1      230句

ひざまづき蓬の中に摘みにけり    高野素十

蓬(夏蓬・冬蓬)    さしも草  餅草

作品
作者
掲載誌
掲載年月
献立てのはなしもちきり蓬摘 岡山道江 ひまわり 199806
母の忌の厨に満ちて蓬の香 筧隆代 199808
枕より外れて熟睡の蓬原 藤田守啓 船団 199811
蓬摘む一円光のなかにゐて 桂信子 船団 199903
右腕は雲の匂いに蓬摘む 守谷茂泰 船団 199903
畦一つ選びて蓬摘みはじむ 門伝史会 風土 199905
蓬摘む手元を小さき風の舞ふ 金國久子 青葉潮 199907
蓬嫡む渡瀬川の橋越えて 林田加杜子 いろり 200004
蓬萌ゆ野神の塚は川を背に 辻井桂子 俳句通信 200004
傾きて蓬のうへの蓬籠 小山森生 200005
くつきりと河岸段丘蓬摘む 春田淳子 俳句通信 200005
蓬摘む母の忌近き芦屋川 朝妻真知子 俳句通信 200005
蓬摘むときどき空を仰ぎつつ 松塚香寿子 俳句通信 200005
遠景に富士を置きたる蓬摘 鈴木とし子 遠嶺 200006
万博のフランス館跡蓬萌ゆ 夏秋明子 火星 200006
マラソンの過ぎゆく土堤に蓬摘む 伯井茂 春耕 200006
燃えあとの紙の焦げより蓬かな 浜口高子 火星 200007
万葉の野に郎女の蓬摘む 辻享子 六花 200007
蓬籠置かれて日陰まださむき 岡本眸 200007
喉自慢の鐘鳴るラヂオ蓬摘む 朝妻力 俳句通信 200104
ひざまづき詫ぶるごと摘む蓬かな 大西正栄 雨月 200105
子らに目の届く辺りの蓬摘む 川畑良子 200107
蓬の香籠に満たせり筑波の子 皆川盤水 春耕 200107
蓬萌え葉裏の白をすでに見す 能村登四郎 羽化 200110
急に子が遠く見ゆる日蓬摘む 坂本京子 200201
蓬摘む土手揺るがせて貨車の列 海老澤映草 春耕 200204
蓬生やホラー小説盛んなり 瀬川公馨 200205
蓬摘む日の傾きし佐紀の里 辻井桂子 雲の峰 200205
野の風の育てしかをり蓬摘む 東うた子 200206
遠き日の母と蓬を摘みしこと 渡部義次 雲の峰 200206
蓬摘む背ナに日射しのありにける 松下八重美 200206
空壕を覗くに蓬踏みゐたり 山本漾子 雨月 200206
小ながれに夕日のまろぶ蓬籠 金田きみ子 200206
病む友の薬膳とせむ蓬摘む 芝宮須磨子 あを 200206
烈風や地を這ふやうに蓬摘み 別府優 200206
蓬摘む妻の真似してひざまづく 山本久美子 ぐろっけ 200206
蓬生に風ホフマンの舟歌よ 加藤みき 200207
黒髪の風に逆立つ蓬摘 青山丈 200207
蓬萌ゆ商人屋敷の箴言書 小阪律子 ぐろっけ 200207
蓬摘み大地に話しかけながら 三崎由紀子 遠嶺 200208
憂き事もしばし忘れて蓬摘む 恩塚典子 ぐろっけ 200208
蓬摘み海辺の道を帰りけり 大串章 百鳥 200304
恵方へと蓬の畦を踏んでゆく 影山わこ 百鳥 200304
身のうちの絆し解かるる蓬摘 清水節子 馬醉木 200305
昼月や加曾利の丘の蓬摘む 小林共代 風土 200305
天麩羅の軽き苦味や草蓬 佐野雅明 築港 200307
蓬摘む手籠に風の嵩もあり 高橋房子 200309
蓬の香立たせ国道草刈れり 及川茂登子 対岸 200310
安楽死乞はれ蓬野踏みしめをり 岡井省二 岡井省二全句集 200312
夙より蓬刻みし媼かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200403
川上に鉄橋の弧や蓬摘 鷹羽狩行 200404
土手のぼる蓬の新芽踏まぬやう 早崎泰江 あを 200404
摘んで来し蓬と籠と干してあり 大串章 百鳥 200405
