葡 萄 5   200句

夫が持つ房より葡萄もらひ食ぶ   山口波津女

葡萄  山葡萄  野葡萄

作品
作者
掲載誌
掲載年月
兄よりの聖書失せたり夜の葡萄 間宮あや子 馬醉木 201312
葡萄切るたび軽くなる甲斐の空 田村すゝむ 風土 201312
桃色にぬりつぶされて葡萄村 瀧春一 花石榴 201312
まどかなる葡萄の果肉噛みしむる 瀧春一 花石榴 201312
メンデルの葡萄かがやく朝かな 山田春生 万象 201312
沈黙の潔きなり黒葡萄 吉田葎 201401
黒葡萄ユーロ圏下を通りぬけ 宮路久子 201401
買う方が安い気もしてぶどう狩 石川裕美 ぐろっけ 201401
開通の銀河鉄道ぶどう垂れ 坪内稔典 船団 201401
友人に葡萄のある日などがあれ 坪内稔典 船団 201401
柿葡萄酒も供へて欣一忌 山田春生 万象 201402
番犬の鎖引きずりぶどう棚 吉田光子 ぐろっけ 201402
皮ごとが美味しと大きなぶどう粒 松本アイ ぐろっけ 201402
甲斐の山裾に育むぶどう棚 岩田登美子 ぐろっけ 201402
一ト役のすんで静もる葡萄棚 菅野日出子 末黒野 201402
バッカスの像丘に座すぶどう郷 吉田光子 ぐろっけ 201402
聖書読むぶどうの粒を噛むように 寺田良治 船団 201403
葡萄棚繕ふ風のひかりけり 石田厚子 馬醉木 201405
矢印は山廬を指せり青ぶだう 林いづみ 風土 201408
大流星群の夜が明け青葡萄 定梶じょう あを 201408
語り出す華奢な背中や青葡萄 はしもと風里 201409
青葡萄しなのの山は雨を呼ぶ 宮内とし子 201409
日に太る葡萄見守け病みてをり 寺岡ひろし 雨月 201409
日に太り頭に触るるまで葡萄垂る 寺岡ひろし 雨月 201409
育て方も知らずに植ゑし葡萄に実 寺岡ひろし 雨月 201409
バス停へ近道葡萄棚くぐる 定梶じょう あを 201409
青葡萄触れなば弾き返しくる 笹村政子 六花 201410
青ぶだう旧約聖書のインディア紙 塙誠一郎 201410
生さぬ子と遊ぶ父なり青葡萄 小林愛子 万象 201410
一粒の葡萄に進化及びけり 宮内とし子 201410
曾遊の山々近し葡萄狩 臼杵游児 春燈 201411
群青も藍も実りや山ぶだう 大川ゆかり 201411
手にのせて充実の黒葡萄かな 楠原幹子 201411
出奔といふ選択も黒ぶだう 高倉和子 201411
びつしりと葡萄の垂るる闇ありぬ 小林愛子 万象 201411
智慧ぬすむ二粒三粒黒葡萄 神蔵器 風土 201411
葡萄吸ふ妻に相槌打ちながら 阪本哲弘 201412
ジューサーに葡萄の踊る朝の卓 那須礼子 春燈 201412
化粧箱入りの一房黒葡萄 安藤久美子 やぶれ傘 201412
逢ひたくて葡萄の粒を数へをり 伊藤さくら ろんど 201412
みつみつと熟れて小暗し葡萄棚 山口ひろよ 201412
大皿は一つの舞台黒葡萄 川南隆 ろんど 201412
シャトーめく駅舎に始む葡萄狩 山口ひろよ 201412
獣性のくち薔薇色に青葡萄 堀内一郎 堀内一郎集 201412
木洩日の奥へ奥へと葡萄狩 三村純也 ホトトギス 201501
力なく病みて白き手葡萄吸ふ 塩千恵子 201501
葡萄名は「淑女の指」てふ掌に受ける 田村すゝむ 風土 201501
どこまでもどこまでも青ぶだう畑 槇野あさ子 風土 201501
臍の緒を断ち切るやうに葡萄摘む 佐藤弘香 ろんど 201501
ロザリオといふ名の葡萄おもてなし 澤近栄子 京鹿子 201501
纏いつく愁い呑み込む黒葡萄 松川悠乃 ろんど 201501
美しき男の耳と黒葡萄 鶴濱節子 船団 201505
