薔 薇 4   200句

咲き切つて薔薇の容を越えけるも   中村草田男   美田

薔薇  バラ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
耳鳴りは薔薇の崩れる音に似て 柴田朱美 京鹿子 200508
薔薇の棘使つてたくみに殺めたり 柴田朱美 京鹿子 200508
青い薔薇媚薬の量をあやまてり 柴田朱美 京鹿子 200508
ビロードの紅き薔薇の名エリザベス 宮崎耕晴 築港 200508
千の薔薇千の香りに出合ひたく 木下栄子 築港 200508
薔薇挿して見本住宅開放す 上石哲男 築港 200508
パレットを磨き薔薇描く色絞る 上石哲男 築港 200508
革細工きれいな薔薇になりにけり 若柳すずめ 六花 200508
薔薇の湯や胸に寄せたる薔薇いくつ 里中章子 200508
モデル来て口紅させり薔薇の前 森園ムツ子 200508
女には実家のありし畑に薔薇 寺門丈明 あを 200508
薔薇深紅女は鋏もちて立つ 東亜未 あを 200508
わが生の光のそとに薔薇を置く 渡邉友七 あを 200508
肩寄せて寡婦三姉妹薔薇を愛づ 松村富子 200509
薔薇アーチ潜り川辺のカフェテラス 田下宮子 200509
プリンセスミチコとの名の薔薇もゆる 山崎泰世 200509
紅薔薇やアリアに和む刻を得て 野中啓子 200509
人違ひされしが縁薔薇園 曽根澄子 200509
薔薇アーチ王様となり通りけり 森竹昭夫 遠嶺 200509
七曜や薔薇のほぐれを待ちゐたり 伊藤豊美 遠嶺 200509
薔薇剪つて指ににじむ血ばらの色 楠原幹子 200509
薔薇垣にすべり込んだるブーメラン 米澤光子 火星 200509
薔薇の色濃し風の名の中学校 高田令子 200509
客に投ぐ薔薇一輪や舞踏果つ 中里とも子 百鳥 200509
薔薇の園大きな吐息漏したる 葛馬房夫 雨月 200509
薔薇の香の化粧紙売るおさげ髪 吉見文子 200509
文化圏ここにも及び薔薇咲く 角直指 京鹿子 200509
満開を剪り落しをり薔薇の花 山荘慶子 あを 200509
思ひきり薔薇の枝剪り落ち着きぬ 早崎泰江 あを 200509
天の甕あふれて薔薇に雨降らす 飯塚やす子 200510
黒塗りの車の止まる薔薇館 池谷市江 200510
風を呼び人を呼び寄せ薔薇園 水井薫子 200510
薔薇剪りてギヤマン皿に浮かべけり 小林正史 200510
薔薇を観る紳士淑女の顔となり 三浦如水 ぐろっけ 200510
いささかのラベンダー足し薔薇枕 杉山瑞恵 雨月 200510
薔薇活けてつま先までも染まりたる 秋千晴 200510
西陣織のドレスのプリマ薔薇深紅 岡谷栄子 200511
空蝉のささつて居りし薔薇のとげ 長屋璃子 火星 200511
薔薇園も古城も駅も庭の内 遠藤とも子 ぐろっけ 200511
蔓薔薇や最後に届く回覧板 名和美枝子 八千草 200511
薔薇散りぬ翼失ふごと散りぬ 田中春生 200512
楽屋ぢゆう映る鏡に薔薇の束 福地初江 200601
をさな児の毛布は薔薇のかたちせり 高田令子 200602
霜の薔薇棘総立ちに明けそむる コ田千鶴子 馬醉木 200604
薔薇買はな薔薇二ダースと言ひ放ち 鈴木榮子 春燈 200604
大き声にて入り来たる薔薇の束 あさなが捷 200604
裸婦像や剪定あとの薔薇の棘 村田さだ子 酸漿 200605
薔薇の瘤雨のうるほす二月尽 松井志津子 200605
石階の歩々にひらけて薔薇園 鷹羽狩行 200606
人もまた色どりのうち薔薇園 鷹羽狩行 200606
薔薇窓よりボーイソプラノ復活祭 片山タケ子 200606
薔薇はなほ花びらたたむ思慮の深さ 瀧春一 瓦礫 200606
薔薇溢る薔薇の主体の淡々しさ 瀧春一 瓦礫 200606
花束の薔薇に重さのありにけり 伊藤晴英 対岸 200606

