秋暑し 3     100句

秋暑し気をとりなおす犬の顔    田沼文雄   呼気

秋暑し  残暑

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋暑し大儀に下ろす踏切り棒 丸山佳子 京鹿子 200611
隣人の見まがふ老いや秋暑ふと 成宮紀代子 200611
風の道猫に知らさる秋暑かな 荻野嘉代子 春燈 200611
行く行かぬ行かずばならぬ秋暑し 金子輝 春燈 200611
オルゴール奏づる受話器秋暑し 岩間冴子 200611
秋暑し未完の一句もちあるく 外川玲子 風土 200611
すぐそこと言はる道程秋暑かな 鈴木庸子 風土 200611
この秋暑眼鏡のくもり拭ひけり 菊地惠子 酸漿 200611
藻畳の鉄気帯びたる秋暑かな 高橋さえ子 200611
鉄筋の解体現場秋暑し 岡谷栄子 200612
先取りのブーツファッション秋暑し 植山美代子 200612
秋暑し口裂けさうな歯科治療 谷内順子 200612
ガラス工房入るや秋暑の身に迫り 山本漾子 雨月 200612
声出して秋暑の起居はげましぬ 福間須美江 200612
ぽこぽこと木魚叩いて秋暑し 坊城俊樹 ホトトギス 200701
秋暑し天安門の人の波 古川洋三 遠嶺 200701
看護師と語るのみなり秋暑し 苑実耶 200701
秋暑しセールスの電話ばかり鳴る 秋千晴 200702
ビユーラーに絡まぬ睫毛秋暑し 中野英歩 八千草 200702
海際に秋暑だまりのありにけり 百瀬七生子 海光 200705
秋暑し鋭心失せて籠り居る 瀧春一 200706
秋暑なほ手錠めく駐輪の錠 杉良介 200708
歯をはらす妻の弱音に秋暑し 鈴木阿久 200710
秋暑し品川富士の鉄鎖攀ぢ 千田百里 200710
秋暑し衝動買ひの半値市 頓所友枝 200710
木々の葉のみどり臈たけ秋暑し 布川直幸 200711
秋暑しなまくら指に葉切り傷 布川直幸 200711
秋暑し艫綱ゆるき高瀬舟 鈴木阿久 200711
焦げるほど秋暑の耕土乾きをり 椿和枝 200711
雑踏に信号待つや秋暑し 佐々木新 春燈 200711
手の甲を青筋くねる秋暑かな 小林清之介 風土 200711
秋暑し過去へ振りむくことはせず 鈴鹿仁 京鹿子 200711
くぐもりて鳴る土の鈴秋暑し 藤岡紫水 京鹿子 200711
大噴水止まり緑地の秋暑かな 近藤豊子 雨月 200711
秋暑し背釦殊にもどかしく 窪田粧子 馬醉木 200711
秋暑し行間読めぬルーペの字 富川明子 200711
秋暑き権現茶屋の氷果かな 阿部ひろし 酸漿 200711
秋暑また椨の木は瘤殖やしけり 木内憲子 200711
秋暑し身をもてあますペルシャ猫 早崎泰江 あを 200711
骨折の弓手のギブス秋暑し 中山勢都子 200712
秋暑しおのれ励ますひとり言 林和子 200712
秋暑し疲れ知らずの三才児 金井香ル 200712
採血はエイズの検査秋暑し 宮崎高根 200712
秋暑し背広を椅子に羽織らせる 石田きよし 200712
秋暑し終の家探す見学会 山口ひろよ 200712
しろながすくぢらのごとき秋暑かな 辻美奈子 200712
ピカソ展出でて秋暑の雲ゆがむ 三好千衣子 200712
秋暑し沓脱石の白きひび 阿部正枝 遠嶺 200712
団子屋の売切れ札や秋暑し 安田久太朗 遠嶺 200712
