枇 杷 2    203句

小さくてよかりしものを枇杷の種    亀田虎童子

枇杷の花  枇杷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
枇杷熟れて海鳴り遠くなりにけり
宮原みさを
花月亭
200208
枇杷熟れて其処らあたりを甘くする
宮原みさを
花月亭
200208
太陽へつんと立ちたる青き枇杷
岡田章子
ぐろっけ
200208
枇杷熟れて水泳教室バス≠フ着く
中谷葉留
風土
200209
捨て作りの枇杷の熟れゐる蔵の裏
吉岡久江
火星
200209
庭の枇杷百円売りの店に足す
勝亦年男
200209
枇杷を捥ぐ梯子そのまま暮れゆけり
勝亦年男
200209
枇杷熟るる日は西海に入りにけり
石脇みはる
200209
魚屋に木成りの枇杷をもらひける
延広禎一
200209
大海をまん前にして枇杷をもぐ
谷村幸子
200209
初物の枇杷に相好くづれたる
松本米子
あを
200209
枇杷の黄のまぶしや人を葬りきて
長沼三津夫
200209
この鳥の啼くころ枇杷の熟るる頃
公山礼子
200209
枇杷熟れて日暮ひそかに来てゐたる
宮尾直美
200209
花びらのやうに枇杷剥くモンロー忌
野口香葉
天女櫻
200209
枇杷の実や累のなかなる青二才
丸井巴水
京鹿子
200210
枇杷熟るる母郷遠くになりしまま
阪上多恵子
雨月
200210
熟れ枇杷の下を旧知として通る
青山丈
200210
枇杷啜る母の優しさ額に受け
遠藤匡子
遠嶺
200211
枇杷剥けば濤起ちあがる岩の上
岡本眸
200211
枇杷好きの夫にてすこし気難し
川上昌子
200211
庭に枇杷淡く色づき尼独り
安藤誠子
築港
200307
枇杷すする小脇の甘さはばからず
岡本眸
200307
偽りもときに労(いた)はり枇杷を剥く
高橋邦夫
風土
200308
熟れし枇杷高階窓を閉ざされて
清水幸子
築港
200308
男老いぬいきなり枇杷の種を吐き
八田木枯
晩紅
200308
かたはらに枇杷の実熟るる駅舎かな
長谷川守可
百鳥
200308
ティータイム枇杷のささやきふと聞ゆ
浜中雅子
遠嶺
200309
鈴生りの枇杷もてあましひとり住む
細川コマヱ
雨月
200309
男兄弟早死の家枇杷熟るる
松崎鉄之介
200309
いぬ枇杷のうち捨てられてゐたりけり
南一雄
200309
大土佐の怒濤眼下に枇杷すする
久保知音
対岸
200309
枇杷の実の二三色づく一軒家
井関祥子
酸漿
200309
崖際に駐車して枇杷黄なりけり
佐藤佐代子
200309
堂縁にとどく潮の香枇杷熟るる
木村仁美
馬醉木
200310
この船に乗れば故郷枇杷熟るる
川瀬迫子
200310
枇杷熟るる崖の上より人の声
小田麻衣
百鳥
200310
生り捨ての枇杷の葉に置く月明り
島谷征良
風土
200310
壊し屋が先づたわわなる枇杷をもぐ
西村葉子
京鹿子
200310
枇杷すする外は降りつづく夜の雨
香月公恵
200310
うなづいて素直に剥いた枇杷なりし
瀬下るか
200311
枇杷の実の付きしまま枝切られをり
徳永喜代子
築港
200311
犬枇杷の熟れて駄菓子の鉄砲玉
松崎鉄之介
200311
もう一つあと一つ枇杷剥いてをる
高橋将夫
200311
木登りが得意の兄に枇杷熟るる
灘秀子
200311
枇杷熟れて昭和熔岩横たはる
安岡房子
200312
退院や今年も枇杷の袋掛
小柳順子
帆船
200406
枇杷熟るる笑みそれぞれのよせ地蔵
亀井幸子
築港
200407
白い舟港に入りし枇杷熟れて
栢森定男
風よ