日のかけら記憶の欠片蓬籠 小野恵美子 馬醉木 200405
蓬萌え初む決まりごとあるやうに 伊藤早苗 200406
素通りのできぬ蓬の出でにけり 高木千鶴子 酸漿 200406
一幅の絵になつてゐる蓬摘み 丸山佳子 京鹿子 200406
蓬摘井戸は海へとつづきけり 鈴木多枝子 あを 200407
いたつきの師や姫昔蓬咲き 細井紫幸 草の花 200411
ひんがしの風に立ちたる蓬ぐさ 山尾玉藻 火星 200503
いつしかに忘れし名前長け蓬 小川匠太郎 200505
春の雪溺れさうなる蓬の芽 五十嵐暢子 対岸 200505
しなやかに蓬を捕らふ牛の舌 戸栗末廣 火星 200505
蓬摘む思ひのほかにくたびれて 土屋久美子 築港 200505
蓬干す白寿を目指す母の湯に 森理和 あを 200505
蓬生やぞくぞく人の出で来たる 本田俊子 200506
野焼きあと摘みし蓬の香のつよき 赤松郁代 万象 200507
蓬摘む古りし擂鉢洗ひあげ 馬場三枝子 200507
蓬摘むそれぞれの影曳きながら 横山干鶴子 河鹿 200508
おさな児の如き仕草で蓬摘む 北中みやこ ぐろっけ 200508
解禁を待ちつつ海女の蓬摘む 東野鈴子 雨月 200508
蓬干す香に母恋ふる故郷かな 水田清子 200603
かまきりの卵見出づに蓬萌ゆ 石田章子 200605
金星の瞬くところ蓬生ふ 加藤みき 200605
振り下ろす鍬に付き来る蓬かな 加藤廣子 火星 200605
杣人の節句蓬を葺くばかり 滝沢伊代次 万象 200605
枯菅に青き蓬に春時雨 瀧春一 常念 200606
嫁姑一つ袋に蓬摘む 阿部澄 万象 200606
薬師堂の鈴を鳴らして蓬摘む 竹中龍青 200606
蓬摘む火の見櫓の影の中 荒木民子 200606
蓬萌え日差しまばゆき始発駅 倭文ヒサ子 酸漿 200606
マシュマロや蓬生に日の暮るるまで 石脇みはる 200606
春と書けば今会へるらし芹蓬 鈴木多枝子 あを 200606
蓬摘ひとつみの香を確かむる 小野タマ枝 酸漿 200608
蓬摘む姑の手際のよかりけり 岩松八重 六花 200608
摘みごろの蓬と見るも吾は旅人 嶋田摩耶子 ホトトギス 200609
きかん気の草が木になる花蓬 丸山佳子 京鹿子 200611
ぎんねずの蓬の波の大河原 加藤みき 200704
川の陽を土手にも延べて蓬萌ゆ 大川冨美子 ぐろっけ 200705
いつぷくの指より香る蓬草 北島和奘 風土 200705
蓬草耳成山へ吹かれけり 高橋芳子 火星 200705
韮蓬あをあをと伸び墓地の道 田中藤穂 あを 200705
われに還暦てふが来て蓬摘む 遠藤若狭男 200708
肘枕長けし蓬の上に月 山田六甲 六花 200709
蓬摘む孫に語らう母のこと 大滝香釈 八千草 200710
萌え出づる蓬のしとね皇子の墓 中山純子 万象 200804
子は屈み吾脚投ぐる蓬摘み 岸はじめ ぐろっけ 200805
蓬萌えおのづと増える外仕事 杉本綾 200806
芹蓬摘みしはむかし師の畦に 斉藤小夜 風土 200806
蓬茹で緑濃き水捨て惜しむ 望月久美子 200806
蓬生にかたむき沈むよもぎ籠 南うみを 風土 200807
すり傷に蓬をあてて若狭の子 南うみを 風土 200807
学校の門までつづくよもぎかな 岬雪夫 200808
蓬摘むふつと聴えし母の声 谷岡尚美 200808
夕ごゑのしばらくありぬ蓬摘 三谷道子 万象 200808
血圧に効くと妹蓬干す 濱田ヒチヱ ぐろっけ 200808
蓬摘み来たる指先染まるほど 稲畑汀子 ホトトギス 200903
震災後十年蓬生ふ更地 稲畑汀子 ホトトギス 200903
蓬生に杖引く影も和みけり 村上光子 馬醉木 200904
西国の蓬の生ふを見つつ往く 椿和枝 200905
