秋 灯 1    200句

秋灯や夫婦互に無き如く  高浜虚子   六百五十句

秋灯  秋の灯

作品
作者
掲載誌
掲載年月
湯の滾る昔秋灯の守衛室 南出律子 199810
酒壺の艶いやまさりゆく秋灯下 林翔 199812
秋灯下開かれてゐし時刻表 村川雅子 199812
秋灯をあつめて夫の肋骨 山尾玉藻 火星 199901
納経の綺羅をしづめて秋燈 八染藍子 199901
一碗の窯変たのし秋灯下 永谷刀祢 円虹 199901
秋灯下乳房なくせし母とゐる 吉村玲子 船団 199902
秋灯下頷くだけの父がゐる 吉村玲子 船団 199902
秋灯立つとき軽く膝打つて 津田このみ 船団 199903
秋燈のうらおもてなき影法師 川端実 寒昴 199907
消息を問ふ秋灯の明るさに 稲畑汀子 ホトトギス 199909
十日てふ家居のごとく秋灯下 稲畑廣太郎 ホトトギス 199910
底突かぬ話ぶりなり秋灯 能村研三 199911
秋燈を消すまで友の遺作の絵 藤田宏 199911
秋灯下外せば眼鏡曇りゐて 山田六甲 六花 199911
喧騒はビルの外なり秋燈下 保坂加津夫 いろり 199911
窓ごとの有りて進まぬ秋灯下 松沢久子 いろり 199911
秋灯し胡弓の音色尾を曳いて 林田加杜子 いろり 199911
秋燈に酌む酒の名は美少年 能村研三 199912
みほとけに離れて座すや秋灯下 関根洋子 風土 199912
紅白のワインの並ぶ秋灯下 藤野佳津子 円虹 199912
秋灯下ころび証文たどたどし 上原瑞子 199912
大辞典割つて開きぬ秋灯下 西山胡鬼 京鹿子 199912
貝殻のあやしき渦や秋灯 藤本艶野 俳句通信 199912
出会ひとは秋灯一つ共にして 木内憲子 199912
秋灯となりてガラスの昇降機 横倉由紀 船団 199912
人形は両の目離れ秋灯 池田優 船団 199912
「生き方」と「死に方」並べ秋灯下 秋山深雪 船団 199912
ホトトギス見納めに読む秋灯 細谷和芳 ホトトギス 200001
おのが影欲しと秋燈強めたる 峯尾文世 銀化 200001
ドーム天井秋灯に像獅子と鷲 藤田宏 200001
ぽつぽつとぽっと江の島秋灯す 東海千枝子 200001
江の島に果つ一列の秋灯 村川雅子 200001
秋燈に透かし観たりし吉右衛門 熊岡俊子 雨月 200001
一戸二戸湯の宿三戸秋燈 善積ひろし 遠嶺 200001
楔打つ回り舞台や秋燈めり 水野あき子 遠嶺 200001
秋灯下古き音色のオルゴール 関戸文子 酸漿 200002
仕事少し明日に残して秋灯消す 田中藤穂 水瓶座 200002
バス浴槽秋燈にふぐり覗かれる 松原到 ぐろっけ 200002
洋館の窓縦長に秋灯 荻野美佐子 船団 200006
水槽のようなコンビニ秋灯し 白倉ボラン ヒッポ千番地 200008
何もゐない水槽に秋灯かな 山田六甲 六花 200009
染筆の語りかけくる秋灯 稲畑汀子 ホトトギス 200010
学ぶとはまねるとなりや秋灯下 朝妻力 俳句通信 200010
秋灯の濃さや桑名の千羽鶴 朝妻力 俳句通信 200010
秋灯の富士正晴の居室かな 中原幸子 遠くの山 200010
消ぬるべく秋燈細めゆくこころ 中原道夫 銀化 200010
追ひ越されまた追ひ越され秋灯下 高木伸宜 ヒッポ千番地 200010
この日より人家の秋燈明々と 阿部寒林 200010
