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一列に草の実抱へ蟻急ぐ   高島茂   民主文学

  羽蟻

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蟻塚の山の鎮もる古戦場 鈴鹿仁 京鹿子 201508
足跡を残さず蟻の走りけり 三上程子 春燈 201508
先導にひたすら付きて蟻の列 西村しげ子 雨月 201508
蟻二匹ものを担いで急ぎけり 内海良太 万象 201508
山の蟻一遍像の足を這ふ 久松和子 万象 201508
現世はほんに栖みにくかりと蟻 佐藤きょうこ あを 201508
蟻同士何を話したのでせうか 八木健 八木健俳句集 201509
戦没の勇士の墓に蟻の這ふ 久保東海司 201509
蟻の頭の西日まみれの暗さかな 熊川暁子 201509
蟻落ちて油のやうな水の面 広渡敬雄 201509
長々と伝言ゲーム蟻の列 内山照久 201509
留守の間に厨を過ぎる蟻の列 荒井貞子 末黒野 201509
数匹は逆らひゐたり蟻の列 縣昌司 万象 201509
春の蟻午後の日差しの乾きゐる 大崎紀夫 虻の昼 201510
蟻の列まがるところを崩さざる 大崎紀夫 虻の昼 201510
蟻の列礎石大きく迂回せり 苑実耶 201510
蟻やたら急ぎて風の強き日に 小山陽子 やぶれ傘 201510
鍬うてばわんさと蟻のわきいでる 久世孝雄 やぶれ傘 201510
蟻の塔傾ぐ地球儀の中は空 千田百里 201510
蟻の引く翅の白きが光りをり 竹内タカミ 201510
斥候の蟻が来てゐる金平糖 高橋将夫 201510
山の蟻町の蟻程働かず 久保東海司 201510
利かん気のひとつが乱す蟻の列 江澤弘子 201510
駒送り見てゐるやうな蟻の穴 相良牧人 201510
大仏の機嫌うかがふ蟻の列 吉澤恵美子 春燈 201510
秋の暮どこまで続く蟻の列 上原重一 201511
三の丸二の丸本丸蟻の道 中嶋陽子 風土 201511
群れはづれ蟻のそそくさ歩きかな 赤松赤彦 六花 201511
一列の蟻にも序列あるごとし 小林和世 201511
蟻の道払ひて座るベンチかな 松村光典 やぶれ傘 201512
梨の汁蟻の溺るるほどであり 今井春生 201512
懸け橋の天辺にゐる蟻の列 佐藤恭子 あを 201511
黙々と蟻の列なす原爆忌 大橋弘子 末黒野 201512
蟻の列守一の絵より抜けて来る 杉本薬王子 風土 201512
蟻消えて跡形もなき骸かな 山本素竹 ホトトギス 201601
すねの毛をかきわけてゆく庭の蟻 山本素竹 ホトトギス 201601
子供等としやがんで蟻の国に居る 荒田義枝 京鹿子 201601
憂愁や幹のねじれに沿うて蟻 池田澄子 船団 201602
蟻出でて東京タワー攀ぢ始む 布川直幸 201603
落ち通草蟻を満たして流れゆく 升田ヤス子 玫瑰 201604
蟻のみち武蔵相模を一跨ぎ 中根美保 風土 201607
強き地震いつかまた来る蟻の列 富永小谷 馬醉木 201608
禅門へ続く道なり蟻の列 林紀夫 春燈 201608
吹かれ落つ絵馬ぱらぱらに山の蟻 本間羊山 風土 201608
庭石を遠回りする蟻の列 大日向幸江 あを 201608
蟻の列またいで過ぎし猫二匹 佐藤恭子 あを 201608
配当もお零れもなき蟻の列 鈴鹿呂仁 京鹿子 201608
ウエストを締めて蟻ども稼ぎ出す 丸井巴水 京鹿子 201608