秋暑し二の門跡のさざれ石 松山陽子 遠嶺 200712
秋暑し生くることにも疲れしよ 細川コマヱ 雨月 200712
仏飯の乾ききったる秋暑し 廣瀬義一 雨月 200712
秋暑し口重くなる午さがり 舩越美喜 京鹿子 200712
秋暑し頭に挙げてゐる子猫の手 岡有志 ぐろっけ 200712
秋暑し煮炊に倦めば母のこと 上林孝子 200712
汐の引くごとき身疲れ秋暑し 藤井昌治 200712
みんみんも残りて鳴ける秋暑かも 阿部ひろし 酸漿 200712
温暖化に氷河の飛沫秋暑く 金山藤之助 200801
首振りて解くネクタイ秋暑し 峰尾秀之 200801
ラマダンの明けし賑ひ街秋暑 金森信子 雨月 200801
秋暑し仮の住まひの皿・小鉢 服部早苗 200801
両の手に犬曳く女秋暑し 大西八洲雄 万象 200801
秋暑し馬車風紋を踏み散らす 岩崎可代子 ぐろっけ 200801
秋暑し資料であおぐ五分前 土屋利之 ぐろっけ 200801
蔵構へ残る船場の秋暑し 宮崎正 ホトトギス 200802
適塾の高き階秋暑し 宮崎正 ホトトギス 200802
幕末の剣豪武楽碑の秋暑 角直指 京鹿子 200802
少年のリップクリーム秋暑し 松村紀久男 ぐろっけ 200802
音沙汰があればあったで秋暑し 火箱遊歩 船団 200803
秋暑してらてらといる招き猫 坪内稔典 稔典句集 200804
秋暑し舗道のタイル一つ欠け 木村佳寿江 炎環 200810
秋暑し女をんなの劇場前 棗怜子 春燈 200811
秋暑し燈を強め苦吟せり 小城綾子 200811
秋暑し時には重きネックレス 船越和香 馬醉木 200811
秋暑し非常口より由比ヶ浜 市ノ瀬遙 炎環 200811
子守唄知らぬ嬰守り秋暑し 青木ちづる 200811
山車小屋に錠のいろいろ秋暑し 大山文子 火星 200811
秋暑し蚕部屋にかかる段梯子 大山文子 火星 200811
鯉炊に酒の一升秋暑し 大山文子 火星 200811
秋暑し雄鶏が木に棲みつける 亀田やす子 万象 200811
厨房に皿割れし音秋暑し 彩響子 200812
喜寿にして癌と対峙や秋暑し 金山藤之助 200812
モデルルームに六法全書秋暑し 飛鳥由紀 200812
秋暑し夕暮れ早き田んぼ径 鴨下昭 200812
秋暑しもぐらたたきの如き治療 高木智 京鹿子 200812
とりどりに吹かれゑのころ秋暑し 城孝子 火星 200812
抽斗の中の筆入れ秋暑し 飯塚ゑ子 火星 200812
みちのくの旅を戻れば秋暑し 安原葉 ホトトギス 200901
秋暑し微かに水音眠り聞く 稲岡長 ホトトギス 200901
秋暑し夢に浜辺を走りゐる 大島英昭 やぶれ傘 200901
すれ違ふ絵具の匂ひ秋暑し 靜寿美子 ぐろっけ 200904
記念樹の下に秋暑を解きにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200909
秋暑し刻打ち人形撥遅れ 品川鈴子 ぐろっけ 200909
秋暑し児を裏返す掌 篠田純子 あを 200909
秋暑し換へねばならぬ非常食 竹内弘子 あを 200909
秋暑し新作暦展示さる 中村芳夫 200910
朝まだき地震の一撃秋暑し 磯村こうき 200910
秋暑きベランダの灯のほたる族 山本孝夫 200911
山の手線の十輌編成秋暑し 森下康子 200911
