作品 |
作者 |
掲載誌 |
掲載年月 |
山蟻の梢より返しくる早さ |
稲畑汀子 |
ホトトギス |
199806 |
畳這ひゐしがいづこに蟻失せし |
稲畑汀子 |
ホトトギス |
199806 |
蟻穴を出づるやすでに退路なし |
岡本眸 |
朝 |
199807 |
蝉死すや忽ち蟻の餌食とな |
大橋敦子 |
雨月 |
199809 |
蟻にさへ影といふもの働かねば |
橋本春燈花 |
朝 |
199809 |
婚の荷に屍くはへし蟻の列 |
中原道夫 |
銀化 |
199810 |
児の瞳一途に辿る蟻の道 |
坂井市子 |
ぐろっけ |
199811 |
体調悪き蟻も居ろうに空の青 |
池田澄子 |
船団 |
199812 |
落蝉の蟻にも曳かれずそのまんま |
高木伸宜 |
船団 |
199812 |
山蟻の揺籃ほたるぶくろかな |
大島雄作 |
沖 |
199901 |
百合の花大きな蟻をこぼしけり |
川井政子 |
風土 |
199901 |
蟻の族カフカの日記辷り墜つ |
小堀寛 |
京鹿子 |
199901 |
働くを掟のごとく夜の蟻 |
鷹羽狩行 |
狩 |
199906 |
蟻の道直進迂回又迂回 |
稲畑汀子 |
ホトトギス |
199906 |
飛び出でて斑猫蟻を喰ひはじむ |
辻のぶ子 |
俳句通信 |
199906 |
限りなく割り算をして蟻歩む |
野中亮介 |
馬醉木 |
199907 |
浄心門くぐるや蟻も列をなし |
平子公一 |
馬醉木 |
199908 |
蟻走る存在感を満身に |
小林清之介 |
風土 |
199908 |
立ち止り一息入れて歩く蟻 |
小林清之介 |
風土 |
199908 |
蟻二つ顔つき合はせまた左右に |
小林清之介 |
風土 |
199908 |
蟻あまたのた打つ蚯蚓押さへつつ |
小林清之介 |
風土 |
199908 |
嗅ぎ嗅ぎて犬が一掻き蟻無惨 |
小林清之介 |
風土 |
199908 |
蟻二三またぎて猫の無関心 |
小林清之介 |
風土 |
199908 |
蟻指に怪物「人」は怖くなし |
小林清之介 |
風土 |
199908 |
雨雲のそこに来てみる蟻の列 |
浪花洋子 |
火星 |
199908 |
蟻の道日暮れに紛れゆきにけり |
山田弘子 |
円虹 |
199908 |
蟻の道チョークで途絶えさせてみる |
桑原敏枝 |
いろり |
199908 |
蟻走る香煙絶えず飯盛山 |
信崎和葉 |
六花 |
199908 |
落ちてゐる糖衣錠まで蟻が来る |
永野秀峰 |
ぐろっけ |
199908 |
はるかなる浄土へ蟻は何運ぶ |
長谷川登美 |
ぐろっけ |
199908 |
堂内の御佛仰ぐ我は蟻 |
長谷川登美 |
ぐろっけ |
199908 |
登城坂蟻も登つてをりにけり |
嶋田一歩 |
円虹 |
199909 |
K山の人ならず蟻たかりたる |
中原道夫 |
銀化 |
199909 |
山の蟻あるひは翔んでゐるつもり |
柴田いさを |
船団 |
199909 |
バスに蟻下車するあてのあるやなし |
武田正子 |
ぐろっけ |
199909 |
ひびの入る仁王に蟻の這ひ上る |
大井邦子 |
ぐろっけ |
199909 |
手造りの木椅子をめぐり蟻の道 |
水原春郎 |
馬醉木 |
199910 |
行進に楽もあるべし蟻の列 |
千代田葛彦 |
馬醉木 |
199910 |
蟻も来て親しむ灯火親しめば |
鷹羽狩行 |
狩 |
199910 |
大仏殿出でて眩しき蟻の道 |
玉川悠 |
遠嶺 |
199910 |
蟻の列みてゐる怠け心かな |
三橋泥太 |
遠嶺 |
199910 |
拾ふ気の捨る気もない柱の蟻 |
丸山佳子 |
京鹿子 |
199910 |
隣からつづいてゐたり蟻の列 |
木下野生 |
槐 |
199911 |
蟻が蟻引き込む少彦名神に |
丸山佳子 |
京鹿子 |
199911 |
生きながら蟻の掃かれる世紀末 |
竹貫示虹 |
京鹿子 |
199911 |
一匹の蟻踏み蟻の列踏まず |
貝森光大 |
六花 |
199911 |
虻去りて蟻のこりたる牡丹かな |
立石萌木 |
雨月 |
199911 |
大幹の蔭から蔭へ蟻の列 |
山田禮手 |
遠嶺 |
199911 |
穴出でし蟻あたらしき艶走る |
能村登四郎 |
芒種 |
199911 |
掌に宇宙も掴み蟻も掴む |
能村登四郎 |
芒種 |
199911 |
女子大へこっそり通う蟻のA君 |
小枝恵美子 |
ポケット |
199911 |
何事ぞ蟻の門渡り露台まで |
松原到 |
ぐろっけ |
199911 |
地の蟻の急かれてありぬ芋嵐 |
中根美保 |
風土 |