句会場へ蟻の行列一跨ぎ 大石よし子 雨月 201608
蟻集る媚薬を求め来るごとし 広渡敬雄 201608
蟻走る古墳の遠き夢はこび 熊川暁子 201608
何背負つて石段登る蟻の列 相良牧人 201609
蟻んこと一緒に周る観覧車 笹村恵美子 201609
迷走の黒蟻一つ夜の厨 川田好子 風土 201609
みな貌を正面に向け蟻の列 戸栗末廣 201609
目を凝らし蟻の進入口探す あさなが捷 201609
機関庫へ夢の連結蟻の列 鈴鹿呂仁 京鹿子 201609
千年の幹ゆく蟻や震度四 高野春子 京鹿子 201609
雨上りの日差しの届く蟻の国 庄司久美子 201609
朝顏に蟻あくびして背伸びして 佐藤喜孝 あを 201609
テーブルの上を目指すや蟻の列 大日向幸江 あを 201609
曇天を背負ひて蟻は蟻穴へ きくちきみえ やぶれ傘 201609
大蟻と小蟻の列の交差して 丑久保勲 やぶれ傘 201609
子らの居ぬジャングルジムを蟻のぼる 井上静子 201610
わが秘密手を這ふ蟻が嗅ぎつける 有松洋子 201610
蟻湧くやここを曲がれば宗祇の碑 内藤静 風土 201610
大移動蟻が卵を運び出す 奥田茶々 風土 201610
潰し得ず厨をはしる夜の蟻 小林愛子 万象 201610
花嫁のブーケに小蟻の潜みゐし 岩崎眉乃 万象 201610
同僚に脆さのありて蟻の列 齋藤厚子 201610
雨粒の一つに蟻の捕はるる 山田佳乃 ホトトギス 201611
出自問ふ夜出る蟻と昼の蟻 中山皓雪 201611
疊のうへをあるいてきたり夜の蟻 佐藤喜孝 あを 201611
鎮魂の祈りにも似て蟻の列 大内マキ子 万象 201611
蟻塚の連なる土塀いなつるび 竹内悦子 201612
行く先の何処かもしらず蟻の列 井上菜摘手 京鹿子 201612
蟻踏んでしまひし赤きスニーカー 高野春子 京鹿子 201612
切株の朽ちて蟻の巣太りけり 森山暁湖 万象 201612
蟻のよな象がわさわさ月の夢 たかはしすなお 201612
でんでんむしも蟻も動いてゐなくなり 佐藤喜孝 あを 201610
子らの吐く西瓜の種に蟻の列 秋川泉 あを 201610
何か言ひ交して蟻のすれ違ふ 久保東海司 201701
鳥の餌の果実に沈み冬の蟻 高橋道子 201703
合言葉かけ合つてゐる蟻二匹 あさなが捷 201705
あるはずと動物園の蟻の道 佐藤喜孝 あを 201705
槐安国の蟻も穴から出てきたり 高橋将夫 201706
ベランダの蟻も蜥蜴も穴を出づ 江島照美 201706
神宮の参道長し蟻小さし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
蟻出でてまづ透明な翅拾ふ 宇都宮敦子 201707
蟻穴を出て水の面をまぶしめり 齋藤厚子 201707
三月の蟻なればかく清らにて 飛高隆夫 万象 201707
能面の面差に蟻出て来る 竹下陶子 ホトトギス 201708
蟻穴にどの目ン玉も黒真珠 竹内悦子 201708
蟻の曳く生きものに目のありにけり 中村嵐楓子 春燈 201708
蟻殺す優しいママの顔をして 火箱ひろ 201709
雨の来ててんやわんやの蟻の列 内海保子 万象 201709
法面を斜めに登る蟻の列 安藤久美子 やぶれ傘 201708
プレミアムフライデーとか蟻の列 高木嘉久 201709
蟻の列「休め」の指令ありやなし 栗原公子 201709
下校児の屈む小径や蟻の列 松橋輝子 末黒野 201709
