踏 青     128句

踏青や古き石階あるばかり    高浜虚子

青き踏む  踏青

作品
作者
掲載誌
掲載年月
踏青の目となり杖となる夫人
山本瓜塔
円虹
199806
踏青やむかし少年遺欧使
古屋元
199806
踏青のときも主宰といへる枷
鷹羽狩行
199904
踏青やぐんぐん海の盛り上がる
小澤克己
遠嶺
199905
踏青やはるかな嶺の遊び雲
小澤克己
遠嶺
200004
踏青や記念館への道すがら
稲畑汀子
ホトトギス
200104
踏青や鼠の還る穴ひとつ
ロツキイ
六花
200104
踏青や重なり落つる堰の水
藤井昌治
200105
踏青の一歩を朱雀門よりす
窪田佳津子
雨月
200106
踏青や曽て大志を抱きしこと
慈幸杉雨
200107
踏青や赤い翼のグライダー
橋本良子
遠嶺
200107
踏青や遠嶺を視野に収めつつ
宮倉浅子
遠嶺
200107
踏青やあたためてゐる詩のかけら
山下由理子
200111
踏青やむかし家内といふ言葉
しおやきみこ
船団
200111
踏青や娘の道を娘往く
松村美智子
あを
200204
踏青や崩れて失せし小田の畦
橋本貞二
酸漿
200206
踏青や足の裏なる浮遊感
山田天
雨月
200206
踏青や産まねばならぬ顔をして
篠原俊博
銀化
200206
踏青のこころ帰郷してゐたる
八條凛子
銀化
200206
踏青の昼餉太平洋の見ゆ
八條凛子
銀化
200206
踏青やまなじりに入る鳥礫
木曽岳風子
六花
200206
踏青や胸の高鳴り鎮まらず
赤羽正行
遠嶺
200207
踏青やグランドキャニオン志す
桑田青虎
ホトトギス
200209
踏青へ誘ひのありてうれしかり
山尾玉藻
火星
200304
踏青の手足同時に出てしまふ
伊藤白潮
200304
踏青や御幸の芝にある起伏
森脇恵香
雲の峰
200305
踏青の草ゆるゆると起き上がる
浜口高子
火星
200305
踏青や乾酪(チーズ)の村の結婚式
遠藤逍遥子
風土
200306
踏青や小旋風立ちに群雀
渡邉英子
馬醉木
200307
踏青の力杖突く第一歩
葛馬房夫
雨月
200307
踏青や若きちからの甦る
邑橋節夫
遠嶺
200308
踏青やポツプコーンにも影があり
近藤幸三郎
風土
200401
踏青やはるかな先を鳥も踏み
鷹羽狩行
200404
濤声を背に踏青の歩の軽し
小澤克己
遠嶺
200405
踏青や空を鏡に身を正す
渡辺民親
遠嶺
200405
踏青を終へて一個のメロンパン
櫻井幹郎
百鳥
200405
踏青や妣の帽子を深くかぶり
荒井千佐代
200406
踏青やフェリーボートを乗り継いで
板橋智恵子
百鳥
200406
踏青や亡母の帽子を深くかぶり
荒井千佐代
200406
踏青やふはりとありし航空機
今瀬剛一
対岸
200406
踏青の果のわが家の畳かな
松井淑子
200406
踏青や土手の滑降志す
飛鳥由紀
200407
踏青の野や屏風なす詔
今瀬剛一
対岸
200407
踏青や思ひの中に塔重ね
今瀬剛一
対岸
200407
踏青の彼の日よつよき脚なりしが
野路斉子
200409
踏青や子らは小犬の目線なり
寺門丈明
あを
200505
踏青や爪先に血のよみがへり
石田厚子
馬醉木
200506
踏青や余命幾許なりしやと
青垣和子
雨月
200506
踏青のいつか汐の香紛れなし
市堀玉宗
栴檀
200506
踏青の円空墓に尽きにけり
辻恵美子
栴檀
200507
踏青や故地の讃岐へ輪袈裟掛け
藤田誉子
雨月
200507
踏青やセメント袋岸に積み
田中美智代
200508
踏青の思ひにロングホールゆく
鷹羽狩行
200605
踏青や荒立つ心収めをり
島元文
遠嶺
200606
踏青のよろめくひとを支へ得ず
田原陽子
200606
踏青や問ひかけさうな鯉の口
内堀京子
河鹿
200607
踏青や瑪瑙の礎石踏めざりき
片山喜久子
雨月
200608
踏青の愉しさ人に逢ふことも
鈴木政子
200702
朝ミサといふ踏青でありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200703
踏青や誰にもありし出発点
天野きく江
200705
踏青や新たな出合ひ眩しみて
宮野照子
馬醉木
200706
踏青や大きな泥のスニーカー
黒澤登美枝
200706
踏青といふビル陰の一部分
稲畑廣太郎
ホトトギス
200803
彩雲の下踏青の詩人あり
高柳ちゑ
遠嶺
200806
踏青や水平線が目の高さ
大山文子
火星
200806
踏青や己励ますひとり言
中島伊智子
酸漿
200806
踏青の二三歩に旅人となる
岩岡中正
ホトトギス
200807
踏青や古地図と同じ山の位置
長谷川翠
馬酔木
200905
踏青や立ち居に鳴らす膝の骨
山本無蓋
200905
踏青といふ忘れ物さがしかな
田辺博充
200905
踏青の一歩や千里先おもふ
鷹羽狩行
201004
踏青の果ての貝塚踏みし音
斧田綾子
七座
201003
踏青や嬰にわづかな土踏まず
稲垣徹弘
201004
踏青の会釈は帽に手を添へて
布川直幸
201005
踏青や娑婆の迷子となりにける
柳川晋
201005
踏青や川辺に住みて半世紀
網野茂子
酸漿
201005
踏青や孫と比べし靴の寸
楯野正雄
201006
踏青の先は紀の海潮曇
西村操
雨月
201006
踏青の浮桟橋に行きあたる
蘭定かず子
火星
201006
踏青やなべて不遇の唐詩人
成瀬櫻桃子
櫻桃子選集
201105
踏青や西へ傾くちぎれ雲
赤羽陽子
春燈
201106
踏青やかをりに聡く音に聡く
山田美恵子
火星
201106
踏青や杖曳く土の余震なほ
秋葉雅治
201106
踏青やトロッコ軌道敷に沿ひ
田中貞雄
ろんど
201106
踏青やおだてに乗りて一万歩
内藤三男
ぐろっけ
201107
踏青の歩を引返す処かな
伊藤とほ歩
ホトトギス
201203
踏青やミネラル水を糧として
鳥居おさむ
ろんど
201203
踏青や猫の蹄を思ひをり 柳生千枝子 火星 201205
踏青やおもちやのやうに電車過ぐ 奥田順子 火星 201205
踏青や三重塔の遠く見へ 岡野安雅 かさね 201206

