秋の雲 2     200句

秋の雲神の蹠のごとく飛ぶ    上野泰

秋雲  秋の雲

作品
作者
掲載誌
掲載年月
まだ何も釣れぬバケツに秋の雲 長谷川守可 百鳥 200602
秋の雲プカリ漂ふ五十路坂 高安勝三 遠嶺 200602
旅立ちを喜びし子や秋の雲 高安勝三 遠嶺 200602
桜坡子忌心に仰ぎ秋の雲 森脇貞子 雨月 200602
秋の雲唐三彩の馬の背に 服部早苗 200602
秋の雲みづひきぐさにとほきかな 久保田万太郎 春燈 200603
松の上流るる秋の雲のひびき 瀧春一 常念 200606
丸ビルの高さに秋の雲を置き 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
湖北より膨らんで来し秋の雲 稲畑廣太郎 ホトトギス 200610
思ひ亦幾筋秋の雲三筋 林翔 200612
週末の予定は入れず秋の雲 倉持梨恵 200612
この八年看取りにも似し秋の雲 稲嶺法子 遠嶺 200612
白山へ吹き寄せられし秋の雲 林和子 200701
日の暮るるまで美しき秋の雲 藁谷恵美子 200701
漂泊のこころに秋の雲を見る 山田夏子 雨月 200701
武蔵野を電車の黄色秋の雲 宮津昭彦 200701
秋の雲わが命運の流れ行く 浅利恵子 ホトトギス 200702
まみゆるは約束出来ぬ秋の雲 舟橋千枝子 八千草 200705
噴煙も加へ百態秋の雲 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
忌心を西へ運びし秋の雲 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
秋の雲磐に佇む老漁師 吉沢陽子 200711
青邨の筆勢さながら秋の雲 鷹羽狩行 200711
秋の雲とけて流るる天の青 柳生千枝子 火星 200711
門跡の大樟くぐる秋の雲 谷村幸子 200712
大甕の水に揺蕩ふ秋の雲 内田和子 酸漿 200712
秋の雲筆の掠れを残しけり 小泉和代 酸漿 200712
悼む日の想ひをのせて秋の雲 鈴鹿仁 京鹿子 200712
珍しく朝の散歩や秋の雲 塙告冬 ホトトギス 200801
秋の雲ギリシヤ神話を演じをり 遠藤逍遙子 風土 200801
飽きもせず姉妹で仰ぐ秋の雲 柿崎寿惠子 酸漿 200801
秋の雲もう逢へぬとはどういふこと 阿部知代 200801
山門を置き去りにして秋の雲 斉藤道正 遠嶺 200802
秋の雲ホテルマウント富士白亜 稲畑廣太郎 ホトトギス 200809
うすうすとなきが如くに秋の雲 稲畑汀子 ホトトギス 200809
大気澄みはじめて秋の雲となる 稲畑汀子 ホトトギス 200809
のびやかに天空を航く秋の雲 柳生千枝子 火星 200809
秋の雲高層ビルを嗤ふかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200810
群れ鳥の伸縮自在秋の雲 塩路五郎 200811
山伏につづく火渡り秋の雲 鈴木漱玉 馬醉木 200812
秩父路やあばれ川追ふ秋の雲 鈴木陽子 炎環 200812
人形の家の窓より秋の雲 森戸柚斎 炎環 200812
秋の雲石屋は石にまたがりて 城孝子 火星 200812
纜のすぐほどかれし秋の雲 奥田順子 火星 200812
雨はれてプードルのごと秋の雲 坂井和子 酸漿 200812
秋の雲流れヤッホーと叫ぶ 陽山道子 船団 200901
室戸沖飛天に似たる秋の雲 栗田武三 ぐろっけ 200901
見て立てば移ろひやすき秋の雲 大井彌雨 雨月 200901
赤城山持ち上げてゐる秋の雲 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
