師 走 4          200句

市に入りてしばし心を師走かな    素堂

十二月 霜月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
余所見して人にぶつかる街師走 宮沢治子 春燈 201102
千住や師走日和の橋袂 近藤幸三郎 風土 201102
スカイタワー師走の風を従ふる 中山皓雪 201102
書き出しは一様にもう師走と文 山田をがたま 京鹿子 201102
コンサート跳ねて師走の人の波 大西裕 酸漿 201102
スカイツリー日に日に延びて街師走 森山のりこ あを 201102
美容院でスーパーで会ふ師走人 杉本綾 201103
蒼惶と母の忌過ぐる師走空 木山白洋 馬醉木 201103
湯疲れに師走といふを忘れけり 泉田秋硯 201103
空き部屋も開けて師走の風通す 望月晴美 201103
トルソーヘ師走のネオン点滅す 松本三千夫 末黒野 201103
ガス灯や師走の街を足早に 安斎久英 末黒野 201103
独身寮の未だ点さぬ師走かな 三橋玲子 末黒野 201103
足元をみつめ直すも師走かな 石脇みはる 201103
包帯の指動き出す師走かな 雨宮桂子 風土 201103
もの言はぬ監視カメラの師走かな 鴨下昭 201103
渋つきし急須を洗ふ師走かな 仲山秋岳 万象 201103
コロツケの匂へる町も師走かな 濱上こういち 201103
師走かなひねもす思案してゐたる 永田勇 六花 201103
鳥も木も園も師走に無頓着 橋本くに彦 ホトトギス 201104
切り替へてまた切り替へて処す師走 水田むつみ ホトトギス 201104
猫にものいふて師走に遠くゐる 安武晨子 201104
遠くゆく貨車に師走の日のさせる 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
海老蔵のまねき傾く街師走 高谷栄一 嵯峨野 201107
仕残せし師走の予定崩れゆく 稲畑汀子 ホトトギス 201109
先々に思ひ巡らす師走かな ことり 六花 201112
師走人吸ひ込まれゆくチャペルかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
ハチ公の足跡たどる師走かな 森下康子 201202
あたふたと生きて師走を迎へけり 伊藤純子 201202
ビル風に倒されさうや街師走 竹内悦子 201202
紺碧の師走を走るフィフティーン 丸山酔宵子 かさね 201202
飲み屋にも活気戻りし師走かな 長島清志 かさね 201202
待ち時間ありて師走の免税店 高橋泰子 201202
偽物のやうな日和の師走かな 黒澤登美枝 201202
悼みつゝ住所録消す師走来て 山田をがたま 京鹿子 201202
身辺の片付け遅々と師走来る 山田をがたま 京鹿子 201202
歩行練習百歩に満たず師走来る 山田をがたま 京鹿子 201202
歩きつつ携帯電話街師走 白石善子 雨月 201202
のぞみ号の胴内あるく師走かな 千田百里 201203
急くほどに事の進まぬ師走かな 小栗八重 201203
擦り抜けて行く新宿の駅師走 座古稔子 201203
生き方を変へてもみたし師走風 松山三千江 春燈 201203
殿と気付く師走の駅出口 石田康明 春燈 201203
師走かな二八蕎麦打ち修行中 齋藤民恵 ろんど 201203
首のせてゐたる師走の砂湯かな 竹内悦子 201203
師走月蝕阿件の門を過ぎてより 大島翠木 201203
トラックの運ぶパトカー師走かな 森田節子 風土 201203
半額のワゴンセールや街師走 松本三千夫 末黒野 201203
予備校の必勝幟師走空 松井宮子 末黒野 201203
一尾ごと拭く俎板へ師走の灯 丸井巴水 京鹿子 201203
空咳の父似となりし師走かな 松岡水学 ぐろっけ 201203
師走となむ急かさるる用ひきりなし 久保晴子 雨月 201203
悲喜こもごも人行き交ふる街師走 西出しず子 雨月 201203
街明り川面明りも師走の灯 西出しず子 雨月 201203
大阪の未来へ動き出す師走 古賀しぐれ ホトトギス 201204
癌連れて師走の街を帰りけり 竪山道助 風土 201204
ひとり居の気楽さ言はれ師走くる 布川孝子 京鹿子 201204
震災の仮設住宅師走の灯 三浦澄江 ぐろっけ 201204
アメ横で好物探す師走かな 湯本実 やぶれ傘 201204
吉備の旅終へて師走の人となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
齟齬多くなりて師走となりゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
一日に句会三ケ所街師走 稲畑汀子 ホトトギス 201212
師走とて師走忘れてゐることも 稲畑汀子 ホトトギス 201212
車混む師走の街を右往左往 稲畑汀子 ホトトギス 201212
好きなこといへる仲間とゐて師走 稲畑汀子 ホトトギス 201212
文章の推敵重ね稿師走 稲畑汀子 ホトトギス 201212
明日ありて師走の海の没日かな 中江月鈴子 201301
