薔 薇 6   200句

薔薇買って帰れば何か言はれさう   山口俊平   博士

薔薇  バラ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
薔薇の門くぐりて届くカプチーノ 西山美枝子 酸漿 200909
つる薔薇の覆ふ穂高の診療所 中田みなみ 200909
薔薇真紅芯まで剥がすわが妬心 山本敏子 ぐろっけ 200909
煉瓦家の窓々飾る赤い薔薇 神田惣介 京鹿子 200909
蕊深く真紅の薔薇の宿す影 今橋眞理子 ホトトギス 200910
何もかもふつと忘れて薔薇手入 今橋眞理子 ホトトギス 200910
卓布替へ真紅の薔薇を引きたてる 木村幸 200910
薔薇一輪木陰のなかに清らなり 池田光子 200910
病む薔薇に俄か庭師になりすます 呂秀文 春燈 200910
花束の薔薇の香抱きて電車待つ 國保八江 やぶれ傘 200910
薔薇かぐはし吾が胸に君生き給ひ 落合由季女 雨月 200910
薔薇真紅朝の言葉の増えにけり 吉田晶子 炎環 200910
さよならは胸に真紅の薔薇を抱く 橋本良子 遠嶺 200911
薔薇活けて客待つ家のととのへり 田代貞枝 200911
散る薔薇のひとひらそして一気かな 山口ひろよ 200911
青薔薇月に生まれし花ならむ 小嶋洋子 泡の音色 200912
ためらひをふつきつて薔薇剪りにけり 足立幸信 200912
薔薇買うて火を抱くごとく花舗を出づ 彦根伊波穂 200912
明日も雨ならばこのまま薔薇の部屋 前田貴美子 万象 201002
東京の夜景に薔薇を加へけり 櫂未知子 201004
尖りたる花びら重ね薔薇ふふむ ことり 六花 201005
薔薇垣の眩しさ海を目の当り 小田司 馬醉木 201006
百本の薔薇では君は落とせない 稲畑廣太郎 ホトトギス 201006
薔薇香るより二楽章始まれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201006
薔薇抱いて謝辞とつとつと述べにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201006
薔薇の刺外し花束出来上る 稲畑汀子 ホトトギス 201006
薔薇の門くぐれば人の気配ふと 稲畑汀子 ホトトギス 201006
モッコウ薔薇流れは岩に逆らはず 金澤明子 201006
万葉講座薔薇庭にまでパイプ椅子 品川鈴子 ぐろっけ 201006
薔薇一花氷雨の中に咲きつづく 加藤慶治 201006
ビロードのドレスまとひて紅い薔薇 石川かおり 201007
朝刊を取り薔薇の香をふりかぶる 潮田博久 風土 201007
天を指す宝珠をあまた薔薇蕾む 潮田博久 風土 201007
庭ぢゆうに蔓引き回し薔薇の海 潮田博久 風土 201007
庭ぢゆうに香り溢れて薔薇の海 潮田博久 風土 201007
薔薇繚乱千の蕾を従へて 潮田博久 風土 201007
薔薇咲きてより風音に聡くをり 潮田博久 風土 201007
妻呼べば薔薇の中より夏帽子 潮田博久 風土 201007
子嫁孫病室に薔薇絶ゆるなし 北川英子 201007
年の数ほどは結構赤い薔薇 七田文子 201007
薔薇剪つて残る惑ひを断ちにけり 高橋和女 春燈 201007
僭称シューベルトの野薔薇こと難波薔薇 上野昌子 春燈 201007
妃の名冠せし薔薇の香り立つ 中村喜美子 春燈 201007
薔薇の香の迎へてくれしひとりの家 中村喜美子 春燈 201007
アンニュイな薔薇にせんなき物思ひ 小田明美 春燈 201007
