浮いてこい    129句

浮人形  浮いてこい

作品
作者
掲載誌
掲載年月
もう飽きて水の濁れる浮いてこい 柳生千枝子 火星 199809
長子家を出てより暇な浮いてこい 折原あきの 船団 199811
弟は亨年五歳浮いて来い 高橋さえ子 199910
浮いて来い沈みて子らは兎見に 朝妻力 俳句通信 200008
浮いて来い疾うに死んだるをとこにて 男波弘志 200009
残生のもはやなりゆき浮いてこい 水野里枝 200009
今生は残り一割浮いてこい 本山卓日子 京鹿子 200010
遠き日の借家の窓よ浮いてこい 林翔 200010
几帳面の血は夫止り浮いて来い 奥田筆子 京鹿子 200011
浮いて来い色とりどりのうみうしも 寺田良治 船団 200102
長子次子稚くて逝けり浮いて来い 能村登四郎 200108
喉仏重くてならぬ浮いて来い 森麟 銀化 200109
沈黙は金とも言へず浮いて来い 蔵持柚 銀化 200109
叩かれてひとくせありぬ浮いてこい 河口仁志 200110
韃靼の鉾携へて浮いてこい 木曽岳風子 六花 200111
さもあれど恥を忍びて浮いて来い 利根川博 銀化 200111
泣くよりは笑ひながらに浮いてこい 後藤比奈夫 ホトトギス 200201
空つぽは重たきこころ浮いてこい 暮岸江 銀化 200208
てのひらは意味を手放す浮いてこい 亀田憲壱 銀化 200208
忘れたきこと思ひ出す浮いてこい 土井田晩聖 銀化 200209
錻力てふ素材いきいき浮いて来い 久染康子 200209
間違へて呼びし子の名や浮いて来い 山口順子 馬醉木 200211
浮いてこいビタミンばつX不足かも 木戸渥子 京鹿子 200302
浮いて来いたかが俳句で四の五のと 利根川妙子 200309
がんばらない流儀を通し浮いてこい 伊藤白潮 200309
浮いて来い錆びて第一反抗期 萩谷幸子 雨月 200309
川面より低き横丁浮いてこい 上谷昌憲 200309
飛びつきりの笑顔を見せて浮いてこい 飯塚久美子 対岸 200310
浮いてこい表の門をあけしまま 木下野生 200310
停泊の船の間ぞ浮いて来い 瀬川公馨 200311
浮いてこい向ひの家もひとりつ子 佐々木悦子 帆船 200407
懸命に生きし半生浮いて来い 小澤菜美 200409
浮いて来い夜半は蛹となる眠り 近藤喜子 200409
泣き顔を見たくなければ浮いてこい 城間芙美子 対岸 200409
女波へとぶつかる男波浮いてこい 藤岡紫水 京鹿子 200409
街道の脇に売られて浮いて来い 岩木茂 風土 200410
浮いてこい天の底とは思はずに 豊田都峰 京鹿子 200410
豆腐屋のラッパ遠のき浮いて来い 環順子 遠嶺 200410
人間と生まれて笑ふ浮いてこい 水野恒彦 200509
浮いてこい然るべくとは詮もなや 折橋綾子 200510
沈みたく眠りたくとも浮いて来い 長山あや ホトトギス 200512
二世観あくまで信じ浮いてこい 伊藤白潮 200609
水底を一度見てから浮いて来い 高橋将夫 200609
家計簿に書けぬ買物「浮いて来い」 中村洋子 風土 200610
ひとたびは父母を見て浮いて来い 青山丈 200611
浮いてこいの昔の力手に覺ゆ 佐藤喜孝 あを 200612
浮いてこい浦島太郎にはさせぬ 井上菜摘子 京鹿子 200612
鈍感に生きて米寿よ浮いてこい 有田蟻太 200709
朴訥にもの売る男浮いてこい 山崎祐子 万象 200709
せいいつぱい楽しい顔で浮いて来い 貝森光洋 六花 200710
人生に乗り替へ欲しや浮いて来い 千坂美津恵 200711
水蹴つて鉄腕アトム浮いてこい 森下光江 200801
十までの数のあやしき浮いてこい 坂本緑 幸せのかたち 200808
まだ役に立つ歯の疼き浮いてこい 上谷昌憲 200809
浮いて来い母留守の子は何時までも 久布白文子 馬醉木 200810
誰の手も借りたくはなし浮いて来い 佐藤博美 200810
この先は陽性に生き浮いて来い 岩月優美子 200810
みづうみの底ひの遺跡浮いて来い 平野加代子 春燈 200908
浮いて来い竜宮城もういてこい 千田百里 200909
銭湯に泳ぎしことも浮いてこい 根橋宏次 やぶれ傘 200909
忍ぶ恋隠しなさんな浮いて来い 延広禎一 200911
浮いて来い無駄な力と思ひしが 佐藤博美 200911
気掛りのひとつふたつや浮いて来い 矢口笑子 春燈 200912
軽石を代りとしたる浮いてこい 山田六甲 六花 201006
筋書きになきわが余生浮いて来い 千坂美津恵 201008
デパートの水に売らるる浮いてこい 根橋宏次 やぶれ傘 201009
