蟻 5     100句

夜の蟻迷へるものは弧を描く   中村草田男   萬緑

  羽蟻

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蟻の目に地球は火星かも知れず
木村みかん
200509
蟻の列けむりのやうに消えにけり
大串章
百鳥
200509
斥候の蟻機敏さの細身なる
鈴鹿仁
京鹿子
200509
我も立つ地球の表蟻の列
長谷川幸恵
酸漿
200509
これやこの蟻に食はるる大蚯蚓
村田さだ子
酸漿
200509
蟻道を辿り辿りて他所の庭
中村昭子
酸漿
200509
働いて蟻の生涯迷ひ無し
野崎真一
200509
わが晩年蟻急ぐことただならず
定梶じょう
あを
200509
忘恩や七十五の胸蟻這はせ
渡邉友七
あを
200509
蟻の穴蟻が覗ける忍者町
大久保白村
ホトトギス
200510
表より大蟻一匹入り来る
中上照代
火星
200510
菓子片を見つけ高ぶる梅雨の蟻
野口敏夫
対岸
200510
蒼穹や砂丘に蟻のやうな列
青木久子
遠嶺
200510
蟻の列地蔵の供物引きはじむ
神山テル
栴檀
200510
賢さを一票に込め蟻の道
須賀敏子
あを
200510
蟻の道跼みて揺るる予後の腰
渡邉友七
あを
200510
しんがりに先生のゐる山の蟻
橋本榮治
馬酔木
200511
蟻の道車輪の下に始まりぬ
川崎洋吉
遠嶺
200511
吹かれきて蟻すぐに這ふ夕野分
湯橋喜美
200511
蟻踏んで謝つてゐる女の子
久松久子
百鳥
200511
尊徳像耳より蟻の出て来たる
田中敬子
百鳥
200511
はるにれの樹の蟻降つて頸を這ふ
三関浩舟
栴檀
200511
山蟻のすべ失へり羅漢山
鈴鹿仁
京鹿子
200511
蚯蚓の死蟻に生かさる輪廻かな
落合由季女
雨月
200511
直線が好き蟻の列目地に添ひ
池上和子
築港
200511
大蟻が客の顔する峠茶屋
伊藤律子
四葩
200512
斥候の蟻の一匹走り出す
庄中健吉
200512
杉苔のなか蟻蜂が居るは居るは
浜田南風
200601
蟻穴を出づれば人は尚忙し
稲畑廣太郎
ホトトギス
200603
新涼のとまどひ蟻も我もかな
木村享史
ホトトギス
200603
蟻踏まぬやうに上れば芭蕉の目
稲畑廣太郎
ホトトギス
200605
旅恋の靴を磨くに蟻出づる
竹腰千恵子
200605
穴を出し蟻よこつちを振り向けよ
掛井広通
200606
くつがへる富よ鼻をわたれる蟻一つ
瀧春一
瓦礫
200606
啓蟄や兵糧部隊の蟻の列
木内美保子
六花
200606
ぬばたまの蟻の一粒穴を出づ
天野みゆき
風土
200606
蟻穴を出でて土俵に上がりけり
大坪景章
万象
200606
蟻穴を失敗をこそ負ふべけれ
鈴木榮子
春燈
200607
諾なふもここより聖地蟻の列
鈴鹿仁
京鹿子
200607
もの書けるわれを見上げて夜の蟻
鷹羽狩行
200607
墓前祭読経の中を蟻走る
神蔵器
風土
200608
赤蟻と行き交はしたる団子虫
黒田咲子
200608
餌を曳きし声わつしよいと蟻の列
近藤喜子
200608
山蟻の走り入りたる仁王門
青山悠
200608
蟻出でて長き一日始まれり
今井梔子
200608
草抜けば蟻の天国崩れ落つ
吉本淳
ぐろっけ
200608
吸殻に曲りてをりぬ蟻の列
安部里子
あを
200608
蟻の列金廃坑の柵くぐり
谷山友夫
春燈
200609
紙漉の家に長居し蟻払ふ
大西八洲雄
万象
200609
いそいそと獲物を担ぎ蟻の列
片野光子
ぐろっけ
