枇 杷 4   100句

枇杷を食ふ腕あらはに病婦かな   皆吉爽雨   雪解

作品
作者
掲載誌
掲載年月
枇杷熟るや干す靴下は五本指 持田信子 春燈 201708
記念切手たくさん貼られ枇杷届く 波戸辺のばら 201709
友だちのふるさと切手枇杷を剥く つじあきこ 201709
時節の市産物自慢の枇杷を買ふ 長崎桂子 あを 201708
枇杷の実や隣家まで延ぶ枝の先 秋川泉 あを 201708
枇杷食べて黒き大きな種の嵩 秋川泉 あを 201708
兄弟に少し距離あり枇杷の種 高木晶子 京鹿子 201709
枇杷の実に産毛ありけり夜の雨 竹内悦子 201709
枇杷熟るる室戸の家は石囲ひ 福島せいぎ 万象 201709
枇杷熟れて砂のつぶやく渚ゆく 林いづみ 風土 201709
枇杷の実や波音に寂ぶ誓子句碑 間島あきら 風土 201709
音立てて膳に落ちたる枇杷の種 きくちきみえ やぶれ傘 201708
空家とは枇杷熟るるまま落つるまま 内山花葉 201709
大雨のあとの明るさ枇杷熟るる 杉田智榮子 馬醉木 201709
鳥の影実生の枇杷の色付きて 山崎稔子 末黒野 201709
日を返す枇杷の産毛や遠汽笛 山崎稔子 末黒野 201709
枇杷熟れて少女の両手ずつしりと 堀江久子 末黒野 201709
枇杷の実の色付く前のうすみどり 山内洋光 201709
枇杷の実に触れて背戸道歩きたり 荻野周子 雨月 201709
枇杷の島信徒十戸の天主堂 角野良生 201709
イスラムのこと枇杷包む新聞に 定梶じょう あを 201709
離れ猿今を盛りの枇杷の木に 大日向幸江 あを 201709
枇杷撓わ植ゑし農夫はすでに亡く 江木紀子 雨月 201710
手に届く枇杷のたわわに道すがら 東野鈴子 雨月 201710
肩の荷を一つ下ろせり啜る枇杷 森清堯 末黒野 201710
枇杷熟れて山河たのしくなりにけり 岩岡中正 ホトトギス 201711
生きてきし証のやうに枇杷熟るる 山中志津子 京鹿子 201711
路地神の燭の枇杷いろ雪催 佐藤保子 馬醉木 201801
路地裏に仕立屋の札枇杷熟るる 横田敬子 201712
枇杷の実の熟れきつてをり骨董屋 西住三恵子 201712
コンビニの枇杷って輪郭だけ 原ゆき 船団 201805
土曜の午後鴉と枇杷の息遣い 東英幸 船団 201805
引き潮の匂いの中を枇杷熟れる 東英幸 船団 201805
コンビニの裏手に枇杷がなつてゐる きくちきみえ やぶれ傘 201807
枇杷の実の黄のほの見えてまだ小粒 秋川泉 あを 201807
持ち合はせなんとか叶ふ枇杷求む 石森理和 あを 201807
お供へし直ぐに下ろしてお初枇杷 石森理和 あを 201807
初恋や枇杷はんなりと色づきて 堀江久子 末黒野 201808
早々に袋掛けされ塀の枇杷 小池一司 やぶれ傘 201808
磯を打つ男波女波や枇杷熟るる 本池美佐子 201809
マニキュアの五指に雫し枇杷すする 三輪温子 雨月 201809
濤音やむかしのいろに枇杷熟るる 雨村敏子 201809
枇杷の実や皿に大盛日の照りて 三浦純子 201809
犬枇杷の青き仏師の庭静か 廣畑育子 六花 201809
地縁血縁薄れ行く里枇杷熟るる 赤岡茂子 春燈 201809
枇杷を喰ふ小鳥の朝のにぎにぎし 秋川泉 あを 201808
小雨降る枇杷いっぱいの籠の中 秋川泉 あを 201808
屋根の上雨来る前に枇杷と採る 秋川泉 あを 201808
初枇杷に並ぶ奥様お嬢様 つじあきこ 201809
寿命百年艶々として枇杷の種 高木晶子 京鹿子 201810
群青の沖波ひかり枇杷熟るる 佐久間由子 201810
