薔 薇 1   200句

寫眞の中四五間奥に薔薇と乙女   中村草田男   来し方行方

薔薇  バラ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
思ひ出を重ねて赤き薔薇を見る 稲畑汀子 ホトトギス 199805
ディオールときけば諾ふ赤き薔薇 稲畑汀子 ホトトギス 199805
玻璃へだてなほ薔薇の香のついてくる 稲畑汀子 ホトトギス 199805
薔薇園の薔薇掃き寄せて塵となる 稲畑汀子 ホトトギス 199805
旅疲れ癒え寝足りたる薔薇の朝 稲畑汀子 ホトトギス 199805
薔薇園に朝の手入のはじまりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 199805
薔薇を撮る人にばらの香なかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 199805
薔薇真紅甦り来し為人 稲畑汀子 ホトトギス 199805
場所替へて飾れば薔薇の卓となる 稲畑汀子 ホトトギス 199806
わが庭の薔薇見て薔薇の季とおもふ 能村登四郎 199806
銭亀のつむりに薔薇の二三片 山尾玉藻 火星 199807
一本の薔薇を挿したる不安かな 山尾玉藻 火星 199807
ブロンズ像等身大の薔薇の冷 前田陶代子 199807
薔薇剪つて花瓶を探す日曜日 仲村青彦 199808
雨の薔薇風の薔薇へと旅続く 加藤あけみ 円虹 199809
終着の入江の町や薔薇の雨 加藤あけみ 円虹 199809
薔薇を描くときもパィプを離さざる 秋草美俊 199810
朝の薔薇切るや雫の飛び散りぬ 久保木千代子 春耕 199810
薔薇灼けて飛行船の墜ちる午後 寺田良治 船団 199811
私の佇むところ紅薔薇 中林明美 船団 199811
薔薇門をすどおり小さな虫博士 中林明美 船団 199811
褪せぬ薔薇深きこころの園丁に 渡辺純 京鹿子 199812
むつつりと薔薇のアーチをくぐりけり 大倉郁子 船団 199812
七月の薔薇ダイアナを思うとき 三神あすか 船団 199902
聖菓切る刃にこだはりの薔薇一つ 下山和美 199903
薔薇へ血糖ささぐこの怨恨事 高桑聡 船団 199903
全力で立つ空びんに薔薇の花 五島高資 船団 199903
葬式の夜は真紅の薔薇である 三宅やよい 船団 199903
君のため黄色い薔薇の精となる 尾上有紀子 船団 199903
蔵前より薔薇屋正しく挨拶す 神田夏果 海程 199904
薔薇の香に倦めば川風あるところ 稲畑汀子 ホトトギス 199905
薔薇育て来し人美しく老いにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 199905
薔薇をもて栄えの玄義唱へけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 199905
薔薇の円くぐり聖堂には入らず 杉良介 199905
黒薔薇やコンピューターのEメール 小澤克己 遠嶺 199905
土黒く手入終りし薔薇の園 丸川越司 円虹 199905
薔薇園の四隅は暗きところなり 小林あつ子 火星 199905
薔薇園に闇とこしへのもぐら穴 鷹羽狩行 199906
ピカソの名薔薇にもありて園の風 梅田実三郎 円虹 199907
薔薇の名に歩をとどめつゝ老夫婦 梅田実三郎 円虹 199907
薔薇抱きて故人通ひぬ雪の橋 稲見光 船団 199907
イギリスの神経質な白薔薇 能城檀 船団 199907
頭巾薔薇地長押高き孔府かな 松崎鉄之介 199907
鶴の羽敷きしごとくに薔薇崩る 大内裕家 酸漿 199908
手に余る薔薇祝ぎの曲歌ひ終へ 本城布沙女 雨月 199908
追憶の薔薇は棘まで美しく 白倉智子 ヒッポ千番地 199908
白薔薇のあふれて歯科の休診日 横田元子 199908
話しては笑つて少女薔薇の午後 松岡隆子 199908