199912 |
聞いてみる蟻に関所の通り方 |
矢野千佳子 |
京鹿子 |
199912 |
冬の蟻卵を移し替へゐたり |
山田六甲 |
六花 |
199912 |
閉じこめる残らず全部蟻までも |
尾上有紀子 |
船団 |
199912 |
先頭は東條英機蟻の列 |
安達しげを |
船団 |
199912 |
秋の蟻上ル下ルの京にして |
梅田津 |
銀化 |
200001 |
斎場の坂道大蟻すべり落ちてくる |
河西志帆 |
京鹿子 |
200001 |
山の湯の三和土に冬の蟻遊ぶ |
大西正栄 |
雨月 |
200002 |
蟻の曳くアオスジのはね奪いたり |
星野早苗 |
空のさえずる |
200002 |
閉じこめるあるもの全部蟻までも |
尾上有紀子 |
わがまま |
200002 |
錫杖の過ぎたるあとの蟻の道 |
立石萌木 |
雨月 |
200003 |
子の劇に笑ひころげし蟻の日 |
山村すみ |
俳句通信 |
200004 |
潦避け蟻の道踏んでゐし |
稲畑汀子 |
ホトトギス |
200005 |
少々難あるも蟻の餌となりぬ |
中原道夫 |
銀化 |
200007 |
蟻の道どこまでつづく見てゐたり |
保坂さよ |
いろり |
200007 |
蟻穴を出て働けり争へり |
遠藤若狭男 |
狩 |
200008 |
南無大師遍照金剛蟻走る |
神蔵器 |
風土 |
200008 |
ひたすらに蟻の列行く紫禁城 |
岡田房子 |
酸漿 |
200008 |
古戦場ぬけ出て蟻の私語殖す |
鈴風仁 |
京鹿子 |
200008 |
乳鉢はいま山蟻を音にせる |
中原道夫 |
銀化 |
200008 |
蟻の列故山を曳いてをりにけり |
森谷彰 |
銀化 |
200008 |
過労死が頭を占めてをり蟻の列 |
塩路隆子 |
精鋭選集 |
200008 |
薫風や児は一匹の蟻を拉致 |
塩路隆子 |
精鋭選集 |
200008 |
蟻の列見慣れし欅伐られけり |
袴田信子 |
遠嶺 |
200009 |
蟻に天国あらずして地獄あり |
粟津松彩子 |
ホトトギス |
200009 |
蟻の上を蝶とぶつよき日差かな |
山西雅子 |
槐 |
200009 |
箒目をわが道として神の蟻 |
丸山佳子 |
京鹿子 |
200009 |
山蟻に山は見えない投票日 |
岩崎法水 |
京鹿子 |
200009 |
ひたすらに砂漠を蟻が影運ぶ |
水内慶太 |
銀化 |
200009 |
蟻の穴塞ぎてみても恋しかり |
内田美紗 |
船団 |
200009 |
舗装路に出てよろめきし蟻のゐて |
保坂さよ |
いろり |
200009 |
たはやすく畳に掃かれ秋の蟻 |
鷹羽狩行 |
狩 |
200010 |
石疊蟻の迷路のなかりけり |
丸山冬鳳 |
京鹿子 |
200010 |
本連寺蟻ふみそうに歩きけり |
中原幸子 |
遠くの山 |
200010 |
生も死も金がうごきぬ蟻の列 |
大場佳子 |
銀化 |
200010 |
蟻の列働くことの意の勁し |
保坂加津夫 |
いろり |
200010 |
吾輩は犬であります蟻の道 |
近藤憙治 |
船団 |
200010 |
蟻は餌を吾は炎天に影を曳く |
林翔 |
沖 |
200010 |
生命あればこそ悲し掌に這ふ蟻 |
阿部寒林 |
夢 |
200010 |
砂の底地獄に落ちし蟻見捨てる |
阿部寒林 |
夢 |
200010 |
蟻闘ふ相手はやはり蟻なりぬ |
鶴目鯛遊子 |
六花 |
200010 |
出会いては何か耳打ち蟻の列 |
石神芳枝 |
ぐろっけ |
200010 |
蟻一行元をたどれば庭一周 |
山口康子 |
ぐろっけ |
200010 |
立ち止まり頷いて蟻引き返す |
山崎辰見 |
ぐろっけ |
200010 |
氷菓子の雫に蟻の打たれけり |
大東由美子 |
火星 |
200011 |
蓬莱を歩いてをれば蟻の塚 |
城尾たか子 |
火星 |
200011 |
日暦に生きて知りたき蟻の声 |
禰寝瓶史 |
京鹿子 |
200011 |
鉛筆に蟻を上らせ夏期講座 |
佐藤博美 |
狩 |
200012 |
蟻 2→ |
2021年8月7日 作成
「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。
「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。
注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。
ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。