薔 薇 5   200句

瞑るは見ることのため薔薇の花   秋山牧車

薔薇  バラ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
紅薔薇の己が重みを恃みとし 高橋さえ子 200710
薔薇咲かせ終のビル住み孤りとは 成川和子 200710
唇に薔薇カルメンの恋の舞 峰尾秀之 200711
薔薇といふ漢字が好きで薔薇咲かせ 嶋田一歩 ホトトギス 200711
薔薇咲いて薔薇薔薇薔薇と薔薇の咲く 嶋田一歩 ホトトギス 200711
風遊びゐるところとも薔薇の園 嶋田一歩 ホトトギス 200711
薔薇など剪る義手の袖口ゆたかにす 金井充 百日紅 200711
半日を薔薇散る庭に過ごしけり 三井孝子 六花 200711
人影のおよびて薔薇の匂ひたつ 高橋さえ子 200711
太陽と風と薔薇と一詩人 高石幸平 ホトトギス 200712
薔薇園にアンネ通りといふ通り 岬雪夫 200712
薔薇の門くぐり迷路に迷ひけり 福島せいぎ 万象 200712
薔薇窓に日の散らばれりダイアナ忌 片山タケ子 200712
薔薇のジャム旅に浪漫なしとせず 今川千鶴子 春燈 200801
切つ先を雪に濡らせつ薔薇手入 ことり 六花 200802
たらちねの手を引き申し薔薇の香に 竹下陶子 ホトトギス 200803
薔薇の香に逢瀬の如く待ちにけり 竹下陶子 ホトトギス 200803
まだまだと老齢の薔薇咲き継いで 井上あき子 ぐろっけ 200804
朝五時のひかりのままにこの薔薇は 坪内稔典 稔典句集U 200804
ブルームーンという薔薇へ行く十月は 坪内稔典 稔典句集U 200804
十月の薔薇ランボーの腐乱体 坪内稔典 稔典句集U 200804
象印ポットの口が薔薇のそば 坪内稔典 稔典句集U 200804
薔薇の香に包まれて弾くショパンかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
百本の薔薇一塊の香を放つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
夜の薔薇妖しく香る君の部屋 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
薔薇の香に酔ひ告白の出来ぬ君 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
薔薇園の順路はあつてなき如く 稲畑汀子 ホトトギス 200805
一と抱へ三十本の薔薇の香よ 稲畑汀子 ホトトギス 200805
夜は庭のばら恋ふごとし瓶の薔薇 鷹羽狩行 200805
垣の薔薇白きがちりて径しろし 水原秋櫻子 馬醉木 200805
裸婦像を紅薔薇の香の包みけり 山田六甲 六花 200805
明日あると誰も信じて風の薔薇 峯桜子 遠嶺 200806
薔薇どつさり抱へ新婦の実家さと帰り 品川鈴子 ぐろっけ 200806
庚申薔薇ラシャメン住みし家の庭 松崎鉄之介 200806
あたたかや祝がるに薔薇を五十本 西村しげ子 雨月 200806
薔薇の花匂へり嫌なこと忘る 吉成美代子 あを 200806
雨意兆す庭に黄色の薔薇ひとつ 邑橋節夫 菊揃へ 200806
北なる地アンネゆかりの薔薇ひらく 田下宮子 200807
みどり児の夢は何色薔薇開く 中嶋昌子 春燈 200807
白薔薇の恋情といふ秘密かな 菅原健一 200807
薔薇咲けり隣の庭も色違へ 宮津昭彦 200807
切薔薇のしをれ六十路の恋終はる 上田幸夫 ぐろっけ 200807
白薔薇や主失ひしランドセル 王岩 あを 200807
妹によく似た薔薇の咲きにけり 鈴木多枝子 あを 200807
一人居の黒薔薇夜の香を放つ 村上絢子 馬醉木 200808
悲しみの色閉ぢ込めて青き薔薇 和田森早苗 200808
一家族薔薇の虜となりて佇つ 泉田秋硯 200808
カンバスに薔薇を咲かせて紫煙吐く 泉田秋硯 200808
灯されて自己防衛の薔薇真紅 高根照子 200808
ぎゆぎゆぎゆつと靴紐引けば薔薇匂ふ 池田光子 200808
母の日や鉢の紅薔薇地に移す 池田光子 200808