子には子の惜む昭和や青葡萄 堀田順子 馬醉木 201508
障害の子等かがやけり青葡萄 山荘慶子 あを 201508
青葡萄まだ山霊のものなりし 近藤喜子 201509
いのち惜しむごと葡萄食む一粒づつ 梅村すみを 201510
山谺とどめをりたる熟葡萄 甲州千草 201510
麓まではや末枯の葡萄畑 コ田千鶴子 馬醉木 201511
青葡萄学生服の三島の眼 古川夏子 201511
何よりも葡萄が好きと夫のいふ 須賀敏子 あを 201511
大粒の葡萄ひと房お供へに 國保八江 やぶれ傘 201512
幸村の郷より葡萄とどきけり 池田節 春燈 201512
ひとつづつ退治するごと葡萄食ぶ 山田正子 201512
喰ひに来よ甲斐が葡萄の房ひとつ 井上石動 あを 201511
御代りと葡萄の器捧げをり 赤座典子 あを 201512
密告の貌は尖りて黒葡萄 柴田佐知子 201609
ヴィーナスの背中は広し青葡萄 吉田葎 201609
里山の雨を弾いて青葡萄 大日向幸江 あを 201609
青葡萄十五の不安いとほしく 岡田桃子 201610
百歳に大き夢あり青葡萄 間島あきら 風土 201610
うたた寝や日に透けゐたる青ぶだう 小林愛子 万象 201610
葡萄棚光りと陰の交ざりあふ 安居正浩 201611
たましひは何処に種のなき葡萄 近藤喜子 201611
黒葡萄ひとつ閉ぢ込められゼリー 山口ひろよ 201611
葡萄摘む山の夕日に手をかざし 戸栗末匿 201611
諍ひののちの寂しさ葡萄食ぶ 今井春生 201611
葡萄食ふ隣りの屋根のうへに空 大崎紀夫 やぶれ傘 201611
葡萄棚繊悔のやうに屈みゆく 頓所友枝 201612
食べ終へたる葡萄骨格標本めき 川崎真樹子 春燈 201612
種無しとふ言の葉重き葡萄吸ふ 中澤弘 春燈 201612
余生減る葡萄ひとつぶ含む間も 西川保子 春燈 201612
野分して又新しき葡萄落つ 小林愛子 万象 201612
裸婦像や卓にひと房黒葡萄 佐藤雄二 万象 201612
二つ三つ食べて葡萄の甘さ言ふ 武藤節子 やぶれ傘 201612
葡萄捥ぐ指先に見る蔵王かな 田中臥石 末黒野 201612
黒葡萄眼には見えない星の数 笹村恵美子 201612
バッカスの吐息かかりし葡萄かな 涌羅由美 ホトトギス 201701
木洩日を返す鋏にぶだう剪る 湖東紀子 ホトトギス 201701
遠富士や葡萄醸さる息づかひ 中貞子 201701
葡萄熟れ丘がますます傾きぬ 馬屋原純子 馬醉木 201701
秋澄むや葡萄古木の床柱 成田美代 201701
黒葡萄つるりと言葉のみ込みぬ 根山内洋光 201701
どつしりと静物のとき青ぶだう 高野春子 京鹿子 201702
わが庭の葡萄ひと粒味見して 松村光典 やぶれ傘 201702
芽吹く枝の手を繋ぎゐて葡萄棚 吉田政江 201706
青ぶだう斑に透けるガラス窓 大日向幸江 あを 201707
葡萄踏む八頭身で十六文 稲畑廣太郎 ホトトギス 201709
葡萄園見てワイン蔵見て試飲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201709
葡萄園風が解いてゆく香り 稲畑廣太郎 ホトトギス 201709
山へ向かふ道はゆるゆる青葡萄 奥田温子 やぶれ傘 201709
待つ人の必ずゐると青葡萄 石森理和 あを 201709
ぶだう一房ふるさとを裏返す 鈴鹿呂仁 京鹿子 201711
青空をいちまい剥がす葡萄狩り 鈴鹿呂仁 京鹿子 201711
鍬形虫こぼれ葡萄に酔うてをり 小林愛子 万象 201712
友の庭網をかぶせし葡萄棚 落合裕子 万象 201712
さ緑の光溢るる葡萄棚 岡崎春菜 万象 201712
冥界の惑星葡萄醸さるる 中田禎子 201712
