秋 灯 2   200句
作品
作者
掲載誌
掲載年月
つくば新線地上へ出れば秋灯 高木嘉久 200512
和藤内見掛けずなりぬ秋灯 中島陽華 200512
秋灯の一つが遠し奥明日香 江崎成則 栴檀 200601
一穂の秋灯井上八千代舞ふ 岩淵彰 遠嶺 200601
山の湯の秋灯昏し座高かな 高橋澄子 200601
秋灯下研ぎ痩せしるき肥後守 酒井忠正 百鳥 200601
秋灯下ワイングラスに白き指 田下宮子 200601
蛇行の川に添ふ温泉の町の秋灯 山田をがたま 京鹿子 200601
秋灯しエプロン掛けで押す朱印 三輪慶子 ぐろっけ 200601
秋灯下一字のための辞書重き 近藤てるよ 酸漿 200601
鼈甲の色を研ぎ出す秋灯下 佐々木よし子 200601
ただよひてをり秋燈の点と線 今瀬剛一 対岸 200601
拾ひ読む細字秋灯低く下げ 安原葉 ホトトギス 200601
脱稿の勢ひ秋灯濃くしたり 能村研三 200601
古文書も少しは読めて秋燈下 狭川青史 馬醉木 200601
跳ね橋に合はせ目のあり秋灯 望月澄子 対岸 200601
清貧のこころ深めて秋灯下 浅井青陽子 ホトトギス 200602
海昏れて放哉庵の秋燈 次井義泰 200602
下校子に秋灯すでに点りけり 矢田弘子 対岸 200602
余命まだ生命線に秋灯下 沼口蓬風 河鹿 200602
秋灯下ワインのやうな会話生れ 佐山苑子 遠嶺 200602
秋灯下江戸地図にあるわが故郷 大森慶子 母衣 200602
秋灯にフルートきらり開演す 西山美枝子 酸漿 200605
茶を淹れて長子にわかつ秋燈下 瀧春一 常念 200606
ギヤマンといふ時空超え秋灯下 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
五年てふ館の落着秋灯下 稲畑廣太郎 ホトトギス 200609
遺されし机辺の堆書秋灯 熊岡俊子 雨月 200609
手帳から薬包(やくほう)ひとつ秋灯 山田六甲 六花 200610
婚約を祝つて泣きし秋灯 西村数 ホトトギス 200610
人戀ひの紐引いて消す秋灯 竹貫示虹 京鹿子 200610
目の許すかぎり讀みたし秋灯下 木村茂登子 あを 200611
わがためにわれが点して秋灯 神蔵器 風土 200611
晩学の今が本氣の秋灯下 木村茂登子 あを 200611
眼の玉を洗はれゐたる秋灯 谷村幸子 200611
筆執りてメモを句にせむ秋灯下 室井津与志 春燈 200611
おはじきを並べさんすう秋灯 内山芳子 ぐろっけ 200612
暗算の右脳訓練秋灯 宮沢治子 春燈 200612
乃木旧居秋燈冥き自刃の間 木野裕美 ぐろっけ 200612
秋灯の花道をゆく京鹿子 三沢蘭 遠嶺 200612
秋灯をわかち二人も良かりけり 生方ふよう 200612
秋燈や灯台官舎孤独にて 和田一 雨月 200612
秋燈下生命線をしばし見る 西川五郎 馬醉木 200612
「若き血」に刻を忘るる秋灯 水原春郎 馬醉木 200612
淡交の友より一書秋灯 横松しげる 遠嶺 200612
五平餅香りて木曽の秋灯下 和田一 雨月 200612
電子音に言の葉洗ふ秋燈下 宮島宏子 200612
秋燈や昭和の切手貼り連ね 阪本哲弘 200701
秋灯しのび音に弾くマンドリン 島田尚子 馬醉木 200701
医職退きあまりに似合ふ秋灯下 戸田和子 200701
秋灯家出少年戻らざる 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200701
秋灯小さき構への版画店 滝川あい子 雨月 200701
秋燈オフエリアの死と須磨子の死 鈴鹿けい子 京鹿子 200701
中国事情漫画に辿る秋灯下 荻野嘉代子 春燈 200701
公園に影落しけり秋灯 松本文一郎 六花 200701
駅裏に残る旅籠屋秋灯 荒木治代 ぐろっけ 200702
秋灯快癒に海老のフルコース 山田をがたま 京鹿子 200702
秋灯下遠目細目に針の糸 松本文一郎 六花 200702
秋灯電話のベルの闖入す 生方義紹 春燈 200702
それぞれの本に位置あり秋灯し 布施まさ子 風土 200702
秋灯の仄かオカリナ演奏会 滝川あい子 雨月 200702
秋灯をさへぎり船の進むなり 山田六甲 六花 200704
岸洋子の「希望」ラヂオに秋灯下 真木早苗 八千草 200704
秋燈や窓外すでに山の霧 瀧春一 200706
木目込を作る秋灯ひき寄せて 山仲英子 200709
アンティークドール秋灯吸ひ込めり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
秋灯や書架に置かれし護符二つ 能村研三 200710
足許へ秋灯伸ばし来たる波 山田六甲 六花 200710
秋灯や容易に書架の埋もらざり 小澤克己 遠嶺 200711
美濃和紙の反古を広げて秋灯下 水谷ひさ江 六花 200711
暮れてゆく湖のむこうに秋灯 吉成美代子 あを 200711
幽けさを生きゐるゆゑの秋燈 小澤克己 遠嶺 200711
秋灯や鳥の渡りの話など 蘭定かず子 火星 200711
秋灯下のだめカンタービレ佳境 稲畑廣太郎 ホトトギス 200711
ゆっくりと鉛筆削る秋燈下 芝尚子 あを 200712
ふたりゐて境界線のある秋灯 辻直美 200712
使ひ合ふルーペを拭ひ秋灯下 横田初美 春燈 200712
秋灯下亡父のルーぺで広辞苑 金井香ル 200712
主語のなき妻との会話秋灯 高野幸次 200712
秋灯下癌と闘ふ娘を看取り 高橋照子 雨月 200712
わがままな眠気とをりて秋灯下 宮島宏子 200801
秋灯し心の襞の記念号 青木久子 遠嶺 200801
秋灯の斜に流るる鞍馬川 浜口高子 火星 200801
秋灯の暖簾をすいと二人連れ 金澤明子 火星 200801
秋灯やふたりで居れば足るこころ 七種年男 200801
推して敲くこと机上に秋灯し 布川直幸 200801
吊られゐるワイングラスや秋灯 金子慶子 遠嶺 200801
秋灯の膨らむカーブミラーかな 七種年男 200801
眠りへの寝床分け合ふ秋灯し 須藤トモ子 200801
秋灯や影絵となれる椰子の村 大西裕 酸漿 200802
病廊に塵ひとつ無き秋灯 岡本眸 200802
電子辞書手擦れの辞書も秋灯 池田美佐代 200803
秋灯を灯せば山盧てふ出会ひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200809
秋灯のスイッチ探すより山盧 稲畑廣太郎 ホトトギス 200809
秋灯下机上に稿の堆く 稲畑廣太郎 ホトトギス 200809
方丈の二間くまなく秋灯 木村茂登子 あを 200810