枇杷青し藪と化したる空き地かな 志方章子 六花 201810
今年また枇杷盗人となりにけり 赤松赤彦 六花 201810
枇杷包む袋わづかに湿りをり 柴崎和男 六花 201810
呉れてやろ高きところの熟し枇杷 贄田俊之 やぶれ傘 201810
大粒の枇杷の三つや子の土産 中野大樹 末黒野 201810
枇杷熟れる黄瀬戸の皿が好きだから 山岡和子 船団 201811
枇杷をむくテレビはいつもの不純愛 わたなべじゅんこ 船団 201812
枇杷熟れるクラスメートという間 陽山道子 船団 201812
この家に六十年や枇杷うるる 佐藤淑子 雨月 201907
月一回必らずに友枇杷実る 佐藤淑子 雨月 201907
枇杷を捥ぐ枇杷の産毛の美しく 岩下芳子 201908
枇杷の実の降る朝鴉かまびすし 秋川泉 あを 201908
天上が賑やか枇杷の実熟れて 日置游魚 201909
沈黙は金とは死語や枇杷たわわ 松本三千夫 末黒野 201909
雨上り僧の机の枇杷一穎 黒滝志麻子 末黒野 201909
枇杷熟るる海光に沿ふ故郷の町 間島あきら 風土 201909
お見舞に粒選りの枇杷買ひにけり 永田万年青 六花 201909
引き寄せて枇杷剥く皿の深緑 浅井青二 雨月 201909
天地の甘み諾ひ枇杷啜る 浅井青二 雨月 201909
突として所在の灯枇杷の鈴 高木典子 雨月 201909
鳥たちと枇杷食ふ木もゆらゆら 佐藤喜孝 あを 201909
ことしの枇杷は泪のかたち澤山食べ 佐藤喜孝 あを 201909
木の枇杷を食べる鴉が隣にて 佐藤喜孝 あを 201909
深便の枇杷にざわつく白鼻心 秋川泉 あを 201909
庭の枇杷今年限りの実を食ぶる 秋川泉 あを 201909
梅雨深し枇杷伐採の朝迎ふ 秋川泉 あを 201909
枇杷の種ぶっきらぼうに罷り出る 澤田蔦恵 船団 201910
九時からの哲学講座枇杷熟れる 坪内稔典 船団 201910
大き目の枇杷を五個ほどもぎりけり 白石正躬 やぶれ傘 201910
のびのびとビワ描かれし鉢に枇杷 はしもと風里 201910
これからも姉は四歳枇杷熟れる 火箱ひろ 201910
枇杷熟れてより望郷の空となる 岩岡中正 ホトトギス 201910
実生の枇杷鳥啄むを得心す 山崎稔子 末黒野 201910
枇杷の葉を馬の耳とし虫送 大橋淳一 雨月 201910
高枝の枇杷を捜せばカラス鳴く 湯本正友 やぶれ傘 201911
枇杷食べてすぐ靴下を脱ぐ男 津田このみ 船団 201912
臍の緒を切ってから枇杷の木に登らぬ 東英幸 船団 201912
枇杷をもぐ鶏小屋に足をかけ 吉田 葎 201912
枇杷を捥ぐ二階より身を乗り出して 岸洋子 202002
たわわなり枇杷は暗さをこぼしつつ 今井肖子 ホトトギス 202007
惣兵衛枇杷を祖に毛深しや実も枝も 浜福惠 風土 202007
雨の日の心灯すや枇杷明り 阪倉孝子 202008
枇杷の実のぽろりと本音洩らしけり 佐藤信子 春燈 202008
枇杷熟れてひとつひとつに陽の匂ひ 武藤節子 やぶれ傘 202009
野鴉の落とす小枇杷の蒙古斑 奥田筆子 京鹿子 202009
枇杷たわわ明るき午後の雨しきり 原博美 風土 202009
枇杷熟るる運はも天にまかせけり 小菅礼子 春燈 202009
灰色の空に希望の枇杷の色 藤井啓子 ホトトギス 202010
枇杷 →5

 

2023年7月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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