200407
納得のいかぬ日となり枇杷をむく
加賀富美江
遠嶺
200408
枇杷の国白波沖へ続きけり
大串章
百鳥
200408
農園長枇杷葉湯の効能を
岸本林立
雨月
200408
枇杷すする午前三時の目と耳と
神蔵器
風土
200408
犬枇杷の落ち匂ひ立つ堀の水
田村梛子
築港
200408
枇杷熟るる伊豆の海辺の坂がかり
八木岡博江
酸漿
200408
猪垣も足場となりて枇杷をもぐ
小山香月
酸漿
200408
初枇杷を病室の子へ買うて来し
斉藤裕子
あを
200408
晩学と言はじ野生の枇杷たわわ
渕上千津
200408
枇杷熱るるにも海光の月日あり
新田巣鳩
馬醉木
200409
暮方の烟の匂ひ枇杷熟るる
加藤みき
200409
鳶を誘ふポセイドン枇杷の空
加藤みき
200409
母のこと偲ばるる枇杷食みにけり
村上勝正
春燈
200409
枇杷たわわわが半生の職終る
岡崎伸
200409
枇杷の実の向こうに見ゆる競馬場
城孝子
火星
200409
潮銹の火の見櫓や枇杷熟るる
田中正子
百鳥
200409
枇杷と共に貰はれて来し子猫かな
永橋久子
百鳥
200409
植ゑし枇杷十粒が程も熟れにけり
岸本林立
雨月
200409
潮風をうけて港の枇杷熟るる
水谷とく
築港
200409
相州や岬の枇杷は風に熟れ
名和未知男
草の花
200409
枇杷の実や膏薬を貼る盆の窪
原田ゆふべ
草の花
200409
並べ見て恭けなきは枇杷の種
小澤規子
草の花
200409
受診終へ出でし一歩の枇杷眩し
有島扇水
河鹿
200409
枇杷熟るる庚申像に香焚かれ
小林峰子
栴檀
200410
枇杷熟るる路面電車を塀越に
谷野由紀子
雲の峰
200410
枇杷熟れて町川昏く流れけり
香月公恵
200410
枇杷色にかまくら灯るひとつづつ
小野千枝子
万象
200504
枇杷落花こなゆきかとも塵かとも
上西ハナヱ
200504
全ぺージ意見広告枇杷熟るる
小島輝和
帆船
200506
橋の名の駅のひとつに枇杷熟るる
宮津昭彦
200507
袋掛け枇杷も個室の欲しきころ
坂本京子
200507
うすみどり枇杷には枇杷の臍のあり
大橋敦子
雨月
200507
花よりも実の枇杷の色愛ぐしけれ
大橋敦子
雨月
200507
海光をまとひて枇杷の熟るるなり
林敬子
酸漿
200508
枇杷熟れば背戸のあたりにこゑの増ゆ
豊田都峰
京鹿子
200508
説明が億劫になり枇杷を剥く
小林朱夏
200508
枇杷ぶだう西瓜初物そろひぶみ
木村茂登子
あを
200508
かたまりし雛のごとくに枇杷熟るる
早崎泰江
あを
200508
西海は枇杷の頃なり殉教碑
永利枕郷
河鹿
200509
仏壇を灯すが如く供ふ枇杷
和田祥子
馬醉木
200509
間引かれぬ枇杷も供養の実のたわわ
鈴木榮子
春燈
200509
黒門の弾痕ほどに枇杷実る
渡邊泰子
春燈
200509
初もぎの葉ごとの枇杷をばさと置く
中山純子
万象
200509
枇杷熟るる左近の眠る海の丘
浜福恵
風土
200509
枇杷の金ン熟れおちて世に貧遠き
窪田佳津子
雨月
200509
裏庭の枇杷をほほばり種ばかり
斉藤陽子
雨月
200509
磨かれて磨かれぬいて枇杷の種
浅田光喜
対岸
200509
白皿の輝いてをり枇杷の種
浅田光喜
対岸
200509
輪中村戸毎に熟るる小粒枇杷
秀島みよ子
栴檀
200509
色づくを皆仰ぎ行く土手の枇杷
内田和子
酸漿
200509
朝捥ぎの枇杷のしたたり指ぬらす
小黒加支
酸漿
200509
父の忌の小さく枇杷の熟れにけり
高尾豊子
火星