 ボローニャ

秋灯に映える柱廊彷徨へり

能村研三 200810
父と子の寡黙を競ふ秋灯下 岸はじめ ぐろっけ 200811
わが身さへ遺品の一つ秋灯 辻直美 200811
オカリナを磨いてゐたる秋灯下 山田六甲 六花 200811
秋灯プロポーションの佳き菩薩 北尾章郎 200811
秋灯下師の筆跡の青インク 飛鳥由紀 200811
軽井沢はフレンチメッカ秋燈し 森下康子 200811
秋燈下再びといふ難問題 藤野寿子 あを 200812
ノーベル賞蛍光たんぱく秋燈下 藤野寿子 あを 200812
のこぎりを弓もて弾ける秋灯下 山田六甲 六花 200812
王義之の書体を見たり秋燈 小澤克己 遠嶺 200812
米人の握る鮨種秋灯 市村義夫 風土 200812
万カラットの巴里の秋灯機首下がる 刈米育子 200812
秋灯下かしこかしこと母の文 河村泰子 ぐろっけ 200812
街すべて雨に伏したる秋灯 鴨下昭 200812
笑声の絶えざる家や秋灯 半田卓郎 遠嶺 200812
抽斗に聖書のありて秋燈下 山田暢子 風土 200812
難解な詩集に凝れり秋燈下 竹内悦子 200901
最乘寺の荘厳映ゆる秋灯 北村香朗 京鹿子 200901
晩学の歳時記重し秋灯下 小城綾子 200901
晩学の史記に秋灯明るうす 村上美智子 雨月 200901
秋灯下ことばくだきてしたたむる 藤井みち子 200901
耳遠き兄に手紙を秋灯下 先山実子 ぐろっけ 200901
秋灯し岩見神楽の姫の面 橋本美代 やぶれ傘 200901
秋灯下辞書の重みの親しかり 大泉美千代 雨月 200901
緩やかに川幅に添ふ秋燈 高田令子 200901
魚影なき水槽真夜の秋灯 小山徳夫 遠嶺 200901
待針の数を確かむ秋灯下 仲井多美江 京鹿子 200901
病室に思考深まる秋燈下  宮崎正 ホトトギス 200902
夫々の窓それぞれの秋灯 岡本直子 雨月 200902
秋灯の辺りやおけさ鳴りはじむ 泉田秋硯 200902
秋灯の和風のダンスホールかな 小山徳夫 遠嶺 200902
秋灯や猫には猫の影法師 岡本直子 雨月 200902
秋灯を消して一日を思ひをり 岡本直子 雨月 200902
格子戸の多き家並や秋灯し 木暮剛平 万象 200902
下読みの唇うごく秋灯 能村研三 200909
だまし絵に親しみゐたる秋灯下 山田六甲 六花 200910
端切れ屋は真四角かさね秋灯す 浜口高子 火星 200911
秋灯を引いて夜汽車となりにけり 福島茂 200911
秋灯母の下着に名を印す 成宮紀代子 200911
まぜ書きの仮名をさびしむ秋燈し 定梶じょう あを柳 200911
塩の温泉(ゆ)に身を浮かせゐる秋灯 浜口高子 火星 200911
秋燈下デジタル案内総務省 藤野寿子 あを 200911
親しさかいや虚しさの秋燈 小澤克己 遠嶺 200911
えらびゐる和紙の手ざはり秋灯 近藤茂子 200912
カクテルの秋灯映ゆるホームラン 北尾章郎 200912
庖丁に獣脂のくもり秋灯 成宮紀代子 200912
秋灯すビルの窓々黄金色 桂敦子 200912
秋灯にモヒカン刈り児漫画読む 佐方敏明 ぐろっけ 200912
秋燈母の裁ち板篦の跡 森理和 あを 200912
色いろいろ湾を縁取る秋灯 小川玉泉 末黒野 201001
秋灯を雨に零して町工場 中島ひろし 末黒野 201001
秋灯に字画確かむ虫めがね 中村碧泉 ぐろっけ 201001
ピサの斜塔作りて古書肆秋灯下 阪本哲弘 201001
愛嬌のダルマシリーズ秋灯下 三川美代子 201001