離職して曜日錯誤の師走かな 松嶋一洋 201301
街騒のさらに師走の選挙かな 鈴木セツ 201301
回覧に放火魔注意師走月 田下宮子 201302
長き髪きりりと纏め師走妻 和田森早苗 201302
妣の齢を生きて師走のなんだ坂 宮崎左智子 201302
つぎはぎの選挙公約師走かな 北尾章郎 201302
祈るには迅き師走の流星群 高橋あさの 201302
電飾に身の浮くやうな師走かな 松本周二 かさね 201302
久々の深川飯も師走かな 田中藤穂 あを 201302
パノラマの東支那海師走風 松田和子 201303
同じ物夫も買ひ来る師走かな 野坂民子 馬醉木 201303
豚の背に青き数字や師走風 飯田ひでを 201303
紙袋誰も両手に師走かな 渡辺数子 火星 201303
通過する急行の風師走かな 岡野安雅 かさね 201303
長ながと師走の町の貨車の音 松山三千江 春燈 201303
夕あかり街の匂ひも師走かな 赤羽陽子 春燈 201303
女性誌の付録重たき師走かな 小山繁子 春燈 201303
渋滞や尾灯に染まる師走道 海村禮子 春燈 201303
ゆき止まる師走の四条櫛を買ふ 丸井巴水 京鹿子 201303
師走風廃校あとの金次郎 竹下道子 京鹿子 201303
泥棒は猫だけといふ島師走 竹下道子 京鹿子 201303
歳月に加速つきたる師走かな 山本茂子 末黒野 201303
街師走憲法九条出し入れす 大場ましら 201303
神の庭水低く撒く師走かな 大島翠木 201303
勘三郎永遠に忘れじ師走の訃 水野範子 ぐろっけ 201303
みほとけの埃戴き師走空 中島陽華 201304
美容院出でて師走の買物に 大西ユリ子 ぐろっけ 201303
師走はや気分ばかりが前のめり 松本アイ ぐろっけ 201304
病棟に届く売り声師走かな 三枝邦光 ぐろっけ 201304
虫歯また痛みだしてる師走かな 野村鞆枝 京鹿子 201304
師走の灯ビルに積み上げ勤しめる 今村征一 ホトトギス 201305
師走露地ねこの抜け道風のみち 鈴鹿百合子 猫贔屓 201305
買ひ物の人の流れの早や師走 安藤虎酔 かさね 201305
大方は出席となる師走かな 稲畑汀子 ホトトギス 201312
考へてみれば師走でありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201312
もう一つ予定抱きて街師走 稲畑汀子 ホトトギス 201312
街師走かけ持ちの会間に合ひし 稲畑汀子 ホトトギス 201312
皆家に師走の顔を置いて来し 稲畑汀子 ホトトギス 201312
上京に師走心を持ち歩く 稲畑汀子 ホトトギス 201312
猫も又師走の顔で寝てをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
豊後富士師走の襞の深さかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
スケジュール再来年までてふ師走 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
師走とは別の顔してゐる猿 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
地下一歩入れば師走の歩幅かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
ハイヒールやつと断捨離して師走 成宮紀代子 201401
丸の内を出前持ちゆく師走かな 田中たつを 雨月 201401
速報のよみ切れぬまま師走月 宮崎左智子 201402
駿府路の何処へ行つても師走富士 吉田政江 201402
バスがもう来る頃師走夕やけて 定梶じょう あを 201402
道路標の照り増す師走往き交へる 小澤菜美 201402
奥山に雲かかりけり師走風 笠井 清佑 201402
被りなれぬ帽子ななめに行く師走 出口貴美子 雨月 201402
棒鱈を鋸でひきをり師走市 中村ふく子 201402
車椅子離せぬ師走家恋し 飯田美千子 201402
画家よりの個展案内や師走町 竹内悦子 201402
スタバにて師走の人を眺めをり 須賀敏子 あを 201402
心とびはねて師走の街めぐる 出口貴美子 雨月 201402
アユタヤの象の背に乗る師走かな 大口堂遊 春燈 201402
騒音に路地の活気や師走くる 青野安佐子 201402
托鉢の黄衣裸足の師走かな 大口堂遊 春燈 201402
誰一人寺領にをらず師走かな 森高武 風土 201402
雲水の棒のごと立つ師走かな 矢野百合子 201403
国道の246にいよんろく沿ひ師走めく 仙田孝子 風土 201403
のんびりとチンチン電車ゆく師走 平居澪子 六花 201403
師走の夜籤で決まりし自治会長 水野範子 ぐろっけ 201403
師走風に頼もしくなる干野菜 佐々木和子 201403
師走風一万人の歌「歓喜」 西垣順子 201403
さまざまな悔い押し寄する師走かな 山本茂子 末黒野 201403
街師走絶対負けない奴と囲碁 荒木甫 201403