 麦秋忌

薔薇の花命日の湯を満たしけり

山田六甲 六花 200606
一重薔薇流血覚悟で盗みけり 山田六甲 六花 200606
棘削いで薔薇の花束湿り帯ぶ 山田六甲 六花 200606
仰ぎたる薔薇の天から蜜こぼる 山田六甲 六花 200606
薔薇園の薔薇の名前の阿諛めくも 鈴木榮子 春燈 200607
棘無きと木香薔薇の愛さるる 久保田雪枝 雨月 200607
何時過ぎけむわが華の刻薔薇五月 久保田雪枝 雨月 200607
木香薔薇アーチに咲かす幼な友 松崎鉄之介 200607
乾杯のワイングラスに薔薇写る 伊澤政子 200607
バージンロード俯く父に薔薇ありて 南原正子 酸漿 200607
薔薇咲く日口紅買ひに家を出る 森山のりこ あを 200607
革装の新約聖書薔薇の卓 村田美代子 馬醉木 200608
薔薇侍る作り笑顔のツーショット 泉田秋硯 200608
本年は白がファッション薔薇の園 泉田秋硯 200608
アメイジング・グレイス流す茶房の白い薔薇 千坂千津恵 200608
薔薇咲いてはやも算数アレルギー 山中宏子 200608
約束は薔薇のアーチのレストラン 高根照子 200608
薔薇アーチ声音やさしき老婦人 篠原幸子 春燈 200608
薔薇に刺うかと誘ひに乗りけるよ 伊藤百江 春燈 200608
鏡台の一輪黄薔薇明りかな 吉野のぶ子 遠嶺 200608
追憶の裏も表も薔薇なりき 天野きく江 200608
一片のゆるみもなくて薔薇咲けり 植松美根子 200608
死ぬるには足らぬ痛みを薔薇の刺 風間史子 200608
溢れむを納めし蕾紅き薔薇 岡敏恵 ぐろっけ 200608
子離れの予行に始む薔薇づくり 岡敏恵 ぐろっけ 200608
薔薇園の朝を清むる乙女たち 岡田房子 酸漿 200608
バックして薔薇に近づく車椅子 笹村政子 六花 200608
会釈して人の過ぎたる薔薇の園 笹村政子 六花 200608
毎日が好奇心なり薔薇五月 寺島順子 雨月 200608
英語もて道を問はるる薔薇の昼 乗光雅子 雨月 200608
出合ひといふ寄植楽し薔薇展 赤座典子 あを 200608
紅薔薇にダイヤ光りぬ昨夜の雨 友田直文 200609
熟睡して目覚めし朝の薔薇真紅 隅田享子 200609
薔薇剪つて恋の遍歴告げもせず 遠藤若狭男 200609
散りて華麗に重なれり園の薔薇 遠藤若狭男 200609
薔薇園をめぐりて恋の噂かな 遠藤若狭男 200609
白薔薇の散るを泳へて薔薇の園 遠藤若狭男 200609
奔放となり薔薇園の夜の香り 遠藤若狭男 200609
カンバスに薔薇あふれしめ園を去る 遠藤若狭男 200609
黄の薔薇に閉ざせし心少し明け 田口ひろ子 四葩 200609
シャンパンはまつ赤な薔薇に冷すべし 田中英子 火星 200609
音楽家百人のレリーフ薔薇咲けり 森田節子 風土 200609
吹き溜まる薔薇の花びら路地の奥 松原三枝子 万象 200609
卓上の薔薇一輪の平和かな 清水明子 遠嶺 200609
好きな事出来る幸せ薔薇は黄に 阿部正枝 遠嶺 200609
くれなゐの薔薇のアーチや散歩靴 阿部正枝 遠嶺 200609
白薔薇を胸に遠嶺の指針かな 今井松子 遠嶺 200609
薔薇の香に導かれつつめぐる庭 道給一恵 遠嶺 200609
ぶち犬の耳欹てり薔薇館 伊藤早苗 200609
