暑 し      119句

暑し  暑き  暑く

作品
作者
掲載誌
掲載年月
記念館工事始まる日の暑し 黒川悦子 ホトトギス 199810
泣くといふ甘えなど無し夜も暑し 萩原記代 199901
草原の暑し涼しときりぎりす 阿部ひろし 酸漿 199909
伯父逝くや暑し暑しと蹠見せ 岡本高明 200008
ラーメンといふ字が暑し天満橋 山田六甲 六花 200009
若者の渦中に渋谷街暑し 大橋晄 雨月 200009
鯉は口大きく開けて池暑し 木内美保子 六花 200011
風暑し鯉に乗り上ぐ鯉の口 菅谷たけし 200101
学校は暑しいつもの灯り消し 盛良孝 200101
魚干してあけっぴろげの土間暑し 中原梓 海程 200106
茂の忌暑し菓子パン袋に下げ 佐藤喜孝 あを 200106
堂暑し身代り猿の紅絹の褪せ 志水芳秀 俳句通信 200108
館暑し誓子のメモに呼吸みる 岡田芳子 ぐろっけ 200109
蒸し暑し深夜放送みだれ髪 竹内芳子 あを 200109
駅暑し動く歩道を歩きけり 幡江美智子 百鳥 200109
泥田暑し水牛ほれぼれ姿見る 山田緑光 海程 200110
借用書借用願事務暑し 三村純也 ホトトギス 200112
河馬暑し大あくびして風を待ち 山田緑光 海程 200112
ただ暑し八月十五日の天地 安原葉 ホトトギス 200201
夜暑しピンクのパッポン路地の路地 MOE あを 200207
電送の文字のゆがみも夜の暑し 岡本まち子 馬醉木 200208
夫の忌や墓石も暑し水供ふ 堤陽子 遠嶺 200209
路地暑し役所まはりの世事かかへ 大木千鶴子 雲の峰 200209
暑し若し甲子園より来る電波 林翔 200210
夜暑しペン皿をペン溢れ出し 鹿野佳子 200211
旅暑し赤べこが首振つてゐる 長志げを 遠嶺 200212
白刃の夢なを暑し加茂河原 西岡残照 京鹿子 200212
ピラミッド玄室は空ただ暑し 長谷川きくの 築港 200301
新緑照り暑しと寄れば蜂の出づ 渡邉友七 あを 200307
何か居る動かぬ水面とは暑し 稲畑汀子 ホトトギス 200307
ジャズ暑し高架を走る電車また 野口伸二 帆船 200308
朝すでに暑し金魚の死に会へず 渡邉友七 あを 200309
蒸し暑し改札口の口論は 高田令子 200309
蒸し暑しタイルに藍と水色と 伊藤早苗 200309
暑し暑し鯉とても息荒げをり 平子公一 馬醉木 200408
櫓の音に遅れ波音夜も暑し 鷹羽狩行 200409
原爆描く丸木美術館出て暑し 鈴木石花 風土 200409
原色のバスの広告街暑し 田嶋洋子 春燈 200409
ジャコメッティ観て来し乳房暑し暑し 山元志津香 八千草 200409
水浴びの鴉の去りて園暑し 太田文萠 200411
卵塔のかたまりくづれ蝉暑し 中原吟子 雨月 200412
昨日より暑しと今日も夫の言ふ 高倉恵美子 200501
飯を食ふ事も億劫蒸暑し 直井たつろ 風土 200507
新宿暑しビルの固り西ふさぐ 堀内一郎 あを 200508
暑し暑し皮剥ぎ落すプラタナス 松崎鉄之介 200509
池暑し芥に少しある流れ 鈴木實 百鳥 200510
書きあぐむ葉書一枚むし暑し 田中藤穂 あを 200510
飼葉桶水桶厩むし暑し 岡崎桂子 対岸 200510
ポケットの中まで暑し線路際 土山栄 200510
もの言はぬ参謀本部跡暑し 坊城俊樹 ホトトギス 200511
踏切が遠くで鳴つて夕暑し 木内憲子 200601
銀座通り二人は暑しひとりゆく 堀内一郎 あを 200607
巷にたむろす南昌人に夜も暑し 松崎鉄之介 200609
戦勝とう明治の暑し三笠艦 藤原りくを 八千草 200702
チョー暑し勝手に死ぬことを禁ず 中原幸子 以上、西陣から 200705
仰向けの羊の毛刈る小屋暑し 望月洋子 200707
うろ覚えの第二体操雲暑し 能村研三 200708
場違ひの婦人専用車暑し 高久清美 200708
街暑し交差点ゆく盲導犬 早崎泰江 あをかき 200710
ふたたびの地震に目覚めて夜の暑し 谷榮子 雨月 200710
さう言はれても暑し暑がり屋には 岩垣子鹿 ホトトギス 200711
「鳥の巣」に二百の国の人暑し 鈴木照子 200810
東京暑し峡の送り火目を離れず 瀧春一 深林 200901
アイネクライネ・ナハトムジーク暑し 中島玉五郎 200907
