8       228句

一列に草の実抱へ蟻急ぐ   高島茂   民主文学

  羽蟻

作品
作者
掲載誌
掲載年月
地獄なす奈落を覗きゐる小蟻 竹下陶子 ホトトギス 201104
山蟻の膝のぼりくる速さかな 笹村政子 初鼓 201105
濡縁の木目深かり蟻の列 山田六甲 六花 201105
菓子くづを蟻にこぼしてやりにけり 山田六甲 六花 201105
蟻見つむわが眷族に富むものなし 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
壊れたる原子炉人は蟻のごと 中山純子 万象 201107
蟻出でて右往左往や水垢離場 神田美穂子 万象 201107
蟻小さし妻に隠れてやる砂糖 山田六甲 六花 201107
紐をひくごとく消えけり蟻の列 山田六甲 六花 201107
膨らんでへこんで蟻の流れけり 山田六甲 六花 201107
蟻のゐし牡丹くづれてしまひけり 西畑敦子 火星 201107
蟻が蟻引摺って行く昼下り 赤座典子 あを 201107
蟻屍蟻引き渡る蟻の橋 森理和 あを 201107
難問の次から次へ蟻走る 矢口笑子 春燈 201108
燦々と蟻の隊列砂糖壷 中山純子 万象 201108
木洩れ日を縫ひ取るやうに蟻走る 石田きよし 201108
整数の無限に増ゆる蟻の列 来海雅子 201108
蟻の国出口入口がやがやす 戸栗末廣 火星 201108
紅ひくも蟻をひねるも指の先 高橋将夫 201108
蟻走る方を高野と思ふかな 本多俊子 201108
懸命といふ言葉あり蟻の列 古田考鵬 雨月 201108
よちよちの踏んでしまひし蟻の列 太田昌子 馬醉木 201109
蟻の列日照雨の中を輝きて 見田英子 春燈 201109
山蟻の鋼のごとし座禅石 柴田佐知子 201109
走り根を越え走り根へ蟻の列 松田明子 201109
先頭もしんがりも見ず蟻の列 宇都宮敦子 201109
大地のみ見つめて進む蟻の列 宇都宮敦子 201109
蟻の列二列になれば楽しかろ 佐野ときは 201109
蟻の道紆余曲折のありにけり 高橋将夫 201109
蟻の列みんな葬儀に行くやうな 瀬川公馨 201109
一匹の蟻が行方を決めかねし 熊川暁子 201109
蟻の列その最後尾よりわたし 近藤公子 201109
蟻付きし果実みやげに貰いけり 中田寿子 ぐろっけ 201109
一匹の蟻乱したる舞の足 改正節夫 ぐろっけ 201109
朝刊をとりに出て蟻おどろかす 竹内弘子 あを 201109
堂々とよぎる片羽蟻のもの 橋本くに彦 ホトトギス 201110
欲張りて獲物入らぬ蟻の穴 橋本くに彦 ホトトギス 201110
木洩れ日の蟻の門渡り一里塚 堺昌子 末黒野 201110
鼻歌の散歩の蟻もをりぬべし 甕秀麿 201110
珈排とざくろの花と蟻二匹 坪内稔典 船団 201110
蟻の列幹線道路かもしれぬ 田代貞枝 201110
蟻浴びの鴉つやある梅雨晴間 青木朋子 201110
蟻穴に大きすぎたる獲物かな 犬塚芳子 201110
露座仏の陰を出でざり蟻の列 浜口高子 火星 201110
山枇杷の黙契に蟻辿りつく 松川悠乃 ろんど 201110
父さんも年寄つてくる蟻が十 小堀寛 京鹿子 201110
列の中にとまどひ見する蟻のゐて 出口賀律子 雨月 201110
整然といま出陣の蟻の列 柴田志津子 201111
寄る蟻にぬると角出しかたつむり 淺場英彦 万象 201111
蟻の列ノーベル賞の碑の下へ 松原悦子 万象 201111
米粒の餌を曳く蟻を見つめをり 仁平則子 201111
サンダルの足に這ひ来る蟻つぶす 仁平則子 201111
笹舟を流す大蟻ひとつ乗せ 柳生千枝子 火星 201111
山蟻や人は地下都市這ひ下る 古井公代 ぐろっけ 201111
蝉を食ひ尽くす蟻翅が残つた ことり 六花 201111
お洗濯日和蟻さんどちらまで 梶浦玲良子 六花 201111