カルシウム分を運ぶや蟻の列 齋藤厚子 201709
火蟻にも脅かさるる日本かな 大島寛治 雨月 201709
つぎつぎと同じ道行く蟻の列 枝みや子 やぶれ傘 201709
桁数のどんどんふゆる蟻の列 七種年男 201710
花底の探訪に蟻余念なし 高橋道子 201710
力塚蟻塚そして木遣塚 山口ひろよ 201710
オソソワカ地蔵の前を蟻の列 石田阿畏子 馬醉木 201710
ガリバーの足となりけり蟻つぶす 中谷富子 201710
イソップの知らぬ火蟻ときりぎりす 江草礼 春燈 201710
惑星衝突あるやも知れず蟻の列 栗原完爾 春燈 201710
火蟻かとじつと見つむる蟻ひとつ 大森道生 春燈 201710
黒鋼の蟻が膝まで来て迷ふ 丸井巴水 京鹿子 201710
錆古りし鉄路を蟻の駆けゆけり 中村千久 万象 201710
蟻の列しんがりの児の賜みをり 森清堯 末黒野 201710
山蟻の寄らば咬まむと頭振る 正谷民夫 末黒野 201710
蟻の列辿りたどりてこぼれ菓子 峰幸子 末黒野 201710
落ち蝉に蟻の群がる終戦忌 高橋将夫 201711
迷ひなく弥陀の手のひら蟻の道 藤田美耶子 201711
名園の静寂深めし蟻の道 橋本くに彦 ホトトギス 201711
割切れぬ数はどこまで蟻の列 北村梢 京鹿子 201801
次々に溺るる蟻を見てをりぬ 天谷翔子 201712
殿は唄ってしまう蟻の列 高田留美 船団 201802
さよならはゆっくり蟻は蟻のラブ 中原幸子 船団 201805
蟻穴を出るや飛行機雲真白 松井季湖 201806
こそばいぞ蟻はひ歩くつくづくし 南うみを 風土 201807
蟻が蟻引きて迷へり城の道 大橋松枝 201807
大蟻の身丈に余る獲物曳く 大内幸子 六花 201807
アスファルト継目選びて蟻の道 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
蟻の穴個人情報漏れやすし 高橋将夫 201808
累累と蟻の一列山寺へ 雨村敏子 201808
翅を曳く喪服の蟻の長き列 近藤喜子 201808
蟻の列時間かせぎに数へては 河前隆三 馬醉木 201808
蟻遊ぶだあれもゐない滑り台 福島茂 201808
古戦場ぬけ出て蟻の私語殖す 鈴鹿仁 京鹿子 201808
蟻穴をふさぐ二日の雨の昏 丸井巴水 京鹿子 201808
蟻一匹仏足石をくすぐりぬ 村田あを衣 京鹿子 201808
つまづけば交して蟻の道つづく 今井妙子 雨月 201808
畳這ふ蟻見つけたるゆふべかな 柴崎和男 やぶれ傘 201808
大蟻のめざす法門錆いろに 鈴鹿仁 京鹿子 201809
聖人の教へ慕ひて蟻急ぐ 鈴鹿仁 京鹿子 201809
目をそらす即座に蟻の道急ぐ 伊吹之博 京鹿子 201809
得意気に花びら運ぶ蟻穴へ 伊吹之博 京鹿子 201809
落蝉を伺ひにくる蟻もなし 山田六甲 六花 201809
山蟻の日なたに出でて惑ひをり 笹村政子 六花 201810
樹の蟻の暫し止まり別れをり 永田万年青 六花 201810
此処がなぜ曲つてゐたる蟻の列 藤生不二男 六花 201810
アンコールワットにでかき蟻の道 眞田忠雄 六花 201810
昼さがり縁側下に蟻地獄 篠崎志津子 六花 201810
との曇り蟻は二列に坂の道 篠崎志津子 六花 201810
蟻走る躓くことを恐れずに 木暮陶句郎 ホトトギス 201810
ずりずりと畳につぶす夜の蟻 南うみを 風土 201810