三階の天窓教室秋の雲 青山正英 200911
らくだ往く後をくぢらが秋の雲 松本三千夫 末黒野 200911
編集長とは一塊の秋の雲 小澤克己 遠嶺 200911
初秋の雲の礼容今日の無事 遠藤タミ子 京鹿子 200911
少しづつ形を変へて秋の雲 山口天木 雨月 200911
巴里近し主翼の下に秋の雲 秋田建三 200911
蒼天の白波となり秋の雲 高橋将夫 200912
点滴の窓のパノラマ秋の雲 冨松寛子 200912
杉の穂に高野浄土の秋の雲 細川コマヱ 雨月 200912
遊園地ゴジラが吐ける秋の雲 松本三千夫 末黒野 200912
結末はメモ一枚の秋の雲 豊田都峰 京鹿子 200912
雪抱く崑崙の嶺に秋の雲 三井公子 酸漿 200912
噴煙の岩肌もろし秋の雲 黒部祐子 200912
秋の雲乗せて白壁通りかな 高倉和子 201001
乗り換への多き旅なり秋の雲 青木勝子 201001
ピレネーを越えしあの日の秋の雲 横井明子 201001
ぽつり食ぶる袋の菓子や秋の雲 小倉正穂 末黒野 201001
とりあへず時刻表みる秋の雲 井潟ミヨ 京鹿子 201001
猿沢の池に消えけり秋の雲 笠置早苗 火星 201001
大寺の屋根覆ひたる秋の雲 近藤豊子 雨月 201001
連なりて霊山のごと秋の雲 原田達夫 201001
宣誓を反復練習秋の雲 あさなが捷 201002
消えてゆくとき秋の雲なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201008
秋の雲離合集散岩木山 稲畑汀子 ホトトギス 201008
青空の動きゐるかに秋の雲 稲畑汀子 ホトトギス 201010
秋の雲抜ける緊張着陸す 稲畑汀子 ホトトギス 201010
家を捨て家郷は捨てず秋の雲 鷹羽狩行 201010
己が身の二つ三つ欲し秋の雲 西岡啓子 春燈 201011
木登る子仰ぐ子秋の雲やさし 秋葉雅治 201011
領布振ればわれも佐用姫秋の雲 柴田志津子 201011
連山に翳落しゆく秋の雲 小澤菜美 201012
大寺の雅楽の舞や秋の雲 笠井清佑 201012
採血に眼のおよぎ秋の雲 藤原照子 201012
小流れに沈む飯粒秋の雲 代田青鳥 風土 201012
止まれば先へ先へと秋の雲 加古みちよ 火星 201012
動物の親子仲よし秋の雲 長崎桂子 あを 201012
行列の毛槍のふれし秋の雲 佐藤千恵 京鹿子 201101
割り箸にくるむ綿菓子秋の雲 陶山泰子 ぐろっけ 201101
神戸より鈴の形の秋の雲 松岡水学 ぐろっけ 201101
さらさらの空をさらさら秋の雲 橋本くに彦 ホトトギス 201102
仙人がなぞりしやうな秋の雲 今村征一 ホトトギス 201103
さながらに飛天の衣や秋の雲 石黒興平 末黒野 201104
集合写真に載らない私秋の雲 堀内一郎 あを 201110
人に会ひ人に去られて秋の雲 高橋泰子 201112
秋の雲動かぬがまま被ふ空 岡田愛子 京鹿子 201112
製材の音いつまでも秋の雲 廣畑忠明 火星 201112
点滴に遅速ありけり秋の雲 内藤三男 ぐろっけ 201112
秋の雲手押車をしばし止め 中島霞 ぐろっけ 201112
秋の雲近海の網にからめられ 鈴木初音 201201
公園の砂取り変へる秋の雲 高橋泰子 201201
高円山たかまどに寄りてとどまる秋の雲 深澤鱶 火星 201201
秋の雲余生生き甲斐何とせむ 滝川あい子 雨月 201203
秋の雲崑崙を越えひろごれり 須賀充子 パミール越え 201206
秋の雲百態見せて崩れゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201210