 悼 近藤きくえさん

踏青の似合ふ出立ちなりしかな

柳川晋 201206
踏青や古代史の里石づくし 宮内とし子 201206
踏青やときに石ころ蹴飛ばして 白石正躬 やぶれ傘 201206
踏青や昼の深さの水の音 本多俊子 201207
踏青のこれや大きなもぐら穴 大畑善昭 201207
踏青や熊野古道といふ雅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
地平線までもと踏青百歩まり 北川英子 201305
踏青の果てて脈打つ土ふまず 師岡洋子 ぐろっけ 201307
皇統図手に踏青の山がかる 安部和子 雨月 201405
踏青の弾みをつけて自動ドア 関根揺華 201405
踏青や蘇我氏驕りの跡の地も 南光翠峰 馬醉木 201406
踏青や渡らずにゆく橋二つ 岡井マスミ 末黒野 201406
踏青の足裏よりこゑあるごとし 岩岡中正 ホトトギス 201407
踏青や木綿のシャツにダムの風 原田しずえ 万象 201407
踏青や大といふ字に手を振つて 岡田一夫 201410
踏青の一歩忽ち野を占むる 稲畑汀子 ホトトギス 201503
踏青や山は高さを競ひ合ひ 大谷畠子 馬醉木 201504
踏青のこころ鎮めの歩幅かな 辻美奈子 201505
踏青や一句拾つてポケットヘ 村上倫子 201506
踏青にふはりと応へ土匂ふ 羽賀恭子 201507
踏青やきこえて遠き卒業歌 木下夕爾 春燈 201508
踏青の風の名前をいう遊び 火箱ひろ 船団 201512
踏青や憂さひとつづつ鎮めつつ 森清堯 末黒野 201607
踏青や万葉歌碑へ瀬音道 安永圭子 風土 201608
踏青や反抗期まだ途中なる 江見巌 六花 201705
踏青の行きに戻りにみ寺訪ふ 安部和子 雨月 201706
踏青や足裏に心地よき起伏 能美昌二郎 201805
踏青の終り太平洋に出づ 佐久間由子 201806
踏青や人それぞれの重さ抱き 熊川暁子 201807
踏青や虚子の句碑まで八千歩 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
踏青の土柔かく迎へくれ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
裏庭の踏青心安らぎぬ 大橋晄 雨月 201907
踏青やセラピー犬と寄り添ひて 中里昌江 末黒野 201907
踏青や足に憂ひのある夫と 升田ヤス子 六花 202006
踏青やそぞろ歩きも厚底で 谷口一献 六花 202006
踏青やゲバルト・ローザのパンタロン 柳川晋 202103
踏青や海見下ろせる所まで 石黒興平 やぶれ傘 202207
踏青や緊りなき影遊ばせて 池乗恵美子 やぶれ傘 202207

 

2023年3月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。