城跡の見えて径あり蓬萌ゆ 高木千鶴子 酸漿 200905
潮風の岬に屈み蓬摘む 加藤峰子 200906
七曜に余白などなし蓬摘む 並河富有野 京鹿子 200906
蓬摘む人に土筆を分けにけり 浅嶋肇 やぶれ傘 200906
蓬とは母が教へてくれし草 嶋田一歩 ホトトギス 200907
蓬摘む母ゐし確か父もゐし 嶋田一歩 ホトトギス 200907
摘みごろの蓬はこゝに今年また 嶋田摩耶子 ホトトギス 200907
もぐさより餅になりたき蓬かな 高橋将夫 200907
蓬摘む百会乾いて来りけり 冨松寛子 200907
裁許橋蓬を見るに戻らねば 古川忠利 ろんど 200907
金婚の蓬を摘んでをりにけり 延広禎一 200908
石垣の低きに生えし蓬かな 仲山秋岳 万象 200908
スカートをはなれぬ風や蓬摘む 城孝子 火星 200908
蓬摘む母と摘みし日遠かりき 和田崎増美 雨月 200908
房総の潮風かかる蓬摘 鈴木多枝子 あを 201004
出来立てや店主自慢の蓬餅 和田郁子 201005
竹林をぬけきし蓬摘の籠 山尾玉藻 火星 201005
潮風に頤うすく蓬摘む 大山文子 火星 201005
勾玉に母を思うて蓬かな 佐藤涼宇子 ろんど 201005
染付けの絵筆を休め蓬餅 富田範保 201005
石臼や母が自慢の蓬餅 宮崎左智子 201006
このあたり志賀の旧跡よもぎ摘む 清水侑久子 201006
やはらかさ形にしたる蓬餅 足立幸信 201006
蓬摘む褥繕ふやうにかな 荒木甫 201006
郷愁を掻き立つる色蓬餅 西村純代 201006
巡礼に伊予の訛や蓬餅 落合絹代 風土 201006
帰路いつか一人となりし蓬摘む 菅原末野 風土 201006
母の籠父の鎌持ち蓬摘 國分貴博 201006
もう去ぬと言うてまた摘む蓬草 田中文治 火星 201006
噎せるほど乳出はじめる蓬餠 森理和 あを 201006
たっぷりと和尚の笑顔よもぎ餅 村上浩子 末黒野 201007
その中に野蒜の見ゆる蓬籠 根橋宏次 やぶれ傘 201007
一瞬の遺影の笑みや蓬餅 佐藤いづみ ろんど 201007
表富士見ゆる街なり蓬摘む 小山繁子 春燈 201007
昼酒に添へて当麻の蓬餅 山田春生 万象 201007
汽車道の空一箱に蓬餅 堀江惠子 201008
雨粒の残る蓬を摘みにけり 天野美登里 やぶれ傘 201008
山の辺の道のはじめのよもぎ餅 雨宮桂子 風土 201101
蓬生ゆ津波の傷のふかき地に 大畑善昭 201105
濡縁をつくろふ話蓬餅 當問シズ 万象 201105
使ひ込む父母の円卓よもぎ餅 大地真理 201105
背濡らし差しかける傘蓬摘 斉藤裕子 あを 201105
蓬摘む砂取船の低き音 白石正躬 やぶれ傘 201106
話すうち同窓と知る蓬摘 久染康子 201106
ふた握ほどの蓬を摘みて来し 中島静子 酸漿 201106
絶品の妣の味ですよもぎ餠 井口淳子 201107
日にまみれ土のにほひの蓬摘む 原和三 末黒野 201107
いのちまづ無事被災地の蓬餅 大畑善昭 201107
幾度も母を誉め上げ蓬餅 佐瀬晶子 ろんど 201107
蓬餠月命日の来りけり 井上幸子 酸漿 201107
よもぎ餅国道一号線渡る 火箱ひろ 船団 201110
また一つすぐ手の伸ぶる蓬餅 石井雲雀 末黒野合同句集 201203
ひと芽摘み蓬の香り持ち歩く 岩崎スミ子 末黒野合同句集 201203
ただ嗅いでみるだけのこと蓬揉む 細野恵久 ぐろっけ 201204
押し合へる形あらはに蓬餅 柴田佐知子 201205
蓬餅なかなか果たせぬ母を訪ふ 植木緑愁 201205
父母も祖母も在りし日よもぎ餅 鈴木幸子 万象選集 201205
小流れの音ひきよせて蓬の芽 宮崎浩美 万象選集 201205