薔薇園を抜け来て水辺りが昏し 松岡隆子 199908
星屑のふりくる夜の薔薇香る 増田とみゑ 俳句通信 199908
秘めごとが薔薇の香りに失せにけり 増田とみゑ 俳句通信 199908
言ひ難き思ひ出もあり薔薇の刺 加藤奈那 ぐろっけ 199908
野薔薇咲き小さき流れ輝けり 野口香葉 遠嶺 199909
短剣を投げるマジック薔薇紅し 夏秋明子 火星 199909
薔薇あまた咲かせて苦労かかへこむ 雫槍紀代 199909
師に捧ぐ薔薇のブーケや句会閉づ 山本喜朗 雨月 199909
試験紙にカリスマ性と出でて薔薇 峯尾文世 銀化 199909
一週間見舞の薔薇のよく匂ひ 高木伸一 六花 199909
薔薇の階下りて更なるばらに会ふ 田中美智代 199909
誕生日写真の薔薇に死が匂う 森ひさ子 船団 199909
両の手で囲ひ薔薇の香私す 山下由理子 199910
薔薇活けて語るロンドン物語 大久保白村 ホトトギス 199910
川波のある時とがり薔薇真紅 岩垣子鹿 ホトトギス 199910
薔薇と書き二文字は香を放つごと 嶋田摩耶子 ホトトギス 199911
看取る日々刺無き薔薇を育てをり 三井孝子 六花 199911
夢二棲むタソガレという薔薇の中 小枝恵美子 ポケット 199911
黒薔薇の棘にまつはる物語り 稲見光 船団 199912
黒薔薇といふ名を持ちて真紅なる 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
一人紅茶を後悔の薔薇の昼 田中桜子 船団 199912
チャールストンとふ名の薔薇が寺に咲く 萩谷幸子 雨月 200001
薔薇好きは薔薇を咲かせて砂漠住み 嶋田摩耶子 ホトトギス 200002
きりきりと革命の朝薔薇が降る 尾上有紀子 わがまま 200002
夕凍みの赫きをもつて薔薇の棘 松岡隆子 200003
薔薇咲き満つ倖せのみをひとに告ぐ 本橋怜加 冬牡丹 200003
梅雨曇り真っ赤な薔薇をひとかかえ わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
することがまだあるような薔薇散華 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
剪定を終へし薔薇園空真青 水原春郎 馬醉木 200004
名薔薇意外に白き姉の骨 三浦みち子 200005
正面は薔薇の吐息の通ふ席 稲畑汀子 ホトトギス 200005
薔薇の香とハーブの香り並びけり 稲畑汀子 ホトトギス 200005
少し萎え薔薇のコサージュ外しおく 稲畑汀子 ホトトギス 200005
喜びの玄義は薔薇の園と決め 稲畑廣太郎 ホトトギス 200005
薔薇の香も虚しく恋の終りたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200005
薔薇の門を出て行く生死賭けてゐず 山田六花 六花 200005
制服の少年まぶし薔薇の門 江頭信子 馬醉木 200007
薔薇の門入りて微熱の兆しをり 瀬戸悠 風土 200007
潮くもる沖を画布とし薔薇一輪 瀬戸悠 風土 200007
画材なる薔薇十本に狂気あり 能村研三 200007
薔薇垣のあるだけの黄を点じけり 上谷昌憲 200007
受付の手持ぶさたや薔薇の午後 曽根久順 200007
薔薇苑に絵筆の動く其処かしこ 橋本みず枝 200007
白薔薇にさても厳つき蜂の顔 橋本みず枝 200007
傘の雨切りてくぐりぬ薔薇の門 林敬子 酸漿 200007
薔薇切ると待たされてゐる入り日どき 朝妻力 俳句通信 200007
籠堂西洋薔薇の炎立ち咲く 柴田由乃 風土 200008
薔薇食べてたちまち海の近さかな 小山森生 200008
全身に受け止むるもの薔薇の風 西美知子 円虹 200008
薔薇の香をベールのやうにまとひをり 西美知子 円虹 200008
薔薇月夜棘が最も鋭利なり 能村研三 200008
薔薇盗む心かすかに弥撒はじめ 辻前冨美枝 200008