いつになく母想ふ日の白薔薇 遠藤和彦 遠嶺 200808
詩心は下りて来るもの薔薇の園 本橋葉月 遠嶺 200808
紅薔薇に見られてドイツ料理かな 竹内悦子 200808
薔薇は終はんぬカラマーゾフの兄弟 大島翠木 200808
シャガールの宙飛ぶ二人白き薔薇 谷岡尚美 200808
薔薇といふプライド薔薇といふオーラ 小林奈穂 200808
九竅に薔薇の香りを充たせけり 山本無蓋 200808
法悦の通夜となりたる薔薇に雨 宮川みね子 風土 200808
海に消ゆサンテクジュペリ紅き薔薇 奥山絢子 風土 200808
薔薇のアーチくぐりてきたる卓に薔薇 天谷翔子 火星 200808
それぞれの名にふさはしき薔薇園 木暮剛平 万象 200808
見据ゑたる薔薇の花びら落ちにけり 高木美波 万象 200808
ためらひもなくて崩れぬ薔薇一花 藤岡紫水 京鹿子 200808
咲く薔薇に心残しつ旅に出づ 夏目満子 酸漿 200808
バレリーナてふ薔薇もらひ挿木せり 石川元子 酸漿 200808
薔薇園の御伽の国に迷ひ入る 石川元子 酸漿 200808
人に老薔薇に棘あるこの世かな 石川元子 酸漿 200808
詩歌への思ひ燃ゆかに赤き薔薇 福盛悦子 雨月 200808
句三昧真紅の薔薇を溢れ挿し 水野節子 雨月 200808
ソリストの礼深々と薔薇を受く 水野節子 雨月 200808
薔薇垣に沿うて遠足曲りゆく 中原敏雄 雨月 200808
画布一面イギリス館描き薔薇を描く 堀田こう 雨月 200808
壁覆ふ木香薔薇のティータイム 荻原美保子 春燈 200808
薔薇繚乱ひときは光源氏かな 千坂美津恵 200809
雨の薔薇剪れば雫も彩なせり 松村富子 200809
胸中に自惚鏡夜の薔薇 船越和香 馬醉木 200809
薔薇の香や奥の奥までばら咲ける 森ひろ 馬醉木 200809
わが心かはれば薔薇の翳りたる 竹下陶子 ホトトギス 200809
ほむら立つ血潮立つあり薔薇アーチ 太田寛郎 200809
紅薔薇を剪るまたも鋭き棘に触れ 高橋裕子 200809
秘告花ひつげばなとも言ふべかり紅薔薇 小澤克己 遠嶺 200809
擦れ違ふ法衣の運ぶ薔薇の風 川口襄 遠嶺 200809
白薔薇に来て決すべきこと一つ 安田久太朗 遠嶺 200809
薔薇園のアーチ潜れば秘密めき 東良子 遠嶺 200809
雨の日は雨の明るさ白薔薇 八代冨二子 遠嶺 200809
諍ひのあとのやうなる赤い薔薇 荒井和昭 200809
黄の薔薇の多き公園句碑建立 椿和枝 200809
母の日過ぎ二ヶ月またも黄薔薇咲く 椿和枝 200809
棘なだめ宥めて切りぬ薔薇一枝 松嶋一洋 200809
テーブルに妻の伝言白薔薇 中沢三省 風土 200809
日は中天にて白薔薇の白昼夢 井田実代子 雨月 200809
日に月に大白薔薇の開かんと 水野恒彦 200809
薔薇ひとひら拾ふ男の子の腕かな 近藤きくえ 200809
薔薇の園アリス現れさうな径 片野光子 ぐろっけ 200809
薔薇園の石段に聴くジャズライブ 北畠明子 ぐろっけ 200809
高ヒール更に爪立ち薔薇を嗅ぐ 木原今女 ぐろっけ 200809
薔薇園の花終へて棘ばかりなる 藤田宏 200809
一片に薔薇の迷路のほどけゆく 今橋眞理子 ホトトギス 200810
尚生きよ尚も生きよと薔薇紅し 蔦三郎 ホトトギス 200810
王妃名の薔薇金色の蕊抱く 八代冨二子 遠嶺 200810
カーテンの揺れに黄薔薇の匂ひ満つ 八代冨二子 遠嶺 200810
大輪の夜明けを誘ふ薔薇白し 松野睦子 遠嶺 200810
薔薇に棘わたしに甲羅ありにけり 宇都宮敦子 200810
夜の薔薇にキャンドル千個銀河なす 竹下陶子 ホトトギス 200811
垣根よりはみ出す薔薇の勇みかな 小澤正信 200811
薔薇の香や見舞うて励まされてをりぬ 小川凉 200811
咲き切りし薔薇の末路は見せまじく 出来由子 200811
棘よけて薔薇の満ちたる寺をゆく 松本容子 六花 200811
偲ぶため薔薇よ輝かないでくれ 湯川雅 ホトトギス 200812
線描の画布や真紅の薔薇大輪 遠藤和彦 彩雲 200901

