6     100句

石肌をながるる如く蟻二つ    京極杞陽

  羽蟻

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雨粒に乱れてゐたる蟻の列 高倉和子 200709
ただ蹤いてゆくだけもゐる蟻の列 定梶じょう あを 200709
わが一歩蟻は千歩や雲の峰 水原春郎 馬醉木 200709
巡礼の坂へ坂へと蟻のぼる 中島久子 馬醉木 200709
蟻の列働きづめの無位無冠 宮脇ちづる 200710
緋の袈裟に蟻遊びゐる山陵祭 狭川青史 馬醉木 200710
一匹の蟻に声かけ床を拭く 四條進 200710
封切れば私信はらりと羽蟻の夜 佐藤博美 200710
梅雨明け蟻の右往左往をまたぎ越す 小林清之介 風土 200710
すんなりと通らぬまこと蟻の道 舩越美喜 京鹿子 200710
殺す前にようく眺めて春の蟻 中原幸子 船団 200710
憲法九条わたしの腕を蟻がゆく 中原幸子 船団 200710
首振つて顔這ふ蟻を守宮拒否 森理和 あを 200710
蟻どちの修羅のもの曳く神の前 長沼三津夫 200710
湧き止まぬ蟻や沼照り募りつつ 坪井洋子 200710
活字より蟻の生まれて走り出す 高野幸次 200711
いづこより幸せ求め蟻の列 高野幸次 200711
振り返ることなく進む蟻の列 高瀬桜 200711
蟻の荷を仔細に見れば稲の花 金井充 百日紅 200711
山蟻の夢は出稼ぎ熔岩の道 牧野麦芽 京鹿子 200711
知恵伊豆の墓所に発する蟻の道 内藤呈念 ホトトギス 200712
園児等に蟻は触角立ててをり 山村桂子 遠嶺 200712
カーニバル四通八達蟻走る 岡本幸枝 ぐろっけ 200712
黒蟻の通草の口を出入りす 笹村政子 六花 200801
蟻穴を背面跳びで出でにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200803
一ぴきの蟻を見盡す晝の山 佐藤喜孝 あを 200805
海近き喫泉涸れて蟻這へり 岡本眸 200805
いつ出来しいつ消えしかと蟻の道 稲畑汀子 ホトトギス 200806
蟻の道踏みさうに来しハイヒール 稲畑汀子 ホトトギス 200806
蟻の道古木の根方へとつづく 稲畑汀子 ホトトギス 200806
山の蟻踏み越えてゆく蟻の道 稲畑汀子 ホトトギス 200806
第三の蟻も巻き込み闘へり 鷹羽狩行 200806
土を掘る幼なに不思議蟻出づる 柳生千枝子 火星 200806
動くもの運びて蟻は難渋す 小川匠太郎 200807
穴出でし蟻一列の律儀かな 鈴木撫足 春燈 200807
放水に隣家解体羽蟻とぶ 岸はじめ ぐろっけ 200807
蟻の穴探すふたりの媼かな 米山喜久子 200808
蟻の列古き我家を囲みけり 米山喜久子 200808
高きより降り来る蟻よ道一筋 林翔 200808
あら不思議失せものが出て蟻生る 田原陽子 200808
しゃくやくの深き淵より蟻もどる 南うみを 風土 200808
雲迅し庭に見なれぬ蟻の列 高木曽精 春燈 200808
挫折など知らぬ姿の蟻登る 高橋宏行 遠嶺 200809
蟻の列地鎮の祝詞はや終り 戸田和子 200809
運慶の仁王と知らず蟻のぼる 渡部磐空 200809
蟻走るものみな巨き総本山 柿沼盟子 風土 200809
尼寺の門守る蟻の巨きかり 田中みのる 火星 200809
真白な紙を真直ぐ夜の蟻 野崎タミ子 炎環 200809
頭重くあらば蟻の列ながめむと 近藤公子 200809
ありありと蟻の道あり遠嶺あり 小山徳夫 遠嶺 200810
山蟻が畳を這うて在所寺 酒本八重 200810
道端の毛虫に群れる蟻千匹 福島ゆき子 ぐろっけ 200810
火葬場の横へと乱れ蟻の道 荒木甫 200810