赤みどり名も新しき葡萄たる 須賀敏子 あを 201712
カタカナの名札溢るる新葡萄 七郎衛門吉保 あを 201712
口論の真ん中にある黒葡萄 小山田子鬼 201801
言ひ出せぬひとこと葡萄棚の下 井尻妙子 京鹿子 201801
空埋めてマグリットの雲葡萄畑 森なほ子 あを 201801
告発に卓のざわつく青葡萄 あさなが捷 201712
皮硬き我が家のぶだう甘きこと 松村光典 やぶれ傘 201712
甲斐の里葡萄棚より黄昏るる 及川照子 末黒野 201804
切り取るや葡萄ずしりと掌に 宮元陽子 末黒野 201804
相槌の一粒づつの黒葡萄 田岡千章 201803
妻病めば故郷からの葡萄かな 江口九星 201811
山の端に雲吹きたまる青葡萄 深川淑枝 201811
弥撒の鐘まどかに渡り葡萄園 徳井節子 馬醉木 201811
葡萄棚名残りの房の下がりをり 塩尻きぬ 風土 201811
食べ了へて思ひ出となる葡萄かな 森なほ子 あを 201811
剪り取りて葡萄子の手を溢れけり 森なほ子 あを 201811
眼差は丘の風車へ葡萄食ぶ 渡部ひとみ 船団 201812
左手の受くる量感葡萄狩 森清堯 末黒野 201812
紫の熟れたる匂ひ葡萄棚 小嶋紘一 末黒野 201812
切り口愛しロールケーキに葡萄多々 はしもと風里 201812
葡萄描く一粒ごとに陽の光 能美昌二郎 201812
庭になる葡萄ひと粒おゝ甘い 松村光典 やぶれ傘 201901
子沢山朝の食卓葡萄盛る 伊吹之博 京鹿子 201901
木洩れ日を浴びて甲州葡萄狩 贄田俊之 やぶれ傘 201902
家系図のひとり喪ふ黒葡萄 井上和子 201904
葡萄パンのぶだうびつしり垣芽吹き 松本三千夫 末黒野 201906
この国のワインの未来葡萄園 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
指先に老いのあつまる青葡萄 亀田虎童子 201910
灯の下にルパン・ホームズ黒葡萄 青谷小枝 やぶれ傘 201911
一房の葡萄や妻の誕生日 石川憲二 六花 201911
黒葡萄オーロラブラックふるさとの夜の色 火箱ひろ 201912
もてあます葡萄一粒ほどの鬱 片山煕子 京鹿子 201912
風の唄陽の唄孕む黒葡萄 高木晶子 京鹿子 201912
父親の口に放るや黒葡萄 江見巌 六花 201912
葡萄房一粒づつのアイデンティティー 能美昌二郎 201912
黒葡萄一粒づつに魔女の種 菅谷たけし 201912
剪定の脚立の軋みぶだう棚 佐俣まさを 春燈 201912
葡萄棚の下の木洩日甘かりし 岩月優美子 201912
到来の葡萄無口となりて食む 中原敏雄 雨月 201912
賜りし葡萄一房掌に重し 中原敏雄 雨月 201912
家裏に組まれて小さき葡萄棚 土井三乙 風土 201912
葡萄食ぶ甘言といふ落し穴 栗原公子 202001
不揃ひの未来びつしり青ぶだう 佐々木よし子 202001
青葡萄一つぶ一つぶ張り合へる 戸栗末廣 202002
僧院の丘や葡萄の枯深み 小林昌子 馬醉木 202002
鳶の笛海見えてゐる葡萄畑 岩永みはる 追伸 202003
青葡萄三瓶に生れしワイナリー 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
闇に匂ふ葡萄の花や雨続き 小田嶋野笛 末黒野 202008
密いふ言葉をなぞり青葡萄 中野千代子 末黒野 202008
ソムリエの三人寄らば葡萄棚 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
野葡萄の空は開かず迷ひ道 鈴鹿呂仁 京鹿子 202009