雨あがる薔薇の香りの全方位 藤井みち子 200008
余生とは不確かなれば薔薇手入れ 久保田一豊 いろり 200008
こじんまりと大和なでしこ夏の薔薇 中野辰子 いろり 200008
風に泣き日照に泣いて薔薇の色 中野辰子 いろり 200008
夕映や薔薇に雨戸を閉めかねて 伊藤セキ 酸漿 200008
散るもあり蕾もありて薔薇の園 笠原フミ 酸漿 200008
凝りし名の薔薇の器量のいまひとつ 石井平八郎 雨月 200008
薔薇の門くぐり帰農の友を訪ふ 旦昭三 俳句通信 200008
咲く前の薔薇の葉照のゆるびな 坪井洋子 200008
その国の子が出て薔薇の大使館 鷹羽狩行 200009
海見ゆるところどこかで薔薇香る 小澤克己 遠嶺 200009
才媛の門弟多し薔薇の苑 小澤克己 遠嶺 200009
新しき品種も薔薇の苑の風 坂井建 ホトトギス 200009
薔薇垣を見知らぬ人と讃へたり 宮本道子 酸漿 200009
竪琴を奏づるは誰そ薔薇の館 江木紀子 雨月 200009
薔薇園や先へ先へと目の逸り 江木紀子 雨月 200009
薔薇苑に雨傘の人散りぢりに 武田禅次 春耕 200009
一束の薔薇君よりも高くあげ 伊藤翠 船団 200009
薔薇咲いて欠伸してゐる男かな 浜麻衣子 六花 200009
手を広げ迎へられたる薔薇の家 三井孝子 六花 200009
この薔薇のための真紅と思ふほど 今橋眞理子 ホトトギス 200010
薔薇の香の咲き崩れむとして強し 今橋眞理子 ホトトギス 200010
つつまれてゐて薔薇の香を忘れをり 今橋眞理子 ホトトギス 200010
雨もまた心華やぐ薔薇の門 大村真佐子 遠嶺 200010
薔薇に太陽猫一匹が通るのみ 加賀谷洋 海程 200010
それも又徴睡の夢薔薇崩る 稲岡達子 円虹 200010
薔薇園の逢魔が時や風の止む 稲岡達子 円虹 200010
薔薇園の癒しの夜に入りけり 稲岡達子 円虹 200010
忘れさう薔薇に鋭き爪あるを 稲岡達子 円虹 200010
新しき町に百花の薔薇通り 下山田美江 風土 200010
薔薇咲いてシャガールのキス空を飛ぶ 成定紋子 船団 200010
集落を外れし家の薔薇盛り 三井孝子 六花 200010
薔薇園に散水ホースながながと 小野喬樹 馬醉木 200010
薔薇に満つ運河めぐりの船着場 渡邊美保 200011
薔薇萎えて棘の力のあからさま 谷和子 200011
枳穀と薔薇の実の道サンダースホーム 大島竜子 200101
人と遇ふ楽しさ薔薇の咲くことも 盛良孝 200101
菰巻の薔薇の中なるブロンズ像 伊藤宇太子 200102
薔薇色の夜明に揺るる浮寝鳥 三井公子 酸漿 200102
右腎なく左腎激痛も薔薇なり 金子皆子 海程 200102
野薔薇野薔薇雨の日の疼痛野薔薇 金子皆子 海程 200102
齢などなし出遇いありてこそ薔薇なり 金子皆子 海程 200102
心の隙間霧笛も紅薔薇も詰める 金子皆子 海程 200102
薔薇は熱い少年の瞳に遇い眠る 金子皆子 海程 200102
薔薇の海百万本に歌ふ君 高木伸宜 船団 200102
薔薇売りの偽ジプシーの鋭き眼 西田もとつぐ 船団 200103
薔薇へ手の届かぬ距離に乳母車 泉田秋硯 月に逢ふ 200103
及び腰鼻を触れては薔薇めぐり 品川鈴子 船出 200104
万の薔薇匂ふ淀屋の邸あと 品川鈴子 船出 200104
連れ合ひも無くて長居す薔薇の園 品川鈴子 船出 200104
今生は亡夫に仕ふ白き薔薇 品川鈴子 船出 200104
薔薇園にとり遺されて目移りす 品川鈴子 船出 200104
薔薇咲いて日ふはふはの烏骨鶏 岡井省二 200105
薔薇抱き来て活けしより会となる 稲畑汀子 ホトトギス 200105
薔薇の雨光となりて上りけり 稲畑汀子 ホトトギス 200105
薔薇園の華やぎ残しゆく蕾 稲畑汀子 ホトトギス 200105
大輪の薔薇を離れぬ羽音あり 稲畑汀子 ホトトギス 200105