雷や地の蟻急ぐことも無く 廣瀬雅男 やぶれ傘 200810
行き行きて行方わからぬ蟻の列 きくちきみえ やぶれ傘 200810
上りがまちに蟻一匹や京の寺 勝原文夫 ペン皿 200811
蟻の列天竺までも行く決意 吉田裕志 200811
まつすぐに進むものなし蟻の列 若井新一 200811
夜の蟻泉鏡花を繙けば 鶴岡加苗 200811
富士を見てをりしが蟻を見ることに 嶋田一歩 ホトトギス 200811
動員令出しかに忙し蟻の列 北尾章郎 200811
蟻しんと巣穴へ仲間の屍曳く 布川直幸 200811
あひ逢はぬこともさだめや蟻の道 久保東海司 200811
句碑の前蟻の長考さまたげず 中山皓雪 200811
蟻のぼる彫ふかぶかと特攻碑 米澤光子 火星 200811
落蝉に蟻一山を築きけり 粟倉昌子 200812
振りむかずひたすら前を蟻の道 柴田靖子 200812
落蝉を力づくにて曳ける蟻 藤原春子 六花 200812
よろこび狂ふ蟻続々と穴を出で 瀧春一 深林 200901
蟻穴を出でて直ちに曳き来るもの 瀧春一 深林 200901
蟻の道散らし小さな嘘をつく 岡田満壽美 夢のごとしと 200904
この蟻に帰る巣のある夕ベかな 岡田満壽美 夢のごとしと 200904
先頭はモーセに非ず蟻の道 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
ねえあなた私の袖の蟻取つて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
蟻の道昨日と違ふ曲り角 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
潦大海として蟻の道 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
列乱る蟻のフエロモンまだ弱し 伊吹之博 京鹿子 200906
蟻穴を出づひと粒の土咥へ 布川直幸 200906
蟻の道シルクロードヘつづくごと 伊藤憲子 200907
蟻の道庄屋の土間を貫きて 水原春郎 馬醉木 200907
女王に会うてもみたき蟻の塚 徳田千鶴子 馬醉木 200907
囁き合ひてうなづき合ひて蟻の列 見田英子 春燈 200907
山蟻の私語を信じて義経堂 鈴鹿仁 京鹿子 200907
蟻見ては蟻さんの歌爺婆と 木原今女 ぐろっけ 200907
蟻登る文字摺草の螺旋階 久保田由布 ぐろっけ 200907
蟻穴を出でてダンスの輪に入りぬ 近藤倫子 ぐろっけ 200907
蟻の列人海戦といふがあり 辻直美 200908
樹にのぼる孤独の蟻のうろうろす 松井のぶ 200908
山深し蟻一匹の命かな 小林宙太 炎環 200908
毎日が日曜蟻の穴のぞく 浜口高子 火星 200908
にぎはしき声なき声や蟻の道 大山妙子 酸漿 200908
山蟻の住み住む浄土句碑は古り 鈴鹿仁 京鹿子 200908
石棺の底より登る蟻の列 中村恭子 200908
蟻の巣の観察続くガラス瓶 鬼頭佳子 200908
柩には柩の重さ蟻の道 曽根新五郎 炎環 200909
蟻に這はれ夢二生家の昼下り 豊田都峰 京鹿子 200909
イソツプの蟻の話に子が寝落つ 佐々木紗知 京鹿子 200909
子はいつか親の先ゆく蟻の列 渡邊泰子 春燈 200909
唐丸籠据ゑし三和土を蟻走る 近藤敏子 200909
曲がらねばならず曲って蟻の列 定梶じょう あを 200909
蟻 →7      

 

2021年8月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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