秋灯や絨毯青き追悼会 山田弘子 円虹 200011
秋灯を消す酷使せる手のかたち 阿部晶子 200011
工房に仏の千手秋ともし 林裕子 風土 200012
茶屋昼の鼈甲いろの秋灯 奥田節子 火星 200012
秋灯に伸びておわらの白き指 三澤福泉 俳句通信 200012
秋灯や秘仏拝みに摺足で 宮永順子 俳句通信 200012
独り居の出来そで出来ぬ秋燈下 大平保子 いろり 200012
秋灯下脱いだり着たり旅支度 松沢久子 いろり 200012
学ぶこと道なほ遠く秋灯下 杉本艸舟 200101
秋灯や虚子能筆の斯く真近 宮本幸子 円虹 200101
いまだある小船の暮し秋灯 中里カヨ 酸漿 200101
鯛茶にて啜る秋燈なりしかな 松本康司 銀化 200101
秋灯に翳深めたる思惟佛 石橋萬里 ぐろっけ 200101
秋灯や翔先生の二階窓 鳥居秀雄 200101
秋灯や少し変身してみたく 稲畑汀子 ホトトギス 200109
秋灯下華麗に変身せし舞台 稲畑廣太郎 ホトトギス 200110
秋灯を湖へこぼして旅がたり 豊田都峰 京鹿子 200110
目を遠くこきりこ唄ふ秋灯下 朝妻力 俳句通信 200110
秋灯にオペラ歌劇の券二枚 山田六甲 六花 200110
秋ともし硯にまろき水をおく 佐藤悦子 百鳥 200111
夫の背の重き影置く秋灯中村君代 萩谷幸子 雨月 200111
いくたびも題簽を見る秋灯下 朝妻力 俳句通信 200111
沖をゆく船の形の秋灯 山田六甲 六花 200111
雑学の秋灯を消す後雑愛 墨谷ひろし 船団 200111
秋灯に翳して埴輪手をかざす 田中芳夫 200112
寝そびれて秋灯明く旅を詠む 鎌倉喜久恵 あを 200112
秋灯や藺の香に転びゐる新居 伊藤多恵子 火星 200201
マジョリカの藍の名陶秋燈下 山下佳子 200201
秋灯下御物の刀子光りけり 中御門あや 雲の峰 200201
力湧く本を探せり秋灯下 石城幸子 百鳥 200201
秋灯妻の旬集の序文読む 川端実 遠嶺 200201
秋灯旅の写真の一行詩 寺内佶 遠嶺 200201
秋燈下中島潔のわらべたち 金子里美 船団 200201
温泉の神を祀る秋燈濃くありぬ 橋本佐智 円虹 200202
大聖堂闇に浮べて秋灯 渡辺玄子 酸漿 200202
秋灯や家族一丸とはならず 金子桜花 百鳥 200202
父と子の釣具談義や秋灯 小島とよ子 遠嶺 200202
くぐり戸は桧の香り秋灯 鈴木多枝子 あを 200202
水割の氷からりと秋灯下 稲畑廣太郎 ホトトギス 200209
子規を読み子規を語らん秋灯下 稲畑汀子 ホトトギス 200209
もの詠めば魂のひびきぬ秋灯 小澤克己 遠嶺 200210
秋灯の濃しオカリナにアンコール 竪ヤエ子 雲の峰 200210
秋燈や鳥居に映えて稲荷山 河合笑子 あを 200210
耳朶に吸ひつく猫や秋灯 芝尚子 あを 200210
ビンゴ開けるごと学窓に秋灯る 斉藤由美 ぐろっけ 200210
音もなく舞ひ足そろふ秋灯 小澤克己 遠嶺 200211
秋燈や石工の鑿に目あるごと 秋葉雅治 200211
つれづれに秋燈を縒るこよりかな 八條凛子 銀化 200211
伎芸天の影しなやかや秋灯 山田天 雨月 200211
ボードレール繰れば青春秋灯 大塚鈴子 雨月 200211
場所移し議論の続き秋灯下 栢森定男 あを 200211