200609
大蟻の後ずさりにて餌を引けり
小泉豊流
酸漿
200609
蟻の列神社の裏へ回りをり
高倉和子
200609
整はぬ歩幅山蟻ふためかせ
丹羽啓子
馬醉木
200610
一画もゆるがせにせず蟻の道
生方義紹
春燈
200610
石の上の大蟻弘法大師かな
竹内悦子
200610
赤蟻の昼の鵜舟を忙しく
浜口高子
火星
200610
蟻の道夜みちとなりてゐたるなり
松たかし
火星
200610
蟻の列見つむ項に憂さありて
能村研三
200610
影もたず穴の暗きへ帰る蟻
丸井巴水
京鹿子
200610
本尊はまだまだ奥よ蟻の列
高橋千美
京鹿子
200610
石地蔵足こそばゆき蟻の列
山崎辰見
ぐろっけ
200610
蟻の列跨ぐ一歩を大きくす
木内憲子
200610
負相撲蟻と遊びてゐたりけり
藤原千代子
万象
200611
ゆきがてに蟻の覗ける蝉の穴
島崎勇作
酸漿
200611
近づけば蟻の行き交ふ博多塀
樋口みのぶ
200611
体よりかくも大きを蟻が引く
秋千晴
200611
竪穴住居のぞきこみたる蟻の列
吉弘恭子
あを
200611
黒蟻の頭羅漢の頭とも
坊城俊樹
ホトトギス
200612
貧乏に生きたり蟻の黒黒す
市場基巳
200612
二百十日屍を運ぶ蟻一群
天野きく江
200612
無言館出でて無数の蟻の列
田千鶴子
馬醉木
200701
地下深く燈す驛あり冬の蟻
佐藤喜孝
あを
200701
鐘の音蟻と雀と出会いけり
中原幸子
以上、西陣から
200705
ふわっふわ蟻あげる子ともらう子と
中原幸子
以上、西陣から
200705
蟻の穴じつと見てゐる薄暑かな
松下幸恵
六花
200705
砲身の朽ちてをり蟻寄せてをり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200706
たかりゐるもの見えぬまで蟻たかる
鷹羽狩行
200707
家の蟻出口さがして夜となりぬ
鷹羽狩行
200707
大蟻の沈思見下ろす仁王門
上原重一
200707
蟻急ぐ行く手に幸のあるやうに
青山悠
200707
墨を磨る頭より蟻落ちて来し
山田六甲
六花
200707
団塊の世代の蟻か列乱す
遠藤若狭男
200708
花婿の蟻追ひし頃の笑ひ声
金澤明子
200708
束の間の日差し一途に蟻の列
飛山ますみ
遠嶺
200708
閉ざさるる直哉旧居に蟻上る
中谷葉留
万象
200708
つながつて人寄せつけぬ蟻の道
松井のぶ
200708
太陽に影うばはれて蟻走る
内山花葉
200708
何ごとか伝へて蟻のすれ違ふ
あさなが捷
200708
パン屑の動くを見れば蟻一匹
苑実耶
200708
松籟や戦記知る蟻山を出づ
鈴鹿仁
京鹿子
200708
やまももの蟻吹き飛ばし含みけり
山田六甲
六花
200708
蟻の目の濡れてをりたる真昼かな
笹村政子
六花
200708
働いてゐる蟻見つめゐて余生
土屋酔月
火星
200709
み仏の学園に蟻大きかり
飛高隆夫
万象
200709
大蟻の思ひつめたる黒さかな
近藤喜子
200709
雨が来るぞと山蟻の右往左往
小野玲子
200709
蟻の列乱すつもりのなかりしに
田村園子
200709
展げゐる海図に蟻の嵌りをり
瀬戸悠
風土
200709
チセの殻倉鼠返しを蟻のぼる
岩崎靖子
200709
遠回りするも本能餌曳く蟻
林翔
200709
蟻 6→      

 

2021年8月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。