200510
枇杷熟るる鳥のざわめく昼の庭
酒井美津
遠嶺
200510
枇杷熟るる芯まで濡れて歩きたし
大槻球子
遠嶺
200510
旅一夜枇杷の甘きを追伸に
吉村一郎
百鳥
200510
枇杷剥いて中途半端な日の終る
鳴海清美
六花
200510
小筥解くごとくに枇杷を剥きにけり
岩垣子鹿
ホトトギス
200511
省浄忌はちきれさうな枇杷を剥く
大島翠木
200512
枇杷を伐り潮ぐもりなり安房の国
鈴木多枝子
あを
200606
枇杷熟れて箱入り娘となりにけり
福澤乙
酸漿
200607
犬枇杷に白南風吹いてをりにけり
山田六甲
六花
200607
初物の長崎枇杷の見舞かな
大坪景章
万象
200608
伴天連の遺徳の跡や枇杷熟るる
大西裕
酸漿
200608
里山の枇杷に親子の袋掛け
松元末則
酸漿
200608
踏切の音楽鳴れり枇杷熟るる
田中藤穂
あを
200608
枇杷捥ぎて風軽くなり岬山
一瀬昭子
馬醉木
200609
枇杷の実やころころ育つ子らのゐて
富岡三枝子
200609
真夜中の女三人枇杷すする
天谷翔子
火星
200609
枇杷齧り霊長類と合点せり
川口襄
遠嶺
200609
青枇杷の青枇杷である歪かな
青山丈
200609
枇杷の実のひとかたまりに日の淡し
長沼紫紅
200609
枇杷の種とらへどころのなくまろぶ
木下もと子
200610
枇杷のつゆ句集に読めぬ旧漢字
戸田和子
200610
枇杷熟るるおだて上手でありにけり
西口鶴子
遠嶺
200610
吐き出して嘘一つ減る枇杷の種
滝沢環
京鹿子
200610
熟れ枇杷の辺りひつそりしてゐたり
糸井芳子
200610
喪帰りや夕日の色に枇杷熟れて
佐藤郭子
200610
愛されし記憶の中の枇杷熱す
渡邉友七
あを
200610
枇杷を剥く背に弟の声のあり
今井松子
遠嶺
200611
犬枇杷よ父を越えしには非ず
小形さとる
200612
枇杷の種ごろりはき出す胸のうち
桑原泰子
八千草
200612
枇杷むけばぼっこり種が主の顔
石橋眞砂子
八千草
200612
枇杷食めば種が大きく輝きぬ
青木朋子
200612
枇杷熟れて声よく通る下校の子
浜田栄子
京鹿子
200701
白波の室戸に五人枇杷すする
中原幸子
以上、西陣から
200705
青枇杷に硬い風吹く夜明前
柳生千枝子
火星
200706
枇杷熟るる陣屋代官屋敷跡
田村すゝむ
風土
200707
枇杷熟るる木へゆっくりと風とどき
宮津昭彦
200707
枇杷の種喉を通りてゆきにけり
山田六甲
六花
200707
枇杷の種落したるほか恙なし
青山丈
200707
枇杷一枝空を〓がれて卓の上
上原重一
200708
おしぼりを手元に枇杷を剥きにけり
四條進
200708
枇杷の実の果実厚くて大き種
鈴木榮子
春燈
200708
枇杷熟れて上に流るる時の鐘
神蔵器
風土
200708
大皿に並んでをりぬ枇杷の種
木内美保子
六花
200708
バイバイと種を埋めし枇杷の成る
田尻勝子
六花
200708
鈴生りの枇杷が日を跳ね早や正午
坪井洋子
200708
蜷大集合烏の落す熟れ枇杷に
森理和
あを
200708
夕映えのいらかの波や枇杷熟るる
近藤公子
200709
枇杷熟るる下駄履きアパート軒つらね
柿沼盟子
風土
200709
得心のいつて吐き出す枇杷の種
林昭太郎
200709
小粒なる枇杷の実熟るる保育園
大山妙子
酸漿
200709
枇杷すする母に呼吸の乱れかな
笹村政子
六花
200709
枇杷の実や花色木綿ひろげたり
中島陽華
200710
箱詰の枇杷にひよこの生まれさう
服部早苗