吟じられ描かれもして薔薇崩る 荒木治代 ぐろっけ 200609
多彩なる静寂薔薇の園にあり 木野裕美 ぐろっけ 200609
大壺に溢れんばかり庭の薔薇 長澤健子 酸漿 200609
小学校開放されて薔薇祭 岡本直子 雨月 200609
グランドを囲めるフェンス薔薇五月 岡本直子 雨月 200609
教育は日本の宝薔薇咲く 角直指 京鹿子 200609
まどろみてゐるかに薔薇の開きけり KOKIA 六花 200609
競ひ合ふものありてこそ薔薇紅し 山田美保 200609
薔薇崩れ筋書ひとつ無に帰する 山田美保 200609
旅終へし眼鏡を洗ふ薔薇の雨 生方ふよう 200609
著書多き書架にたむけて白薔薇 村上沙央 200610
薔薇園の香を掻き混ぜて虫が飛ぶ 西宮舞 200610
喝采や黄色の薔薇を胸に受く 遠藤和彦 遠嶺 200610
寿の薔薇を抱きて夢ごこち 坂本ひさ子 遠嶺 200610
マドンナと再会約す白い薔薇 小山寛 遠嶺 200610
蔓薔薇は真赤に洋舞教習所 森津三郎 京鹿子 200610
日は薔薇を優しくも淋しくもする 竹下陶子 ホトトギス 200611
日本は北半球よ薔薇の咲く 嶋田一歩 ホトトギス 200611
薔薇アーチくぐりグリムの絵に入りぬ 山元志津香 八千草 200611
休日のおそき朝食薔薇の雨 桑原泰子 八千草 200611
遠火事や薔薇のかたちの角砂糖 辻直美 200611
薔薇の花暮れゆく村を見てをりぬ 三井孝子 六甲 200612
薔薇剪るつて仕立屋朝を灯しけり 前田貴美子 万象 200701
花の数日毎に増えて薔薇咲ける 加藤北天 雨月 200701
紅薔薇や綺羅なす仮面舞踏会 山下佳子 200703
薔薇の花雪を冠りて庭にあり 山田六甲 六甲 200703
テラコッタふうにばら咲き薔薇競う 野村みどり 八千草 200704
薔薇園のベンチに二人憩ひけり 池崎るり子 六花 200704
限りある身をいとほしみ薔薇仰ぐ 池崎るり子 六花 200704
ヴィオロンの音と薔薇の香に満たされて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200705
薔薇二千三百四十五本の香 稲畑廣太郎 ホトトギス 200705
婚礼の灯が薔薇垣にまで及ぶ 鷹羽狩行 200705
少女期のごとく輝き薔薇咲けり 池田光子 200705
省略の極み剪定終へし薔薇 山田夏子 雨月 200705
もう一輪薔薇の花足し花束に 松下幸恵 六花 200705
石神井の愛人宅は薔薇盛り 北川美美 200705
甲斐駒を負ひて薔薇植う荘の庭 村上光子 馬醉木 200706
来世また教師とならむ薔薇の束 植村よし子 雨月 200706
送別の髭の教師へ薔薇の束 植村よし子 雨月 200706
不似合な薔薇を貰ひて退職す 篠田純子 あを 200706
去りし日や来る日や胸に薔薇を享く 岸風三樓 200706
鼓笛隊くり出す街の薔薇祭 米山喜久子 200707
薔薇真紅二輪大きく咲きそろふ 池田光子 200707
罪ふかきわれニコライの薔薇の門 上原重一 200707
太陽と黙契のごと薔薇真つ赤 黒澤登美枝 200707
青き薔薇素直に告知受けにけり 宮崎高根 200707
薔薇見つつ治療継続決めにけり 阿部悦子 酸漿 200707
薔薇園に宮様の薔薇囲みあり 鎌倉喜久恵 あを 200707
花束のおのれへ分けし薔薇二輪 岡本眸 200707