神殿の白蟻の害禰宜歎く 植村よし子 雨月 201111
凌霄の空中樓閣蟻のぼる 佐藤喜孝 あを 201110
大蟻と小蟻とつひにかかはらず 竹内弘子 あを 201110
木漏れ日を縫ひ取るやうに蟻走る 石田きよし 201201
行軍の蟻はひたすら行軍す 加舎廣子 京鹿子 201201
稲妻や働かぬ蟻元気なり 川南隆 ろんど 201202
蟻穴を出づれば神の英知かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
隊列に戻る長考を終へし蟻 伊藤白潮 201204
雄鶏の仁王立ちする蟻の道 吉田葎 201204
遠回りしたるまま蟻後続す 細野恵久 ぐろっけ 201206
標柱の文字くろぐろと蟻穴を出づ 安田とし子 ぐろっけ 201206
運不運神の召すまま蟻の列 川崎利子 201207
太陽に星重ね合ひ蟻の列 能村研三 201207
未来図は埋立ての地に蟻走る 宮内とし子 201207
をのが道泣き濡れてゆく蟻ひとり 竹貫示虹 京鹿子 201207
外国語とび交ふなかの蟻の道 吉弘恭子 あを 201207
蟻穴を出でガリバーの靴に遭ふ 浅岡麻實 末黒野 201207
大鋸屑おがくづのこぼれてゐたる蟻の道 竹内悦子 201208
蟻のみち欅大樹をのぼりゆく 工藤ミネ子 風土 201208
暗闇に働きゐたり蟻の列 山田六甲 六花 201208
石庭や蟻の時間の過ぐるのみ 田丸千種 ホトトギス 201209
公園の出入りせわしき蟻の穴 古川千鶴 かさね 201209
蟻の列一人住まひの身となれり 坂上じゅん かさね 201209
逢ひ逢はぬ事も運命(さだめ)や蟻の道 瀬川公馨 201209
パソコンの文字の羅列を渉る蟻 卯木尭子 春燈 201209
山蟻のまつくろにして野武士めく 菅谷たけし 201209
草引くやこまかき蟻の湧き出づる 島野ひさ 万象 201209
蟻塚に金環食の影揺るる 森岡恵子 万象 201209
山蟻のみちの曲がりし栗の花 上辻蒼人 風土 201209
神妙に蟻列をなし来迎会 北崎展江 くりから 201209
蟻走る地盤沈下の造成地 荒木稔 ぐろっけ 201209
蟻の列離れ一匹息を抜く 長崎桂子 あを 201209
蟻の列冗語とびかふ日のなかに 吉弘恭子 あを 201209
山車の如蝉曳かれゆく蟻の道 小池清司 かさね 201210
蟻が引くパンくづ蟻を隠しをり 苑実耶 201210
渋滞の起こることなき蟻の道 久保東海司 201210
蟻の巣に薬を撒きてナチスめく 古井公代 ぐろっけ 201210
蟻の穴賑つてをり静かなり 林昭太郎 あまねく 201210
貌みがく小石の日陰大黒蟻 工藤ミネ子 風土 201210
丁寧語交してをりぬ蟻の列 相良牧人 201210
蟻の列とがる芭蕉の墓のぼる 江見巌 六花 201210
山蟻のてんでに走り祭くる 城孝子 火星 201210
一匹の蟻の行方や楸邨忌 涼野海音 火星 201210
雨くるか蟻の小走る菱筵 大坪景章 万象 201210
打水の蟻流れつく夫の下駄 山尾玉藻 火星 201209
雨兆す蟻の動きのただならず 木村茂登子 あを 201210
庭草の勢ふ間(あはひ)蟻の塔 中山良子 末黒野 201211
山蟻が這ふ読みさしの方丈記 藤井美晴 やぶれ傘 201211
蟻急ぐさうかお前も忘れもの 石田きよし 201111
生真面目に礼して急ぐ蟻の群 向江醇子 ぐろっけ 201211
幔幕の公民館へ蟻の列 米澤光子 火星 201211
ひたすらに忙しさうに蟻の足 山下美典 ホトトギス 201212
混じりあふ往きと帰りの蟻の列 丑久保勲 やぶれ傘 201212
餌を担ぐ蟻に手ぶらの蟻混じる 佐津のぼる 六花 201212
蟻つぶす机上たしかに濡れにけり 戸田和子 199509
啓蟄や先づワーカーの蟻に会ふ 三川美代子 201305
一匹の蟻に翻弄されし家 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