陽の匂ひ薔薇の匂ひに鋏入れ 鴨下昭 201007
薔薇挿して心を許し合ふ米寿 鴨下昭 201007
母の日の子が薔薇の鉢抱へくる 川島澄子 酸漿 201007
告白は薔薇の真っ赤な日でありし 堀内一郎 あを 201007
真夜中も青空はあり薔薇青し 鎌倉喜久恵 あを 201007
赤き薔薇北条政子の墓強し 篠田純子 あを 201007
薔薇垣や密談めける女の子 鈴木照子 201008
薔薇の花ひらく気配やアンネの記 伊東和子 201008
薔薇散れりひとひらづつの潔さ 竹内悦子 201008
地図になき教会薔薇の香りけり 石田厚子 馬醉木 201008
耳澄ます薔薇のコーラス聴くために 泉田秋硯 201008
ブラウスは薔薇染の赤聖五月 刈米育子 201008
薔薇園や水を吸ふ石弾く石 柴田久子 風土 201008
薔薇の蔓こみ合ふ薔薇の字のやうに 樋囗みのぶ 201008
季を得て賛を尽くして蔓薔薇 布川直幸 201008
花薔薇を束に掲げて壼の囗 布川直幸 201008
くたぶれし花も加はり薔薇たわわ 布川直幸 201008
墨堤の異なる橋に薔薇の雨 仁平則子 201008
やはらかき雨後の日差しや薔薇の門 吉沢陽子 201008
白薔薇の散りて夜道の標めく 頓所友枝 201008
薔薇強し昨夜の嵐に耐へてなほ 大橋晄 雨月 201008
冥界より齎されしか青き薔薇 大橋晄 雨月 201008
薔薇の香をぱたんと畳みこむ画帳 柴田良二 雨月 201008
木香薔薇咲きて此の家の娘が嫁に 上田明子 雨月 201008
喉飴を舌に遊ばせ薔薇を嗅ぐ 小林正史 201008
薔薇守のあと十日ほど待てと言ふ 山本無蓋 201008
薔薇園も来歴句碑も夕ごころ 数長藤代 201008
薔薇開く一輪づつの朝日かな 井口初江 酸漿 201008
隣家の薔薇を窓辺に眺めをり 島崎勇作 酸漿 201008
薔薇咲いてケーブルカーは窓全開 須賀敏子 あを 201008
薔薇を剪る真珠のしづくクリスタル 杉本綾 201009
棘傷を舐めつつ愛づる薔薇の花 北尾章郎 201009
フラメンコ踊り上手へ薔薇を投ぐ 坂本哲弘 山ざくら 201009
香を浴びつ薔薇のアーチをくぐり行く 松村富子 201009
薔薇を買ふ心に色の欲しい時 松本圭司 201009
町医者の代替りして白き薔薇 能美昌二郎 201009
街騒の遠くに住みて薔薇咲かす 峰幸子 201009
飛ぶもののありて薔薇園香り立つ 西川みほ 末黒野 201009
薔薇の気を貰うて心燃やしけり 八家こひで 春燈 201009
競売に附さるる家や薔薇紅く 折橋綾子 201009
薔薇おもく夜来の雨を零されず 椿和枝 201009
薔薇咲けりステンドグラスの文学館 中村洋子 風土 201009
薔薇園をあてなく巡る乳母車 和賀俊子 ぐろっけ 201009
余念なき垣根の手入れ薔薇の昼 木野裕美 ぐろっけ 201009
薔薇剪るに夫の許しのいりにけり 上田明子 雨月 201009
アンネとふ薔薇やこの世に生かされて 久保田雪枝 雨月 201009
薔薇園の薔薇に疲れてしまひけり 田宮勝代 酸漿 201009
オペまでの大部屋楽し薔薇香り 北田敏子 201010
朝よりも開き真昼の薔薇となる 今橋眞理子 ホトトギス 201010
薔薇手入ばらの言葉を聞きながら 今橋眞理子 ホトトギス 201010
フェンスより薔薇の渦巻あふれんと 今橋眞理子 ホトトギス 201010
薔薇真っ赤上手に話外らしけり 千坂美津恵 201010
岩風呂のひとつは薔薇を浮かべをり 佐藤茜 201010
しののめの浩二先生薔薇を食む 西村純太 201010