 復に向かいつつも引きつづき療養の日常の中で

薔薇の体に霧笛沁みこむ海の街

金子皆子 海程 200105
亡父の白衣は野薔薇の幼児期にあって 金子皆子 海程 200105
薔薇を抱く聖夜の海の色悠久 金子皆子 海程 200105
隣人の薔薇いくたびも盗み詠む 鷹羽狩行 十三星 200105
月いでて薔薇のたそがれなほつゞく 水原秋櫻子 馬酔木 200106
黄の薔薇のもつとも香る正午前 朝妻力 俳句通信 200106
薔薇ふふむ悲劇王女の息吹秘め 武政礼子 雨月 200107
薔薇園の木陰に座り脈はかる 大柳篤子 俳句通信 200107
絵硝子にほほゑむ天使薔薇の昼 河野彩 春耕 200107
薔薇みちみつ丘より港眼下かな 松崎鉄之介 200107
我が胸に娘は永久に生き薔薇真紅 岩崎婦美江 200107
刺のある薔薇をいっぽん花束に 前原勝郎 船団 200107
薔薇の針少年少女まわりだす 三宅やよい 船団 200107
紅薔薇の襞の暗さに立止まる 田中藤穂 あを 200107
百まではもっと遊べよ薔薇のつる ロツキイ 六花 200107
ハイカラに老いたし薔薇に逢はずとも 泉田秋硯 200108
LLの薔薇一輪や男子寮 伊藤憲子 200108
薔薇展をのぞく問合ひをなほ残し 大西桑風 馬酔木 200108
ほろ苦き薔薇のサラダを朝の卓 林敬子 酸漿 200108
薔薇匂ふ夢をノートに書き綴り 堀川千代子 百鳥 200108
乳飲み児よ薔薇のあたたかさは秘密 奧野ちあき 海程 200108
晩景の記念撮影紅薔薇 天野きく江 200108
薔薇の香や立居振舞美しく 桑垣信子 いろり 200108
薔薇園にあり王妃らに囲まれて 山本喜朗 雨月 200108
薔薇貿うて活けて我が家の薔薇切らず 江木紀子 雨月 200108
二重瞼になりたい薔薇のひと雫 柴田朱美 京鹿子 200108
何思ふともなく歩き薔薇の風 片山煕子 京鹿子 200108
薔薇園に異国の子等と遊びけり 鷺谷浅子 遠嶺 200108
薔薇園へ降りるステップ王妃めく 村井久美子 200108
プリンセス美智子の薔薇の手入れよし 細井隆子 200108
薔薇の花雨が来るぞと切りにけり 大和田鏡子 俳句通信 200108
慶びの薔薇の香よ座に行きわたれ 山田弘子 円虹 200108
薔薇移し植ゑて転居をせし思ひ 藤井圀彦 200108
身を飾るもの忘れ来て薔薇園 佐藤博美 200108
薔薇の道ゆけば蕪村の美術館 万波允恵 ぐろっけ 200108
薔薇咲かせ悪妻なるを悪びれず 深澤厚子 馬酔木 200109
ピアノレッスンはお休み薔薇の家 江川和彦 200109
薔薇の香の門より続く西洋館 岡田有紀子 遠嶺 200109
大輪の薔薇咲きにほふ多佳子の忌 八木岡博江 酸漿 200109
剪りたての薔薇の届きし誕生日 小島和子 百鳥 200109
薔薇園の百花まどろむ昼さがり 小島和子 百鳥 200109
薔薇咲いて経歴詐称を問はれをり 浜麻衣子 六花 200109
薔薇の園かこみ証券会杜ビル 浜麻衣子 六花 200109
薔薇→ 2      

 

2021年6月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。