残骸となりし田畑や秋の雲 高倉和子 201210
大利根の並べ替へたる秋の雲 鈴木阿久 201211
流木は筋をあらはに秋の雲 柴田佐知子 201211
見上ぐれば染みゐる青に秋の雲 菊地崇之 かさね 201212
秋の雲豹にも鯨にも自在 菅谷たけし 201212
中学の頃と同んなじ秋の雲 椿和枝 201212
せめぎ合ふ入道雲と秋の雲 森さち子 201212
一言の重さに思ふ秋の雲 中山静枝 201212
砂丘より眩しき海と秋の雲 大橋晄 雨月 201212
つきたての餅の如く秋の雲 山口天木 雨月 201212
岸辺なき刻の流れや秋の雲 五ヶ瀬川流一 六花 201212
秋の雲ヘリコプターを呑み込みぬ 中村恭子 201301
変化して動きの早き秋の雲 北村香朗 京鹿子 201301
藁屋根に陶の三毛猫秋の雲 古井公代 ぐろっけ 201302
浮かんでは消ゆる言霊秋の雲 高橋将夫 如意宝珠 201306
秋の雲尾鰭つくから黙っとこっ 斉藤裕子 あを 201311
笑へ笑へまだ生きてゐる秋の雲 斉藤裕子 あを 201311
泣ききって力も抜けた秋の雲 斉藤裕子 あを 201311
秋の雲インドカレー屋開店す 篠田純子 あを 201311
田子の浦富士の高嶺に秋の雲 四條進 201311
誰もゐぬ北大農場秋の雲 粟倉昌子 201311
黎の杖のきらら坂秋の雲 中島陽華 201312
竹林に抜け道のあり秋の雲 石脇みはる 201312
東屋でほほばるむすび秋の雲 吉成美代子 あを 201312
病窓の照り降りいつしか秋の雲 山内碧 201312
去るものを追ひかける性秋の雲 森下康子 201312
早々と小屋掛けはづす秋の雲 生方義紹 春燈 201401
行くものはゆふぐれどきの秋の雲 元橋孝之 京鹿子 201402
秋の雲寝ころぶ堅さありさうな 原田達夫 201402
秋の雲絡みしままのカタン糸 有賀昌子 やぶれ傘 201402
吾が影の小さくなりし秋の雲 大森尚子 風土 201402
櫓に絡む草の離れて秋の雲 広渡敬雄 201411
縹渺と影を山湖に秋の雲 渡部節郎 201411
秋の雲ながめてをれば大津過ぐ 大崎紀夫 やぶれ傘 201411
倦まず眺むや千変の秋の雲 大橋晄 雨月 201411
立秋の雲の気配はそれなりに 久保晴子 雨月 201411
今朝秋の雲の流れをみてをりぬ 山本漾子 雨月 201411
寂しさに顔あげて見る秋の雲 杉本綾 201412
秋の雲妹山背山掛け渡し 塩見英子 雨月 201412
新造船秋の雲連れ戻りけり 小林朱夏 201412
秋の雲山盛のホイップクリーム 長崎桂子 あを 201412
秋の雲アフリカの動物走る 長崎桂子 あを 201412
放浪をそそのかしゐる秋の雲 近藤喜子 201501
三枚におろし散らばる秋の雲 鈴鹿けい子 京鹿子 201501
棒倒しの棒のてつぺん秋の雲 有賀昌子 やぶれ傘 201502
秋の雲寝ころぶ堅さありさうな 原田達夫 箱火鉢 201511
秋の雲湧いてきました少しづつ 菊地瑩子 春燈 201510
秋の雲たしかに殖えてきてゐます 菊地瑩子 春燈 201510
秋の雲動かず三十四度かな 飯田ひでを 201511
飛行機雲東へ秋の雲となり 工藤ミネ子 風土 201511
秋の雲肩の辺りの力抜き 松本三千夫 末黒野 201511
薬剤師に歩けと言はれ秋の雲 片田きく 201511
山ひとつ陣跡として秋の雲 吉田葎 201512
出会うては別れて秋の雲疾し 松井季湖 201512
仰臥して子規思ひ眺む秋の雲 三輪温子 雨月 201512
観音の体内は寺秋の雲 田中藤穂 あを 201601
病室の窓よぎりゆく秋の雲 小渕二美江 春燈 201601
秋の雲けふは深紅に暮れにけり 小渕二美江 春燈 201601