蟻に曳かるる蝉よ舌噛め呼吸を絶て 片桐てい女 春燈 201810
蟻に曳かるる蝉は骸となれずゐて 片桐てい女 春燈 201810
蟻の道丸太の下をくぐりけり 松橋利雄 春燈 201810
灼熱に蟻も速歩のアスファルト 七郎衛門吉保 あを 201810
午前九時蟻と肝胆相照らす 坪内稔典 船団 201811
蟻AとPは迅速雨上がる 坪内稔典 船団 201811
堕ちし蛾の翅震はせて蟻弾く 谷田明日香 風土 201811
職やめる決意ぐらりと夜の蟻 秋月祐一 船団 201812
蝉蟻の群の伸縮沼の上 森清堯 末黒野 201812
石けりの石の小さし山の蟻 菊池和子 京鹿子 201901
蟻嫌ひとは逸早く蟻見付け 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
一億年前とは蟻のことなりし 稲畑汀子 ホトトギス 201905
山蟻の畳を這うてゐる暮し 稲畑汀子 ホトトギス 201905
気にならぬ蟻の存在とて山家 稲畑汀子 ホトトギス 201905
蟻穴を出て人類は星を出る 高橋将夫 201906
浮城に縄張りの跡蟻の列 鈴鹿呂仁 京鹿子 201906
蟻の道利他円満の妙位かな 平野多聞 201908
蟻のぼる千早城址の標かな 西村操 雨月 201909
庭の蟻今や姿を現はさず 大橋晄 雨月 201909
朝八時高知の蟻のはや登城 大久保白村 ホトトギス 201909
大蟻や遊行の灼けし砂の上 山田六甲 六花 201909
蟻の引く翅に乗りゆく蟻のゐて 山田健太 風土 201909
蝶の羽曳くは祭か蟻の列 栗原公子 201909
美しき物に隠れて蟻の刺す 江島照美 発火点 201909
梅雨晴れ間列なす人の世蟻もまた 江口九星 201909
蟻の列追う子しゃがんで「どこ行くの」 大山夏子 201909
蟻の列声なき声の労働歌 丹治サチ子 馬醉木 201909
本堂に揃へし靴の中を蟻 西村操 雨月 201909
蟻を追ふ一少年の瞳の一途 井尻妙子 京鹿子 201909
黒飴がメッカの石めき蟻の列 中島秀夫 王水 201909
蟻走る遠きサイレン正午なり 定梶じょう あを 201910
露天湯に山蟻一つ吹き入るる 森なほ子 あを 201910
泣いてゐし子を黙らせて蟻の列 森なほ子 あを 201910
打水に蟻の行列出てきたり 中御門出 六花 201910
野良猫の喰ひ差しまでの蟻の道 藤井美晴 やぶれ傘 201910
さんざめく園児らの列蟻の列 下田奉枝 雨月 201910
俯きてただ黙々と蟻の列 西村しげ子 雨月 201910
尻光る利根の大蟻舳先這ふ 岡澤田鶴 201910
どこへ帰さむ着いて来しはぐれ蟻 高木嘉久 201910
松籟やあとかたもなき蟻の列 西川織子 馬醉木 201910
立話して居るやうな蟻と蟻 廣瀬雅男 やぶれ傘 201910
蟻巻と根気比べをしてゐたり 草柳忍 201910
打ち水にあわて散り散り蟻の列 延川笙子 六花 201910
点々と墨飛び散りし蟻の群れ 出利葉孝 201911
権太坂花の二区行く蟻の列 梅田武 末黒野 201911
命なきものの軽さを蟻が曳く 津野洋子 京鹿子 201911
雨上り忽ち蟻の働ける 佐藤花木 雨月 201911
さつきから考へてゐるらしき蟻 天谷翔子 201912
前ばかり向いてはをらず蟻の列 出牛進 201912
蟻→10

 

2021年8月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。