薔薇束を抱きてヒロインらしく立つ 泉田秋硯 200708
胸に挿せし薔薇に早くも褒めことば 増田久美子 200708
どの窓も開けあり薔薇の風のため 布川直幸 200708
朽ち木焚き煙でよごす薔薇の空 布川直幸 200708
自らの棘の傷つけ白薔薇 布川直幸 200708
古稀迎ふ君へ一輪薔薇を剪り 吉沢洋子 200708
大門に山椒薔薇咲き野のごとし 金光絹江 200708
四阿にきれいな日暮れ薔薇かをる 相沢有理子 風土 200708
千万の薔薇園只今支度中 田村すゝむ 風土 200708
路地一つ違へし庭の白薔薇 中沢三省 風土 200708
白薔薇万年筆の水あらひ 栗原公子 200708
風立つや蝶振りはらふ薔薇の花 坂口夫佐子 火星 200708
崩落の近きに薔薇の香り立つ 大橋晄 雨月 200708
平和の世願ひ咲く薔薇名はアンネ 村生翠 雨月 200708
校門の守衛ひとりや薔薇咲いて 出口賀律子 雨月 200708
人声のやはらかくなる薔薇の門 堀田恵美子 雨月 200708
薔薇の香に浸り木椅子に深々と 堀田恵美子 雨月 200708
目つむりて薔薇の香自在四阿に 堀田恵美子 雨月 200708
送別の薔薇抱き握手幾度も 今井忍 ぐろっけ 200708
息づきの聞ゆる薔薇のつぼみかな 灘秀子 200708
薔薇の黄のいよよに看取帰りかな 四宮一子 200708
添ふ人のなき身に垣の薔薇匂ふ 宮野照子 馬醉木 200708
薔薇園にギターの音色風にのり 船越和香 馬醉木 200708
満開に遅れ一花の蔓薔薇 布川直幸 200709
薔薇園の清楚な香り抱きけり 佐藤健伍 200709
片恋のむかし捜しや薔薇の棘 黒澤登美枝 200709
齢なほ燃ゆるものあり紅薔薇 山本康夫 200709
薔薇の真くれなゐ心のクリスタル 雨村敏子 200709
一枚の火襖なして薔薇の垣 太田寛郎 200709
本能寺の変さながらに薔薇アーチ 太田寛郎 200709
薔薇垣の炎えくづほれむばかりなる 太田寛郎 200709
薔薇あまた嗅ぎて深酒せし思ひ 太田寛郎 200709
薔薇の門くぐり香りを曳き帰る 藤井圀彦 200709
ばらの雨薔薇は重たき色をして 竹下昌子 200709
謂れあるピアノ楽屋に薔薇一枝 鈴木石花 風土 200709
ダイアナ妃とふ薔薇崩る華かに 山本喜朗 雨月 200709
襟足を剃らる鏡に薔薇真紅 山田夏子 雨月 200709
ジプシーの馬車街をゆく紅き薔薇 天田美保子 酸漿 200709
薔薇の門くぐりてよりの風匂ふ 小島みつ代 200709
写生子のかたまる赫き薔薇の前 小島みつ代 200709
夫癒えよ薔薇をもて壺あふれしむ 若槻妙子 200709
黄の薔薇の名はジーナ・ロロブリジータ 長崎桂子 あを 200709
白薔薇や祝の宴の銀の匙 山下佳子 200710
麻酔覚めこの世の薔薇のかく紅し 中尾杏子 200710
白ばかり誉められてをり庭の薔薇 三井孝子 六花 200710
薔薇抱きし主宰の涙見逃さで 菅谷弘子 雨月 200710
昨日の棘薔薇にあずけしばらの花 平きみえ 船団 200710
薔薇園の雀いろどき風匂ふ 荒井書子 馬醉木 200710
薔薇→ 5      

 

2021年6月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。