梅東風     120句

東風  梅東風  鰆東風  朝東風  椿東風  青東風〈夏〉
作品
作者
掲載誌
掲載年月
梅東風や水陽炎の妻庇 浅井千代子 200005
梅東風に開眼の句碑艶ませり 鈴木良戈 200006
梅東風や壁に掛けたる父の筆 稲辺美津 夏椿 200007
梅東風に眉吹かれ立つ富士の前 阿部ひろし 酸漿 200103
梅東風の転害門前竹迎ふ 山口たけし 俳句通信 200104
梅東風や浦曲つづれる舟屋の灯 益本三知子 馬醉木 200105
梅東風や神馬嘶く日ぐれどき 鰍澤真佐子 春耕 200107
梅東風や筑波逆光の中に消え 今瀬一博 200204
梅東風や路地ひた下り母の墓所 田所洋子 雨月 200205
海を見に来て梅東風にふかれゐる 宮尾直美 200206
梅東風に差すに差されぬ野点傘 垂水イツ子 ぐろっけ 200206
梅東風に中陰の顔寄せ合ひぬ 大東由美子 火星 200207
梅東風や母の汚せし昨夜のもの 山尾玉藻 火星 200304
梅東風や円相となる石拾ふ 鈴鹿仁 京鹿子 200304
梅東風にビニールシートのめくれやう 大東由美子 火星 200304
梅東風や替ふるくさびの鍬ねかせ 平子公一 馬醉木 200304
梅東風や防人鹿島立ちし浦 山本喜朗 雨月 200305

 短歌集『今生』

梅東風や我が今生の一書成る

小菅暢子 200305
梅東風や水際にあそぶ鳥の影 穴澤光江 遠嶺 200305
梅東風や机上に古端渓を据ゑ 岡淑子 雨月 200306
梅東風にきりこんで来る鳥のあり 大島翠木 200405
梅東風や曾我兄弟の五輪塔 池田加代子 風土 200406
梅東風や坂道上る車椅子 水谷節子 栴檀 200406
梅東風や宿場東西十三町 矢田邦子 栴檀 200406
梅東風や戦死の汝の老いざりき 大島翠木 200505
ピカソ見にゆく梅東風をつつきつて 杉浦典子 火星 200605
梅東風や棚田続ける平戸島 夏目満子 酸漿 200606
梅東風や九九習ふ子の声彈む 鎌須賀礼子 万象 200606
梅東風の相模潮路まつ平 遠藤真砂明 200606
梅東風や道真歌碑の彫り深し 井山幸子 万象句集 200703
梅東風や光圀公のお成り道 水井千鶴子 風土 200704
梅東風や白寿の農の野辺送り 久留米脩二 馬醉木 200705
梅東風や亀甲結びのもやひ綱 田村愛子 万象 200706
梅東風や大黒天のあらはるる 井上静子 200805
梅東風や阿弥陀ヶ峰に日の差して 近藤きくえ 200806
梅東風や礼に始まる射手の眉 近藤敏子 200905
梅東風や貝殻骨のむず痒し 結城節子 炎環 200905
梅東風やジャージーの背に送球部 鈴木照子 200905
梅東風の酒宴筵や日差追ひ 杉野原弘幸 200905
梅東風にかたりと揺るる恋の絵馬 和田政子 200905
梅東風に決断すこし延ばしけり 大東由美子 火星 200906
梅東風や指の先まで息をして 田中美智子 201004
梅東風や矮鶏の卵に黄味二つ 山本とく江 万象 201005
梅東風や玄武しりぞきたる黙示 近藤喜子 201005
梅東風や願ふあまたの絵馬重き 田中浅子 201005
梅東風や園生の清き香の満ちて 赤木和代 201005
梅東風の紫女参籠の間を抜くる 久保田雪枝 雨月 201005
梅東風や龍馬墓石の小振りなる 井上美智子 201006
梅東風や善意の連鎖国駆けて 安藤しおん 201103
梅東風や犇く絵馬を均す風 小山繁子 春燈 201104
梅東風や列の後尾に雨をとこ 千田敬 201104
梅東風や農事記録をたしかむる 野中弓子 酸漿 201104
梅東風や異国の文字の絵馬揺るる 藤原若菜 春燈 201105
梅東風や蕪村の碑まで遠からず 蘭定かず子 火星 201106
梅東風や波の残せしうつせ貝 神谷さうび 末黒野 201204
梅東風や虚無僧の碑の孤高なる 村上倫子 201204
梅東風や北のはづれの上七軒 高松由利子 火星 201205
梅東風や人も車も祓はれて 笹村政子 六花 201205
梅東風や式社の絵馬は六歌仙 大橋晄 雨月 201205
梅東風といふに野末はまだ早き 豊田都峰 京鹿子 201304
梅東風や二つに折れるバスのドア 佐野ときは 201305
梅東風や池に逆さの五重の塔 田中清秀 かさね 201305
梅東風や山やはらかく重なりて 堀田順子 馬醉木 201305
梅東風や舳先ゆるがぬ舫ひ舟 岡井マスミ 末黒野 201306
梅東風や再入院の夫送る 亀卦川菊枝 末黒野 201306
梅東風やあかがねの樋ひかりをり 原田達夫 201306
梅東風や小野の岐れの忘れ水 鷺山珀眉 京鹿子 201401
梅東風や掛絵馬どれもフルネーム 布川直幸 201402
梅東風や丸き角ある阿吽像 石川かおり 福袋 201404
梅東風やみくじに託す親も子も 鈴鹿仁 京鹿子 201404
梅東風や連歌所跡に井戸ひとつ 田中佐知子 風土 201405
梅東風やぶつかり合へる絵馬の示威 北尾章郎 201405
梅東風の寺は耳門をくぐりけり 豊田都峰 京鹿子 201405
梅東風を入れてはじまる写経会 山田春生 万象 201406
梅東風や漫歩おのづと川沿ひへ 河原昭子 万象 201406
梅東風や一掬に年のうるほへる コ田千鶴子 馬醉木 201504
梅東風や波音近き伊豆の宿 生田作 風土 201505