薔薇一輪犬の首輪に挿してやり 久世孝雄 やぶれ傘 201010
幾度の転居に耐えし庭の薔薇 神田惣介 京鹿子 201010
薔薇生けてくれて父の日なりしかな 松本つよし ホトトギス 201011
異端者として一輪や薔薇園 足立幸信 201012
薔薇の蔓眠るアーチに霜の花 布川直幸 201012
ファーザーズデー純白の薔薇一花 後藤比奈夫 ホトトギス 201103
庭に咲く真紅の薔薇に年明くる 内田和子 酸漿 201103
卓上の薔薇万葉≠笂ヌ初す 下山田美江 風土 201104
百の薔薇そだてひとり身通さるる 八田マサ子 馬醉木 201105
もの言はぬ男残りぬ薔薇散華 竹貫示虹 京鹿子 201105
一りんの夜の薔薇の香はわれのもの 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
青薔薇の香に祝ぎ心昂れり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
ふさぎ虫封じに買へり薔薇の鉢 塩路隆子 201107
我儘を聞いてよ薔薇のひとり言 和田森早苗 201107
薔薇園に少なし男性名の花 中島節子 ぐろっけ 201107
我が庭に木香薔薇の映ゆるなり 内田和子 酸漿 201107
描く事好きな子とをり薔薇の卓 舛田初惠 酸漿 201107
木香薔薇二階へ届く湖の家 大渕豊子 酸漿 201107
香る薔薇摘みて湯舟に浮べをり 小滝奈津江 酸漿 201107
黄薔薇のやう女王陛下はご健在 木村茂登子 あを 201107
花薔薇神の妬みか棘を抱き 木村茂登子 あを 201107
薔薇咲くや子育ての日々満ち足りて 竹内悦子 ちちろ虫 201108
赤き薔薇クレオパトラの野望かな 宮田香 201108
白亜のかベピンクの薔薇は甘き香を 吉田晴子 201108
薔薇園に凛と咲きをりプリンセス 三川美代子 201108
散る力残して赤き今朝の薔薇 塩路五郎 201108
花嫁の頬輝けり薔薇の風 水原春郎 馬醉木 201108
邂逅に言葉はいらず薔薇の風 コ田千鶴子 馬醉木 201108
白薔薇の夕べ静かに始まれり コ田千鶴子 馬醉木 201108
薔薇の虫潰す淑女の指をもて 木下慈子 馬醉木 201108
紅薔薇やシャンソンレッスン日の決まる 鈴木石花 風土 201108
これぞこのアンネの薔薇や蕾持つ 加藤千春 春燈 201108
黒薔薇の雨の気配に零れゆく 小田明美 春燈 201108
今盛るあふるる香り垣の薔薇 羽賀恭子 201108
天皇に倣ひて薔薇に膝をつく 泉田秋硯 201108
孫にはやガールフレンド薔薇咲けり 後條さと子 201108
薔薇咲きて一つ齢を重ねたり 西村純代 201108
薔薇真赤ビゼーの曲の響きさう 堀百合子 201108
住人は地味で寡黙な薔薇屋敷 田代貞枝 201108
薔薇似合ふリズテイラーやふいに逝く 中田寿子 ぐろっけ 201108
あばら屋に薔薇匂ふ朝来たりけり 山田春生 万象 201108
薔薇垣の小さき門より婆の顔 柳澤宗正 万象 201108
招ばれざる一人の我と雨の薔薇 福永尚子 ろんど 201108
鏡中の薔薇の香りを覗きゐる 竹内悦子 201108
窓辺に咲く戯れに妻植ゑし薔薇 大橋晄 雨月 201108
薔薇あまた囲めり聖母マリア像 大橋晄 雨月 201108
紫の薔薇静逸と言ふべかり 大橋晄 雨月 201108
薔薇の昼巡礼に厨子開かれて 尾崎みつ子 雨月 201108
潜水艦指呼を眠らせ薔薇香る 松本三千夫 末黒野 201108
父と夫命日同じ薔薇を切る 平居澪子 六花 201108
