蟻 3     100句

無花果を蟻より奪ひ返しけり    相生垣瓜人

  羽蟻

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蟻みこし石ころなんぞ迂回せず
山田六甲
六花
200208
一匹に始まる無数蟻の列
貝森光大
六花
200208
道中や蟻ゆきあひて何語す
木曽岳風子
六花
200208
これよりは黄泉平坂蟻の列
宮原みさを
花月亭
200208
蟻の列唐天竺へつづくべし
宮原みさを
花月亭
200208
蟻穴を出でて放浪はじまれり
宮原みさを
花月亭
200208
蟻の穴山を穿ちてをりにけり
坊城俊樹
ホトトギス
200209
山蟻の斜め歩きにこちらまで
泉田秋硯
200209
星合の夜の柱を蟻のぼる
山尾玉藻
火星
200209
狛犬のちぢれ毛を蟻登りゐる
飯塚ゑ子
火星
200209
孑孑に蟻にみみずに目を凝らす
中田尚子
百鳥
200209
木を登る蟻のスピード衰へず
中村美沙
百鳥
200209
不器用に生きて働く山の蟻
塩川雄三
築港
200209
蟻来れば蟻を許して二人の居
村越化石
200209
結界の竹渡りゐる蟻の道
長谷川通子
雲の峰
200209
足出して蟻の行列止めにけり
北嶋ひさ子
帆船
200209
蟻の荷の輕減のこと太古より
中原道夫
銀化
200209
蟻沈めては少年の目の炯る
亀丸公俊
銀化
200209
葬送を横切つてゐる蟻の列
八條凛子
銀化
200209
粥食や蟻かがやきて過ぎゆけり
渡邉友七
あを
200209
交差して行く蟻の道我の道
丸山敏幸
200209
指先の蟻を大地に下ろしけり
竹田博通
ぐろっけ
200209
一才児蟻の列にはあとずさり
安部美和子
ぐろっけ
200209
石段に旧知のやうな蟻がをり
大串章
百鳥
200210
一匹の蟻炎昼に迷ひけり
長谷川守可
百鳥
200210
山蟻の這ひ出て来たる夜の鞄
鳴海清美
六花
200210
蟻塚の砂の綻ぶ出入口
寺杣啓子
円虹
200210
蟻の道蟻の時間の流れをり
寺杣啓子
円虹
200210
手を貸してやりたき蟻の大荷物
寺杣啓子
円虹
200210
蟻走るどこかにクーデターの匂ひ
川名将義
銀化
200210
重きもの背負ふことせで蟻の列
石山正子
銀化
200210
芝に来て虫曳く蟻ののろくなり
高橋大三
ぐろっけ
200210
大聖堂聳えて人は蟻ほどに
辰巳比呂史
200211
先頭は背広着てゐる蟻の列
井尻妙子
京鹿子
200211
落しては蟻の泳ぐを試しけり
岡田信雄
百鳥
200211
盆栽の松の拳を蟻掴む
唐戸正子
帆船
200211
黒光る蟻が首振る厨口
海老原信男
築港
200211
蟻穴に入るをためらふ君亡きあと
松山律子
六花
200211
掌を勇者の蟻の越え行けり
田中武彦
六花
200211
腕時計しばらく蟻の覗き込む
田中武彦
六花
200211
指の間に潜りし蟻が急に刺す
田中武彦
六花
200211
一匹の蟻一匹の蟻を曳く
田中武彦
六花
200211
蟻の影ことごとく絶え炎天下
田中武彦
六花
200211
砂浜の小蟻吹き飛ぶ青嵐
坂井建
ホトトギス
200212
山頂へ走り出したるはぐれ蟻
松木桂子
200212
蟻吹かれゐる朝顔の蔓の先
大坪景章
万象
200212
尻餅のまんま蟻見てゐる子かな
栗下廣子
万象
200212
筆止まる白き半紙に蟻走り
安部美和子
ぐろっけ
200301
寢釋迦なる裳裾越えゆく蟻一匹
中原道夫
銀化
200304
蟻穴を出でて園児に囲まるる
遠藤真砂明
200305
自らの影も運びて蟻の列