浮いてこいリストラされても浮いてこい 吉村摂護 201009
曾祖母とふ名を頂くや浮いてこい 宮野照子 馬醉木 201009
浮いてこいリストラされても浮いてこい 吉村摂護 201010
呉服屋の店棚にある浮いて来い きくちきみえ やぶれ傘 201011
昼風呂のお湯はぬる目に浮いてこい 天野美登里 やぶれ傘 201012
疲れし日の風呂はぬるめよ浮いてこい 刈米育子 201103
荒磯へ鎮魂の酒浮いてこい 延広禎一 201107
シナリオのなき人生や浮いてこい 寺村年明 春燈 201107
天窓の明かり湯槽に浮いてこい 根橋宏次 やぶれ傘 201109
時といふ万能薬や浮いて来い 川崎真樹子 春燈 201109
人の世に托卵のあり浮いて来い 秋葉雅治 201109
脱原発と宣ふばかり浮いて来い 千田敬 201109
縁日より家の湯船へ浮いて来い 安藤久美子 やぶれ傘 201110
横好きのものに執すよ浮いてこい 高橋道子 201110
今朝からの頭空つぽ浮いて来い 七田文子 201110
定石をはづす一手や浮いて来い 鷹崎由未子 花野 201112
目のさきに母ゐる冩眞浮いてこい 佐藤喜孝 あを 201208
司る年金家計浮いてこい 高橋道子 201209
浮いてこい占ひ横丁にぎはへり 福島せいぎ 万象 201210
従心てふ出発点や浮いてこい 岡田史女 末黒野 201210
眷属に知らぬ子が居る浮いてこい 上谷昌憲 201210
朱鷺・狼・日本獺浮いてこい 石崎和夫 201211
浮いて来い医師に預くる子の命 田嶋洋子 七線譜 201306
甲矢乙矢ぜんぶ使うて浮いてこい 雨村敏子 201310
水掛論のいつまで続く浮いてこい 岩永はるみ 春燈 201310
赦すとは愛する事よ浮いて来い 宮井知英 201409
遠目には金魚と見紛ふ浮いて来い 森幸 雨月 201410
浮いて来い今更ながら麻疹とは 吉村摂護 201411
胸底にいつも誰かが浮いてこい 久保東海司 201508
何も彼も手につかぬ日や浮いて来い 綱徳女 春燈 201509
麻酔醒む力を入れて浮いて来い 山本明彦 201509
浮いて来い意地張ることの有りにけり 阪倉孝子 201509
浮いてこいたくさん浮かべ盥の子 きくちえみこ 港の鴉 201510
銀行のロビーの隅に浮いて来い 有賀昌子 やぶれ傘 201510
東京の片隅に住み浮いてこい 安藤久美子 やぶれ傘 201510
浮いてこい言はれなくとも浮いてやる 柳川晋 201510
浮いて来い抱きて眠る青き星 近藤喜子 201510
手短な電光ニュース浮いて来い 箕輪カオル 201511
あれそれで過ごしてしまふ浮いて来い 高野春子 京鹿子 201610
幸せはゆつくりと来い浮いて来い 本多俊子 201708
師の亡くて遠き謦咳浮いてこい 古居芳恵 201709
浮いて来い胸中いちど空(から)にして 近藤喜子 201709
まつすぐに帰れぬ日なり浮いて来い 近藤牧男 春燈 201709
宰相の嘘つく世なり浮いて来い 福島せいぎ 万象 201710
腹筋は歌ふためなり浮いて来い 箕輪カオル 201710
賑やかな風呂場は昔浮いて来い 落合絹代 雨月 201810
浮いてこい句座に掛け声入り乱る 手島伸子 雨月 201811
過去よりも未来明るく浮いて来い 西村潭 201811
浮いてこい浮かない人はほっとけない 阪野基道 船団 201811
ぐづる子にアンパンマンよ浮いてこい 岡本尚子 風土 201909
美しく老ゆる鏡よ浮いて来い 阪倉孝子 201909
浮き来れば沈むるばかり浮いてこい 小田嶋野笛 末黒野 201910
ゆるゆると生きるのもよし浮いてこい 吉田悦子 201911
いりあひの金波銀波や浮いて来い 佐藤千恵 京鹿子 202001
長子次子稚くて逝けり浮いて来い 能村登四郎 202005
美しく老ゆる鏡よ浮いてこい 阪倉孝子 202008
サイケキテレツひよつこりと浮いて来い 辻響子 202009
もやもやの眼底画像浮いて来い 平野加代子 春燈 202108
底なしの沼の中でも浮いてこい 高橋将夫 202109
舟宿の盥の中の浮いて来い 増成栗人 202110
水風呂に足をバタバタ浮いてこい 天野美登里 やぶれ傘 202111
水は湯にほつたらかしの浮いてこい 根橋宏次 やぶれ傘 202209
浮いてこい禁酒禁煙解禁日 太田良一 末黒野 202210

 

2023年8月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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