200710
日暮来て熟れごろの枇杷見上げをり
池崎るり子
六花
200710
もぎたての初物の枇杷供へけり
池崎るり子
六花
200710
鈴生りの枇杷に傷なき物のなし
永田勇
六花
200710
日焼けせる袋より枇杷取り出しぬ
永田勇
六花
200710
戴きし大きな枇杷や唾を飲む
永田勇
六花
200710
友情や枇杷や校舎の裏にある
坪内稔典
船団
200710
枇杷買うて昭和の友を訪ねけり
鴨下昭
200711
枇杷の実や少年Hゐし長屋
松本恒司
ぐろっけ
200711
花枇杷や緒方洪庵子だくさん
大山文子
火星
200802
枇杷熟れて退院近きを告げらるる
大畠政子
雨月
200802
花枇杷を折る良き夢の消え易く
前川明子
200803
裏門の大きくて枇杷花ざかり
野路斉子
200803
枇杷抱いて老人一人市内バス
坪内稔典
稔典句集U
200804
膝抱けば錨のかたち枇杷熟れる
坪内稔典
稔典句集U
200804
初ものや宝珠包みに箱の枇杷
鷹羽狩行
200806
頼りなき脚立の上に枇杷すする
山田六甲
六花
200806
この先に海町角の枇杷たわわ
戸村よねこ
遠嶺
200808
どの枇杷も種大きくて笑ひけり
黒須洋子
遠嶺
200808
鳩啼くや舟宿の枇杷熟るる頃
浜福恵
風土
200808
枇杷の実の熟るるや沖を自衛艦
浜福恵
風土
200808
道端の枇杷の熟れゆく枝高し
浅野恵美子
酸漿
200808
千の燭ともすが如し枇杷熟るる
川崎良平
雨月
200808
床屋へ行く雲浮き枇杷の熟るる日に
宮津昭彦
200808
梯子より枇杷の実投げて呉れにけり
上林富子
やぶれ傘
200808
枇杷むけば亡き人の来て一つ剥く
岡本眸
200808
枇杷たわわ余白を埋める陽の光
宮田香
200809
枇杷熟るる白壁に影寄りそはせ
菊地光子
200809
実生てふ枇杷の葉蔭にくつろげり
荒井和昭
200809
枇杷熟るる微熱を示す体温計
出来由子
200809
小港の午後のまどろみ枇杷は実に
葦原葭切
春燈
200809
枇杷は実に添寝の母のまどろみて
府川昭子
春燈
200809
線香干す山家の庭に枇杷熟るる
和田一
雨月
200809
禍の門のくちびる枇杷熟るる
森ゆみ子
炎環
200809
芙美子忌の枇杷うれてゐる桜島
緒方輝
炎環
200809
土を黄に染めて落ちたる枇杷の種
竹内悦子
200809
海風を受けて枇杷の実唄ふかな
近藤公子
200809
枇杷を捥ぐ試食試食と若夫婦
岡野峯代
ぐろっけ
200809
枇杷熟れて住吉さまも鳥を呼ぶ
阿部ひろし
酸漿
200809
枇杷啜るうしろ土蔵の闇があり
柴田佐知子
200809
この坂の先は海かな枇杷熟るる
米須あや子
遠嶺
200810
つつましく生きる幸せ枇杷をむく
谷秀子
春燈
200810
掛袋はちきれてをり枇杷熟るる
岸はじめ
ぐろっけ
200810
塀のなき文士の庭や枇杷熟るる
中沢三省
風土
200810
枇杷熟るる武州橘樹市場村
間島あきら
風土
200810
枇杷の種角なき人のごと丸し
服部早苗
200810
木の上の声より貰ふ枇杷の枝
猪爪皆子
200810
枇杷実る家にて道は行き止まり
瀬島洒望
やぶれ傘
200810
枇杷もいで姉の様子を見にゆけり
山田裕華
200811
鈴生りの枇杷の木下の小暗がり
上林孝子
200811
袋掛け了へ枇杷山の飛び立ちさう
柿本麗子
200906
枇杷 →3      

 

2021年7月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。