秋暑し階のぼりきし叱りごゑ 森ゆみ子 炎環 200911
仙台坂のぼり切つたる秋暑かな 折橋綾子 200912
清張の描く悪女や秋暑し 稲垣眞弓 200912
自愛せよの一語の重き秋暑かな 横山義恭 200912
角張りし後ポケット秋暑し 代田青鳥 風土 200912
喘ぎつつ坂登りけり秋暑し 岡和絵 火星 200912
秋暑し鍋釜干せる尼の寺 三井公子 酸漿 200912
秋暑し鴉がからす呼ぶ真昼 乗鞍三彦 春燈 200912
秋暑し疲れを知らぬ児に疲れ 中村喜美子 春燈 200912
秋暑し島のマリアは海女に似て 七種年男 200912
秋暑し鯉のあぎとふ濁り池 菅野日出子 末黒野 200912
秋暑しかくやの茄子の青紫 神戸京子 ろんど 200912
秋暑しおひねり飛び交う繁昌亭 福島悠紀 ぐろっけ 200912
次々にペンギンあくび秋暑し 塩出眞一 ぐろっけ 200912
石階の百余を極む秋暑かな 安斎久英 末黒野 200912
奈良町に寄席の呼込み秋暑し 塩出眞一 ぐろっけ 200912
荒草も捩れるほどの秋暑かな 関根喜美 200912
コルク銃狙ひ定めて秋暑し 堤節子 ぐろっけ 200912
医師の話妻と聞き入る秋暑かな 木村傘休 春燈 200912
ばら苑に棘のひしめく秋暑かな 隅田恵子 雨月 201001
使はざる脳を使ひて秋暑し 島内美佳 ぐろっけ 201001
秋暑し下山爪先靴が咬む 島純子 ぐろっけ 201001
防災の長き訓示や秋暑し 杉本裕子 末黒野 201001
松が枝にかげ濃きところ秋暑し 大島英昭 やぶれ傘 201002
秋暑し私の中の複複線 桑名さつき ろんど 201002
秋暑し臼の音こもる水車小屋 森清尭 末黒野 201004
ビル街の秋暑に耐ふるタイカレ− 宇都宮敦子 調 201008
秋暑し怒涛で鎧ふ磯の岩 布川直幸 201009
元通り国旗たたまれ秋暑し 片山由美子 201009
秋暑し路地に進みし救急車 須賀敏子 あを 201010
霊水の味無き旨さ秋暑し 堤京子 馬醉木 201010
高札場囲ふ秋暑の手擦れ塀 吉田政江 201010
潮の香をふくむ漁船や秋暑し 久保久子 春燈 201011
茶畑に遮光ネットや秋暑き 笠井清佑 201011
台座高く「考える人」秋暑し 丸山照子 火星 201011
早朝に来てゐる庭師秋暑き 和田郁子 201011
前文はご免下さい秋暑し 小西和子 201011
生家もうなくて秋暑のピザ届く 辻美奈子 201011
てのひらに外郎もらふ秋暑かな 竹内弘子 あを 201011
きささげの千筋に垂るる秋暑かな 籾山梓月 ぐろっけ 201011
流れ藻のうち重なれり秋暑し 櫻木道代 ぐろっけ 201011
秋暑疲れ週間予報見ればなほ 大橋晄 雨月 201011
秋暑し名を忘れたる人と居て 舩越美喜 京鹿子 201011
秋暑し庭に放置の竹箒 塩路五郎 201011
秋暑し脱線電車気づかれず 出口誠 六花 201011
秋暑し仔細述ぶるに時かかる 田中藤穂 あを 201011
秋暑し妻の返事は間をおきて 石原光徳 酸漿 201011
秋暑し弘法市の豆いろいろ 大山文子 火星 201011
秋暑し刑場跡の平和の碑 渡邊泰子 春燈 201011
秋暑し帰りもひとりの歩道橋 仁平則子 201011
秋暑し甘酒煮ゆる音と香と 和智秀子 酸漿 201011