珈排店にピンク濃淡薔薇アーチ 桂敦子 201109
千の薔薇咲かせ風充つカフェテラス 高瀬史 馬醉木 201109
薔薇燃えて空の青さを引き立てり 小泉貴弘 春燈 201109
彩に酔ひ香に酔ひ薔薇に溺れゆく 和田照子 201109
カクテルといふ名の薔薇の紅一重 高橋道子 201109
軍港に黒き軍艦薔薇蕾む 武井美代子 万象 201109
薔薇切つて指に棘刺す開港日 小野口正江 末黒野 201109
薔薇の名はすぐに忘れて薔薇に酔ふ 宮内とし子 201109
東雲のいろの青薔薇ひらきけり 辻美奈子 201109
薔薇十本病臥に暮るる誕生日 松井志津子 201109
小気味よくナンの膨らむ薔薇の昼 荒井千佐代 201109
薔薇園に入りて貴婦人顔でゐる 本多俊子 201109
蔓薔薇を這はせ旧家の門固し 山本漾子 雨月 201109
パステルの一色さがす百の薔薇 和賀俊子 ぐろっけ 201109
歩きても座しても薔薇のかをりかな 大島英昭 やぶれ傘 201109
宮殿の壁はイエロー薔薇の風 長濱順子 201110
薔薇垣にかの日の少女老ゆ訪へり 小林輝子 風土 201110
薔薇卓にノーベル賞式ディナーかな 門伝史会 風土 201110
薔薇の湯に己しづめてしまひけり 小林共代 風土 201110
自分史に昭和の記憶薔薇を愛づ 鴨下昭 201110
紅の薔薇は王妃の名を貰ひ 苑実耶 201110
花びらの反りを尽くして終の薔薇 鳳蛮華 201110
薔薇の棘愛するものを傷つけず 高橋将夫 201110
剪り置きの木香薔薇を馬穴へと 有賀昌子 やぶれ傘 201110
相合傘シャルル・ドゴールてふ薔薇と 池端英子 ろんど 201110
白薔薇や雨の悪魔の爆心地 鎌田悟朗 ろんど 201110
薔薇の湯や命のかけらまだ磨く 丸井巴水 京鹿子 201110
大輪の薔薇に頬ずりハイチーズ 松本文一郎 六花 201110
薔薇咲くやふと蘇る師の至言 松本文一郎 六花 201110
枯れ果てて薔薇園のなほほの紅し コ田千鶴子 花の翼 201111
俳諧の白寿の薔薇を抱けとて 竹下陶子 ホトトギス 201111
放哉もゲーテも旅人野薔薇咲き 塩見治郎 雨月 201111
噴水のしぶきに薔薇は紅を増す 大地真理 201112
ゆずられて弁当開く薔薇の園 中尾廣美 ぐろっけ 201201
匂ひまで悴みにけり薔薇の園 坂上香菜 201202
望郷や心に残る薔薇の棘 岩永はるみ 白雨 201203
カタコンベに沁みる聖歌や薔薇の雨 岩永はるみ 白雨 201203
薔薇園の匂ひにすき間なかりけり 苑実耶 大河 201203
十本の薔薇の香りを束ねけり 稲畑汀子 ホトトギス 201205
薔薇の坂神父様より三歩あと 荒井千佐代 201205
蕾みして薔薇は華やぎ作成中 布川直幸 201205
薔薇たわわ推し敲き過ぎしを削除 布川直幸 201205
白杖のふと立ち止る薔薇の前 松井洋子 ぐろっけ 201205
啓蟄や薔薇の名前を書き直す 塩田博久 風土 201205
墓跡の量販店に薔薇とりどり 品川鈴子 ぐろっけ 201206
紅薔薇やをんな三十までは夢 丸山佳子 京鹿子 201206
生きるとは傷むことなり梅雨の薔薇 布川直幸 201206
ハーブティ自分に淹れる薔薇の昼 伊藤純子 201207
薔薇の顔なづる通りすがりの風 布川直幸 201207
褒め言葉たくさん貰ふ木香薔薇 和田政子 201207
黒薔薇の花の重さに傾きぬ 和田政子 201207
薔薇 →7      

 

2021年6月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。