秋の灯 1    100句

秋灯  秋の灯

秋の燈やゆかしき奈良の道具市  蕪村

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋の灯に浮きて真白や新羅仏 高木良多 春耕 199901
秋の灯や数行讀みて又栞 川崎不坐 火星 199902
秋の灯の肩寄せ合へるさまにあり 能村登四郎 199909
秋の灯となりゆく山の湖畔かな 水田清子 199911
秋の燈をひとつ消すごと老舗閉づ 小菅暢子 199912
夫は隣室互に秋の灯をともし 田中藤穂 「水瓶座」 200002
一泊のホテルの秋の灯を消しぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200009
秋の灯や長く引張るチェロの弓 岩垣子鹿 円虹 200012
どの部屋も秋の燈更けて一人なる 五十嵐八重子 ホトトギス 200102
秋の燈の肩寄せ合へるさまにあり 能村登四郎 羽化 200110
秋の灯や苦しい時もありにけり 篠田三七子 いろり 200111
過ぎし日を繕く秋の灯の親し 稲畑汀子 ホトトギス 200111
瞑想曲とや秋の灯も消し聴かむ 林翔 200112
晩秋の灯下小暗し竹人形 伊藤マサ子 ぐろっけ 200204
秋の灯やまた鳴つてゐる壁時計 赤座典子 あを 200210
秋の灯や仮の住まひに帰り来て 矢島久栄 200301
秋の灯の消えたるよりの夜の静寂 稲畑汀子 ホトトギス 200309
秋の灯を低く表具の糊を溶く 志水千代子 雲の峰 200311
つややかな闇秋の燈を抱へたり 若山実 雲の峰 200311
秋の灯やゆつたりと反る銀の匙 木下節子 雲の峰 200311
風愁は秋の灯影の町流し 小澤克己 遠嶺 200312
秋の燈や句会の余韻胸にあり 石川英利 百鳥 200312
秋の灯に刻印刻む古煉瓦 小山和男 京鹿子 200401
偲ばむと暮秋の灯暗くしぬ 大橋敦子 雨月 200401
秋の灯や水車を回す水の音 井之目貢久 対岸 200410
秋の灯に寄りくる虫の透きとほり 鎌倉喜久恵 あをかき 200411
秋の燈に柾目の著き框かな 立脇操 雲の峰 200411
秋の燈や手の影胸に思惟仏 岡村葉子 栴檀 200411
秋の灯に伊賀組紐のこま捌く 長谷川翠 馬醉木 200411
秋の燈に浮かび上がりし梵字かな 高橋将夫 200412
秋の灯や書棚に古りし資本論 石川英利 百鳥 200412
秋の灯のひとりなら声出して読む 木村みかん 200502
箸袋きれいに溜めて暮秋の灯 北川孝子 京鹿子 200503
小さきむくろ胸もあらはに秋の灯に 瀧春一 菜園 200509
旅疲れなきかに秋の灯に集ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200510
秋の灯の漏るる心の隙間かな 高橋将夫 200511
秋の燈に沈み馬かく鼾かな 三関浩舟 栴檀 200512
書を読むと秋の燈まろく点しけり 三関浩舟 栴檀 200601
秋の灯の誰かしらゐて実家なる 細川洋子 200601
まろまろと時計も秋の燈の一つ 今瀬剛一 対岸 200601
秋の灯のごとき手紙を賜りぬ 太田佳代子 春燈 200601
我が家の秋の灯ぞ旅終る 木村茂登子 あを 200612
秋の灯に椿象ぞろぞろ森の宿 森理和 あを 200612
秋の灯の姉妹に揺れて露天の湯 山崎澄子 酸漿 200612
洗ひ鯉いつしか秋の灯の下に 瀧春一 200706
秋の灯の下に歸りて子を抱けり 瀧春一 200706
秋の灯や書架に寝たきり砂時計 遠藤実 あを 200710
皇居濠眼下に秋の灯火澄む 小澤克己 遠嶺 200712
一湾の秋の灯まさに首飾り 川崎光一郎 京鹿子 200801