尾を巻いて消えてゆくのも秋の雲 木村享史 ホトトギス 201604
カーテンを上ぐれば走る秋の雲 大坪景章 万象 201610
真鰯になりそこねたる秋の雲 中島芳郎 201611
突堤に老いし海士立つ秋の雲 柴田志津子 201611
秋の雲今日は詩人になれさうな 今井春生 201611
盲導犬にしづかな余生秋の雲 樋口みのぶ 201611
格納庫前に小型機秋の雲 大崎紀夫 やぶれ傘 201611
地球儀を回すごとくに秋の雲 菅谷たけし 201612
富士塚といふ虚へ登る秋の雲 菅谷たけし 201612
京へ行く風に乗りたる秋の雲 岩下芳子 201612
秋の雲幼子汽車に手を振りて 庄司久美子 201612
迦陵頻伽の影おおきかり秋の雲 中貞子 201612
大山や噴火の如く秋の雲 溝渕弘志 六花 201612
擦れ違ふ電車の向う秋の雲 天野美登里 やぶれ傘 201612
和紙うすく千切るちぎり絵秋の雲 有賀昌子 やぶれ傘 201612
水道を行き交ふ巨船秋の雲 今村千年 末黒野 201612
欄干に立てば広ごる秋の雲 佐藤博重 春燈 201701
日にち薬ただひたすらに秋の雲 岩井京子 201701
日を返す鰹木いくつ秋の雲 平野無石 201701
頂上のひとりの昼餉秋の雲 白石正躬 やぶれ傘 201701
また一つ交りの減り秋の雲 森俊人 201702
警笛にうごく豆汽車秋の雲 塚越弥栄子 末黒野 201704
秋の雲脱いでセスナ機現はるる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201709
太陽を隠して欲しき秋の雲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201710
秋の雲人恋しさにちぎれをり 沼田巴字 京鹿子 201710
水門に信号のあり秋の雲 菊地光子 201711
秋の雲父母なき家を流れゆく 秋川泉 あを 201711
釣人のバケツの中の秋の雲 平野みち代 201712
風神のいま吐きし息秋の雲 藤原照子 201712
秋の雲IPSの多様性 三木享 201712
折々の癒やしの言葉秋の雲 植村蘇星 京鹿子 201712
遙かなる海にも見えて秋の雲 志方章子 六花 201801
広縁へ潮騒遠し秋の雲 山下良江 万象 201802
仰向けば雑穀機あとの秋の雲 今井充子 201802
堂裏は笠松山や秋の雲 山田六甲 六花 201809
東雲の空立秋の雲流る 大石喜美子 雨月 201810
晩秋の雲引き寄せて電波塔 稲畑廣太郎 ホトトギス 201810
秋の雲箱ごと運ぶカップ麺 渡部ひとみ 船団 201812
秋の雲記憶のなかの影を追ふ 鈴鹿仁 京鹿子 201812
空に川面に羽根散らすやう秋の雲 はしもと風里 201812
キリンもぐもぐ食みゐるは秋の雲 栗原公子 201812
どうぶつのかたちをさがす秋の雲 稗田寿明 201812
我が町と思へぬ人出秋の雲 赤座典子 あを 201812
ブロンズの膝突く女秋の雲 田中藤穂 あを 201812
秋の雲堅田は湖魚を煮る匂 足立典子 雨月 201901
夕陽染む親子の鯨秋の雲 川井さち子 風土 201901
渋滞すバックミラーに秋の雲 野口希代志 やぶれ傘 201902
ひとひらとなりて流るる秋の雲 延川五十昭 六花 201902
今朝秋の雲入れ替はる背振山 三井所美智子 201902
秋の雲うすうすとあり奥の旅 稲畑汀子 ホトトギス 201908
夕映えをひとり占めせり秋の雲 沼田巴字 京鹿子 201910
秋の雲 →3      

 

2021年9月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。