気配りの気配を盛りて秋灯 上野孝行 百鳥 200212
秋灯のひとつ入りたる妻籠宿 邑橋節夫 遠嶺 200212
秋灯を背に凡々と坐すのみに 大塚鈴子 雨月 200212
甲斐ケ根眠り盆地に秋灯夜もすがら 芝宮須磨子 あを 200212
秋燈に格子の浮かぶ長き坂 いしだゆか 遠嶺 200212
秋灯のふちどりそめし湾ひとつ 松原ふみ子 200212
秋灯の輪飾る雨の船泊 豊田都峰 京鹿子 200212
能面の泣き笑ひをり秋灯 三崎由紀子 遠嶺 200212
旅戻りひとりに点す秋灯 大塚鈴子 雨月 200212
本堂の秋灯おほふ一茶句碑 上野孝行 百鳥 200212
秋灯のにじむ遺墨と告げらるる 海輪久子 円虹 200212
秋灯やホテルの部屋のミレーの絵 中里とも子 百鳥 200212
秋灯小相撲書騨に立読みす 村上葉子 百鳥 200212
秋燈や文読む母の細面 高島久 百鳥 200301
オノマトペふらんす語なり秋灯 長屋璃子 火星 200302
秋灯取り戻したき過去のあり 加賀富美江 遠嶺 200302
秋灯に指の揺れたる思惟仏 角谷美恵子 ぐろっけ 200302
秋燈や父恋の文読み涙 池田倶子 雨月 200303
小兎を商ふてるらし秋燈 佐藤喜孝 青寫眞 200304
指折りて足れり湖北の秋灯 中村房枝 六花 200309
節電の札図書館の秋灯 小林呼溪 200310
秋灯下心竹少し疲れしか 稲畑廣太郎 ホトトギス 200310
秋灯や妻籠宿の曇りぐせ 藤枝五三子 帆船 200311
秋灯し昨日に似たる日記書く 蓮尾あきら 風土 200311
カンバスの中のささやき秋灯 清水晃子 遠嶺 200311
秋灯や糸占ひの赤き糸 前阪洋子 雲の峰 200311
秋灯を水面に揺らし竜頭船 黒崎よし江 雲の峰 200311
秋灯下速読味読よみ分けて 史あかり ぐろっけ 200312
舞ひ出でし平家の武者や秋灯 小澤克己 遠嶺 200312
秋灯下子と見る写真若き夫 青木光子 築港 200312
秋燈は人のぬくみの色とこそ 田所節子 200312
秋灯の黒光りせり聖笠 小澤克己 遠嶺 200312
秋灯やわが家の時計外より見て 加瀬美代子 200312
隠れ温泉か一秋燈のはろかなる 安達実生子 200401
平穏が先づ有難き秋灯 田宮勝代 酸漿 200401
秋灯大きく撓む蔵書棚 清水晃子 遠嶺 200401
秋灯ステンドグラス深紅に 大磯幸子 河鹿 200401
水槽に魚の目のある秋燈下 石見実人 草の花 200401
真砂女句集読む秋灯を低くして 上薗櫨夫 河鹿 200401
秋燈に重ねて小さき居職の灯 秋葉雅治 200401
復刻の岩波文庫秋灯 内藤三男 ぐろっけ 200402
秋灯や門司港駅の零起点 石平周蛙 対岸 200402
秋灯下待ち行列の弁当屋 松本文一郎 六花 200402
劉備いま三顧の礼や秋灯下 影山わこ 百鳥 200402
秋灯や捩れ美しガラスペン 諸橋廣子 対岸 200402
秋灯に口紅拭ひ主婦となる 吉田多美 京鹿子 200402
吊されし秋灯客とわれとの間 高橋信佑 あを 200402
秋灯下将棋彫る指いと太き 渡辺玄子 酸漿 200402
あきらめて深く息つく秋灯 高畠英 河鹿 200402
個室とは孤独で自由秋灯 中村田人 ホトトギス 200404
笑顔又甦りたる秋灯下 稲畑汀子 ホトトギス 200408