吉村春風子
遠嶺
200306
彼岸明けの蟻のじぐざぐ歩きかな
小林清之介
風土
200306
啓蟄の蟻哲学の道に出づ
大森美恵
風土
200306
蟻穴を出でてポパイの真似をせり
大串章
百鳥
200306
百度石いくたび蟻を踏み通り
竹内弘子
あを
200306
視線とは関りもなく蟻の道
稲畑廣太郎
ホトトギス
200307
武家屋敷蟻がうがうと列つくる
宇都宮滴水
京鹿子
200307
火宅とや机辺に及ぶ蟻の列
伊藤白潮
200307
蟻の道仏足石に突き当たる
里見輝子
築港
200307
天王寺に蟻の大穴開きにけり
山田六甲
六花
200307
忙しさにうちすぎけらし蟻もゐき
市場基巳
200307
薫風や子は一匹の蟻を拉致
塩路隆子
花衣
200307
病む妻と蟻の足音聴く日かな
高橋邦夫
風土
200308
打ち合はせすみし蟻なり別れけり
高橋邦夫
風土
200308
池の亭出て大蟻のめざすもの
鈴鹿仁
京鹿子
200308
蟻の屍を疑はず蟻過ぎにけり
戸田和子
200308
笹舟の蟻の一寸法師かな
小野さとし
対岸
200308
蟻駆くる何か探してゐるやうに
塩川雄三
築港
200308
蟻駆くる無心になれることが欲し
塩川雄三
築港
200308
蟻走る落つれば落ちし所より
奥村光子
築港
200308
蟻の列誰の指示にて折返す
奥村真由美
築港
200308
何の死か山蟻黒く固まれり
清わかば
雲の峯
200308
墓原に蟻の足音続きけり
大串章
百鳥
200308
朝風に木登り好きの蟻が居り
大串章
百鳥
200308
拝殿へまつしぐらなり蟻の列
岡本まち子
馬醉木
200309
この俺に何を伝へむ夜の蟻
吉村春風子
遠嶺
200309
木瘤とて迂回もせずに蟻の道
岡山裕美
雲の峰
200309
雨後の日に影新しき蟻の列
伊藤月江
雲の峰
200309
三号棟東一号蟻訪れ
村越化石
200309
蝶の羽根引き摺る蟻よ飛びたいか
松山律子
六花
200309
笹の葉の先に山蟻とどまれり
大串章
百鳥
200309
庭手入れ蟻に指先噛まれけり
杉本ひで子
帆船
200309
我が道は我が開けり蟻の道
塩川雄三
築港
200309
蟻塚を平して雨の上がりけり
斉藤利枝子
対岸
200309
二上山ふたがみに考へる蟻走る蟻
岡和絵
火星
200309
草引きしばかりに有事蟻の国
杉山真寿
200309
蟻走る悟り切つたる貌をして
丸山敏幸
200309
当てのあるごとく生きとし生ける蟻
藤井圀彦
200310
とぼとぼ行く熊野古道を蟻歩む
西野愁草子
200310
蟻の道完封といふ手だてなし
富沢敏子
200310
蟻の列戦に正も聖もなし
三浦永子
京鹿子
200310
蝶を引く蟻声あらば凱旋歌
村岸啓
200310
赤松を下りて蟻の穴に入る
泰江安仁
百鳥
200311
卓上の蟻と遊べり夜の書斎
大久保白村
ホトトギス
200311
異変でもおこるか蟻の大移動
伊藤康子
ぐろっけ
200311
蟻群るる捨て艫や浜の秋日和
塙三千男
馬醉木
200312
台風接近取つときの絵蟻燭
藤原照子
200312
子等が来て蟻が来て甘いものがある
稲畑廣太郎
ホトトギス
200312
天帝の眼には変らず人と蟻
二瓶洋子
六花
200312
天竺のシーツに蟻のすさびかな
中島陽華
200312
蟻 4→      

 

2021年8月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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