ春浅き 乗光雅子 雨月 201105
亡き夫の遺影にチヨコや春浅き 杉本綾 201105
大和路の大仏餡パン春浅き 坂根宏子 201105
春浅し夫在るやうに茶を淹るる 安武晨子 201106
春浅し地震速報箸持てず 樋口正輝 ぐろっけ 201106
春浅し窓辺に開く文庫本 石原光徳 酸漿 201106
春浅しからから乾く草の禾 西田美ち ろんど 201106
輿入れの道具に御紋春浅し あさなが捷 201106
無惨なるテレビの画面春浅き 田村幸子 201106
腰伸びるまでの二三歩春浅し 根岸善行 風土 201106
春浅き薬草園の木のベンチ 大島英昭 やぶれ傘 201107
春浅き四万十川の投網舟 高谷栄一 嵯峨野 201107
杏仁豆腐匙にふるへて春浅し コ田千鶴子 花の翼 201111
春浅し白を都心のキャンバスに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
調停の和解文書や春浅し 小林一榮 末黒野句集 201203
僧堂の床のきしみや春浅き 坂口郁子 末黒野句集 201203
春浅し岬の風の落着かず 池谷鹿次 末黒野句集 201203
春浅き浜にきらめくしこ鰯 稲垣佳子 末黒野句集 201203
春浅し足癒えたれば旅ごころ 竹内悦子 201204
春浅し肩をすぼめる通勤者 本郷宗祥 かさね 201204
春浅しコンビナートは真白く建てり 黒澤登美枝 201204
春浅き房総に咲くあらせいとう 青木英林 かさね 201204
春浅き酒蔵の水溢れをり 田中藤穂 あを 201204
春浅く花舗のホースはとぐろ巻 千田敬 201204
墓地抜けて出逢ひし沼や春浅し 本多游子 春燈 201204
大刀構ふ仁王に疲れ春浅し 鈴木セツ 201204
一条のダムの放水春浅し 小林朱夏 201204
公園の池の清掃春浅し 田島昭久 かさね 201204
春浅し歩幅大きな托鉢僧 黒澤登美枝 201205
春浅し八角時計ゆるり鳴る 福田かよ子 ぐろっけ 201205
春浅し咲き残りをる冬桜 田島昭久 かさね 201205
春浅しオペに流るるBGM 山口キミコ 201205
春浅し「ばってん」言葉出づる旅 辻香秀 201205
春浅き浪花の路地にちんどんや 田村善伴 万象選集 201205
春浅き独身寮に魚焼く香 古井公代 ぐろっけ 201205
春浅き耳鼻咽喉科音もなし 岸本林立 雨月 201205
春浅き眼科待合人あふる 中井光子 ぐろっけ 201205
春浅き海へ向きたる放ち馬 高松由利子 火星 201205
春浅き空や気韻のありどころ 湯上稔子 春燈 201205
統制のとれし行進春浅し あさなが捷 201205
鳥を撮るカメラの手ぶれ春浅し 松本文一郎 六花 201206
潮待ちの四つ手網吊り春浅し 水木沙羅 201206
起きている家が一軒春浅し 中原幸子 船団 201206
春浅し風いたきなか鮒あがる 佐藤喜仙 かさね 201206
春浅し朝のパン屋の仄明り 仲里奈央 201206
春浅し浅しと紡ぐ水の音 立村霜衣 ホトトギス 201206
春浅く長靴の折れし躙口 松本文一郎 六花 201206
春浅し右と決めをり迷ひをり 竹田ひろ子 万華鏡 201206
朝風呂に頬火照らせて春浅き 松田冨枝 末黒野 201206
カツカツと靴音尖り春浅し 金田和代 かさね 201206
春浅し3      

 

2021年2月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

掲載年月順です。

ご希望の季語又は語彙がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。