血縁と居て秋灯をわかちをり 岡本眸 200409
秋灯のロッジ睡らぬ一と所 稲畑汀子 ホトトギス 200409
香炷きて写経紙拡ぐ秋灯下 落合由季女 雨月 200411
フィヨルドへ巨船秋燈かかげをり 深野敦子 200411
二杯目のブルーハワイや秋灯下 中川晴美 雲の峰 200411
秋灯の重たくなりし書を閉づる 岡本眸 200411
秋燈と鏡責めなる楽屋かな 能村研三 200411
秋灯や中等漢文巻五編 徳永辰雄 春燈 200411
赤坂八景掲ぐるはたご秋灯 味村志津子 雨月 200411
ぺーパーウエイトは銀のうさぎや秋灯 平田紀美子 風土 200412
秋灯の光量重し暴風雨(あらし)以後 岡本眸 200412
秋灯のともるを待てる書斎かな 林裕子 風土 200412
秋灯に透かし刀の銘を読む 辰巳陽子 春耕 200412
秋灯や鋏鳴らして飴を売る 木暮剛平 万象 200412
眼を病んで手持無沙汰の秋灯下 安藤ヒサ子 河鹿 200412
秋灯やすこし回して指輪ぬく 生方ふよう 200412
夜伽する人にしみじみ秋灯 稲岡長 ホトトギス 200501
秋灯や謹呈の書の戎紙 玉川悠 遠嶺 200501
鑑真の墨跡親し秋灯下 吉村征子 雲の峰 200501
秋灯下膝に繙く広辞苑 三浦如水 ぐろっけ 200501
秋灯を消せば秒針音満ち来 史あかり ぐろっけ 200501
水産高校漁火のごと秋灯 佐野まさる 百鳥 200501
宴果ての傘のしづくや秋灯 田村園子 200502
秋灯の漣なして池暮るる 秋田庫 200502
消しゴムの屑の嵩増す秋灯下 愛甲厚子 200502
自解の師の遠きまなざし秋灯 足立典子 雨月 200502
秋灯す松本楼の白クロス 都築繁子 200503
会へばたちまち秋灯下の句会 岩岡中正 ホトトギス 200505
秋灯の暗さの籠る古代布 大高芭瑠子 炎夏 200507
秋灯下子規の絶叫聞きし如 稲畑廣太郎 ホトトギス 200509
秋灯をふやせしだけのことなれど 稲畑汀子 ホトトギス 200509
稿債は減らぬ秋灯明るくて 稲畑汀子 ホトトギス 200509
山裾は横一文字秋燈 東亜未 あを 200510
被災地のファックスを待つ秋灯下 稲畑汀子 ホトトギス 200510
おほごゑが罷り通りし秋燈 吉弘恭子 あを 200510
手のひらの紙の重さや秋灯る 宇都宮滴水 京鹿子 200511
死生観など語り合ひ秋灯下 西教文江 築港 200511
永眠の睫翳れり秋燈下 うまきいつこ 200511
民宿に小作人帳秋灯 疋田華子 万象 200511
秋灯と言ひきつてより詩の成けり 豊田都峰 京鹿子 200511
秋燈や河を塒の艀びと 吉澤利治 遠嶺 200511
高階の秋灯毎に家族かな 水野淳子 200511
秋灯や通りすがりの足湯して 山田六甲 六花 200512
秋灯が朝迄消えず進学生 舩越美喜 京鹿子 200512
筆の穂を噛んで文書く秋灯下 有田蟻太 200512
秋灯にフルートきらり開演す 西山美枝子 酸漿 200512
秋灯や塾の終りし賑はひに 永田あき 酸漿 200512
秋灯や文字読めざれば飢に似て 大橋敦子 雨月 200512
秋燈下目の衰へをいまさらに 西口万佐子 200512
秋灯 →2      

 

2021年11月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。