残 暑 6 (残る暑さ)    137句

涼し過ぎてゐしにうれしき殘暑かな   松瀬青々

秋暑し  残暑

作品
作者
掲載誌
掲載年月
風穴に残暑の素面晒しけり 藤沢秀永 201702
梵鐘の音色にこもる残暑かな 塚越弥栄子 末黒野 201704
墨すって指よごしたる残暑かな 中川句寿夫 ここのもん 201705
寝違いのパジャマをたたむ残暑かな 中原 幸子 船団 201707
現代と古代を繋ぐ城残暑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
みちのくの残暑大東京の処暑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
みちのくへ残暑を連れて行く旅路 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
追悼文書きはじめたる残暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 201708
この残暑乗り越えゆかん心あり 稲畑汀子 ホトトギス 201708
いくたびも庭に出てみる残暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 201708
青空に雲ひとつ置く残暑かな 篠原京子 201709
老い達の体操合はずして残暑 野沢しの武 風土 201710
茘枝よき実りを見する残暑かな 安立公彦 春燈 201710
元気かと問はれ残暑の背を伸ばす 古川幸子 春燈 201710
中学生群なして行く残暑かな 辻美奈子 201711
わが影の太く短き残暑かな 田村園子 201711
取り込みし洗濯ものにある残暑 長谷川翠 馬醉木 201711
残暑なほ読後の新聞膨らみで 柿沼盟子 風土 201711
大寺に残暑の傘を折りたたむ 中村洋子 風土 201711
投函の音のかそけき残暑かな 赤石梨花 風土 201711
古時計刻違へ打つ残暑かな 川崎良平 雨月 201711
板塀の釘の錆浮く残暑かな 川崎良平 雨月 201711
不良少年残暑の残るコンビニに 大日向幸江 あを 201711
九時打つと針が直角残暑の候 定梶じょう あを 201711
硝子戸に残暑の熱の溜まりかな はしもと風里 201712
暖色に替はるマネキン残暑光 菅野日出子 末黒野 201712
禅寺に外語飛び交ふ残暑かな 原和三 末黒野 201712
半袖に長袖混じる残暑かな 伴秋草 末黒野 201712
開くたびどつと残暑の乗り込めり 五十嵐章子 201712
眼科より内科へまはる残暑かな 土井三乙 風土 201712
手術後の傷跡うづきゐる残暑 伊藤更正 やぶれ傘 201710
木漏れ日の斑に残る暑さかな 磯貝尚孝 清閑 201804
供花焚きし灰の残れる残暑かな 横田敬子 201802
残暑なき二十四階へと着きぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201808
誰彼の恙の話聞く残暑 稲畑汀子 ホトトギス 201808
大阪の三十八度てふ残暑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
鳴くものの声を吸ひ込む残暑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
この残暑嵐近付く気配とも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
ともかくも働きに出る残暑かな 森岡正作 201810
さるすべり一本高き残暑かな 大嶋洋子 春燈 201811
黙祷に体の傾ぐ残暑かな 栗原公子 201811
予後の身の繰る辞書重き残暑かな 大室恵美子 春燈 201812
ホールインワンオールインワン残暑 鈴木みのり 201812
姿見の奥までもゆる残暑かな 饗庭悳子 末黒野 201812
鳥声の絶えて久しき残暑かな 加藤静江 末黒野 201812
安堵して外出すれば残暑なり 永田万年青 六花 201812
誤字ふたつ残暑見舞いは延着し 朝倉晴美 船団 201812
家中が残暑に負けて犬までも 山田閏子 ホトトギス 201901
草も木もじつとしてゐる残暑かな 大西乃子 201902
残暑厳し籠りて好機とり逃がす 日置涛魚 201904
ジッパーに喰ひ込んでゐる残暑かな 今村千年 末黒野 201904
よく晴れしことが残暑をつのらせる 稲畑汀子 ホトトギス 201908
夕風に消えゆくほどの残暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 201908
忘れゐし残暑の外出なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201908
奥の旅終へて残暑の家路かな 稲畑汀子 ホトトギス 201908
旅予定次々迫り一くる残暑 稲畑汀子 ホトトギス 201908
残暑なほ稿債追はれゐるばかり 稲畑汀子 ホトトギス 201908
いつまでもいとふ残暑でありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201908
喪に籠る友に残暑の如何ばかり 稲畑汀子 ホトトギス 201908
一と雨の欲しき残暑と思ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201908
残暑とは思へぬ朝の来てをりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201908
空に伸ぶクレーン残暑掻き混ぜて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
残暑切り裂いてサヨナラホームラン 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