 腎臓炎より急性ロイマチスとなり全身不随

剪りて間なき薔薇と思へり炎だつ

瀧春一 深林 200901

 〃

人等若し薔薇もて病褥を飾りて呉れし

瀧春一 深林 200901
  〃

枕辺にかしづく薔薇は豪華に過ぐ

瀧春一 深林 200901

 〃

病臭の薔薇に隠れてうけこたへ

瀧春一 深林 200901

 〃

薔薇は瓶にあふる病臭知られじと

瀧春一 深林 200901

 〃

病褥に語り薔薇もて顔を蔽ふ

瀧春一 深林 200901

 〃

人去りてより薔薇は薔薇色に渦巻ける

瀧春一 深林 200901

 〃

ひしめきて薔薇悉くわれに向く

瀧春一 深林 200901

 〃

独りをたのしむときの薔薇の香いきいきと

瀧春一 深林 200901

 〃

卓の薔薇斜にあふぎてすぐ疲る

瀧春一 深林 200901

 〃

病む心つめたく炎えて薔薇に対ふ

瀧春一 深林 200901

 〃

白き薔薇数十輪と数へ疲れ果つ

瀧春一 深林 200901

 〃

胸に金策美しき薔薇われを捨てず

瀧春一 深林 200901

 〃

きれぎれの眠りや遂に薔薇崩る

瀧春一 深林 200901

 〃食餌療法

薔薇咲く丘の塩欲る牛を夢に見る

瀧春一 深林 200901
薔薇展や美しきものに飽く疲れ 瀧春一 深林 200901
朝光や薔薇ばら色に凍てしまま 石田阿畏子 馬醉木 200902
薔薇咲けり人憎らしく憎からず 常盤優 炎環 200902
薔薇抱いて四十五分空の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200905
薔薇の影踏みばらの香に包まるる 稲畑汀子 ホトトギス 200905
錆び付きし門を覗かば薔薇一輪 ことり 六花 200905
棘のなき木香薔薇やくくり猿 坂上香菜 200906
石に嵌込みのイニシャル薔薇の門 鷹羽狩行 200906
薔薇さはに風呂に浮かべてリフレッシュ 井口淳子 200907
プリンセスもモンローもあり薔薇薫る 三川美代子 200907
まだ咲かぬ薔薇へ続きし白き橋 山本うらら 炎環 200907
薔薇の苗植ゑてほどよき疲れかな 布川直幸 200907
薔薇の苑プリンセス・サヤコの紅ほのと 安立公彦 春燈 200907
薔薇溢れしめ闘病の日々続く 高橋照子 雨月 200907
赤々と薔薇の燃えゐて落付かず 三村禮子 酸漿 200907
薔薇咲いて隣家の門辺明るうす 杉本敏子 酸漿 200907
紅薔薇の風に揺れつつ崩るなし 伊藤克子 酸漿 200907
大正を寂しと薔薇の門ひらく 水原春郎 馬醉木 200908
オークシヨン待つ気満々千の薔薇 泉田秋硯 200908
薔薇さわに風呂に浮かべてリフレッシュ 井口淳子 200908
悔ゆること多し百花の薔薇にゐて 杉本綾 200908
花びらを散り敷く贅の薔薇の家 布川直幸 200908
花びらの包みを解き薔薇香る 布川直幸 200908
束解かれ薔薇一本の自立かな 黒澤登美枝 200908
夫とゐる至福黄薔薇の大きこと 和田政子 200908
薔薇ほめて旧知のごとくなりにけり 千加田寿子 遠嶺 200908
二階まで届くアーチの薔薇大輪 千加田寿子 遠嶺 200908
胸に薔薇浮かぶ夜深けのフラメンコ 神原徳茂 遠嶺 200908
