麦 秋 5   100句

麦の秋  麦秋

作品
作者
掲載誌
掲載年月
麦秋の真中を行くよお嫁さん 井上石動 あを 201506

 悼句

麦秋や青年の眼で旅立てり

吉田政江 201507
麦秋を新幹線が切り裂けり 吉村摂護 201508
麦秋や有線放送訃を告ぐる 上谷昌憲 201508
麦秋の夢見心地や観世音 田中佐知子 風土 201508
麦秋の午後の私時間かな 中嶋陽子 風土 201508
麦秋やわが満目の黄の故郷 大石喜美子 雨月 201508
麦秋や身になじみたる草木染 小林愛子 万象 201508
麦秋や次のバスまで一時間 内海良太 万象 201508
眼の乾くまで麦秋を見て帰る 内海良太 万象 201508
麦秋や嶺に向かひて仔牛鳴く 西本才子 万象 201508
麦秋や宇宙の果と思ひをり 本多俊子 201508
麦秋や少し固めの茹で卵 林晴雄 201508
麦秋や胸の鼓動はジェット音 鴨下昭 201509
麦秋の中の踏切ふいに鳴る 竹内タカミ 201509
麦秋てふ菖蒲の色は濃紫 中村月代 末黒野 201509
麦秋の沖過ぎりたるダンプカー 山本無蓋 201509
麦秋の旅には非ず忌に参ず 山本漾子 雨月 201509
麦秋の夕日野の果濁らせて 乗光雅子 雨月 201509
大琵琶を望み麦秋拡ごれり 手島伸子 雨月 201509
折しもの滋賀の麦秋堪能す 久保田雪枝 雨月 201509
麦秋の真中の簡易郵便局 岩岡中正 ホトトギス 201510
麦秋や父を励まし我もまた 高倉和子 201510
麦秋の中の県道ひた走る 久世孝雄 やぶれ傘 201510
東窓より光る麦秋豊か知る 東秋茄子 京鹿子 201510
麦秋や跳んで少女の束ね髪 片山煕子 京鹿子 201601
麦秋やひろびろ使ふ六畳間 戸栗末廣 201604
麦秋や讃岐平野を一と色に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201605
麦秋の中に危険な二人かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201605
麦秋や耳をくすぐる恋話 頓所友枝 201607
麦秋や赤子笑へばみな笑ひ 柴田佐知子 201607
原節子逝き麦秋の風の中 綿谷ただ志 馬醉木 201608
麦秋の遠き記憶となりにけり 松浦哲夫 末黒野 201608
麦秋や今も本読む金次郎 及川照子 末黒野 201608
麦秋のあふみに美しき観世音 今井妙子 雨月 201608
麦秋の湖は瑠璃なす真田の地 錫木妙子 馬醉木 201609
麦秋をひりひりトムヤムクンの昼 はしもと風里 201609
麦秋やホルンの響く国に入る 落合絹代 風土 201609
麦秋や蔵を支へて梁の古る 内藤静 風土 201609
麦秋は胸中にあり直せにけり 七田文子 201609
麦秋や対向車なき峠越え 斉藤マキ子 末黒野 201609
麦秋の小諸に刻む歩数計 斉藤マキ子 末黒野 201609
麦秋や球児の声の小学校 伊藤武文 末黒野 201609
雨上り麦秋の風すがすがし 宮地静雄 末黒野 201609
麦秋や折んでみたき空一枚 田中とし江 201609
麦秋の真中を横切る一輌車 吉村幸子 雨月 201609
麦秋のレンガの壁の茶房かな 升田ヤス子 六花 201609
麦秋や縁に湯呑の置かれあり 藤生不二男 六花 201609
麦秋やサイロの影に眠る牛 安斉久英 末黒野 201610
麦秋や今日の一日を若きまま 岡山敦子 京鹿子 201610
麦秋や小樽の海の青々と 赤堀洋子 万象 201701
麦秋の白布巻かれて床柱 中川句寿夫 ここのもん 201705
麦秋の印南平野夕ぐもり 山田六甲 六花 201706
麦秋や印南平野の大夕日 山田六甲 六花 201706
麦秋のさなか在所の凱旋門 大久保志遼 201708
縦笛や麦秋童子瞼とぢ 定梶じょう あを 201707
麦秋や昔のままの散歩道 柴山久子 風土 201708
麦秋を遠く機関車連結す 赤石梨花 風土 201708
麦秋や黒穂一節手折りたる 瀬川公馨 201708
麦秋やバルーン競技の始まれり 荒井和昭 201708
麦秋の縷々たる水にこだはれり 伊丹さち子 馬醉木 201708
麦秋や話の弾む下校生 大嶋洋子 春燈 201708
傾動の地なり麦秋弓なりに 浅井青二 雨月 201708
麦秋や近江一国晴れ渡り 大石喜美子 雨月 201708
麦秋の中を迷うて帰りけり 住田千代子 六花 201709
麦秋といふ一枚の色となる 本多俊子 201709
麦秋や国庁跡の礎石群 竹澤竹里 万象 201709
麦秋や真水のごとく空清く 松本三千夫 末黒野 201709
近江路を行くや麦秋また麦秋 大橋晄 雨月 201709
麦秋や棚田虚空へ展けをり 森清信子 末黒野 201710
人逝きて麦秋の野の遺さるる 岩岡中正 ホトトギス 201711
麦秋や島にすつくと塔の先 安斎久英 末黒野 201711
麦秋の山路踏みしめ登りけり 平沢恵子 春燈 201712
麦秋のつれなき空となりにけり 山田六甲 六花 201806
麦秋の距離を置きたる鷺孤高 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
麦秋や動かぬ塔の影まぶし 安立公彦 春燈 201807
麦秋や野良着のままに昼眠り 石田阿畏子 馬醉木 201807
麦秋や木簡の文字読めぬまま 山田暢子 風土 201808
麦秋や金座銀座のありし江戸 奥田茶々 風土 201808
麦秋や当主の守る長屋門 持田信子 春燈 201808
麦秋や暮れても青き海の空 佐久間由子 201808
麦秋や軒先に古る酒林 佐々木よし子 201808
麦秋の入日地球をひと色に 伊藤よし江 201808
麦秋の村遠くなる無縁墓 村田あを衣 京鹿子 201808
麦秋や毎朝しぼる山羊の乳 藤井啓子 ホトトギス 201809
麦秋や三三五五の下校の子 志方章子 六花 201809
麦秋を来て最果ての海の色 岩岡中正 ホトトギス 201810
麦秋や送り来し子とハイタッチ 中田みなみ 201811
麦秋や平らな魚に裏表 曽根富久恵 201811
麦秋や独り所帯の鍋小さき 田代貞香 201812
麦秋を女三人ツーリング 鶴濱節子 船団 201812
風の綾麦秋と空繋ぎゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
のぞみ一号麦秋の風ひろふ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201905
麦秋のきぎすに耳を澄ましけり 山田六甲 六花 201905
麦秋や村に一軒なんでも屋 橋添やよひ 風土 201906
麦秋の勝山うどん歯が立たず 山田六甲 六花 201906
麦秋や生まれ日印すモルト樽 大沢美智子 201907
麦秋や常念岳の尾根ゆるびたる コ井節子 馬醉木 201908
麦秋や遠ざかるもの多くして 七田文子 201908
麦秋や捨つるべき憂さ握りしめ 松本三千夫 末黒野 201908
麦秋やゴッホに似たるピアニスト 堀江久子 末黒野 201908
麦秋 →6

 

05/05/27 作成