東郷すみ江さん百四歳で没

ジュース飲みほとけになるといふ師走

大坪景章 万象 201403
畳屋のチラシの混じる師走かな 瀬島洒望 やぶれ傘 201403
せり声の尖る師走の市場かな 小山繁子 春燈 201403
アクセルを強く踏みける師走なり 中野京子 201403
極樂の空か師走の大夕焼 三枝正子 万象 201403
早や師走何も手つかず日のすぎて 東秋茄子 京鹿子 201403
欠席の口実さがす師走かな 菅野蒔子 末黒野 201403
大樽を転がして来る師走かな 田村すゝむ 風土 201403
鉄骨の上を人ゆく師走かな 内藤静 風土 201403
襟立てて踏み出す一歩師走風 中村洋子 風土 201403
旅好きの姉突然に師走風 鎌田慶子 ろんど 201403
拍子木の音を打ち込む町師走 丸井巴水 京鹿子 201403
演説の声をかき消し師走風 難波篤直 201404
ホイアンにドリアン求む師走かな 松村光典 やぶれ傘 201404
新幹線降りて東京駅師走 嶋田一歩 ホトトギス 201404
津々の師走浮島横たはり 梶浦玲良子 六花 201404
通院のタクシーにゐて街師走 嶋田一歩 ホトトギス 201404
夜の句座へ師走の橋を渡りけり 岩岡中正 ホトトギス 201405
じんとするしばるる師走号外来 佐藤哲 万象 201405
稿債の半ば師走も近づきて 稲畑汀子 ホトトギス 201411
集まれば師走の顔を解く句座 稲畑廣太郎句帳 ホトトギス 201412
三毛猫の横切る師走の場末かな 稲畑廣太郎句帳 ホトトギス 201412
師走とは思へぬ陽気苑めぐる 稲畑汀子 ホトトギス 201412
会師走しづかに混んで来たりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201412
旅二三残して師走なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201412
スケジュール又重なつてゆく師走 稲畑汀子 ホトトギス 201412
稿債と師走の待つてゐる家路 稲畑汀子 ホトトギス 201412
師走とて妣の命日忘るまじ 竹内悦子 201502
LEDの青き世界や街師走 森下康子 201502
電飾の木々のまばゆさ京師走 宮田香 201502
忠誠の四十七士や師走寺 松田和子 201502
宅配の路地を駈けゆく師走かな 辻知代子 201502
懐の「お足」駈け出す師走かな 小林久子 201502
登山鉄道最後に載せる師走の荷 甲州千草 201502
あたたかき師走賜へり君逝きて 大坪景章 万象 201502
金庫鍵番号忘れ師走入り 新田秀子 風土 201502
師走とは妻愚痴いふ時節なり 佐藤健伍 201502
ひそやかな雨音を聴く師走かな 原田たづゑ 春燈 201502
吃水の深く着岸師走の荷 密門令子 雨月 201503
墓磨き師走の風に夫懐古 武政礼子 雨月 201503
雑踏と湯気の南京街師走 三輪温子 雨月 201503
会釈して雲水を抜く師走かな 栗原京子 201503
当てにならぬ夫の顔ある師走かな 横田晶子 風土 201503
京に来て錦市場に見る師走 雲所誠子 風土 201503
チャリティのアカペラを聴く師走かな 落合絹代 風土 201503
選挙車の終日賑はふ師走街 高井れい子 京鹿子 201503
旅鞄干すや師走の風孕み 齊藤哲子 201503
はやぶさ2師走の空に打ち上ぐる 中貞子 201503
ただ時の過ぎゆくままに師走果つ 竹田ひろ子 ろんど 201503
師走五日癌告知さる誕生日 上家弘子 ろんど 201503
ただ時の過ぎゆくままに師走果つ 竹田ひろ子 ろんど 201503
なんとかなるさ師走の一日観覧車 甕秀磨 201503
散髪の椅子にまどろむ師走かな 亀卦川萄枝 末黒野 201503
笛吹きて師走を仕切る駅広場 漆山浩一 末黒野 201503
籠居して師走の街に遠くゐる 杉山瑞恵 雨月 201503
港師走焼津漁港の旗立てて 密門令子 雨月 201503
新築の家の灯ともる師走かな 佐渡谷秀一 春燈 201503
妻乗せて救急車往く師走かな 室井津与志 春燈 201503
紅螺(あかにし)の蓋は開かず師走くる 伊藤希眸 京鹿子 201504
身の錆を落す暇なく師走来る 松田都青 京鹿子 201504
お別れの会や師走の選挙中 大久保白村 ホトトギス 201504
十二月八日と師走の十四日 遠藤逍遙子 風土 201504
定まらぬ予報師走の防護服 鴨下昭 201504
街は師走幾度も聞く発車ベル 青谷小枝 やぶれ傘 201504
師走→5      

 

2020年12月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。