二人ゐてひとりのごとし秋灯下 笠井敦子 201001
秋灯を低く亡き人偲びをり 舩越美喜 京鹿子 201001
秋灯す自刃の遺髪まだ若く 淺井照子 京鹿子 201001
秋灯の幾百こぼれ摩天楼 黒滝志麻子 末黒野 201001
秋灯や床の間に立つ琴の影 藤井美晴 やぶれ傘 201001
秋灯疵の浮き立つチェロケース 坂口夫佐子 火星 201001
積み置きし本ひもとけり秋灯下 鈴木幾子 酸漿 201001
纏まらぬ句集の想や秋灯 阪本哲弘 201001
ラウンジにて聴くシャンソンや秋灯 今中道子 201002
秋灯下弦響きたり無言館 小野澤ゆたか 201002
秋灯下料理番組録り溜める 横内かよこ ぐろっけ 201002
坪庭の石蕗の葉に秋灯かな 志方章子 六花 201002
目で食べる日本料理秋灯 上崎暮潮 ホトトギス 201004
案内するための秋灯明うして 稲畑汀子 ホトトギス 201009
藤袴文庫これより秋灯下 稲畑汀子 ホトトギス 201009
秋灯を消せば近づく星の空 稲畑汀子 ホトトギス 201009
秋灯や宿直の父思ひだす 能村研三 201010
少しだけいつもと違ふ秋灯 稲畑汀子 ホトトギス 201010
蚊を叩き損なひたりし秋灯下 小野木雁 酸漿 201011
アーケードのはづれ畳屋秋灯す 松井倫子 火星 201011
秋灯や手書きの古き設計図 佐々木群 201011
秋灯父の齢はなほ遠し 小野木雁 酸漿 201011
秋燈下子規の世界に没入し 大橋晄 雨月 201011
あかあかと日の暮れゆきて秋灯す 小野木雁 酸漿 201011
梵鐘やさてさて秋灯とぼさねば 三枝正子 万象 201011
夫の形見娘に託す秋灯 芝宮須磨子 あを 201012
北京烤鴨のターンテーブル秋灯 代田青鳥 風土 201012
秋灯の数増えてきし機上かな 松山直美 火星 201012
秋灯下二文字熟語のパズル解く 松下八重美 201012
秋灯下文字読みづらき文庫本 先山実子 ぐろっけ 201012
秋燈下時刻表繰る机上旅 青山正英 201012
京舞はしづか秋灯華やかに 藤岡紫水 京鹿子 201012
秋灯やソプラノ歌手の胸飾 村上すみ子 201101
一生を青春とせり秋灯下 奥村眞人 雨月 201101
山峡に固まる湯宿秋灯し 久世孝雄 やぶれ傘 201101
子に書棚空けわたしをり秋灯 麗秀麿 201101
亡き夫のスケッチブック秋灯下 伊藤敦子 末黒野 201101
秋灯下あすら六手の影ふやす 三代川玲子 春燈 201101
秋灯下グラスを鳴らしアペリティフ 泉田秋硯 201101
秋灯下ますほの小員とぞ受くる 和田崎増美 雨月 201101
静けさや骨董店の秋灯 占部美弥子 末黒野 201101
空耳に鍵開く音秋灯下 陶山泰子 ぐろっけ 201101
影深きガレのスタンド秋燈 竹田ひろ子 ろんど 201102
山背負ふ島の漁村や秋灯 森清信子 末黒野 201102
秋灯や命つきたるボールペン 内藤三男 ぐろっけ 201102
秋灯古き句集の並ぶ部屋 山田佳乃 ホトトギス 201102
通り過ぐ湖畔に添ふて秋灯 宇田喜美栄 201102
夕さりの雁木ににじむ秋灯 亀掛川菊枝 末黒野 201104
秋灯下和太鼓一糸乱れずに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
秋灯の一箭通過する鐡橋 竹貫示虹 京鹿子 201109
秋灯→3      

 

2021年11月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。