白薔薇の香りくづれぬほどに風 柴崎英子 200908
命名の墨の香薔薇の咲き満ちて 柴崎英子 200908
薔薇剪つて清張の謎ふつと解け 樋口英子 200908
昃きて薔薇の香翔ぶや妻の翳 大谷長道 炎環 200908
目印の木香薔薇の崩れかな 大畠響 炎環 202023年8月8日 ありました 折島光江 炎環 200908
ペルシャ料理薔薇のアーチの伯爵邸 疋田雪子 炎環 200908
メドゥサの薔薇かと真紅したたれり 増田明美 炎環 200908
胸に薔薇真紅の闇をかくしもつ 増田明美 炎環 200908
門の薔薇表札の名の凄みかな 大原貴彦 炎環 200908
眼圧を計られてをり薔薇匂ふ 柳生千枝子 火星 200908
足元に萎えし紅薔薇アンネ像 品川鈴子 ぐろっけ 200908
薔薇園のゆかりを聞くも薔薇の中 遠藤とも子 ぐろっけ 200908
天津乙女ルイ十四世みな薔薇の名に 遠藤とも子 ぐろっけ 200908
薔薇の名はアブラカダブラ文学館 島田和子 風土 200908
一輪づつ薔薇手渡さるコンサート 林いづみ 風土 200908
白薔薇やオルガンに混じる神父の声 白水良子 200908
ふりだして薔薇の花束いかにせむ 荒井和昭 200908
べらばうに薔薇の散りたる雨の朝 荒井和昭 200908
薔薇咲いてふいにルノワールの日差し 椿和枝 200908
薔薇守としてポケットに挿す鋏 山口ひろよ 200908
薔薇咲けば母の忌夫の忌も近し 成田なな女 春燈 200908
ガーデニング果てることなき薔薇自慢 小林武弘 200908
「マドマゼルフィフィ」父の日に贈る薔薇 木村茂登子 あを 200908
薔薇の前たちて愁ひのごときもの 定梶じょう あを 200908
撮るときに薔薇を一輪写真館 定梶じょう あを 200908
ゲーテ偲び野なかの薔薇を口遊む 有田蟻太 200909
ビーカーに深紅の薔薇を女医の室 野中啓子 200909
晩年のなき母へ供華紅の薔薇 塩路隆子 200909
薔薇の家に心ほぐるるティータイム 池田加寿子 200909
薔薇・ロック映画のやうに雨が降る 藤本る衣 炎環 200909
薔薇園を全部使つて泣きにけり 山高真木子 炎環 200909
古河邸百種に余る薔薇囲む 大西八洲雄 万象 200909
薔薇一種ごとに嗅ぎゆく女学生 大西八洲雄 万象 200909
ひとりづつ来て佇めり薔薇夕べ 柴田鏡子 200909
静もれる奏楽堂や薔薇と月 加藤兵四郎 200909
嫁がせてよりの余生と薔薇の中 岩藤礼子 やぶれ傘 200909
たぶん今したり顔薔薇嗅ぎ分くる 田村園子 200909
薔薇園は揺れやまぬ船酔ひにけり 田村園子 200909
誕生日息子無言の薔薇の籠 宇田川ふさ子 200909
一面の薔薇に蒼める遠比叡 松井倫子 火星 200909
風鐸のはしやいでをりぬ薔薇の風 松嶋一洋 200909
現世の紅濃く咲きて薔薇匂ふ 池田光子 200909
くれなゐの叶息とならむ薔薇の園 杉山瑞恵 雨月 200909
美しきゆゑの神の業かや薔薇の棘 東野鈴子 雨月 200909
薔薇→ 6      

 

2021年6月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。