列作る蟻に都会といふ修羅場 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
大いなる洞に蟻這ふ桜かな 大坪景章 万象 201306
石山の石の白きに蟻出づる 塩見英子 雨月 201306
蟻の列つなぐ被爆の幹のひび 江見悦子 朴の青空 201307
棟梁のゐるらし蟻の穴普請 松岡和子 201307
列離れよそ見の蟻の好奇心 西郷慶子 201307
静かなる蟻の列へと殺意湧く 布川直幸 201307
国宝の山門よぎる蟻の道 上原重一 201307
杉菜取る手先往き来の蟻一匹 後藤克彦 かさね 201307
タンポポの穂絮の下に蟻の群 菊地崇之 かさね 201307
蟻ひとつ小橋を共に渡りけり 井上浩一郎 ホトトギス 201310
蟻の列道草するも善しとして 山田佳子 201310
蟻動く点と線とがあるばかり 川南隆 ろんど 201310
パン屑の宅配便や蟻の穴 鈴木直枝 ろんど 201310
夏富士に群がる人の蟻の如 長島清山 かさね 201310
享保の飢饉塚より蟻の列 宮井知英 201310
わんわんと羽蟻とび出し日を汚す 中田みなみ 201310
蟻一匹虫の大羽を運びけり 田中清秀 かさね 201311
山蟻に荒し靴あと轍あと 小林成子 火星 201309
山蟻や戒名のなき墓所 奥田順子 火星 201309
よきことに逢ふかも蟻の列辿り 定梶じょう あを 201310
一つづつ影もち歩く蟻の列 中野京子 201311
蟻の列今日も続きて何思ふ 犬塚芳子 201311
蟻の列我も伝言されてをり 高田令子 201311
蟻さんを犬鼻息ではげますよ 山田六甲 六花 201309
蟻の列すれ違ふ度身を寄する 三浦澄江 ぐろっけ 201311
日盛りの塀を極めし蟻の列 松川悠乃 ろんど 201311
紙にのせ蟻と遊びし怠惰かな 村田岳洋 ろんど 201311
わらわらと蟻逃散の勝手口 中原敏雄 雨月 201311
影を曳き山内へ入る蟻の列 松田明子 201312
蟻穴に通用口と非常口 田中貞雄 ろんど 201312
蟻の穴ふえつづけたる十五日 吉弘恭子 あを 201311
蟻出づる地上に慶事あるごとく 生田恵美子 風土 201401
世の中の棘に戸惑ふ蟻通し 有本南陵 ろんど 201402
川ほとり羽蟻飛び交ふ先陣碑 難波篤直 201404
凌霄の昏きへ蟻のとぎれ無し 山本耀子 絵襖 201404
蟻穴を出て玄室の広すぎる 山本耀子 絵襖 201404
蟻穴を出でたる行方坐禅堂 田村愛子 万象 201404
露坐仏の指登りつめ蟻の列 斉藤マキ子 末黒野 201404
神の凍て浴びて眠れる蟻地 竹下陶子 ホトトギス 201405
進軍か撤退か蟻の道太し 布川直幸 210405
子も母も這うやうにして蟻の穴 斉藤裕子 あを 201405
ふと殺意ぐりぐり蟻の列にじる 布川直幸 201406
蟻の列ひゃくさいじへと杖つきて 篠田純子 あを 201406
山蟻のはしる早さの別れかな 中山純子 万象 201406
蟻出でて大き槌音ふりかぶる 小林愛子 万象 201406
黒塀や一隅蟻の住むところ 高橋あさの 201407
大小の闇深かりし蟻の穴 佐藤佐津 201408
蟻の道掛け声もせで餌を運ぶ 河崎國代 春燈 201408
蟻の穴本家分家のあるらしき 岡真紗子 201408
列長き蟻一匹がよそ見せる 定梶じょう あを 201408
木漏れ日や仏足石を歩く蟻 瀬島洒望 やぶれ傘 201408
裏参道「下に下に」と蟻の列 横田晶子 風土 201408
何ものも触れるべからず蟻の道 常田創 201408
鳩は蟻を食べないのねと言ふ妻よ 飛高隆夫 万象 201408
蟻穴を出でて尻尾に定住す 吉弘恭子 あを 201408
蟻走りだんご虫出で挟虫 吉成美代子 あを 201408
蟻吐きて吸うて大地の忙しき 松嶋一洋 201408
昆虫の葬送担ふ蟻の列 中本古信 201408