秋の灯や数珠の手に落つ雨のつぶ 安永圭子 風土 200802
秋の燈を消して自分と真向かへり 坂本緑 幸せのかたち 200808
物置の秋の灯しに過ごしけり 山田六甲 六花 200811
晩秋の灯して帰る霊柩車 定梶じょう あをかき 200901
秋の灯は裸電球子規の部屋 西山美枝子 酸漿 200901
ひとつだけ点して秋の灯と思ふ 千田百里 200901
ルノワールの少女匂やか秋の灯に 堀田こう 雨月 200901
秋の灯や噺ひとつを編むやうに 金原亭馬生 炎環 200911
秋の灯や廊下の先の母の部屋 西岡啓子 春燈 200911
秋の燈やずつしり眠る子供抱く 東亜未 あをかき 200911
越してきし家なり秋の灯を零し 定梶じょう あをかき 201001
乳呑兒が秋の燈に笑ひかけ 佐藤喜孝 あを特作 201001
晩秋の燈の千段稲荷山 松田和子 201001
車庫に入る電車は秋の灯をこぼし きくちきみえ やぶれ傘 201001
秋の灯に時には透かせ櫛作る 富田範保 201001
秋の灯の洩るる旅籠や細格子 大竹欣哉 201001
秋の灯に人影動く磨硝子 藤井美晴 やぶれ傘 201001
青き灯を秋の灯として非常口 能美昌二郎 201002
スペイン語グラチエ秋の灯の親し 稲畑汀子 ホトトギス 201009
夜の秋の灯りを惜しむ歌舞伎町 高橋泰子 201010
秋の灯にこの世の塵のかがよへる 高橋将夫 201012
秋の灯やはるかなる日の母の背ナ 吉田順子 201101
秋の灯をからめペペロンチーノかな きくちきみえ やぶれ傘 201101
レクイエム大合唱や秋の灯に 村上すみ子 201101
秋の灯のひとつに鞆の常夜燈 後藤立夫 ホトトギス 201103
秋の灯のひとつを指して帰るかな 井上浩一郎 ホトトギス 201201
秋の灯や筆の擦るる再生紙 上月智子 末黒野 201201
秋の灯や言霊しのび寄る一書 長山あや ホトトギス 201201
秋の灯を奢れば羅馬終焉す 吉田葎 201204
秋の燈にこけし作りの木屑とぶ 三好かほる 万象 201211
ふるきうたうたひ秋の灯あたたかし 中原俊之 201301
秋の灯に織田作偲び法善寺 山本喜朗 雨月 201311
秋の灯や棋譜を片手に石の音 荒木稔 ぐろっけ 201311
葭簀より洩るる秋の灯湖畔宿 坂上香菜 201311
秋の灯に履歴一葉つづりけり 田中文治 火星 201312
こぢんまり秋の灯に住みたかり 山田六甲 六花 201411
秋の灯を母の乳房に染む家路 四條進 201412
秋の燈に闇遠くなる今宵かな 柴田靖子 201412
秋の灯や背革古りたる百科辞書 松本三千夫 末黒野 201412
秋の灯の一つに電話ボックスも 常田希望 201412
秋の灯や身を寄せ合うて路地住まひ 川長坂正昭 春燈 201501
いくさ果つ秋の燈はてもなくともり 木下夕爾 春燈 201508
秋の燈のいつものひとつともりたる 木下夕爾 春燈 201508
秋の灯となりて子規読むことの遅々 土井三乙 風土 201512
句碑披き仏間の秋の灯は消さず 大橋晄 雨月 201512
暮れはやし厨に秋の灯しかな 黒澤登美枝 201512
秋の燈や一頭分の鞣し革 岩下芳子 201601
秋の灯に影を積み上げ古本屋 高橋将夫 201601
碇泊のここまで秋の灯取虫 黒滝志麻子 末黒野 201601
川音の花街はしる初秋の灯 伊藤希眸 京鹿子 201601
秋の灯や崩れさうなる古書の嵩 小泉貴弘 春燈 201601
秋の灯 →2      

 

2023年11月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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