秋暑し一気にのぼる馬柵の道 松田明子 201011
秋暑しインターホンで神説かれ 松岡和子 201011
秋暑しおもちや並べて見てるだけ 出口誠 六花 201011
秋暑く訃報重ねの潮ぐもり 遠藤真砂明 201011
秋暑し手動で開けし青梅線 須賀敏子 あを 201011
秋暑し箪笥の上のうす埃 須賀敏子 あを 201011
秋暑し洋照りを分け船帰る 松井志津子 201011
耳につきしエンジン音や秋暑き 大橋敦子 雨月 201011
風を乞ひ一雨を乞ふ秋暑なり 菊地惠子 酸漿 201011
参道の砂利の痛さも秋暑し 高倉和子 201011
「よろしゅうおあがり」てふ振りかけや秋暑き 森下康子 201011
震へつつ渡る秋暑のかづら橋 池田加寿子 201011
生ゴミを仕分ける鴉秋暑し 塩路五郎 201011
遅刻して視線集まる秋暑かな 五十嵐章子 201011
口笛も擦れ気味なる秋暑かな 寺岡ひろし 雨月 201012
値上げとて煙草買込む秋暑し 先山実子 ぐろっけ 201012
軒先を掠める機影秋暑し 島原惠子 201012
大阪の地下は迷路よ秋暑し 竹内悦子 201012
宮参りあやす写真屋秋暑し 小浦榮子 酸漿 201012
陣笠を目深な衣裳秋暑し 松田和子 201012
配られしビラを庇に秋暑し 金山千鳥 酸漿 201012
顔のみとなりし大仏秋暑し 坂本野歩 201012
老犬の迷路ゆくかに秋暑し 西岡啓子 春燈 201012
改築の長引く隣家秋暑し 鈴木浩子 ぐろっけ 201012
秋暑し神戸事件の同型砲 高橋大三 ぐろっけ 201012
秋暑し党首討論聞けばなほ 福田漣 201012
秋暑なほ猫の目大きくなりしかな 北川孝子 京鹿子 201012
秋暑し乳房手術の人見舞う 濱田ヒチヱ ぐろっけ 201012
秋暑し池の吐息か泡生る 近藤きくえ 201012
秋暑し醍醐の杜の力水 柳橋繁子 201012
秋暑し草に隠れし屋敷神 藤田満枝 万象 201012
秋暑し使ひ残りのドル紙幣 山本無蓋 201012
秋暑し見知らぬ草の逞しく 本多慶子 万象 201012
秋暑し乾びきったる手水鉢 福島悠紀 ぐろっけ 201012
秋暑き川の溜息あぶく湧く 坂上香菜 201012
わが影の杖のみ元気秋暑光 小林正史 201012
小面の歪みてみゆる秋暑し 植竹美代子 雨月 201012
手つかずのまゝの原稿秋暑し 年森恭子 ぐろっけ 201012
偏西風迷走蛇行秋暑し 佐々木新 春燈 201012
お仕置きのやうなる秋暑山ノ内 田中貞雄 ろんど 201012
青年に髭の流行秋暑し 池本喜久恵 201012
三叉路の風が拗ねゐて秋暑し 和田照子 201012
点滴の漏るる青痣秋暑く 木曽鈴子 ぐろっけ 201012
肩寄せて無縁墓百秋暑し 福島悠紀 ぐろっけ 201012
濁声の秋暑掻き立てゐる鴉 柴田良二 雨月 201012
シャンパンの瓶は長靴秋暑し 竹内悦子 201012
鯉の背に日の丸模様秋暑し きくちきみえ やぶれ傘 201101
水の地球は宇宙の泪秋暑し 松本圭司 201101
秋暑し道にはみ出す大南瓜 高倉恵美子 201101
秋暑し腸の検査を待つ寝椅子 林哲夫 ぐろっけ 201101
秋暑し→4      

 

2021年8月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。