働く蟻日傘に入りてなほ早し 半田稜 ろんど 201408
長城の旅や見渡せば蟻の列 荻龍雲 201409
石畳見えぬ目印蟻の列 伊吹之博 京鹿子 201409
蟻一匹まぎれこんだる仮住ひ 門伝史会 風土 201409
蟻の列師団街道ふらふらと 秋岡美津子 201409
蟻の列ホースの水をもて散らす だいじみどり 201409
をさな児は蟻も友だち話しをり 栗原公子 201409
鐘撞けば柱を墜つる大き蟻 荒木甫 201409
蟻の脚鋼の如く地を削り 中村弘 末黒野 201409
蟻渡る案内板の地図の橋 阿久津勝利 万象 201409
道程は知らず厭はず蟻の列 寺田すず江 201409
曳いてゆく蟻には大きすぎる羽 野上杳 201409
紅をさし蟻塚つぶし買物に 小林愛子 万象 201409
一心や蟻の門渡り神がかり 庄司久美子 201409
吾が足を迂回して行く蟻の列 小西和子 201409
草むらの大小の蟻備へをり 長崎桂子 あを 201410
群の蟻みな西方へ急ぎけり 青木朋子 201410
人間の鎖に与す蟻の列 相良牧人 201410
蟻走る走らねば世の終るらし 熊川暁子 201410
蟻のぼる大鵬寄進の土俵かな 山田春生 万象 201410
蟻といふ元気なものを見てゐたる 後藤立夫 ホトトギス 201410
気忙しく寺苑をはしる蟻の群 福本すみ子 201410
かなぶんの死に弔ひの蟻の列 和田政子 201410
屍とて影生み棄つる蟻の列 柳本渓光 ろんど 201410
干梅の茣蓙一とめぐり蟻の列 大坪景章 万象 201410
くづしてもくづれても又蟻の列 野畑さゆり 201410
角砂糖ひとつに動く蟻の山 佐用圭子 201411
先頭の惑ひに倣ひ蟻の列 上野進 春燈 201411
雨上がり蟻積む土の新しや 岩上行雄 末黒野 201411
蟻の列厨のペットボトルまで 丑久保勲 やぶれ傘 201411
蟻の屍を曳き行く蟻の向かうは巣 古川忠利 ろんど 201411
有り難く翅を賜り蟻の舞う 古川忠利 ろんど 201411
払ふまじ白紙に迷ふ蟻一つ 宇野慂子 万象 201411
広島忌黒く流るる蟻の列 中田みなみ 201411
大木に鎖のごとく蟻の列 亀井紀子 201411
戦争のはじまりさうや蟻の列 戸栗末廣 201411
蟻の目に百合のてつぺん五千尺 瀬川公馨 201411
大阪の蟻階段を登りけり 岩下芳子 201411
蟻塚の出払つている正午かな 中林晴雄 201411
蟻止まる両手で顔を擦りをり 濱上こういち 201411
山蟻が萩のうねりを這ひのぼる 南うみを 風土 201411
鳥の餌を担いで行けり蟻二匹 後藤眞由美 春燈 201412
大木に鎖のごとく蟻の列 亀井紀子 201412
灼けし蟻もののはづみで憤る 堀内一郎 堀内一郎集 201412
蟻の列とぎれしところ食虫花 堀内一郎 堀内一郎集 201412
和讃しみじみ蟻の姿が見えて来る 堀内一郎 堀内一郎集 201412
光りつつ遠のくものを蟻と見し 堀内一郎 堀内一郎集 201412
蟻の道遠くローマヘ通ずるか 岩田公次 ホトトギス 201412
鞍馬から祇園に来たか山の蟻 鶴濱節子 船団 201502
大蟻の一族二等三角点 佐瀬晶子 ろんど 201502
時計草蟻秒針になり切つて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
蟻穴を出て槐安の夢の跡 高橋将夫 201505
蟻穴を出て老人が一列 火箱ひろ 201506
蟻走る砂丘に火急あるごとし 布川直幸 201506
時計草蟻秒針になり切つて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
蟻の列どれも手ぶらで帰りけり 内海良太 万象 201507
蟻 →9      

 

2021年8月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。