深入りしすぎ振りかへる葡萄山 石川桂郎 風土 202009
青葡萄品格ないと言われても たかはしすなお 202009
解體のはじめは棚のぶだう 佐藤喜孝 あを 202009
熊ひそむ鳥海山の山ぶだう 山田六甲 六花 202010
丸め持つ角川文庫青ぶだう 加賀荘介 202010
わが庭に生れし葡萄のひと粒を 松村光典 やぶれ傘 202010
黒葡萄闇湛へたり深めたり 小坂尚子 202011
高速を下りて葡萄の国に入る 赤石梨花 風土 202011
黒葡萄一粒づつに魔女の種 菅谷たけし 201911
葡萄房一粒づつのアイデンティティー 能美昌二郎 201911
剪るたびに空のひらけて葡萄狩 中根美保 風土 202012
皮のまま食す葡萄を手土産に 廣畑育子 六花 202012
封人の家に商ふ山葡萄 延川五十昭 六花 202012
何とかなる話ぶだうの房くづす 井尻妙子 京鹿子 202101
葡萄狩り顔に木漏れ日ゆらゆらと 有賀昌子 やぶれ傘 202101
箱詰へ朱き葉添へぬ黒葡萄 滋野暁 末黒野 202102
野葡萄の瑠璃巻く籬寺の夕 宮之原隆雄 末黒野 202102
紫がやつぱり好きと葡萄吸ふ 住田千代子 六花 202102
種なしの葡萄にありぬ謎の種 住田千代子 六花 202102
宝石のごとく野葡萄掌に包む 廣畑育子 六花 202102
葡萄棚洩るる日が揺れ香を揺らす 窪みち子 202102
一房の重みや決むる葡萄狩 森竹治郎 末黒野 202103
一粒を口づけめきて葡萄食ぶ 森竹治郎 末黒野 202103
ぶだうもみぢワイン五六種試飲して 青谷小枝 やぶれ傘 202103
種無しを種有る様に葡萄喰ぶ 佐藤喬風 末黒野 202104
トンネルの跡のワイン庫ぶだう狩 山咲和雄 末黒野 202104
山彦は少年のこゑ青ぶだう 鷺山珀眉 京鹿子 202109
青葡萄日がな脚立に老の影 長尾タイ 末黒野 202109
垣超えてあまた垂れくる青葡萄 佐藤稲子 やぶれ傘 202110
喜寿にして新しき夢青葡萄 川高郷之助 202110
ガラス皿に雫の綺羅と黒葡萄 栗原公子 202111
ふるさとの葡萄の匂ふ荷の届く 田中臥石 末黒野 202111
買ふ人がきてゐる葡萄直売所 大島英明 やぶれ傘 202111
黒葡萄の弾丸気力の弾けける 中貞子 202111
黒葡萄の弾丸気力の弾けける 中貞子 202111
お土産に鮨・菓子・葡萄敬老日 田中藤穂 あを 202111
コーヒーと葡萄と朝はのんびりと 星野椿 ホトトギス 202112
母と娘の話尽きなき葡萄かな 田嶋洋子 春燈 202112
妹亡き窓に垂るるや青ぶだう 三代川玲子 春燈 202112
おほつぶの葡萄つめたき胃の腑かな 中根美保 風土 202112
滴してお酒になりたくない葡萄 高木晶子 京鹿子 202112
聖夜待つ妻と葡萄酒と猫と 山田六甲 六花 202112
聖夜待つフランスルロワ葡萄酒(わいん)かな 山田六甲 六花 202112
黒葡萄ぶつかりながら許し合ひ 小林陽子 202112
一粒の張力満つる葡萄かな 関妙子 202112
口中に甘さ広がる黒葡萄 長崎桂子 あを 202112
野葡萄の昔の恋のやうな色 森なほ子 あを 202112
葡萄の香食べしあとからしてをりぬ 山下美典 ホトトギス 202201
一房の葡萄の眠り買ひにけり 上野進 春燈 202201
トウルファンのぶだう売る声ウィグル語 長谷川はまゆう 末黒野 202201
残りたる葉はみな枯れて葡萄棚 大島英昭 やぶれ傘 202201
山ぶだう熊の爪あと残る木に 廣瀬蝗男 やぶれ傘 202201
葡萄 →6

 

2023年9月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。