目の奥に残暑纏ひし怒りかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
弱さうな猿と目の合ふ残暑かな 今井肖子 ホトトギス 201909
地動説信じたくなき残暑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
加齢ですと片付けられしまま残暑 宮坂秋湖 201910
鎌錆びて物置小屋の隅残暑 宮坂秋湖 201910
いぶかしむ残暑見舞に追って書き 定梶じょう あを 201910
太つちよがランニングする残暑かな 小山よる やぶれ傘 201911
手と足をばたつかせたる残暑かな 出口誠 六花 201911
コーヒーを飲みたくなりぬ残暑かな 出口誠 六花 201911
自転車のペタル踏みつぐ残暑かな 藤生不二男 六花 201911
わが影踏む残暑が痛いと音立てる 伊藤希眸 京鹿子 201911
椨の木の瘤の抱ふる残暑かな 森清堯 末黒野 201911
中華鍋ゆすり残暑の火を吐かす 大矢恒彦 201911
残暑日々夫に清けき水供ふ 吉田陽代 201911
クレーンに釣り上げられる残暑かな 阪倉孝子 201911
泣きやまぬ子に逆らへず残暑なほ 渡辺若菜 春燈 201911
残暑なほ指に纏はる縮れ髪 安田優歌 京鹿子 201911
怒濤音島の残暑を裏返し 齊藤いさを 馬醉木 201911
残暑なる綿雲ぷかりぷかりかな 大橋晄 雨月 201911
焼売の折下げてくる残暑かな 波戸辺のばら 201912
心做し縁のつめたき残暑かな 藤生不二男 六花 201912
念珠抱き残暑の夜に入りけり 竹中一花 201912
増税に飲み込まれゆく残暑かな 大森尚子 風土 202001
階段を一段戻りゐる残暑 住田千代子 六花 202001
残暑きびし雲は怒りの拳あげ 志方章子 六花 202001
日の出よりもう始まつてゐる残暑 山田佳乃 ホトトギス 202001
残暑これしきと己に言ひ聞かせ 木村享史 ホトトギス 202003
狛犬の阿吽踏ん張る残暑かな 遠藤清子 末黒野 202004
出港の銅鑼は残暑を遠ざけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
この残暑ドンペリニヨン冷えてます 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
松島も残暑の旅路なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 202008
仲見世の庇の下の残暑かな 宮崎紗伎 春燈 202009
挨拶のいつまで残暑見舞かと 稲畑汀子 ホトトギス 202009
紫に暮れて小名木川の残暑かな 菊地光子 202010
元の道ふと忘れたる残暑かな 善野行 聖五月 202010
アルバムを開く残暑の八畳間 安藤久美子 やぶれ傘 202010
エアコンのエコボタン押す残暑かな 小山よる やぶれ傘 202010
達筆に見とれ残暑を忘れをり 加藤みき 202011
残暑なほ柔きもの胃に角ばつて 熊川暁子 202011
いつか止む残暑いつ已む疫禍かな 遠城健司 202011
残暑かな夜風が顔に心地よく 出口誠 六花 202011
天にすむ星にも寿命残暑なり 丸井巴水 京鹿子 202011
沖の船見えず残暑の砂の焼け 森高武 風土 202011
ネックレス手早く外す残暑かな 門伝史会 風土 202011
さらさらと茶漬の欲しき残暑かな 斉藤マキ子 末黒野 202011
赤ペンに汚るる定規残暑なほ 柿沼盟子 風土 202012
句座帰りの鞄にこもる残暑かな 石黒興平 末黒野 202012
勝手口のサンダルにある残暑かな 上家正勝 末黒野 202012
青信号待つ身へ残暑容赦なく 市川夏子 末黒野 202012
書店まで俯き行きし残暑かな 永田万年青 六花 202012
先斗町の道巾狭し残暑かな 五十川智恵子 京鹿子 202101
クレーンに鉄ぶらさがる残暑かな 三井所美智子 202102
パソコンのゲームに執す残暑かな 飯塚トシ子 202110
列島の残暑の鎖ほどけない 鈴鹿呂仁 京鹿子 202110
加齢てふ脳味噌萎む残暑かな 植村蘇星 京鹿子 202110
鼠の巣石もて埋むる残暑かな 篠田純子 あを 202110
植込みにマスク捨てある残暑かな 篠田純子 あを 202110
草丈の伸ぶるに任す残暑かな 安立公彦 春燈 202110
珈琲のかをりの重き残暑かな 栗原公子 202111
潮入りの潟匂ひくる残暑かな 七田文子 202111
ふるさとの駅弁探す残暑かな 太田良一 末黒野 202111
サイレンに犬が応へてゐる残暑 大島英明 やぶれ傘 202111
いつの間にか故人を想ひゐる残暑 丑久保勲 やぶれ傘 202111
納得をせぬも頷く残暑かな 大室恵美子 春燈 202111
アスファルトを転がつてゆく残暑かな 鷺山珀眉 京鹿子 202111
城の街擂鉢ぞこの残暑かな 西村白仔 京鹿子 202111
海光を散らす残暑のぽんぽん船 石原孝人 京鹿子 202111
残暑見舞びっくり箱の富士の風 藤本孝子 京鹿子 202111
残暑打つホースの水の放物線 小田嶋野笛 末黒野 202112
水かけて土蔵を壊す残暑かな 土井ゆう子 風土 202112
横書きの丸文字残暑見舞来る 江口恵子 やぶれ傘 202112
残暑早や波がさらつて行きにけり 星野椿 ホトトギス 202201
残暑なる空憎しげに青きかな 河野昭彦 ホトトギス 202201
馬の眼に残暑の沖のあをあをと 小野寿子 202201
残暑→ 1

 

2022年8月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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