直進を暑しと思ふ直情も 柴田佐知子 200910
蒸し暑しまはりはビルの舟溜 入河大 万象 200910
自販機にふるさとの水街暑し 芝宮須磨子 あを 201008
よだれ掛真つ赤が暑し六地蔵 高嶋文清 春燈 201010
国衙暑し雄ごころ立ちに十八柱 遠藤真砂明 201010
ジャンボ機と力比べの子等暑し 堤節子 ぐろっけ 201012
谷間ひに平家の館蝉暑し 大西八洲雄 万象 201211
役僧の暑し暑しとつぶやけり 福島せいぎ 万象 201211
韓国に勢いありて万博暑し 松本アイ ぐろっけ 201212
ゼミ暑しあくび前線停滞す 布川孝子 京鹿子 201212
教会の隣にモスク町暑し 卯辰美苗 万象 201306
Sサイズてふ大盛りのランチ暑し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
添削急く返信封筒暑し 布川直幸 201307
午後のバス日影変りて席暑し 森岡陽子 かさね 201310
基衡の括り枕や蔵暑し 森屋慶基 風土 201310
風暑し半袖半パン老夫婦 水野弘 ぐろっけ 201310
地下を出て乗り換へ駅の街暑し 吉田きみえ 末黒野 201310
見張り窓と抜け穴暑し陣屋跡 田中浅子 201311
暑し暑し他に言葉の無きがごと 小倉正穂 末黒野 201311
芳香の電気蚊取器闇暑し 瀧春一 花石榴 201312
駅暑し子規庵示す案内図 田中藤穂 あを 201409
参道暑し馬肉問屋の錆看板 半田稜 ろんど 201409
牛の背を撫づれば暑し善光寺 樋口みのぶ 201501
一宮二宮三宮暑し 早瀬淳一 船団 201502
湯の花の匂ひただよふ駅暑し 原田達夫 箱火鉢 201511
湾暑し艦と沈みし兵の黙 阿久津勝利 万象 201512
幽霊に久しく逢わず夜も暑し 池田澄子 船団 201512
父と子の機嫌よき声夕暑し 長崎桂子 あを 201608
焼打の歴史秘めたる寺暑し 村上悦子 雨月 201610
犯罪に巻き込まれたる池暑し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
暑し暑しと身振り手振りの石工たち 安齋正蔵 やぶれ傘 201709
梅雨暑し回り舞台の裏表 田村すゝむ 風土 201710
八百萬の神も暑しよさざれ石 延川五十昭 六花 201710
追ひかけて追ひかけられて鳩暑し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
集合写真の「おててはおひざです」暑し はしもと風里 201809
メイドカフェ暑しをとこが猫の耳つけて 篠田純子 あを 201809
この猛暑しのぐ故郷の冷し汁 川村欽子 雨月 201810
暑きこと言はぬと決めて尚暑し 外山節子 末黒野 201810
接近の火星くっきり闇暑し 田中藤穂 あを 201810
放たれし子等の声高尚暑し 植木やす子 201904
番線が変り新大阪暑し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
露西亞名の長くて暑し文學座 佐藤喜孝 あを 201910
顏暑し耳目そのほか貼りつけて 佐藤喜孝 あを 201910
曼珠沙華消滅部落の畦暑し 池元道雄 馬醉木 201911
暑し暑し机辺いつまで片付かず 後藤比奈夫 ホトトギス 202001
尼僧バー牧師バー在るビル暑し 篠田純子 あを 202009
母の忌は明日と思ひぬ今日も暑し 今井千鶴子 ホトトギス 202012
溜息のやうな鴉の声暑し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202108
鈍色の空蒸し暑し人は生き 伊藤希眸 京鹿子 202109
ただ暑し寝ても起きても座つても 藤波松山 京鹿子 202111
姫塚を探し土竜の塚暑し 篠田純子 あを 202208
速報の電子文字追ふ街暑し 千田百里 202209
申の刻山懐の鐘暑し 伊吹之博 京鹿子 202210
眼帯も眼鏡も乗せて耳暑し 大山夏子 202212
暑し暑し晩年の計なり難し 北村梢 京鹿子 202212

 

2023年7月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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