 山下一海先生六回忌

梅東風や寺門クルスの紋掲げ

松本三千夫 末黒野 201505
梅東風や下がる名札のからからと 塩千恵子 201505
梅東風や揺れおさまらぬ弥次郎兵衛 阪倉孝子 201505
梅東風みの配り残りしのなき嵯峨路 豊田都峰 京鹿子 201505
梅東風や文人庭の竹さやぐ 水田壽子 雨月 201506
村なりしころの梅東風水音も 高橋道子 201506
梅東風や裏から詣る本門寺 平野無石 201508
梅東風や蔵に潜みしヒストリー 岸本順子 京鹿子 201601
弟の忌や梅東風の澄みわたり 井上信子 201603
梅東風やスリムになつてゐる羊 箕輪カオル 201605

 悼・上山永晃氏

梅東風や昨日に過ぎし四十年

松橋利雄 春燈 201605
梅東風や伏見稲荷の氏子幡 佐藤博重 春燈 201605
梅東風や難聴といふ祈りあり 西住三惠子 201606
梅東風や嵯峨野におはす寂聴尼 大石よし子 雨月 201606
梅東風や顔ぶれといふ足取りに 高橋道子 201704
梅東風やご飯にのせて塩昆布 内藤静 風土 201705
梅東風のひとりの影となりて行く 川崎良平 雨月 201705
梅東風や「やうに」で結ぶ絵馬千枚 今瀬一博 201705
梅東風や主なき戸をひそと叩く 宮崎洋 春燈 201705
梅東風の崖をすとんと基地の海 松本三千夫 末黒野 201705
梅東風や子の踏んでゆく土竜塚 岡本秀子 201706
梅東風や梅の翁と呼びたきも 伊丹さち子 馬醉木 201804
梅東風を聴く横笛庵に佇ち 千田百里 201805
梅東風や富士へ流るる雲一朶 岡野里子 末黒野 201805
梅東風や木戸より低き網代垣 コ田千鶴子 馬醉木 201904
梅東風や鯉ゆつたりと影を曳き 堤京子 馬醉木 201904
梅東風やかぶさるやうに磨崖仏 近藤暁代 馬醉木 201905
梅東風や京へ若狭へ道岐れ 田中佐知子 風土 201905
梅東風や崑の筆塚絵筆塚 岡田史女 末黒野 201905
梅東風やしづかに稚魚の渦解くる 半谷洋子 201904
梅東風や大きな亀が動き出す 谷口摩耶 201904
梅東風や崑の筆塚絵筆塚 岡田史女 末黒野 201905
梅東風や京へ若狭へ道岐れ 田中佐知子 風土 201905
梅東風やかぶさるやうに磨崖仏 近藤暁代 馬醉木 201905
梅東風や垣に干さるる野球帽 岩永みはる 追伸 202003
梅東風や滅ぶ平家の地に立ちて 谷陽右 馬醉木 202005
梅東風やひとつに揃ふ巫女の足 中村洋子 風土 202006
梅東風や巨大注連縄ゆるびなく 森田節子 風土 202006
梅東風や古刹に至る切通し 岡井マスミ 末黒野 202006
梅東風や剃り跡眩し僧急ぐ 中山未奈藻 202006
梅東風に押されて杖の一歩づつ 大西乃子 202010
梅東風にたたら踏んだる山路かな 後藤大 春燈 202105
梅東風や気散じの試歩辺りまで 五十畑悦雄 202105

 

2022年2月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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