杣人の垣なき生活たつき蓬餅 鈴木照子 201206
よもぎ餅父へ母へと供へけり 安武晨子 201206
拭き込みし式台の艶よもぎ餅 稲山忠利 ぐろっけ 201206
蓬摘みいつしか独り残されて 平居澪子 六花 201206
愚痴聞いてくるる人ゐて蓬餅 外山節子 末黒野 201206
藍染の暖簾くぐりて蓬餅 塩路五郎 201207
押し入れに籠りし兄へ蓬餅 石田きよし 201207
産土の色まさりたる蓬餅 柴田佐知子 201207
重たげに畦の色して蓬餅 田代貞枝 201207
朝つみの北の大地の蓬餅 森理和 あを 201207
蓬生の毛馬村ここらあたりかな 北村淳子 ろんど 201207
俎板に色移りくる蓬かな 森清信子 末黒野 201207
もぢやもぢやの中より蓬芽吹きけり 大島英昭 やぶれ傘 201207
蓬摘む故郷の山河思ひつつ 石川叔子 201208
水音の近くに雲や蓬摘む 広渡敬雄 201303
テリトリー決めて屈めり蓬摘む 能村研三 201303
会葬の列蓬生を匂はする 大山文子 火星 201305
摘み足しぬ考命日の蓬餅 門間としゑ 末黒野 201305
蓬摘む笊を半分満たすため 小川滋 やぶれ傘 201305
いとけなき綿毛の蓬愛しみ摘む 小西和子 201306
母が摘み父が搗きし蓬餅 荒木甫 201306
もぐさより餅になりたき蓬かな 高橋将夫 如意宝珠 201306
蓬生の陪塚籬傾ぎたる 石橋萬里 ぐろっけ 201307
蓬摘む祖母に習ひし数へ唄 コ田千鶴子 馬醉木 201405
蓬餅自家製ですといただきぬ 早崎泰江 あを 201405
おほかたは蹶速贔屓の蓬かな 西田孝 ろんど 201406
蓬つむ遥けし日々の無音かな 阪倉孝子 201406
蓬餅すみずみまでも母郷喰む 中山皓雪 201406
和紙土産さし上げ蓬餅もらふ 竹内悦子 201406
還暦や蓬が餅となる時間 柳川晋 201406
疎開とふ昭和は遠しよもぎ餅 大上充子 馬醉木 201406
穴太積の石垣攀ぢて蓬摘む 木戸宏子 201406
投げ餅を受くや蓬生踏み荒し 南うみを 風土 201407
道の駅色で選びしよもぎ餅 相良牧人 201407
蓬摘むサイクリングの途中にて 和田紀夫 201407
蓬摘母のおいどに蹤きゐたり 大山文子 火星 201407
蓬茹で厨にこもる野の香り 中島知恵子 雨月 201407
里で買ひ里山で食ぶよもぎ餅 布施由岐子 末黒野 201407
お茶添へてふる里の色蓬餅 松田泰子 末黒野 201408
蓬摘みままごとの子の独り言 吉田きみえ 末黒野 201408
薬効の蓬むなしく繁茂して 中本古信 201408
蓬餅涙の訳を言はぬ子と 鈴木照子 201504
筑波嶺はひたちの屋根や蓬萌え 立澤清 馬醉木 201505
振り向けば母の居さうや蓬摘む 江木紀子 雨月 201506
蓬摘む土の温もり指先に 武生喜玖乃 雨月 201507
指先に広がる野原蓬摘み 岩村恵子 ホトトギス 201508
一ぱいに摘みし蓬のかろさかな 岩村恵子 ホトトギス 201508
いつの間に蓬摘む人遠ざかる 原田達夫 箱火鉢 201511
指先に残る蓬の漂ふ香 赤岡茂子 春燈 201605
土手よりの二軍観戦よもぎ摘む 萩原久代 やぶれ傘 201606
少しづつ声の離れて蓬摘む 下平しづ子 雨月 201606
裏山の蓬々として春深し 秋山蔦 春燈 201607
初摘みや蓬野に刻わすれをり 田中春江 末黒野 201607
渡し跡蓬の丈に風の来て 小林共代 風土 201608
燃えつきしもの落ちにけり蓬野へ 橋本順子 201610
蓬 →2      

 

2021年4月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。